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2012.10.29.16.25

これもまた悪い夢の続き 48.

こんな夢をみた。

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from the still for the movie "Eat" directed by Andy Warhol

M氏は、ぼくの向かって左、同じテーブルに座っている。大きな宴席の外れにあって、M氏の席は、壁際にある。ぼくの背中の方からは、時折、おおきなざわめきや拍手が聴こえる。きっと、その宴の主賓を中央に据えて、セレモニーかなにかが執り行われているのだろう。だけれども、単純に数合わせの為だけに、そのテーブルを占拠しているぼく達にとっては、どうでもいい事なのだ。

まるで定期巡回の様に、顕われる給仕達に、ぼくは毎回、違う呑みモノをオーダーしている。しかし、酒の呑めないM氏はそういうわけにはいかない。なんでも、数年前に躯をこわし、胃腸の大半を切開したり削除したりしたらしい。そんな理由で、ぼく達よりも遥かにゆっくりと、そして、丁寧に、目の前に置かれたモノだけに立ち向かっているのである。

だから、本来ならば、ぼくが眼を向けるべきは背後にあるのに、それを一顧だにせず、M氏の喰いっぷりを凝視めているとしても、誰に責められようか。ただの中年男の緩慢な食事風景に過ぎないそれは、まるで、一群のあのウォーホルの実験映画の様に、感動的に観えて来る、そんな刹那もないわけではないのだから。

不器用に、皿の上で格闘した後に、フォークに刺された肉片は、ようやくに彼の口許に運ばれる。本来ならば、それはそのまま彼の口腔内に収まるだろう。しかし、その実際は、しばらくの間、その手前で留まったままにある。

観ているこちらはじれったくなるが、それ以上に、待ちきれないのは、彼自身なのだ。
観たまえ。彼の口よりも先に、彼の頬の方が、蠢き出すのを。

頬の中央部が一端、収縮する。そして、その反動を利用して、幾筋かの触手が放たれる。

その次の瞬間には、頬の中央部に開いた、口よりもおおきな暗腔の中に、フォークの先がすっぽりと吸い込まれてしまうのだ。

そんな風にして、彼は先程来から、宴席の卓上を愉しんでいるのである。

彼の食事風景を初めて観るきみには、次第に、M氏の原型が喪われつつある事を不安に思うのかもしれない。
なぁに。心配はご無用だ。
彼の意識は、しっかりしているのだ。その外観に囚われない方がいい。

それよりも、かたちこそかわらないものの、呑み過ぎたあげくに泥酔し、くだを巻き始めるぼくの介抱をよろしく頼む。
恐らく、宴が終わる頃には、ひとりで歩くのも、難儀な筈なのだ。

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the poster from the movie "The Thing" directed by John Carpenter
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