2012.11.27.11.06
「なんでもない日おめでとう (Merry Unbirthday To You)」とは、『お誕生日じゃない日の歌 (The Unbirthday Song』 [作詞:ボブ・ヒリアード (Bob Hilliard) 作曲:サミー・フェイン (Sammy Fain)] という歌の一節であり、その歌はディズニー (Disney) 映画『ふしぎの国のアリス
(Alice In Wonderland)』 [クライド・ジェロニミ (Clyde Geronimi)、ハミルトン・ラスク (Hamilton Luske)、ウィルフレッド・ジャクソン (Wilfred Jackson) 監督作品 1951年制作] の中に登場する。
所謂『気違いお茶会 (A Mad Tea-Party)』と謂われるシーンであって、その場に登場し唄うのは、気違い帽子屋 / マッドハッター (The Mad Hatter) と三月兎 / マーチ・ヘアー (The March Hare)、ヤマネ / ドーマウス (The Dormouse) それに白兎 (The White Rabbit) とアリス (Alice) のごにんである。
その曲の歌詞 [原詞はこちら / 日本語詞はこちら] を読めば解る様に、「お誕生日おめでとう (Happy Birthday To You)」へのアンチ・テーゼとなっていて、そのアンチ・テーゼを半ば狂躁的に、唄い踊りそしてお茶を注いでは呑むのが、この曲の眼目である。
そして、そんなくるくるくると眼が廻る様な錯乱状態を演出し、自らがその身をもって体感出来るのが、各地のディズニー・ランド (Disney Land) にあるマッド・ティーパーティー (Mad Tea Party) というアトラクションなのである。
ところで、拙稿で問題としたいのは、「お誕生日おめでとう (Happy Birthday To You)」と「なんでもない日おめでとう (Merry Unbirthday To You)」との関係性について、である。
一見、その両方を並べてみて、己自身に最も都合の良い解釈を試みると、一年365日のなかでたった1日しかないお誕生日もお目出度い上に、それ以外の遺った364日もお目出度いのである。こんなにお目出度い事はないだろうか、と、とってもお目出度い考えに至ってしまう。
勿論、4年に一度訪れる閏年 (Leap year) だって、おんなじだ。2月29日 (Feb. 29) が加わっても、一年366日のなかでたった1日しかないお誕生日もお目出度い上に、それ以外の遺った365日もお目出度いのである。こんなにお目出度い事はないだろうか、と、いう案配なのだ。
だけれども、お目出度いという言葉は、あるモノを寿ぐ言葉であると同時に、あるモノの至らなさを指摘する言葉であるだけに、よおく考えれば、上の思考の論理はどこかで破綻しているのである。
だからこその、お目出度さなのさ、とこの歌を唄うシーンに登場した気違い帽子屋 / マッドハッター (The Mad Hatter) と三月兎 / マーチ・ヘアー (The March Hare)とヤマネ / ドーマウス (The Dormouse) と白兎 (The White Rabbit) は、囁くのかもしれない。
でも、アリス (Alice)の末裔であるかもしれないぼく達は、ここでちょっと立ち止って考えてみてもいいと想う。
お茶は冷めてしまうかもしれないけれども、新しくて暖かい美味しいお茶は、ここに居る限り、いつまでも保障されているのだ。
物語の先へと急がなくてもいいだろう。
行うべきは、論理学 (Logic) の初歩の初歩である。
「お誕生日おめでとう (Happy Birthday To You)」は、論理学的には、次の様に言い換える事が出来る。
「お誕生日 (Birthday)」ならば「おめでとう (Happy)」:これを命題 (Proposition) Xとする。
それと同様に、「なんでもない日おめでとう (Merry Unbirthday To You)」は、次の様に言い換える事が出来る。
「なんでもない日 (Unbirthday))」ならば「おめでとう (Happy)」
但し、ここで言う「なんでもない日」とは「お誕生日でない日」なので[英文ならばどちらも同じ"Unbirhtday"]、さらに次の様に言い換える事が出来る。
「お誕生日でない日 (Unbirthday)」ならば「おめでとう (Happy)」:これを命題 (Proposition) Yとする。
ここまでは大丈夫かな?
さて、ここでふたつの命題 (Proposition) の対偶 (Contraposition) を顕わしてみよう。
だが、その前に軽くお浚いだ。
対偶 (Contraposition) とは、「AならばB」という命題 (Proposition) がある場合、「BならばA」を逆 (Converse)、「AでないならばBでない」を裏 (Inverse) と謂い、「BでないならばAでない」と謂う事である。
例にして説明しよう。
「アリスならば少女である (If she is Alice, she is a girl.)」という命題 (Proposition) を考える場合、「少女ならばアリスである (If she is a girl, she is Alice)」は逆 (Converse)、「アリスでなければ少女でない (If She is not Alice, she is not a girl.)」は裏 (Inverse)、「少女でないならばアリスでない(If she is not a girl, she is not Alice.)」を対偶 (Contraposition) と謂うのである。
ここで解った様で解らなくなるのだけれども、大丈夫かな?
ある命題 (Proposition) がひとつあって、その逆 (Converse) とか裏 (Inverse) とか対偶 (Contraposition) が云々と考えるとややこしくなるのだけれども、大事な事はひとつ。そして、そのひとつだけを憶えていればいい。
ある命題 (Proposition) が真であればその対偶 (Contraposition) も真であり、ある命題 (Proposition) が偽ならばその対偶 (Contraposition) も偽なのである。しかもその上に、ある命題 (Proposition) の対偶 (Contraposition) が真であるならば、その命題 (Proposition) 自体も真であり、ある命題 (Proposition) の対偶 (Contraposition) が偽であるならば、その命題 (Proposition) 自体も偽なのである。
と、こおゆうふうに文章にしてしまうと、煙に巻かれる様な気がするかもしれないけれども、上に挙げた「アリスならば少女である (If she is Alice, she is a girl.)」という命題 (Proposition) と、その対偶 (Contraposition) である「少女でないならばアリスでない (If she is not a girl, she is not Alice.)」を参照してもらえばいいと想う。そして、後は得心が行くまで、様々な具体的な事例を考え続けて行く他ない。
ただ、大事な点は、命題 (Proposition) の真偽の判断に躊躇してしまうのならば、その命題 (Proposition) の対偶 (Contraposition) をつくってその真偽を検証すればいい、という事なのである。
では問題のふたつの命題 (Proposition)、即ち命題 (Proposition) X:「お誕生日 (Birthday)」ならば「おめでとう (Happy)」と、命題 (Proposition) Y:「お誕生日でない日 (Unbirthday)」ならば「おめでとう (Happy)」に、戻ってみよう。
ここで、それぞれの対偶 (Contraposition) をつくってみるのである。
命題 (Proposition) X:「お誕生日 (Birthday)」ならば「おめでとう (Happy)」の対偶 (Contraposition) Xは次の様になる。
「おめでたくない (Not happy)」ならば「お誕生日でない日 (Unbirthday)」:対偶 (Contraposition) X
命題 (Proposition) Y:「お誕生日でない日 (Unbirthday)」ならば「おめでとう (Happy)」の対偶 (Contraposition) Yは次の様になる。
「おめでたくない (No Happy)」ならば「お誕生日でない日でない日 No Unbirthday」
「お誕生日でない日でない日 (No Unbirthday)」とは、二重否定 (Double Negative) は相互に打ち消し合うので、つまりは「お誕生日 (Birthday)」の事である。つまり次の様に、対偶 (Contraposition) Yとして言い換える事が出来る。
「おめでたくない (Not Happy)」ならば「お誕生日 (Birthday)」:対偶 (Contraposition) Y
さぁて、いよいよ、核心に触れて来つつある。ここまでは大丈夫かな?
ここでふたつの命題 (Proposition) とふたつの対偶 (Contraposition) が出来た訳である。ここでそのよっつの文章、即ち命題 (Proposition) Xと命題 (Proposition) Y、対偶 (Contraposition) Xと対偶 (Contraposition) Yを観比べてみよう。
命題 (Proposition) X:「お誕生日 (Birthday)」ならば「おめでとう (Happy)」
命題 (Proposition) Y:「お誕生日でない日 (Unbirthday)」ならば「おめでとう (Happy)」
対偶 (Contraposition) X:「おめでたくない (Not Happy)」ならば「お誕生日でない日 (Unbirthday)」
対偶 (Contraposition) Y:「おめでたくない (Not Happy)」ならば「お誕生日 (Birthday)」
そして、このよっつの文章を、対偶 (Contraposition) Yと命題 (Proposition) X [これを組合せ (1) とする]、と、対偶 (Contraposition) Xと命題 (Proposition) Y [これを組合せ (2) とする]とで組み合わせ、対比させてみる。
組合せ (1):
対偶 (Contraposition) Y:「おめでたくない (Not Happy)」ならば「お誕生日 (Birthday)」
命題 (Proposition) X:「お誕生日 (Birthday)」ならば「おめでとう (Happy)」
組合せ (1) では、「お誕生日 (Birthday)」ということばを軸に、「おめでたくない (Not Happy)」と「おめでとう (Happy)」という相反する概念が併存している。
組合せ (2):
対偶 (Contraposition) X:「おめでたくない (Not Happy)」ならば「お誕生日でない日 (Unbirthday)」
命題 (Proposition) Y:「お誕生日でない日 (Unbirthday)」ならば「おめでとう (Happy)」
組合せ (2) では、「お誕生日でない日 (Unbirthday)」ということばを軸に、「おめでたくない (Not Happy)」と「おめでとう (Happy)」という相反する概念が併存している。
組合せ (1) と組合せ (2) は、図式化した表現をすれば、『「AでないならばB」であるならば「BならばA」』と還元出来ると思う。果たして、この様な論理が成立するのであろうか?
そして同時に、はじめの方でお浚いした対偶 (Contraposition) についての知識を、ここでまた反芻してみよう。
ここから先、この論理の検証した後に、ふたつの組合せの共存関係を推察してみれば、恐らく、ふたつの命題 (Proposition) の関係性が明らかになると想う。
だが、残念ながら紙幅はここでとうに尽きているのだ。
ここから先は、各自の宿題として、個々人で検証して頂ければと思う。

なので掲載画像は、アニー・リーボヴィッツ (Annie Leibovitz) 撮影による、あんまりお目出度くなさそうな風情が濃厚な『気違いお茶会 (A Mad Tea-Party)』[画面左より:アリス (Alice):ナタリア・ヴォディアノヴァ (Natalia Vodianova)、気違い帽子屋 / マッドハッター (The Mad Hatter):スティーブン・ジョーンズ (Stephen Jones)、三月兎 / マーチ・ヘアー (The March Hare):クリスチャン・ラクロア (Christian Lacroix Haute Couture):アリス・イン・ヴォーグ (Alice In Wonderland On Vogue) より]。
次回は「う」。
附記 1. :
例えば『生年月日 [誕生日] データベース (Famous Birthdays / Celebrity Birthdays)』でも観てもらえば解ると思うけれども、365日 [ないしは366日] 誰かしらの誕生日 (Birthday) なのである。だから一見、「なんでもない日 (Unbirthday)」と思える日も、実はだれかの「お誕生日 (Birthday)」なのである。
普通の考え方をすれば、だれかの「お誕生日 (Birthday)」をお祝いする歌を唄えばいいところを、あえて己自身にとっての「なんでもない日 (Unbirthday)」を寿ぐ。
あくまでも自分中心の、己本位の、発想なのである。
附記 2. :
だから、ザ・ビートルズ (The Beatles) の『バースディ (Birthday)』[『ザ・ビートルズ (The Beatles)
』収録 1968年発表] で唄われている様な、厚顔無恥な厚かましさ [歌詞はこちら] の方が、寧ろ、健全と言えるのではないだろうか。
附記 3. :
ちなみに「なんでもない日 (Unbirthday)」は、原作であるところの『不思議の国のアリス (Alice's Adventures In Wonderland)』(ルイス・キャロル (Lewis Carroll) 作 1865年発表] には登場しない。
その続篇である『鏡の国のアリス (Through The Looking-Glass, And What Alice Found There)』(ルイス・キャロル (Lewis Carroll) 作 1871年発表] の第6章『ハンプティ・ダンプティ (Humpty Dumpty)』で語られるのである。
所謂『気違いお茶会 (A Mad Tea-Party)』と謂われるシーンであって、その場に登場し唄うのは、気違い帽子屋 / マッドハッター (The Mad Hatter) と三月兎 / マーチ・ヘアー (The March Hare)、ヤマネ / ドーマウス (The Dormouse) それに白兎 (The White Rabbit) とアリス (Alice) のごにんである。
その曲の歌詞 [原詞はこちら / 日本語詞はこちら] を読めば解る様に、「お誕生日おめでとう (Happy Birthday To You)」へのアンチ・テーゼとなっていて、そのアンチ・テーゼを半ば狂躁的に、唄い踊りそしてお茶を注いでは呑むのが、この曲の眼目である。
そして、そんなくるくるくると眼が廻る様な錯乱状態を演出し、自らがその身をもって体感出来るのが、各地のディズニー・ランド (Disney Land) にあるマッド・ティーパーティー (Mad Tea Party) というアトラクションなのである。
ところで、拙稿で問題としたいのは、「お誕生日おめでとう (Happy Birthday To You)」と「なんでもない日おめでとう (Merry Unbirthday To You)」との関係性について、である。
一見、その両方を並べてみて、己自身に最も都合の良い解釈を試みると、一年365日のなかでたった1日しかないお誕生日もお目出度い上に、それ以外の遺った364日もお目出度いのである。こんなにお目出度い事はないだろうか、と、とってもお目出度い考えに至ってしまう。
勿論、4年に一度訪れる閏年 (Leap year) だって、おんなじだ。2月29日 (Feb. 29) が加わっても、一年366日のなかでたった1日しかないお誕生日もお目出度い上に、それ以外の遺った365日もお目出度いのである。こんなにお目出度い事はないだろうか、と、いう案配なのだ。
だけれども、お目出度いという言葉は、あるモノを寿ぐ言葉であると同時に、あるモノの至らなさを指摘する言葉であるだけに、よおく考えれば、上の思考の論理はどこかで破綻しているのである。
だからこその、お目出度さなのさ、とこの歌を唄うシーンに登場した気違い帽子屋 / マッドハッター (The Mad Hatter) と三月兎 / マーチ・ヘアー (The March Hare)とヤマネ / ドーマウス (The Dormouse) と白兎 (The White Rabbit) は、囁くのかもしれない。
でも、アリス (Alice)の末裔であるかもしれないぼく達は、ここでちょっと立ち止って考えてみてもいいと想う。
お茶は冷めてしまうかもしれないけれども、新しくて暖かい美味しいお茶は、ここに居る限り、いつまでも保障されているのだ。
物語の先へと急がなくてもいいだろう。
行うべきは、論理学 (Logic) の初歩の初歩である。
「お誕生日おめでとう (Happy Birthday To You)」は、論理学的には、次の様に言い換える事が出来る。
「お誕生日 (Birthday)」ならば「おめでとう (Happy)」:これを命題 (Proposition) Xとする。
それと同様に、「なんでもない日おめでとう (Merry Unbirthday To You)」は、次の様に言い換える事が出来る。
「なんでもない日 (Unbirthday))」ならば「おめでとう (Happy)」
但し、ここで言う「なんでもない日」とは「お誕生日でない日」なので[英文ならばどちらも同じ"Unbirhtday"]、さらに次の様に言い換える事が出来る。
「お誕生日でない日 (Unbirthday)」ならば「おめでとう (Happy)」:これを命題 (Proposition) Yとする。
ここまでは大丈夫かな?
さて、ここでふたつの命題 (Proposition) の対偶 (Contraposition) を顕わしてみよう。
だが、その前に軽くお浚いだ。
対偶 (Contraposition) とは、「AならばB」という命題 (Proposition) がある場合、「BならばA」を逆 (Converse)、「AでないならばBでない」を裏 (Inverse) と謂い、「BでないならばAでない」と謂う事である。
例にして説明しよう。
「アリスならば少女である (If she is Alice, she is a girl.)」という命題 (Proposition) を考える場合、「少女ならばアリスである (If she is a girl, she is Alice)」は逆 (Converse)、「アリスでなければ少女でない (If She is not Alice, she is not a girl.)」は裏 (Inverse)、「少女でないならばアリスでない(If she is not a girl, she is not Alice.)」を対偶 (Contraposition) と謂うのである。
ここで解った様で解らなくなるのだけれども、大丈夫かな?
ある命題 (Proposition) がひとつあって、その逆 (Converse) とか裏 (Inverse) とか対偶 (Contraposition) が云々と考えるとややこしくなるのだけれども、大事な事はひとつ。そして、そのひとつだけを憶えていればいい。
ある命題 (Proposition) が真であればその対偶 (Contraposition) も真であり、ある命題 (Proposition) が偽ならばその対偶 (Contraposition) も偽なのである。しかもその上に、ある命題 (Proposition) の対偶 (Contraposition) が真であるならば、その命題 (Proposition) 自体も真であり、ある命題 (Proposition) の対偶 (Contraposition) が偽であるならば、その命題 (Proposition) 自体も偽なのである。
と、こおゆうふうに文章にしてしまうと、煙に巻かれる様な気がするかもしれないけれども、上に挙げた「アリスならば少女である (If she is Alice, she is a girl.)」という命題 (Proposition) と、その対偶 (Contraposition) である「少女でないならばアリスでない (If she is not a girl, she is not Alice.)」を参照してもらえばいいと想う。そして、後は得心が行くまで、様々な具体的な事例を考え続けて行く他ない。
ただ、大事な点は、命題 (Proposition) の真偽の判断に躊躇してしまうのならば、その命題 (Proposition) の対偶 (Contraposition) をつくってその真偽を検証すればいい、という事なのである。
では問題のふたつの命題 (Proposition)、即ち命題 (Proposition) X:「お誕生日 (Birthday)」ならば「おめでとう (Happy)」と、命題 (Proposition) Y:「お誕生日でない日 (Unbirthday)」ならば「おめでとう (Happy)」に、戻ってみよう。
ここで、それぞれの対偶 (Contraposition) をつくってみるのである。
命題 (Proposition) X:「お誕生日 (Birthday)」ならば「おめでとう (Happy)」の対偶 (Contraposition) Xは次の様になる。
「おめでたくない (Not happy)」ならば「お誕生日でない日 (Unbirthday)」:対偶 (Contraposition) X
命題 (Proposition) Y:「お誕生日でない日 (Unbirthday)」ならば「おめでとう (Happy)」の対偶 (Contraposition) Yは次の様になる。
「おめでたくない (No Happy)」ならば「お誕生日でない日でない日 No Unbirthday」
「お誕生日でない日でない日 (No Unbirthday)」とは、二重否定 (Double Negative) は相互に打ち消し合うので、つまりは「お誕生日 (Birthday)」の事である。つまり次の様に、対偶 (Contraposition) Yとして言い換える事が出来る。
「おめでたくない (Not Happy)」ならば「お誕生日 (Birthday)」:対偶 (Contraposition) Y
さぁて、いよいよ、核心に触れて来つつある。ここまでは大丈夫かな?
ここでふたつの命題 (Proposition) とふたつの対偶 (Contraposition) が出来た訳である。ここでそのよっつの文章、即ち命題 (Proposition) Xと命題 (Proposition) Y、対偶 (Contraposition) Xと対偶 (Contraposition) Yを観比べてみよう。
命題 (Proposition) X:「お誕生日 (Birthday)」ならば「おめでとう (Happy)」
命題 (Proposition) Y:「お誕生日でない日 (Unbirthday)」ならば「おめでとう (Happy)」
対偶 (Contraposition) X:「おめでたくない (Not Happy)」ならば「お誕生日でない日 (Unbirthday)」
対偶 (Contraposition) Y:「おめでたくない (Not Happy)」ならば「お誕生日 (Birthday)」
そして、このよっつの文章を、対偶 (Contraposition) Yと命題 (Proposition) X [これを組合せ (1) とする]、と、対偶 (Contraposition) Xと命題 (Proposition) Y [これを組合せ (2) とする]とで組み合わせ、対比させてみる。
組合せ (1):
対偶 (Contraposition) Y:「おめでたくない (Not Happy)」ならば「お誕生日 (Birthday)」
命題 (Proposition) X:「お誕生日 (Birthday)」ならば「おめでとう (Happy)」
組合せ (1) では、「お誕生日 (Birthday)」ということばを軸に、「おめでたくない (Not Happy)」と「おめでとう (Happy)」という相反する概念が併存している。
組合せ (2):
対偶 (Contraposition) X:「おめでたくない (Not Happy)」ならば「お誕生日でない日 (Unbirthday)」
命題 (Proposition) Y:「お誕生日でない日 (Unbirthday)」ならば「おめでとう (Happy)」
組合せ (2) では、「お誕生日でない日 (Unbirthday)」ということばを軸に、「おめでたくない (Not Happy)」と「おめでとう (Happy)」という相反する概念が併存している。
組合せ (1) と組合せ (2) は、図式化した表現をすれば、『「AでないならばB」であるならば「BならばA」』と還元出来ると思う。果たして、この様な論理が成立するのであろうか?
そして同時に、はじめの方でお浚いした対偶 (Contraposition) についての知識を、ここでまた反芻してみよう。
ここから先、この論理の検証した後に、ふたつの組合せの共存関係を推察してみれば、恐らく、ふたつの命題 (Proposition) の関係性が明らかになると想う。
だが、残念ながら紙幅はここでとうに尽きているのだ。
ここから先は、各自の宿題として、個々人で検証して頂ければと思う。

なので掲載画像は、アニー・リーボヴィッツ (Annie Leibovitz) 撮影による、あんまりお目出度くなさそうな風情が濃厚な『気違いお茶会 (A Mad Tea-Party)』[画面左より:アリス (Alice):ナタリア・ヴォディアノヴァ (Natalia Vodianova)、気違い帽子屋 / マッドハッター (The Mad Hatter):スティーブン・ジョーンズ (Stephen Jones)、三月兎 / マーチ・ヘアー (The March Hare):クリスチャン・ラクロア (Christian Lacroix Haute Couture):アリス・イン・ヴォーグ (Alice In Wonderland On Vogue) より]。
次回は「う」。
附記 1. :
例えば『生年月日 [誕生日] データベース (Famous Birthdays / Celebrity Birthdays)』でも観てもらえば解ると思うけれども、365日 [ないしは366日] 誰かしらの誕生日 (Birthday) なのである。だから一見、「なんでもない日 (Unbirthday)」と思える日も、実はだれかの「お誕生日 (Birthday)」なのである。
普通の考え方をすれば、だれかの「お誕生日 (Birthday)」をお祝いする歌を唄えばいいところを、あえて己自身にとっての「なんでもない日 (Unbirthday)」を寿ぐ。
あくまでも自分中心の、己本位の、発想なのである。
附記 2. :
だから、ザ・ビートルズ (The Beatles) の『バースディ (Birthday)』[『ザ・ビートルズ (The Beatles)
附記 3. :
ちなみに「なんでもない日 (Unbirthday)」は、原作であるところの『不思議の国のアリス (Alice's Adventures In Wonderland)』(ルイス・キャロル (Lewis Carroll) 作 1865年発表] には登場しない。
その続篇である『鏡の国のアリス (Through The Looking-Glass, And What Alice Found There)』(ルイス・キャロル (Lewis Carroll) 作 1871年発表] の第6章『ハンプティ・ダンプティ (Humpty Dumpty)』で語られるのである。
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