fc2ブログ

2010.12.28.18.49

こんこーどとこんこるどとのあいだ

「コンコード (En: Concord) もしくはコンコルド (Fr: Concorde)」と聴いて、あなたは一体、なにを思い浮かべるのか?

昭和40年代 (1970s) に少年時代を過ごしたものならば、おそらくそれは、きっと絶対に超音速旅客機 (SST : Supersonic transport) コンコルド (Concorde) の事だろう。
英米の共同開発によって産まれたこのジェット旅客機は、乗客100名を乗せて、時速マッハ2.0 (Mach 2.0) で飛行可能だ。
と、いうだけで当時の少年達のハートを鷲掴みにした飛行機だけれども、それだけがこの機体の魅力ではない。
デルタ翼 (Delta Wings) を採用したその鋭角的なフォルムは、まるで猛禽類 (Bird Of Prey) の様な激しさと逞しさを想像させる。しかも、その上に、離着陸時には操縦者の視界を確保する為に、ドループ・ノーズ (Droop-nose) と言って、機首がまるで頭を垂れるかの用に下を向くという工夫が、さらにその空想を刺激させるのだ。

デルタ翼 (Delta Wings) から産み出される全体の印象は『ウルトラセブン (Ultra Seven)』 [1967年~1968放映 TBS系] に登場するウルトラホーク1号 (Ultra Hawk 1) を想像させて、機首のドループ・ノーズ (Droop-nose) は、『サンダーバード (Thunderbirds)』 [1966年~1967年放映 NHK総合] に登場するサンダーバード1号 (Thunderbird 1) の可変後退翼(Variable Geometry Wing) [低速飛行時には機体から主翼が垂直に伸び直線翼となり、高速航行時には主翼が後退し後退翼となる] を想像させた。

つまり、未来世界の空想の世界に登場する飛行機が、現実の姿となって顕われた。それが超音速旅客機 (SST : Supersonic transport) コンコルド (Concorde) だったのである。

きっとぼく達が大人になる頃には、ウルトラセブン (Ultra Seven) の飛行スピードであるマッハ7 (Mach 7) に追いつくに違いない。なぜならば、超音速旅客機 (SST : Supersonic transport) コンコルド (Concorde) はマッハ2.0 (Mach 2.0) だ。
ぼく達は、超音速で世界中を飛び回る夢を描いていたのだけれども、残念ながら21世紀 (21st Century) が来る前に、それは文字通り、夢で終わってしまった。

超音速旅客機 (SST : Supersonic transport) コンコルド (Concorde) はわずか20機が製造されただけで、潰えてしまったのだ。何故、潰えてしまったのか、その詳細はここに書かれているけれども、単純に謂えば、現実にやってくる未来世界は、ぼく達の空想世界とは、一直線に結びつかなかったのだ。

話変わって、同じ設問をジャズ・ファンにぶつけてみる。
「コンコード (En: Concord) もしくはコンコルド (Fr: Concorde)」と聴いて、あなたは一体、なにを思い浮かべるのか?

そうすると、二通りの答えが返って来るに違いない。
ひとつはコンコード・ジャズ・フェスティバル (Concord Jazz Festival) とコンコード・レコード (Concord Records) で、もうひとつはモダン・ジャズ・カルテット (MJQ : Modern Jazz Quartet) のアルバム『コンコルド (Concorde)』とそのタイトル曲『コンコルド (Concorde)』だ。
しかも、このふたつに直接の関連性はない。
前者は、ジャズ・フェスティバルが開催された地域の名前。コンコード (Concord) はカリフォルニア (California) にある。そして、このコンコード・ジャズ・フェスティバル (Concord Jazz Festival) をきっかけにしてジャズ・レーベル、コンコード・レコード (Concord Records) が発足した。
後者は、パリ (Paris) にあるコンコルド広場 (Place de la Concorde) の事なのだ [アルバム・ジャケットに写るオベリスク (Obelisk)、クレオパトラの針 (Aiguille de Cleopatre) を観れば一目瞭然だけれども]。モダン・ジャズ・カルテット (MJQ : Modern Jazz Quartet) は1955年発表の、このアルバムをきっかけにして、メンバーがジョン・ルイス (John Lewis : p) 、ミルト・ジャクソン (Milt Jackson : vib)、パーシー・ヒース (Percy Heath : b) そしてコニー・ケイ (Connie Kay : dr) と決定。以降、四半世紀以上に及ぶ名門コンボとしての活躍が始るのだ。

さて、先に"直接の関連性はない"と書いたけれども、大元は同じところから発している。カリフォルニア (California) のコンコード (Concord) やパリ (Paris) のコンコルド広場 (Place de la Concorde) 以外にも、英語圏の各地にコンコード (Concord) という地名はある。この名称の出所は、総て一緒 [の筈]。
序でに書くと、超音速旅客機 (SST : Supersonic transport) コンコルド (Concorde) も、出自は根を一にしている。

ローマ神話 (Roman Mythology) に登場する、協調と調和、相互理解の女神、コンコルディア (Concordia) がその源だ。
超音速旅客機 (SST : Supersonic transport) コンコルド (Concorde) の場合も、英仏ふたつの国の協調によって完成しえたので、この名を命名されたのだろう。
尤も、英語表記のコンコード (En: Concord) にするのか仏語表記のコンコルド (Fr: Concorde) にするのかは、かなりすったもんだしたらしいのだけれども。結局、仏語表記のコンコルド (Fr: Concorde) が採用された。とは謂うものの、ここでいうコンコルド (En: Concord) =コンコード(Fr: Concorde) =協調と調和というのは、米の航空会社やひいては米の経済力政治力に対抗するという意味付けなのだから、ちょっときな臭い。
ボーイング (Boeing) やロッキード (Lockheed) に対抗する超音速旅客機 (SST : Supersonic transport) コンコルド (Concorde)、パンアメリカン (Pan American World Airways) に対抗するブリティッシュ・エアウェイズ (British Airways) エールフランス (Airfrance)、基軸通貨ドルに対抗するEC、つまりはそおゆう事なのだろう。

だから、世界各地にあるコンコード (En: Concord) もしくはコンコルド (Fr: Concorde) と命名された土地には、その美名に眉唾をして臨んだ方が良いのかもしれない。
「この地を調和の街と名付けよう」そう叫ばずにはいられない、争いや闘いがかつてその土地にあったのかもしれないからだ。
パリ (Paris) のコンコルド広場 (Place de la Concorde) も、フランス革命 (Revolution fransaise) 当時はルイ16世 (Louis XVI) やマリー・アントワネット (Marie Antoinette) がそこで処刑されており、当時の名称は革命広場 (place de la Revolution) だった。

さて、その語源の女神の話をしよう。
コンコルディア (Concordia) のアトリビュート (Attribute) は以下の様なものだ。
彼女は、長いローブを纏い、パテラ [献酒杯] (Patera [Sacrificial Bowl])、コルヌー・コピアイ [豊穣の象徴] (Cornu Copiae [Symbol Of Prosperity])、カードゥケウス [平和の象徴] (Caduceus [Symbol Of Peace]) などを持った座像で描かれるのが習わしだと言う。
また、彼女を祀ったコンコルディア神殿 (Temple Of Concord) も紀元前4世紀に建立された。この神殿もリキニウス・セクスティウス法 (leges Liciniae Sextiae) 制定とそれによるパトリキ [貴族] (Patricii) とプレブス [平民] (Plebs) の和解を記念したもの、つまり、建立の遠因にはローマ市民 (Roman Citizen) 同士による争いがあったからなのだ。

しかし、その一方で、彼女の存在感は希薄だ。ぼく個人としては、そのアトリビュート (Attribute) で描かれた彼女を観たと言う記憶がない。
彼女が登場した古代ローマ文明 (Ancient Roman Culture) はおいといても、その後の時代に、協調と調和、相互理解の女神は、あまり顧みられなかったのではないだろうか? 少なくとも、ルネサンス (Renaissance) 以降、彼女もしくは彼女の物語を画題に執った作品を観たと言う覚えがない。
それともぼくが知らないだけなのか? とは思うものの、ネット上で検索しても、それらしいものは登場しないのだ。

さらに、彼女と同一視されるギリシア神話 (Greek Mythology) のハルモニアー (Harmonia) [彼女の名前から音楽用語のハーモニー (Harmony) が派生するのだけれども] は、どうかと言えば、これもなかなか発見出来ない。
そもそも、協調と調和の女神ハルモニアー (Harmonia) と謂われるが、彼女のエピソードと謂えば、その夫のカドモス (Cadmus)と共に蛇化したエピソードなのだ。ラファエル前派 (Pre-Raphaelite Brotherhood) のイヴリン・ド・モーガン (Evelyn De Morgan) がヴィジュアル化した『カドモスとハルモニア (Cadmus And Harmonia)』でも観る事の出来るエピソードだけれども、この中に彼女のアイデンティティである、協調と調和を見出すのは難しい。

images
上に掲載するのはピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ (Pierre Puvis de Chavannes) の初期の作品『コンコルディア (Concordia)』。この作品に顕われる群像の中の誰がコンコルディア (Concordia) であろうかと詮索するのはよしたがいい。と、いうのも、コンコルディア (Concordia) は婚姻と和合の神でもあるのだから。ここに登場する幾人かの男女は、これから、己の恋人 / 伴侶を捜しだそうとしているのに違いない。

次回は「」。

あっ! 小惑星 (Asteroid) のコンコルディア (58 Concordia) を盛り込み忘れた!!
宇宙 [=秩序 (Cosmos)] の中にある調和 [コンコルディア (58 Concordia)] と、とりあえず言っておく。
関連記事

theme : ふと感じること - genre :

i know it and take it | comments : 0 | trackbacks : 0 | pagetop

<<previous entry | <home> | next entry>>

comments for this entry

only can see the webmaster :

tackbacks for this entry

trackback url

https://tai4oyo.blog.fc2.com/tb.php/592-6cb690d0

for fc2 blog users

trackback url for fc2 blog users is here