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2011.09.27.18.11

うぉんてっど

「だから二郎さん、あのね。軽いのがケイちゃんで身のある方がミーちゃんだって、さっきから言っているでしょ!?」

と、いうのは欽ちゃんこと萩本欽一 (Kinichi Hagimoto) が、コント55号 の相方、二郎さんこと坂上次郎 (Jiro Sakagami) に向かって放った台詞である。初対面で初共演となるピンク・レディー (Pink Lady) のふたりを混同し、いつまでたってもふたりを差別化出来ない二郎さんに、先程から欽ちゃんはいらついていたのであった [と、いうかそおゆう設定のネタなのではあるが]。
勿論、そういう欽ちゃんは、ピンク・レディー (Pink Lady) がデヴューする前からの旧知の間柄である。自身が司会を勤める『スター誕生 (Star Tanjoh!)』 [日本テレビ (NTV)系列 19711983年放送 萩本欽一 (Kinichi Hagimoto) 番組当初から1980年まで担当] に未来のアイドルとしてのオーディションを受け、見事に芸能界デヴューを果たしたその一組が、彼女達なのだ。知らないわけがなく、ふたりのちがいを見分けられないわけがなく、無論、ファンだから知っている訳でも司会業の職業意識から知っている訳でもなく、むしろ、それよりも、芸能界での親代わり的な心情なのかもしれないし、所謂欽ちゃんファミリーの一員という意識すらあったのかもしれない。

ところで、このシーン、はたしてどの番組で観たのだろうか、その辺りの記憶がすっぽりと抜け落ちている。ピンク・レディー (Pink Lady) 全盛期の当時、既にコント55号 は有名無実化していて、それぞれがそれぞれの途を歩んでいた筈なのだ。第一に、欽ちゃんとピンク・レディー (Pink Lady) の出逢いの場となった『スター誕生 (Star Tanjoh!)』 [日本テレビ (NTV)系列 19711983年放送 萩本欽一 (Kinichi Hagimoto) 番組当初から1980年まで担当] 自体が、その独自路線の一方の途だったのだし、二郎さんは二郎さんで渋い演技の出来る名傍役としての地位を確立し始めていた頃の出来事だ。
そんなふたりが同時にレギュラーとして出演しているのは『ぴったし カン・カン』 [TBS系列 19751986年放送 コント55号の二人は番組当初から1984年までレギュラー出演] ぐらいの記憶しかないのだけれども、それに彼女達が出演したのだろうか。だとしたら、ゲスト回答者だとしたらその回は、ピンク・レディー (Pink Lady) のふたりとおひょいこと藤村俊二 (Shunji Fujimura) の組合せになってしまう訳だから、どう考えてもこのスリー・ショットはあり得ない。と、なると、ゲスト出題者のコーナーである「お待たせ致しました、ぴったしカンカン恒例一枚の写真」なのだろうか。
どなたか、ご記憶の確かな方がいらっしゃったのならば、ご一報願います [今回はそんなうろ覚えの不確かな記憶に基づくものが多いので、虚偽や間違いや誤解があればその都度ご指摘願います、またより確かなより正確な情報のご提供もお待ちしております]。

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さて、そのピンク・レディー (Pink Lady) の『ウォンテッド [指名手配] (Wanted [Shimei Tehai])』である。
データ的な事を書き並べると、1977年9月5日発売。彼女達にとっての5枚目のシングルである。シングル発売時は、前作『渚のシンドバッド (Nagisa No Sindbad)』 [1977年3月10日発売] がまだオリコン・チャートNo. 1にある時で、その曲と入れ替わる形でNo. 1となる。そして、そのまま12週間に渡ってその地位を独占し続けるのだ。

サザン・オールスターズ (Southern All Stars) のデヴュー曲『勝手にシンドバッド』 [1978年6月25日発売] の曲名に刻み付けられている様に、前年の二大ヒットの一方の雄が『渚のシンドバッド (Nagisa No Sindbad)』 [1977年3月10日発売] [もう一方は沢田研二 (Kenji Sawada) の『勝手にしやがれ』 [1977年5月21日] である]。
その大ヒットを受けて、ピンク・レディー (Pink Lady) の人気を不動のものにしたのがこの曲なのである。
その『ウォンテッド [指名手配] (Wanted [Shimei Tehai])]』 [1977年9月5日発売] に続いて発表されたのが『UFO (UFO)』 [1977年12月5日発売] であり、オリコン・チャートNo. 1を10週連続で獲得し、この曲でもってその年の第20回日本レコード大賞 (The 20th Japan Record Award) を受賞してしまうのである。
彼女達の全盛期の真っ最中の出来事で、その当時の彼女達がどんなところにいたのかというと、まるでレギュラーであるかの様に毎週登場していた『ザ・ベストテン』 [TBS系列 19781989年放送 初代司会陣の久米弘 (Hiroshi Kume) は1985年まで、黒柳徹子 (Tetsuko Kuroyanagi) は番組当初から番組終了時まで担当] であるのにも関わらずに、当時の司会陣である久米弘 (Hiroshi Kume) =黒柳徹子 (Tetsuko Kuroyanagi) の顔すら憶えていられなかったという多忙さなのである。

と、いうのが今回のテーマであるところの『ウォンテッド [指名手配] (Wanted [Shimei Tehai])』なのだけれども、彼女達の歴史の中でのポジショニングを観てみると、これまでの流れを継承しているものと、これまでにはない新しい方針の打ち出しと、その両方を観てとれる。

先ず前者から観ると、曲の中で描写される人物が恋人であったり恋愛対象であるという事だ。この路線は、前作で定まり、彼女達の全盛期のシングル・ナンバーは総てこの設定が活かされている。
デヴュー曲『ペッパー警部 (Pepper Keibu)』[1976年8月25日発売] は、己の恋路を邪魔する人物に向けて唄われて次作『S・O・S (S.O.S.)』 [197611月25日発売] は、デヴュー曲へのアンサー・ソングとも言える真逆な立場で恋する女性へ向けて唄われる。
そして、三作目が『カルメン'77 (Carmen '77)』 [19773月10日発売] で、自己言及の歌。彼女達のプレ・モデルとも言える山本リンダ (Linda Yamamoto) はこの傾向が多いが、ピンク・レディー (Pink Lady) としては珍しいタイプとなる [ここだけ観ても、阿久悠 (Yu Aku) を始めとする彼女達を売り出したスタッフ陣の思惑の違いが観てとれる]。
次いでだけれども、しかも肝心の発言者は定かではないのだけれども、ピンク・レディー (Pink Lady) の解散時だかに次の様な指摘があった事を記しておく。
「彼女達の歌にはいつも具体的な人物が登場していた。それがシンドバッド (Sindibaad) だったり宇宙人だったり背番号1 (Squad Number One) だったりしていたが、『透明人間 (Tomei Ningen)』 [1978年9月5日発売] で観えなくなって次の『カメレオン・アーミー (Chameleon Army)』 [197812月5日年発売] で遂には不特定多数な集団となった。そして彼女達の人気にも翳りがでてきた」

と、なると『ウォンテッド [指名手配] (Wanted [Shimei Tehai])]』 [1977年9月5日発売] の想定している指名手配者は誰なのかというと、最初に憶い出すのはルパン三世 (Lupin The Third) だ。しかも、歌詞の「空っぽよ 心は うつろよ 何もないわ / ある日あなたが 盗んだのよ」にそのまんま反映されたかの様な銭形幸一警部 (Inspector Koichi Zenigata) の名台詞「いや、奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です (No, ma'am. He stole something of no small value... your heart.)」までもある。
しかし、この発言が登場する映画『カリオストロの城 (The Castle Of Cagliostro) [宮崎駿 (Hayao Miyazaki) 監督作品] は1979年の公開。順番が逆だ。
もしかすると、The Castle Of Cagliostro) [宮崎駿 (Hayao Miyazaki) 監督の脳裏には『ウォンテッド [指名手配] (Wanted [Shimei Tehai])』が鳴り響いていたのだろうか?

そんな憶測はさておき [笑]。

そして後者の新機軸なのだが、これが冒頭の「軽いのがケイちゃんで身のある方がミーちゃん」というふたりの差別化を徹底させる事なのである。ふたりのコスチュームも黒と白とで対照的にし、それぞれに極端にデフォルメさせた発声をさせる。
初めてこの曲を観た / 聴いた時には、あまりの冒険に次ぐ冒険ばかりが目立って、
あぁ、やっぱり彼女達は一発屋的に終わるのねと思っていたら、それが真逆の大ヒットになってぼくは狼狽えてしまったのであった。
多分、この曲によって、彼女達のファン層が恐ろしく広がったのであろう。しかも、それは低年齢層の方へだ。

ただ、この曲の様なふたりのキャラクターの違いをコントラスト的に観せる手法は、この後、継承されない。むしろ、『サウスポー (Southpaw)』 [19783月25日年発売] のオープニング部での、投球フォームの分解写真を再現したかの様な、ふたりの微妙な差異を魅せる演出に比重が移って行く。

それは何故か。

恐らくそれは、女性デュオという形態が自然に要求したものだろうと思うのだ。
三声とか四声、それ以上ならば、主と従もあれば対比も産まれる。だが、二声ならば、メロディ上メインとサヴはあるのかもしれないけれども、極端な差異を演出するのは難しいのに違いない。それぞれが、もしくは、いずれか一方が楽器を携えたりしない限り。
だから、本来ならば異なるものに全く同一の行動をさせて、その中に微妙な違いを演出する、そんな方向性にどうしてもなってしまうのではないだろうか。
ザ・ピーナッツ (The Peanuts) に代表される様な双子のデュオが多いのも、そうなのかもしれない。もっとも、その場合は上記と逆のベクトルで、全く同一と思えるものにあえて微妙な差異、例えば三度のハーモニーを与えて際立たせるという演出になると思うのだけれども。
それにファンの立場から見れば、己達だけがその差異を見分けられるんだといえる様な自負も得られるのだ。

当時の関係者の証言で、しかも発言者も出典も定かではないのだけれども、こんなものを記憶している。
「ミーとケイは性格が全然逆で、例えば、新しい振り付けを憶える際にも、ミーは全体像を掴んでから憶えようとするのに対し、ケイは手先や脚先の細かい動きから憶えようとする」
事の真偽は定かではないのだけれども、この発言を踏まえて彼女達のパフォーマンスを観ると、妙に得心がいくから不思議だ。確かに、同じ振り付けなのに、違う。ふたりの動きがあうあわないではなくて、違う動きに思えてくるのだ。

だから、この記事を書く数週間前に『ほぼ日刊イトイ新聞』で連載されていた、ケイこと増田恵子 (Keiko Masuda) と糸井重里 (Shigesato Itoi) の対談『最後まで、ピンク・レディー。』を読みながら、いぶかしんだり納得したりと行きつ戻りつをしていたのだ。
つまり、何故、ピンク・レディー (Pink Lady) と言いながら、片一方の増田恵子 (Keiko Masuda) のみとの対談なのだろうか、と。
ある番組でふたりの対談があってその後に実現した連載、という前提条件はあるものの、それはそのままミーこと未唯mie (Mie) の不在を正当化させるものではない。
だが読み進めるに従って、ミーとケイふたりと糸井重里 (Shigesato Itoi) との対談だったならば出て来ないだろうなと思える様な発言が多数見出す事が出来るのだ。
ただ、それは未唯の不在がなければ発言出来ない様な、差し障りがある様な極私的なもの、でもない。糸井重里 (Shigesato Itoi) の発言の中に「明治の男としゃべってるみたい」[第9回 明治の男としゃべってるみたい。] という表現が飛び出して来るが、それは恐らく未唯mie (Mie) も同じだろう。ただ、そこへと至る思考の筋道はきっと違うのに違いないのだ。
もしも、糸井重里 (Shigesato Itoi) が未唯mie (Mie) との対談を行ったのならば、ピンク・レディー (Pink Lady) の現在とそれへの想いを語るその言葉は同じかもしれないけれども、全く異なった表情を観せるものになるのではないだろうか。

なんの確信もないし単なる空想の域でしかないから、最期にどさくさまぎれに書いとくと、ピンク・レディー (Pink Lady) のあり方って、女性デュオというよりも男性デュオのあり方に近いのではないだろうか、そんな気がする。
少なくともザ・ピーナッツ (The Peanuts) や同時代に覇を競ったキャンディーズ (Candies) よりは、KinKi Kids (Kinki Kids) やケミストリー (Chemistry) の方にちかいんぢゃあないのかなぁ。それともダウンタウン (Downtown) やウッチャンナンチャン の様な芸人コンビの方なのか。

次回は「」。

附記:
かつてのW [ダブルユー] (W [Double You Double U]) のふたり、辻希美 (Nozomi Tsuji) と 加護亜依 (Ai Kago) の明暗を隔てるもののに、不条理とか無常観を抱くヒトビトも多いかと思う。また、短期ユニットで潰えたごまっとう (Gomatto) で火花を散らせていた三人 [唄っているときライバル意識剥き出しで怖かった]、後藤真希 (Maki Goto)、松浦亜弥 (Aya Matsuura)、藤本美貴 (Miki Fujimoto) の三者三様の今を観ても、同じ様な感慨を得てしまうかもしれない。
初代リーダーの中澤裕子 (Yuko Nakazawa) の現在の立ち位置はある意味でお約束な順風満帆なものと言えるものかもしれないが、かつてつんく♂ (Tsunku) にマザー・シップと讃えられた安倍なつみ (Natsumi Abe) には、いまのそこに甘んじていていいのかとも想う。
それ以前に母体としてのモーニング娘。 (Morning Musume。) のポジショニング自体が微妙なのか。
ぼくは彼女達のファンでもなんでもないので、モーニング娘。 (Morning Musume。) やそこから派生したいくつかのプロジェクトやユニットや個々のメンバーの栄枯盛衰物語を、誰かがきちんと執筆したら面白いんだろうなと思う。オーデションを受けておちた娘。になれなかった少女達のその後も含めてね。
取材方法と執筆のスタンスによっては、ケネス・アンガー (Kenneth Anger) の『ハリウッド・バビロン (Hollywood Babylon)』の様なスリリングなものが出て来てしかるべきものと思うのだけれども。
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