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2011.04.12.21.17

ぶれーめんのおんがくたい

あの、例の、驢馬 (Hausesel) と (Haushund) と (Hauskatze) と (Haushuhn) が出て来て、ひひんひひんわんわんにゃあにゃあこけこっこぉこけこっこぉと啼くやつだろう、そんなの知ってらぃ、てやんでぃ、ばかばかしい。
と、ちゃきちゃき江戸っ子 (Edokko) のふりをして斬り捨てたいのは山々だけれども、そうもいかない。
律儀に取り出して、あぁでもないこうでもないと、鵜目鷹目で観たついでに、でも観てみようというのが、この連載企画の趣旨だからして [ものによっては逆の場合もあるけど] 。揚げ足取りの様な、重箱の隅を突っつく様な、馬鹿馬鹿しくも阿呆らしい所作を、今回もまた、しでかす次第なのである。

ブレーメンの音楽隊 (Die Bremer Stadtmusikanten)』は『グリム童話 (Kinder- und Hausmarchen)』のひとつ、作品番号で言えば「KHM27」である。
誰もが知っているその筋書きを紹介するのも間の抜けたかんじがするのだけれども、行きがかり上、かいつまんで、その物語を書いてみる。

歳をとりすぎて満足に野良仕事も出来なくなった驢馬 (Hausesel) が、己が処分される事を知る。それを嫌って、彼は飼主の元から出奔する。そして、新しい勤務地としてブレーメン (Bremen) を選び、そこでの職種を音楽隊 (Stadtmusikanten) として考え、一路、ブレーメン (Bremen) への道を選ぶ。
驢馬 (Hausesel) はその道中に、己と同じ様な境遇の老いた動物達と出逢う。永年、飼主の為に働いたものの、寄る年波には勝てず、今では邪魔者扱いをされ、いつ処分されても不思議ではない、そんな動物達だ。
それを見かねた驢馬 (Hausesel) は、彼らに出逢う度に、己と同じくブレーメン (Bremen) へと向かい、音楽隊 (Stadtmusikanten) に再就職しようと持ちかける。
かくして、驢馬 (Hausesel) と (Haushund) と (Hauskatze) と (Haushuhn) が、ブレーメン (Bremen) へと、そしてそこで音楽隊 (Stadtmusikanten) に再就職しようと、旅をする事になる。
しかし、ブレーメン (Bremen) は遠く、そこに辿り着く前に夜になってしまう。彼らは一夜の宿を求めて彷徨っていると、一軒の灯りを発見する。

さて、ここまで読んできて、単なる童話のつもりで通り過ぎたくても通り過ぎれないのは、主人公である驢馬 (Hausesel) と (Haushund) と (Hauskatze) と (Haushuhn) の境遇である。
右肩上がりの神話を盲信して一生懸命働いてみれば、突然にやってきたリーマン・ショック (Lehman Shock) とそれを受けての100年に一度の大不況、それもようやくなんとか恙無くやりくりしたと思った瞬間に、今回の東日本大震災 (Eastern Japan Great Earthquake Disaster) の日本なのである。年功序列終身雇用に乗っかっていればいいと思ったら、いつのまにやら護送船団は解隊してしまった。定年退職を迎えても悠々かくしゃくの年金生活が待っている、と思ったら、足許を掬われてしまったのだ。
ある日突然に職を失い、いままで収めて来た年金がもらえるかどうかも怪しくなって来た。
そんな己と何故か彼ら、驢馬 (Hausesel) と (Haushund) と (Hauskatze) と (Haushuhn) が二重に重なって観えてしまう方々も多いと思う。
しかし、だからこその童話なのだ。彼らは新たな夢を遥かなブレーメン (Bremen) という新天地に求めて、再就職の途を歩み始めるのだ。
彼ら、驢馬 (Hausesel) と (Haushund) と (Hauskatze) と (Haushuhn) を、"中高年の星"と呼ばれた綾小路きみまろ秋元順子 (Junko Akimoto) やゴールデンバージ号のオリジンと観ても、いいのかもしれない。つまり、元祖"中高年の星"だ。

閑話休題。

実社会における『ブレーメンの音楽隊 (Die Bremer Stadtmusikanten)』の話は置いといて[個人的には今回の東日本大震災 (Eastern Japan Great Earthquake Disaster) は諸刃の剣で、新たな雇用を獲得出来るチャンスかも知れないし、それとは真逆のさらに深く長く暗い大失業者時代の到来になるかもしれないと思っているが、その突っ込んだ話はここでは出来ないので]、『グリム童話 (Kinder- und Hausmarchen)』の『ブレーメンの音楽隊 (Die Bremer Stadtmusikanten)』に、話は戻る事にする。
確か、陽も暮れて夜になり、驢馬 (Hausesel) と (Haushund) と (Hauskatze) と (Haushuhn) が一軒の灯りを見つけたところまで、書き記した筈だ。

ここで、冒頭の「ひひんひひんわんわんにゃあにゃあこけこっこぉこけこっこぉ」となるのだけれども、さて、ここからがクエスチョン。

驢馬 (Hausesel) と (Haushund) と (Hauskatze) と (Haushuhn) は、一体なんの為に「ひひんひひんわんわんにゃあにゃあこけこっこぉこけこっこぉ」と啼いたのでしょうかぁ?

グリム童話 (Kinder- und Hausmarchen)』では、そこは泥棒 (Rauber) が占拠した家であって、彼らは泥棒 (Rauber) を驚かす為に、「ひひんひひんわんわんにゃあにゃあこけこっこぉこけこっこぉ」と啼いたとある。
しかし、ぼくは幼い頃、もうひとつの、これとは異なるヴァージョンを聴いた / 読んだ記憶があるのだ。

それは次の様なものだ。

灯りの中を彼らがのぞくと、中では愉し気なパーティーが営まれている。我々もあそこに参加出来ないかなぁ、今夜一晩泊めてくれないかなぁ、と。そこで驢馬 (Hausesel) と (Haushund) と (Hauskatze) と (Haushuhn) は考える、我々はこう観えてもブレーメン (Bremen) の音楽隊 (Stadtmusikanten) である、彼らに我々の素敵な音楽を聴いてもらおう。そうすれば、泊めてくれるかも知れない。

という思考の辿り着いた果てに「ひひんひひんわんわんにゃあにゃあこけこっこぉこけこっこぉ」となるのである。

その後の結末は同じだ。「ひひんひひんわんわんにゃあにゃあこけこっこぉこけこっこぉ」に吃驚した泥棒 (Rauber) 達は逃げてしまい、何故彼らが逃げてしまったのかその真相は解らないまま、泥棒 (Rauber) 達の代わりに彼らがその家で愉しく暮しましたとさ、となる。

このヴァージョンは、一体、どこから誕生したのであろうか?

ブレーメンの音楽隊 (Die Bremer Stadtmusikanten)』には、例えば、音楽を志すのならば何故ウィーン (Wien) ではなくてブレーメン (Bremen) なのかとか、よく解らない点がいくつかあって、ホントはそこを追求したいところだけれども、『ブレーメンの音楽隊 (Die Bremer Stadtmusikanten)』がブレーメン (Bremen) に辿り着く前に物語が終わる様に、この駄文もここで終わるのである。

次回は「」。

images
上記画像は、辿り着いていない驢馬 (Hausesel) と (Haushund) と (Hauskatze) と (Haushuhn) に成り代わって、ブレーメン市庁舎 (Bremer Rathaus) に設けられた『音楽隊の像 / Die Bremer Stadtmusikanten』。ゲルハルト・マルクス (Gerhard Marcks) の作品である。
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