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2011.01.03.00.15

黒澤明『七人の侍』をリメイク出来るのか? 第二回 / Can We Remake "Seven Samurai" directed by Akira Kurosawa? Part Two

第一回 (Part One)では、現在活躍中の俳優 / タレント / 芸人で、実際にキャスティングしてみた。それを踏まえて、総論と言おうか説明と言おうか注釈と言おうか言い訳と言おうか言い逃れと言おうか、まぁ、順不同で、以下、ぐだぐだ書いてみます。

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七人の侍 (Seven Samurai)』 [黒澤明 (Akira Kurosawa) 監督作品 1954年制作] は、過去、異なるメディアで二回"リメイク (Remake)"されている。ひとつは、『CR七人の侍』 [ビスティ]。もうひとつは『KANSAI SUPER SHOW 七人の侍』。
今回のぼくのキャスティング案では、この二作品の"七人の侍 (Seven Samurai)"からは起用しない事にした。深い理由はないのだけれども、少しでも可能性を拡げる為と、その作品上でのイメージに引き摺られない様に、と言う配慮だ。
だから、個人的には最初の試案で、なんらかの役の候補に挙がっていた、田口トモロヲ (Tomorowo Taguchi) と仲里依紗 (Riisa Naka) は、残念ながらキャステイングから外さざるを得なかった。

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同じ理由で、他の黒澤明作品のリメイク (Remake) 作品、『椿三十郎 (Tsubaki Sanjuro)』 [森田芳光 (Yoshimitsu Morita) 監督作品 2007年制作] や『天国と地獄 (Tengoku To Jigoku)』 [テレビ朝日系列 2007年放映] や『生きる (Ikiru)』 [テレビ朝日系列 2007年放映] や『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS (Kakushi Toride No San-Akunin : The Last Princess)』 [樋口真嗣 (Shinji Higuchi) 監督作品 2008年制作] で主要キャラクターを演じた方々も、事前に候補から外した。

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その結果、勘兵衛の作品上での実年齢であろう40~50代に該当する俳優の選択肢が非常に狭まってしまった。この年代の人物を主役級に据えた日本映画の作品は、数人の俳優達でローテーションを組んでいる様な印象をかねがね抱いていたが、それを裏付ける様な具合になってしまった。
そもそも、上に挙げたリメイク (Remake) 四作品の中だけでも、阿部寛 (Hiroshi Abe) は二作品で主役級の役を得ている。解りやすく言い換えると、彼一人が仲代達矢 (Tatsuya Nakadai) と三船敏郎 (Toshiro Mifune) を演じてるのだ。

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改めて書く必要はないと思うのだけれども、『七人の侍 (Seven Samurai)』 [黒澤明 (Akira Kurosawa) 監督作品 1954年制作] という作品は、タイトルロールの七人が主役ではない。むしろ、彼ら以上に、彼らを雇った農民の物語であるし、農民が主役の映画とも言える。
だから、"七人の侍 (Seven Samurai)"をキャステイングすると同時に、否、それよりも前に、主要な農民のキャスティングが必要ではないだろうか。
島田勘兵衛 (Kanbei Shimada) [演:志村喬 (Takashi Shimura)] と菊千代 (Kikuchiyo) [演:三船敏郎 (Toshiro Mifune)]、利吉 (Rikichi) [演:土屋嘉男 (Yoshio Tsuchiya)] と万造 (Manzo - Father of Shino) [演:藤原釜足 (Kamatari Fujiwara)]。この四人の演者を誰にするかが、この物語の重要なポイントでもあると思う。
と、同時に、最も苦労し、最も結論が出せなかったのもこの四人だった。

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リアリズムに拘われば、志乃 (Shino) [演:津島恵子 (Keiko Tsushima)] と岡本勝四郎 (Katsushiro Okamoto) [演:木村功 (Isao Kimura)] は、作品の中の実年齢である、十代の男女でなければならない。しかし、残念ながら、その年代の男女できちんと演技が出来そうなものをぼくはよく知らない [どなたか推薦して下さい]。映画制作の関係者ならば、興行収益等も踏まえねばならないだろうから、演技以外の要素を踏まえて自ずと候補者も挙げられるかもしれない。
それとも、実際にリメイク (Remake) するとなれば、オーディションかなにかでずぶの素人を選ぶくらいの気概が必要なのかもしれない。
むしろ、名子役と謳われている芦田愛菜 (Mana Ashida) と加藤清史郎 (Seishiro Kato) が思春期に成長するまで待ってみるか? [てか、冗談抜きにそのぐらいの準備期間は必要かもしれないし、否応なくそのぐらいの時間がかかってしまうのかもしれない]。

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"七人の侍 (Seven Samurai)"とは謳っているけれども、作品上では、六人の武士と農民上がりの菊千代 (Kikuchiyo) [演:三船敏郎 (Toshiro Mifune)] という設定になっている。
あらためて気になったのは、七郎次 (Shichiroji) [演:加東大介 (Daisuke Kato)] と久蔵 (Kyuzo) [演:宮口精二 (Seiji Miyaguchi)] に苗字がないという点だ。
勘兵衛の"古女房"である七郎次 (Shichiroji) [演:加東大介 (Daisuke Kato)] は中間小者の類であろうと推測出来る。ちなみに、足軽 (Ashigaru) となると、これは武士階級に属する。
また、wikipediaによれば 久蔵 (Kyuzo) [演:宮口精二 (Seiji Miyaguchi)] のモデルは、宮本武蔵 (Miyamoto Musashi) とあってそれを信頼すれば、彼の出自もまた、武士ではないと推測出来る。
尤も、士農工商 (Four Occupations) の階級が確立するのは、『七人の侍 (Seven Samurai)』 [黒澤明 (Akira Kurosawa) 監督作品 1954年制作] のつぎの時代であって、当代は下克上 (Gekokujo) の世の中。他の"侍 (Samurai)"達の出自も、実は怪しい。
と、なると、映画の中で語られる、彼らの口から出た、この戦いに加わる理由とは別の理由もあったのではないだろうか。
例えば、島田勘兵衛 (Kanbei Shimada) [演:志村喬 (Takashi Shimura)] と再会し、再び戦に相見えると知った七郎次 (Shichiroji) [演:加東大介 (Daisuke Kato)] が、眼を輝かせる横顔のアップのシーンがある。一見、温厚な風貌の彼の中に、職業軍人 (Professional Military) と言おうか傭兵 (Mercenary) と言おうか、戦いの中でしか己を確認出来ない、どうしようもない性を観る事が出来るのだ。
まぁ、"ええとこのボンボン"である筈の岡本勝四郎 (Katsushiro Okamoto) [演:木村功 (Isao Kimura)] だけは、言動が一致しているとは思うが。

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"侍 (Samurai)"をスカウトに町に出て来た農民達と島田勘兵衛 (Kanbei Shimada) [演:志村喬 (Takashi Shimura)] が遭遇するシーンについて。
純粋にモブ・シーン (Mob Scene) であって、そこに描かれているエピソードは、上泉信綱 (Kamiizumi Nobutsuna) か塚原卜伝 (Tsukahara Bokuden) か誰かの剣豪の逸話をそのまま剽窃した様なものだ。ぼくの中では、単なる烏合の衆から、後の物語で主要な役を演じる者どものキャラクターをどうやって突出させるか、その苦心の跡ばかりが観える、そんなシーンだ[しかし、このシーンに登場する三人の"侍 (Samurai)" :島田勘兵衛 (Kanbei Shimada) [演:志村喬 (Takashi Shimura)]、菊千代 (Kikuchiyo) [演:三船敏郎 (Toshiro Mifune)] そして岡本勝四郎 (Katsushiro Okamoto) [演:木村功 (Isao Kimura)] の挙動の描写によって、彼ら三人の性格づけがしっかりと、この作品を観る者に深い印象を遺すのだ]。
当初は、このシーンに登場する多くの登場する人物達もあえてキャスティングする必要もないだろう、とも思っていた。しかし、すこしづつ作業を進めて行くに連れて、家を焼かれ幼い孫だけを遺して惨殺される儀作 (Gisaku, The Old Man) [演:高堂国典 (Kokuten Kodo)] とその家族:儀作の息子 (Ginsaku's Son) [演:熊谷二良 (Jiro Kumagai)] と彼の嫁 (Ginsaku's Daughter-in-Law) [演:登山晴子 (Haruko Toyama)] のエピソード [この後に、菊千代 (Kikuchiyo) [演:三船敏郎 (Toshiro Mifune)] が幼い子を抱いたまま号泣するシーンとなる] と、この盗人 (Kidnapper) [演:東野英治郎 (Eijiro Tono)] に孫を人質に穫られた豪農一家:豪農家の祖父 (Grandfather Of Kidnapped Girl) [演:千葉一郎 (Ichiro Chiba)]、豪農家の娘 (Wife Of Gono Family) [演:千石規子 (Noriko Sengoku)] そして豪農の家の亭主 (Gono Husband) [演:安芸津広 (Hiroshi Akitsu)] のエピソードが、相似形を成している事にようやく、気づかされたのだ。
前者で救出できなかったものが、後者では救出できていたのだ。
それを、菊千代 (Kikuchiyo) [演:三船敏郎 (Toshiro Mifune)] と島田勘兵衛 (Kanbei Shimada) [演:志村喬 (Takashi Shimura)] の度量の違いと観るのか、そしてその度量の違いをも気づかされて菊千代 (Kikuchiyo) [演:三船敏郎 (Toshiro Mifune)] は泣き崩れたのか、それとも単に戦時と平時の違いと観るのか、意見は分れると思う。

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利吉 (Rikichi) [演:土屋嘉男 (Yoshio Tsuchiya)] と利吉の女房 (Rikichi's Wife) [演:島崎雪子 (Yukiko Shimazaki)] のエピソードは、後に同じ様な役回りの百姓小平 (Kohei) [演:土屋嘉男 (Yoshio Tsuchiya)] が登場する『用心棒 (Yojimbo)』 [黒澤明 (Akira Kurosawa) 監督作品 1961年制作] でも、"使い回される"。利吉の女房 (Rikichi's Wife) [演:島崎雪子 (Yukiko Shimazaki)] は、自ら命を絶って物語から一瞬だけの輝きを放って舞台から降りてしまうが、小平の女房ぬい (Nui) [演:司葉子 (Yoko Tsukasa) は、主人公に命を救われて百姓小平 (Kohei) [演:土屋嘉男 (Yoshio Tsuchiya)] ともども、追っ手の手から逃げ仰せる [その結果、主人公を窮地に立たせてしまうのだけれども]。
この違いをどう観るべきなのか。それぞれの夫婦の間に横たわる"赦し (Forgiveness)"の問題と解するのは、深読みかもしれないのだけれども。

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"侍 (Samurai)"をスカウトに町に出て来た農民達が、拠点にする木賃宿のシーンに登場する琵琶法師 (Blind Minstrel) [演:上山草人 (Sojin)] について。
物語の進展には、一向に絡まないのにも関わらずに、妙に存在感があるのが以前から不思議だった。これは個人的な視点なのだろうと思いながらも、初めてこの映画を観た時[1975年に洋画系ロードショー館で全国リバイバル上映] に購入したパンフレットでの解説でも、この琵琶法師 (Blind Minstrel) [演:上山草人 (Sojin)] の存在感に触れていた。
思うに、彼は時計の役割なのではないだろうか。サスペンスフルなシーンで、事態が膠着して徒に時間だけが過ぎてゆく、登場人物達はただ徒に手をこまねいている中、時計の時間を刻む音だけが聴こえる。その時計が琵琶法師 (Blind Minstrel) [演:上山草人 (Sojin)] と彼の奏でる楽器の音色ではないだろうか。
だからこそ、琵琶法師 (Blind Minstrel) [演:上山草人 (Sojin)] は、そこにいるだけで存在感を放てる様な人物が演じなければならない。
[上記掲載画像は、その木賃宿で悲嘆と徒労を味わっている農民達の姿、前方に薄暗く観える影は、強そうな浪人 (Samurai) [演:山形勲 (Isao Yamagata)]]

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一番最期に決まったキャスティングは、茂助 (Mosuke) [演:小杉義男 (Yoshio Kosugi)] 。当初は、対立する農民達:利吉 (Rikichi) [演:土屋嘉男 (Yoshio Tsuchiya)] と万造 (Manzo - Father of Shino) [演:藤原釜足 (Kamatari Fujiwara)] との、調停役の様な位置にいたのにも関わらずに、いざ戦いの直前になって我が家を喪う羽目に陥るや、その不当性を声高に主張する役。この良くも悪くも、日本人的な小市民振り (Petit-bourgeois) をきちんと演じられるのは誰だろうか、とずうっとペンデング状態だった。

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それにしても、つくづく、男の映画だなと思う。公開時のポスターでは、志乃 (Shino) [演:津島恵子 (Keiko Tsushima)] のアップ・ショットがフィーチャーされていたし、ぼくが初めて観たリバイバル公開時でも、上映館の看板には、志乃 (Shino) [演:津島恵子 (Keiko Tsushima)] 初登場時のシーンが大きく描かれていた。それらを目当てに観にきた観客も決して少なくはないだろうが、その彼らはどの様な昂奮を得て、映画館から出て来たのだろうか?

第三回 (Part Three) に続く。
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