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2012.06.29.17.38

これもまた悪い夢の続き 44.

こんな夢をみた。

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"Get Off Of My Cloud" from the album "Big Hits (High Tide And Green Grass)" by The Rolling Stones


その夢の中では、ぼくは中学生である様だ。
現実の世界での、中学生時代の家族構成とは異なっていて、ぼくは母と二人暮らしである。
その一方、現実の世界での当時は、4階建ての市営団地の3階に棲んでいて、それはそのまま夢の中でも踏襲されている様だ。

二人暮らしとは書いたモノの、母を訪なう奇妙なヒトビトが多く、中には、母の留守であろうとお構いなく勝手気侭に上がり込むモノがいたり、何日も連泊するモノがいる。
だから、やたらと騒がしい日々を暮している。

ぼく自身はと言えば、二人暮らしの市営団地のふたつしかない部屋の一方を自室として宛てがわれているから、そこを侵犯されない限り、母とその奇妙なヒトビトの好き放題にさせている。
所詮は中学生だから、親に意見しようとも要領の得ない答しかかえってくる筈もなく、それ以前にこちらは所謂反抗期のまっただ中にいる訳だから、自身の自由気侭だけを護るのに精一杯なのである。

ある日の事である。
その日、ぼくは季節外れの風邪をひいて学校を休み、一日中、布団のなかにいる。
母はいつもの様に、朝の9時過ぎからパートに出かける。

熱が出ているせいか、普段よりも、周囲の状況に敏感な様だ。
ここから地上までかなりある筈なのに、外部の物音が、普段よりも随分と大きく響く。
それでも、熱のせいか、朝方に呑んだ薬のせいか、うつらうつらとして、意識がはっきりしない。

どのくらい時間が経過したのか、家の外が随分と騒がしい。しかもその騒がしさは、窓の外からではなくて、玄関の向こうからの様である。無愛想な市営団地の金属製の扉の向こうで、なにかが騒々しく響いているのだ。

扉を叩く音がする。そして、家人の名前を呼ぶ声がする。
でも、その家人の名はぼく達母子の名ではなくて、全くの別人のものだ。
間違えているのだろう、表札をちゃんと観ればいいのに。
そう想い、こちらは半病人のつもりだから、当然の如くに居留守を使うつもりでいる。
しかし、鍵がかけられている筈の扉が、開いてしまう。

玄関からナニモノかが覗き込んで、再び、間違っている家人の名前を呼ぶ。中年すぎの女性の声だ。
このまま抛っておくと、上がり込んでしまうかもしれないと想い、しぶしぶ起き上がって、玄関へと向かう。

そこにいるのは、牛乳の販売人だ。
「うちでは誰もとってないよ。それに、うちはそんな名前ぢゃあないし」
そう言うと、向こうは妙な事を口走る。
「そちらに毎日、ご住職がいらっしゃるでしょう、その方の注文よ」
そう言って、牛乳を2本取り出す。
「毎日、2本。健康的ね」

ご住職とは、冒頭に書いた奇妙なヒトビトの中のひとりだ。
観た目は剃髪で袈裟懸けだから、仏門に下っているのだろう。だが、ご住職とはいうものの、通り名でそうなってはいるものの、どこの寺のモノかは判然としない。

「ぢゃあ、預かればいいのかな」
「えぇ、代金と引き換えに」
「立て替えは出来ないよ、今、誰もいないんだ」
「でも、頂くことになっているの」

そんな要領の得ない押し問答をしながら、ふと、外を観ると、大勢のヒトビトが狭い階段に列をなしている。いや、それ以上にヘンなのは、外が無闇に明るいという事だ。4階建ての3階に、ここはある筈なのに、頭上には蒼空が広がっている。いつのまにか、最上階になっていて、しかも吹抜けの青天井だ。

これは夢だからそれぐらいの事はありえるのだろうけれども、それよりもそんな光景に吃驚いている閑もない。牛乳売りとの奇妙な押し問答はまだまだ続く。

「だって、だれもいない留守の場合は、持ち帰るんでしょう。そういう事にしてよ」
「留守の場合は、わたしが呑まなければならない。代金はわたし持ちになってしまう。あなた、おうちのひとでしょう?」

そんな不毛なやりとりがどのくらい交わされているのだろうか。さっきからふたりの女性の矮人がぼく達の足許に来ていて、会話に加わりたそうな素振りを見せている。
そのふたりが顕われたばかりの時に、この牛乳屋さんの用事が済んでからね、ってことわりをいれてはあるのだが。

不毛な会話が消耗的な会話になりかわりつつある頃に、ついと、クラスメートのN子が顕われる。体操着のままで、顔は十人並みだが胸は平均点を遥かに越えている。
そうして、こんな事を言う。
「わたしの家の鍵を貸して、朝からみつからない」

現実の世界の当時には、確かにクラスメートの中にN子という少女がいて、顔は十人並みだが胸は平均点を遥かに越えている。しかも、運動部でもないくせに体操着で過している時間の方が多い。

そんなN子がこの夢の中では、どおゆう設定だか解らないのだけれども、ぼくは彼女の自宅の鍵を所有しているらしい。至極当然の様に次のことばを放つ。

「おれの机の上にキーホルダーがある筈だ、それについている」
そうして大雑把な部屋割りを伝えて、「おれの机」の場所を口頭で指示して、N子を室内に迎え入れる。

だが、それが失敗だ。

ぼく達の不意をついて、ふたりの矮人のおんなが勝手に上がり込んでしまう。
もう、これ以上の珍客の闖入はお断りだと、扉をおおきな音を立てて閉め、ふたりの闖入者の排除へと向かう。

ひとりはすぐにみつかる。キッチンで一生懸命に背を伸ばして掌を洗っている。そのおんなの襟首をひつかんで、引き摺る様にして、もうひとりを捜す。

ひとりは母の鏡台から剃刀を取り出して、弄んでいる。そいつも先程のおんなと同様にしてやろうと、肩の辺りを掴む。
そして、こちらの許に引き寄せようとちからを入れたら、おおきな音を立てて、そのおんなは仰向けになって倒れる。

ひんむかれた両眼と口から溢れかえっている泡で、総てが解る。
死んでいるのだ。

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"You Never Give Me Your Money" from the album "Abbey Road" by The Beatles
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