FC2ブログ

2007.10.21.20.32

"Rust Never Sleeps" by Neil Young & Crazy Horse

images
例えば、本作品のアルバム・カヴァーでのアーティスト名の表示に使用された"テクノ・ポップElectropop)"なタイポグラフィTypography)とか、本作品の映像版でステージ狭しと駆け回るジャワ族Jawa) from 『スター・ウォーズStar Wars Episode IV -A New Hope-)』なキャラクターとか、妙に、時代のキブンにおもねったディティールが気になる。ちなみに、本作品の為に決行された、演奏ナンバーの殆どが未発表の新曲で占められていた、大胆不敵で前代未聞な全米ツアーが行われたのが1978年。
誰しもがテクノ・ポップElectropop)でスペース・オペラSpace Opera)なはしかにかかっていた時代、ニ-ル・ヤング(Neil Young)、お前もかぁ、仕様がないなぁというモードに突入したくなるのだけれども、実はそうぢゃないんだよ、という文脈になります。

1曲を除きライブ・レコーディングであるにも関わらず、オーディエンスの嬌声や歓声は遮断されて、薄ら寒い叙景が繰り広げられる。それは、密室で何日も自閉し、極限られたヒトビトが見守る中で行われるスタジオ・レコーディングの作業よりも、孤独で荒涼とした風景にも思える。
アナログ盤でのサイドAにあたる前半部分をアコースティック・セット、サイドBになる後半部分を、クレイジー・ホース(Crazy Horse)を従えたエレクトリック・セットとしている。そして、それをさらに包み込む様に、"This is a story of a Jonny Rotten"とも呼ばれるべき変奏曲「My My,Hey Hey(Out Of The Blue) 」と「Hey Hey,My My(Into The Black)」とがアルバム冒頭と最終曲を担っている。

時代状況を整理すると、ザ・セックス・ピストルズThe Sex Pistols)で一躍、時代の寵児と化したジョニ-・ロットン(Johnny Rotten)が、己のバンドを「最後のロックンロール・バンド」と呼称しながらも、バンドによる最初で最後の全米ツアー終了と同時に、「最後のロックンロール・バンド」=ザ・セックス・ピストルズThe Sex Pistols)を解散させる。そして、ジョニ-・ロットン(Johnny Rotten)自らもステージ・ネームを本名のジョン・ライドンJohn Lydon)に戻して、新バンド、パブリック・イメージ・リミテッドPublic Image Ltd.)を始動させる。その渦中で彼が発言したのが、「ロックは死んだ(Rock Is Dead)」である。

そして、この発言に呼応して発表されたのが本作品であり、その冒頭と終焉に収められたふたつの楽曲「My My,Hey Hey(Out Of The Blue) 」と「Hey Hey,My My(Into The Black)」である。尤もふたつの楽曲とはいいながらも、若干の歌詞の違いが観られるだけで、同一曲と看做してもよいかもしれない。しかし、かもしれないけれども、決して閑暇されてはならないのが、前者はアコースティック・ギターでもってニ-ル・ヤング(Neil Young)のソロ・パフォーマンスとして演奏されて、後者はクレイジー・ホース(Crazy Horse)も加わった、大轟音のエレクトリック・バンド・サウンドとして鳴り響いている事である。

この作品制作の為のツアーが行われた13年前の、ニューポート・フォーク・フェスティバルでのボブ・ディラン(1965年)Bob Dylan at Newport Folk Festival in 1965)の様な、フォークとロックの領域、もしくは、アコースティックとエレクトリックの境界を、厳密に峻別しようとする原理主義的な発想は、さすがに当時ですらない。ないけれども、己のコンサートに詰め掛ける多くのオーディエンスは、何を望んでいるのだろうかと問うた時、また、彼らに偽りなき己自身を示すのに、最も効果的な方法はないのだろうか?と問うた時、その様な自己への問いかけを、具体的にステージで呈示したのが、このツアーであり、それをレコーディングした本作だと想うが、如何でしょうか?

例えば、新進気鋭の若きアーティストの不遜とも言える発言「ロックは死んだ(Rock Is Dead)」に対して、No!を叩き付ける事は、実は決して難しい事ではない。己を支持しているファンや、彼らが支えているビジネスとして成立している部分を観れば /魅せれば 、総ては何も変わらず、「ロックンロールは決して死にはしない(Rock and Roll can never die.)」。しかし、それを盲目的に信仰する事は、果たして「ロックンロール(Rock and Roll)」なのかと? 何故ならば、「ロックンロール(Rock and Roll)」とは「錆び尽くよりは燃え尽きた方がいい(It's better to burn out than it is to rust)」という主義や主張、大袈裟に言い還れば、それが「ロックンロール(Rock and Roll)」の思想だからだ。
無自覚に妄信的に、「ロックンロールは決して死にはしない(Rock and Roll can never die.)」と唱える事は、新たな錆が進行するだけであり、だからこそ、新しいヴィジョンに立って「ロックンロールは決して死にはしない(Rock and Roll can never die.)」と発言しなければならない。
だからこそ、ニ-ル・ヤング(Neil Young)は冒頭で「My My,Hey Hey(Out Of The Blue) 」とアコースティックな響きで諭す様に唄い、そこで唄われた内容を裏付ける様に、現時点での己と己の楽曲を呈示して、最後に、新たな地平に立った(筈の)「Hey Hey,My My(Into The Black)」を、よりエレクトリックでよりハードでよりヘヴィなサウンドで聴かせるのだ。

つまり、僕は、ニ-ル・ヤング(Neil Young)はジョン・ライドンJohn Lydon)にシンパシーを感じていると解釈しているのだけれども、ね?

例えば、ジョン・ライドンJohn Lydon)の発言に同調して、全く新しい音楽や新しい世界を目指すと言う方法論もあるだろう。少なくとも、当時の英国の若い才能は、それを目指した筈である。実際に、1970年代後半から80年代前半は毎日の様に、新しいア-ティストや新しい音楽が登場したからね。
だからと言って、ニ-ル・ヤング(Neil Young)がその様な、新しさに自らを投企出来たかと言うと、さすがに、それは出来ない。何故ならば、それまでの己と己を支えていた総てのモノを投げ出さなければならないから。
もし、よしんばそれが出来たとしても、それはある意味、己と己を支えて来たモノに対して、あまりにも不誠実である。それはある意味、迎合と言う名の新たなる錆でしかない。

だから、ステージ上には、過剰に巨大化したハリボテのマイクやアンプ群が距立して、ミュージシャンを通常の視点よりも、さらに小さく孤独な存在に観える様にしている。虚飾を剥いだ、等身大の己自身、それよりも、さらにちっぽけで不確かな存在にみせる事によって、今、ステージから発せられるメッセージを、逆説的に際立たせようとしたのではないか?

だから「out of the blue,into the black」 今、ここにある位置よりも、さらにハードでヘヴィでディープな世界に降り立つ、その決意表明であるのではないか? 
そしてそれは、「Tangled Up in Blueブルーにこんがらがって)」いるよりも、そしてもしかしたら「born to be the black(生まれついての暗黒面)」であるよりも、さらに厳しく険しい生き方だと、僕は想う。

ものづくし(click in the world!)61.:
"Rust Never Sleeps" by Neil Young & Crazy Horse


images
"Rust Never Sleeps" by NEIL YOUNG & CRAZY HORSE

1.MY MY,HEY HEY(OUT OF THE BLUE) 3:45
Words and music by Neil Young & Jeff Blackburn
1978 Silver Fiddle(BMI)
All Rights Reserved.Used By Permission.

2.THRASHER 5:38
Words and music by Neil Young
1978 Silver Fiddle(BMI)
All Rights Reserved.Used By Permission.

3.RIDE MY LLAMA 2:29
Words and music by Neil Young
1978 Silver Fiddle(BMI)
All Rights Reserved.Used By Permission.

4.POCAHONTAS 3:22
Words and music by Neil Young
1977 Silver Fiddle(BMI)
All Rights Reserved.Used By Permission.

5.SAIL AWAY 3:46
Words and music by Neil Young
1977 Silver Fiddle(BMI)
All Rights Reserved.Used By Permission.

6.POWDERFINGER 5:30
Words and music by Neil Young
1977 Silver Fiddle(BMI)
All Rights Reserved.Used By Permission.

7.WELFARE MOTHERS 3:48
Words and music by Neil Young
1979 Silver Fiddle(BMI)
All Rights Reserved.Used By Permission.

8.SEDAN DELIVERY 4:40
Words and music by Neil Young
1977 Silver Fiddle(BMI)
All Rights Reserved.Used By Permission.

9.HEY HEY,MY MY(INTO THE BLACK) 5:18
Words and music by Neil Young
1978 Silver Fiddle(BMI)
All Rights Reserved.Used By Permission.

Produced by Neil Young,
David Briggs and Tim Mulligan

Cuts 1 through 5 :
All Performances by Neil Young,
Nicolette Larson,Joe Osborne,
Carl Himmel

Cuts 6 through 9 :
All Performances by
Neil Young & Crazy Horse

The music on this Compact Digital Disc was originally recorded on analog equipment.We have attemted to preserve,as closely as possible,the sound of the original recording.Because of its high resolution,however,the Compact Disccan revearl limitations of the source tape.

Reprise Records,a Division of Warner Bros.Records Inc.,a Warner Communications Company.
(C)1979 Warner Bros.Records Inc. (P)1979 Warner Bros.Records Inc. Printed in U.S.A.All Rights Reserved.Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
関連記事

theme : おすすめ音楽♪ - genre : 音楽

adventures of t. g. chaung | comments : 0 | trackbacks : 0 | pagetop

<<previous entry | <home> | next entry>>

comments for this entry

only can see the webmaster :

tackbacks for this entry

trackback url

https://tai4oyo.blog.fc2.com/tb.php/70-570a8f33

for fc2 blog users

trackback url for fc2 blog users is here