FC2ブログ

2011.09.18.19.02

『ヨーロッパのオーティス・レディング (LIVE IN EUROPE)』 by オーティス・レディング (OTIS REDDING)

images
アルバム冒頭から最高潮なのである。オーティス・レディング (Otis Redding) 登場前の、彼を呼び込むMCからヒート・アップしていて、主役を呼び込むコール・アンド・レスポンスの時点で既に、クライマックスに達している。
O-T-I-S-R-E-D-D-I-N-G、この11文字を発っしているあいだの待ちきれなさとまどろっこしさと絶頂に次ぐ絶頂は、もしかしたらジェームス・ブラウン (James Brown) のマント・ショー (It's A Man's Man's World) に匹敵するかもしれない。
だから、この一瞬でぶつりと音源がぶち切れたらどうなるのだろう。悶絶死を遂げるかもしれない。
しかし、それと同時に、瞬間の美しさを永遠に遺したものとして、類稀なる記録として称賛されてしまうのかもしれない。

アルバム冒頭からこんなに凄まじいのは当然で、この作品は、1967年に行われたスタックス/ヴォルト・レヴュー (HIt The Road Stax aka Stax / Volt Revue) のごく一部の記録だからだ。
オーティス・レディング (Otis Redding) 始めエディ・フロイド (Eddie Floyd)、カーラ・トーマス (Carla Thomas)、サム & デイヴ (Sam & Dave)、アーサー・コンレイ (Arthur Conley)、マーキーズ (The Mar-Keys) そしてブッカー・T & ザ・MG's (Booker T. & the M.G.'s) らの参加による、彼らの所属レーベル、スタックス/ヴォルト (Stax / Volt) によるパッケージ・レヴューであり、オーティス・レディング (Otis Redding) はそのトリを勤めた。
勿論、バック演奏の殆どは同レーベルのハウス・レコーディング・バンドであるブッカー・T & ザ・MG's (Booker T. & the M.G.'s) が手掛ける。彼ら自身の演奏だけでも、グルーヴィーでエキサイトメントな上に、上記のスター・シンガー達が唄うのだ。
盛り上がらない訳はない。
その盛り上がりまくった絶頂の瞬間に、真の主役オーティス・レディング (Otis Redding) が登場するのだ。この作品の冒頭の凄まじさというものを、誰しもが納得せざるを得ないに違いない。

だから、この作品を聴く側も相当、覚悟して [!?] 望まないと、その熱気に打ち負かされてしまったり、疲労困憊してしまいかねないのだ。
ぼくは時々、この作品を聴く前に、このツアーの模様を分散してある三枚のライヴ・コンピレーション [『スタックス / ヴォルト・レヴューVol. 1?ライヴ・イン・ロンドン (Stax-Volt Revue Live in London 1)』『同 Vol. 2~ライヴ・イン・パリ (Stax-Volt Revue Live in Paris 2)』『同Vol. 3~ライヴ・イン・ヨーロッパ (Stax-Volt Live in Europe 3: London to Paris)』とある] を聴く事もあるのだ。そうやってモチヴェーションをあげてのぞむと丁度よい [しかし、場合によってはその肩ならしのつもりの時点で、圧倒されてしまったりもしてしまうのだけれども]。

ところで、このオーティス・レディング (Otis Redding) というアーティストを知るきっかけは、なんだったのだろう。彼を紹介したのは誰なのだろうか。
殆どの多くの方々はRCサクセション (RC Succession)~忌野清志郎 (Kiyoshiro Imawano) を通じて辿り着いたのではないだろうか。それともブルース・ブラザース (The Blues Brothers) なのだろうか。
RCサクセション (RC Succession)~忌野清志郎 (Kiyoshiro Imawano) のライヴ・パフォーマンスでの「ガッタガッタガッタ」や「愛しあっているかい」の連呼からそのオリジンであるオーティス・レディング (Otis Redding) に導かれたのかもしれない。その後にCM曲としても起用され映画『ブルース・ブラザース (The Blues Brothers)』 [ジョン・ランディス (John Landis) 監督作品 1980年発表] にも勿論登場する『お前をはなさない (Can't Turn You Loose)』が、オーティス・レディング (Otis Redding) の代表曲であると知ったからかもしれない。

だが、ブルース・ブラザース (The Blues Brothers) が誕生する以前、そしてRCサクセション (RC Succession)~忌野清志郎 (Kiyoshiro Imawano) が不遇をかこっていた頃は、オーティス・レディング (Otis Redding) というアーティストは、たった一曲のヒット曲でのみ、一般的な音楽ファンに知られていた。
ドック・オブ・ザ・ベイ ([Sittin' On] The Dock Of The Bay)』である。

1967年12月、6日7日の2日間でレコーディングが完了。しかしその3日後の12月10日、オーティス・レディング (Otis Redding) と彼のバンド、スタッフを乗せた自家用飛行機が墜落。オーティス・レディング (Otis Redding) を含めて4人が死亡した。
遺された音源は、翌年1月に発表されて、三ヶ月後の3月16日にビルボード誌ホット100 1位 (Billboard Hot 100 No.1) を記録する。

この不幸なエピソードと、唄われているメロディの沈み込む深さは、誰のこころにも訴えかける様で、ぼく達の少年時代、ラジオのリクエスト番組では良くエアプレイされていたと思う。
歌詞にある喪失感や失望感、虚無感や徒労感が聴くモノのこころに響く様で、リクエストするモノも、失恋や落第や浪人や失職を語る己のエピソードとともにリクエストしていた様な記憶がある。

でも、この曲に唄われているのは喪失感や失望感、虚無感や徒労感だけではなくて、むしろその逆の灯火や薄明の様なものも感じ取れるのだ。
歌の主人公のこころの底にあるタフネスを、何故だか見出してしまう。
傷心のリクエスト者も、もしかしたらそのところに感じ入っていたのかもしれない。

それがなんなのかは巧く説明出来ないし、説明しようとすればする程、まどろっこしく、また説教臭い台詞が無尽蔵に放り出されてしまう様な気がしてならない。むしろ、語るべきはその説教臭さとは逆の、本能的なモノ生物学的なモノなのかもしれないのに。

だから、とりあえずのとりつくろいで次の様に書き記しておく。
この曲を知った数年後に出逢う事になるレゲエ (Reggae) の幾つかの楽曲と相通じているのだ、と。
その曲の中で吐かれる悲惨な状況、過酷な心象、無惨な現象が、レゲエのリズムで紡ぎ出されているその瞬間が、『ドック・オブ・ザ・ベイ ([Sittin' On] The Dock Of The Bay)』にそっくりなのである。

一例を挙げればジミー・クリフ (Jimmy Cliff) の『ハーダー・ゼイ・カム (The Harder They Come)』だ。

そして、それはこのアルバム『ヨーロッパのオーティス・レディング (Live In Europe)』でも同じことが言える。もちろん、1967年のツアーを記録した本作品には『ドック・オブ・ザ・ベイ ([Sittin' On] The Dock Of The Bay)』はない。と、いうかレコーディング完了後のその3日後に亡くなってしまった訳だから、その曲のライヴ・パフォーマンス自体、行っていないだろう。
そうではない。
この曲で唄われたカヴァー・ナンバーの『サティスファクション (Satisfaction)』や『デイ・トリッパー (Day Tripper)』だ。この二曲に、ザ・ローリング・ストーンズ (The Rolling Stones) がカヴァーした『愛しすぎて (I've Been Loving You Too Long [To Stop Now])』[ザ・ローリング・ストーンズ (The Rolling Stones) 版はこちら] と彼らが彼への追悼の意を込めて収録した『アイ・ガット・ザ・ブルース (I Got the Blues)』を加えてもいい。
それぞれのオリジネイターの演奏である、ザ・ローリング・ストーンズ (The Rolling Stones) の『サティスファクション ([I Can't Get No] Satisfaction)』やザ・ビートルズ (The Beatles) の『デイ・トリッパー (Day Tripper)』と聴き比べる。すると、オリジネイターの演奏にあるネガティヴな感情がいつのまにか昇華されて、別次元のものをオーティスのヴァージョンに発見出来ないだろうか。
オーティス・レディング (Otis Redding) 絡みの二曲である、ストーンズの演奏を聴くと、ある特別な感情を引き出し強調して彼らは演奏しているのではないだろうか。
逆に観れば、死を悼む『アイ・ガット・ザ・ブルース (I Got the Blues)』とオーティス・レディング (Otis Redding) の"白鳥の歌 (Swan Song)"である『ドック・オブ・ザ・ベイ ([Sittin' On] The Dock Of The Bay)』とが、どこまで遠く離れたものを主題にしているかが解るのではないだろうか。

どちらがいい悪いという意味ではない。
それだけ違うという事なのだ。
そして、その違いがオーティス・レディング (Otis Redding) なのである。

「ふぁ~ふぁふぁふぁふぁ ふぁふぁ~ふぁふぁ」
こんなしまりのない、情けない歌詞を、どうやったら、あんなに逞しくも太々しいメッセージ・ソング『ファ・ファ・ファ (Fa-Fa-Fa-Fa-Fa [Sad Song])』にかえられるのだろうか。
それをしたのが、それが出来たのがオーティス・レディング (Otis Redding) というシンガーなのだ。

ものづくし(click in the world!)108. :
『ヨーロッパのオーティス・レディング (LIVE IN EUROPE)』
by オーティス・レディング (OTIS REDDING)


images
ヨーロッパのオーティス・レディング (Live In Europe)』 by オーティス・レディング (OTIS REDDING)

1. リスペクト
  RESPECT
 (By Otis Redding; East-Time-Walco, BMI. Time: 3:00)
2. お前をはなさない
  CAN'T TURN YOU LOOSE
 (By Otis Redding, Steve Cropper & William Robinson; East-Time-Redwal, BMI. Time: 3:20)
3. 愛しすぎて
 I'VE BEEN LOVING YOU TOO LONG (TO STOP NOW)
 (By Otis Redding & Jerry Butler; East-Time-Curtom, BMI. Time: 3:40)
4. マイ・ガール
 MY GIRL
 (By William Robimson & Ronald White; Jobete, BMI. Time: 2:44)
5. シェイク
 SHAKE
 (By Sam Cooke; Kags, BMI. Time: 2:51)
6. サティスファクション
 SATISFACTION
 (By Mick Jagger & Keith Richard; Immediate, BMI. Time: 2:53)
7. ファ・ファ・ファ
 FA-FA-FA-FA-FA (SAD SONG)
 (By Otis Redding; English-Time, BMI. Time: 3:37)
8. ジーズ・アームズ・オブ・マイン
 THESE ARMS OF MINE
 (By Otis Redding; English-Time, BMI. Time: 2:57)
9. デイ・トリッパー
  DAY TRIPPER
 (By John Lennon & Paul McCartney; Maclen, BMI. Time: 2:54)
10. トライ・ア・リトル・テンダネス
 TRY A LITTLE TENDERNESS
 (By Jimmy Campbell, Harry Woods & Reg Connelly; Campbell-Connelly & Robbins, ASCAP. Time: 5:00)

Recording supervision: Tom Dowd
Cover photo: Jean-Pierre Leloir
Cover Design: Bernard Yeszin
Supervision: Jim Stewart

This is a stereo recording. For best results observe the R.I.A.A. high frequency roll-off characteristic with a 500 cycle crossover.
Original liner-note by DEANIE PARKER

ぼくが所有している日本盤CDには、鈴木啓志の解説が封入されています。
関連記事

theme : おすすめ音楽♪ - genre : 音楽

adventures of t. g. chaung | comments : 0 | trackbacks : 0 | pagetop

<<previous entry | <home> | next entry>>

comments for this entry

only can see the webmaster :

tackbacks for this entry

trackback url

https://tai4oyo.blog.fc2.com/tb.php/717-b6c86c6c

for fc2 blog users

trackback url for fc2 blog users is here