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2011.01.30.13.43

これもまた悪い夢の続き 27.

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"Downtown Train" from the album "Downtown Train" performed by Rod Stewart, composed by Tom Waits for the album "Rain Dogs"

こんな夢を観た。

地下鉄に乗っていた。

多分、夕刻の遅い時間から深夜にかけての時間帯だ。奔っている車輛の外は当然真っ暗だから、何故、今いる己の時間が解ったのか。確たる根拠はない。夢だから。そう思ったとおりになると言えば、それは是だ。だがそれ以前に、薄暗い車内で自ずとそれと知れた。本来ならば、煌煌と車内灯が灯り、ウスらシラケる様な、人工的な明るさになる筈なのだが、昔の古ぼけたフィルム撮影の映画を観ているような、偏光した明るさだった。

車内は6~7割の込み具合で、いくつか空席はあるものの、数名の男達は掴まっていたり、身を預けたりしていた。そこで、ようやく気づく。乗っているのは男性ばかりなのだ。年齢はまちまちだったけれども、皆、黒っぽい服装に身をつつみ、押し黙って、奔り往く車輛の走行に、身を委ねていた。

まぁ、そんな日もあるのかもしれない。こんな時刻で、この路線なのだから、ぼくはその事を気にしない事にした。
ぼくはと言えば、いくつもいくつも路線を乗り継いで、最短の時間を選んでいたつもりだった。
都心を奔る地下鉄は、必ずしも、最短距離を走ってくれない。目的の駅に到達するルートは、必ず複数存在する。だからと言って、途中を奔る駅の数を少なくすれば、それが正解であるとは限らない。ある路線から別の路線へと乗り換えた駅で、目指すホームに辿り着くには、実は一駅分以上の距離を歩く羽目になる事もざらなのだ。

それは必ずしも、不便な事ばかりではない。
デスクワークに厭きたり、オフィス内の空気が嫌な方へ流れ出したりした場合は、外廻りの素振りで外出すればいい。勿論、先方のアポをとってだ。
その逆の場合もある。訪問先での気の乗らない商談や憂鬱な打ち合わせの場合 [何故、憂鬱なのかは聴かないでくれ] も、早めに外出すればいい。
予定の時間よりも早めに出たからといって、ファストフード店や馴染みの書店で閑を潰すわけにもいかない。
そんな時間の余裕はない。と、いうよりも、こころの中に余裕がない場合が殆どだ。ファストフード店の冷たいストゥールに腰掛けても、新刊書を捜し倦ねても、どこか落ち着かないし、却って気ばかりが焦ってしまう。
抜け出した社内で今頃、なにか大問題でも発生してやしないか、訪問先のクライアントの機嫌は大丈夫だろうか、呼び出された相手先から、つまらないクレームや益にもならない仕事を押し付けられないかとか。

気が小さいのかもしれない。
だから、鷹揚に構えきれずに、こころの中だけが一悶着興している。
それを沈める為に、ぼくはあえて迂回した路線を選ぶ。とにかく、己は現場に向かっている、それは誰に対しても嘘をついている事にはならないし、前へ進めているという事が、ほんの少しだが自信になる。
昔のヒトが、借金取りから逃れる為に、山手線を何度も何度も周回した、というのとは違うのだ。
そんな事を思い聴かせて、乗り継ぎの為に、一駅以上も長いホームを歩むのだ。

ところが、今日 [というかこの夢の中では] 違った。
ぼくは先を急いでいたのだし、とにかく早く目的の駅に着きたかった。

しかし、事件は起きる。
ある駅に着いた矢先に、車内アナウンスが告げる。
「この駅にしばらく停車します。発車予定時刻は、約一時間後となっています」

なにがあったのかは解らない。しかし、解らないままにヒトビトはホームへと降り立つ。彼らは知っていたのだろうか。何事もなかったかの様に、狭い車輛から開放された些細な喜びを表すかの様に、深呼吸をしたり、伸びをしている。
ぼくだけがそれを知らなかったのだろうか。通常ならばありえない事態にも関わらずに、平穏な空気が辺りを支配している。

辺りを観回したぼくの眼には、いくつものホームが整然と並んでいる様が観える。地下鉄の駅にこんなに巨大なターミナルがあっただろうか、そんな想いも奔る程にそこは広かった。
そのホームに停車している車輛は、ぼく達が乗って来たものだけだった。
しかも、その広いホームにいるのは、今停まった車輛から放り出されたぼく達だけだった。

どうしようもないぼくは独り、ホーム中央にあった掲示板を観ていた。そして、解った事は、この駅には地上に向かう出口がない事だった。この駅は、純粋に地下鉄各路線の乗り換え専用のものなのだった。
いくつか上や下に延びる階段やエレヴェーターはあるものの、それも別の路線のホームに繋がっているだけなのだ。

そうして、この駅の構造に驚いているうちに、先程までホームに溢れていたヒトビトが、少しづつ姿を消し始めている事に気づいた。別のホームへ向かったのだろうか。だが、見渡す限り、隣のホーム、その隣のホーム、そのまた隣のホームにも、誰一人発見出来ない。

どういう事なのだろう。先程のざわめきが次第に消えて、辺りは沈黙が支配しようとしている。
なにをどうしたらよいのか解らなくなってしまったぼくの耳に、ある音が聴こえて来る。軋んだ歪んだそれは、新たな車輛が、この巨大なホームの一隅に入って来る音だとすぐに知れた。

ぼくは大慌てで、音が向かう方向を目指して歩き出した。階段を上り [別の階段を降りるルートもあったかもしれない、しかし、知らず知らずに地上に向かう方向を選んでしまうものなのだ]、幾つもの通路を駆け抜ける。途中、いくつもの上へと延びる階段を見かけるが、ダメだった。その殆どのものが嵌め殺しだった。無情にも、階段の行方を厚いコンクリートの天井が塞いでいるのだった。

このホームで間違いない、そう検討をつけて階段を下りてゆくと、先程聴こえた軋んだ歪んだ音は、別のところから聴こえる。
しまった、間違えた。そして、慌てて今降りて来た階段をまた昇ってゆく。

そんな試行錯誤を繰り返しながら、ようやく、目指すべき場所に辿り着く。
もしかしたら、ここで降ろされてから一時間は経過したかもしれない。そんな己の愚かさに疑念をもった矢先に、先程から聴こえていた音の主が、眼の前に姿を顕わした。

それは無蓋の車輛で、その上には巨大な反反射衛星砲 (The Reflex Gun) が据えられていた。砲の先端が不気味な橙色を発していて、これから起きるだろう、半ば冗談のような、とんでもない事件を予感させていた。

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The Poster for the movie "The Taking Of Pelham One Two Three" directed by Joseph Sargent, based on the novel "The Taking Of Pelham One Two Three" written by John Godey
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