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2010.11.22.18.45

『エレクトリック・レディランド (ELECTRIC LADYLAND)』 by ジミ・ヘンドリックス (The Jimi Hendrix Experience) disc two

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前回のdisc oneでは、作品のフォーマットの話に終始したから、今回はジミ・ヘンドリックス (Jimi Hendrix) の音楽について語りたい。
なにやら群盲象を撫でる (den Wald vor lauter Baeumen nicht sehen) 様な気がしないでもないのだけれども、音楽を語る事ソレ自体が、そういう徒労じみた行為なのだから。
と、自戒の様な諦念の様な戯言をほざいてから、書き始めてみる。

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ぼくが初めてジミ・ヘンドリックス (Jimi Hendrix) の音楽を聴いたのは、恐らく、殆どのヒトビトがそうであろう様に、『星条旗よ永遠なれ (Star Spangled Banner)』だった。19698月18日に、ウッドストック・フェスティバル (Woodstock Music And Art Festival) で演奏されたヴァージョンだ [『ライヴ・アット・ウッドストック (Live At Woodstock)』収録]。

御馴染みのあのメロディが、歪んだ音像で奏でられそれが次第次第に、より強力な歪みとなって顕われる。
多分に過剰であると同時に、ある種の時代意識やある種の危機意識を内包しているがために、音楽として以上に、それとは無縁の場所で聴かされる事になる。
前回の米大統領選挙 (The United States Presidential Election Of 2008) のニュース報道でも、某番組ではそのジングルとして起用していたと言う記憶がある。
アメリカ的なるもの、1970年代的なるもの、もしくは社会に対するアティチュードを表明するものとして、この楽曲は使われて来た気がする。
そしてその一方で、放送が始ったばかりの『ひらけ!ポンキッキ』 [1973年放送開始] でのジングルにも起用されていたと言う記憶もある。この場合は、上に記した様なメッセージ性よりも、なにか大仰で物々しいファンファーレという様な位置づけだと、思うのだけれども。

そして、ぼく達が洋楽を聴き始めた1970年代の中盤は、ギター・ヒーローという概念が横行していた時代で、フュージョン (Jazz Fusion) の擡頭に代表される様に、高度なテクニックに裏付けられた音楽というのが、もてはやされた時代だ。
その中では、既に故人であったジミ・ヘンドリックス (Jimi Hendrix) は、いろいろな意味で別格扱いだったと思う。
ヤードバーズ三大ギタリスト (The Yardbirds : The Stomping Ground Of Guitar Gods ) [エリック・クラプトン (Eric Clapton)、ジェフ・ベック (Jeff Beck)、ジミー・ペイジ (Jimmy Page)] の上位にも位置づけれれば、ロビン・トロワー (Robin Trower) やフランク・マリノ (Frank Marino) の様なジミ・ヘンドリックス (Jimi Hendrix) ・フォロワーの登場もある。
と、同時に、『星条旗よ永遠なれ (Star Spangled Banner)』に代表される様な、ジミ・ヘンドリックス (Jimi Hendrix) の過剰とも言えるエフェクト処理を多用した演奏が批判の的を浴びていた時代でもある。現在ではとても信じられないのだけれども、小手先とも垂れ流しともクスリ漬けとも言われていたのだ。
尤もこれは当時、ジミ・ヘンドリックス (Jimi Hendrix) の、玉石混淆の未発表音源が多量に販売されていた、そのせいかもしれないが。
いずれにしろ、そんな時代は、一方でのパンク・ムーヴメント (Punk Movement) の勃興と、新しいスタイルを持ったギタリスト [ブライアン・メイ (Brian May) やエドワード・ヴァン・ヘイレン (Edward Van Halen)] の登場によって、随分と様変わりしてしまうのだが。

むしろ、ぼくは当時のそんなジミ・ヘンドリックス (Jimi Hendrix) のイメージとは全く異なる印象を持っている。それは、ある体験からもたらされた。それは学生時代の、こんなエピソードだ。
休日はいつも、友人宅に集合して手持ちの楽器をかき鳴らしていた。それはセッションと呼べる様なものではなくて、各自勝手に演奏したいフレーズを気侭に鳴らしている、ただ矢鱈と騒がしいものだった。
Nクンは、エリック・クラプトン (Eric Clapton) に心酔していて、その日もエリック・クラプトン (Eric Clapton) の楽曲を演奏していた。その曲は、大仰なイントロを持つ代わりに、たおやかで情感のあるメロディをもっていた。問い質すと、オリジナルはジミ・ヘンドリックス (Jimi Hendrix) だと言う。
アクシス:ボールド・アズ・ラヴ (Axis: Bold As Love)』に収録された『リトル・ウイング (Little Wing)』だと言う。
ちょっと待て、そのアルバムならば、俺は持っている筈だ。知らない訳がない。
帰宅した後に、そのアルバムを引っ張り出して聴いてみると、確かにその曲だ。
でも、ぼくのアルバムで聴けるそれは、非常に地味でとっても繊細で、始ったと思ったらいつのまにか終わっている様な、小曲なんだ。

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このエピソードから、そんな小曲からオリジナルに潜む楽曲自体の魅力を発見し、それを充分すぎるくらいに引き出したエリック・クラプトン (Eric Clapton) の実力という論も可能だけれども、そっちぢゃあない方の話だ [エリック・クラプトン (Eric Clapton) による『リトル・ウイング (Little Wing)』の演奏はデレク・アンド・ザ・ドミノス (Derek And The Dominos) の『いとしのレイラ (Layla And Other Assorted Love Songs)』で聴けるから]。
ややもすると、小手先とも垂れ流しともクスリ漬けとも揶揄されてしまうジミ・ヘンドリックス (Jimi Hendrix) だけれども、むしろ、逆なのではないか。曲のアイデアをぽぉんと放り出して、その魅力を研磨したり錬磨したりする事は、苦手なのぢゃあないのだろうか。

だからこその、あのライヴ・パフォーマンスなのではないだろうか。常に自身の楽曲は原石でしかないのが解っているから、絶えず、ステージで最大の魅力を輝かさせようとアプローチする。聴けば解ると思うのだけれども、ひとつとして同じフレーズは出て来ないし、しかも微妙に異なるそのフレーズはひとつひとつはその場でしか輝きえない。
そのもどかしさがあるからこそ、歯でも弾けば、背中でも弾く。文字通り、歯がゆいのだ。
完成形は、いつまでたっても手の届くところに顕われないし、だからと言って、己の肉体だけでは限界があるのだ [ライヴ映像を観ると、あんなにも凄まじく指がギターの上をのたうち回るのに、繊細なフレージングが迸るのだろうと思う]。

そして、その限界はあまりに早く彼の前に顕われたのだ。

だから、本来ならばもっとクローズアップされてもいい筈の、ヴォーカリストとしての力量や、ソングライティングの技量はどうしても、オミットされてしまう。
例えばあなたは、もしもMTVアンプラグド (MTV Unplugged) に彼が出演したらどんなパフォーマンスをしたのかと、妄想した事はないのかな? 恐らくたった独りで、アコースティック・ギター一本で、素晴らしいパフォーマンスを繰り広げてくれるに違いないと、ぼくは思っているのだけれども。

ものづくし(click in the world!)98. :
『エレクトリック・レディランド (ELECTRIC LADYLAND)』
by ジミ・ヘンドリックス (The Jimi Hendrix Experience)


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エレクトリック・レディランド (Electric Ladyland)』 by ジミ・ヘンドリックス (The Jimi Hendrix Experience)

Side A: 20' 50" (1~4)
1. 愛の神々
 And the Gods made love (J. Hendrix)
2. エレクトリック・レディランド
 Have you ever been to Electric Ladyland (J. Hendrix)
3. クロス・タウン・トラフィック
 Cross town traffic (J. Hendrix)
4. ヴードゥー・チャイル
 Voodoo Chile (J. Hendrix)

Side B:
1. 静かな雨、静かな夢 4' 23"
 Still Raining, Still Dreaming (J. Hendrix)
2. 焼け落ちた家 4' 32"
 House burning down (J. Hendrix)
3. ウォッチ・タワー 3' 58"
 All along the Watchtower (B. Dylan)
4. ヴードゥー・チャイル(2) 5' 10"
 Voodoo Chile (slight return) (J. Hendrix)

Side C:
1. リトル・ミス・ストレンジ 2' 48"
 Little Miss Strange (N. Redding)
2. 長く暑い夏の夜 3' 25"
 Long Hot Summer Night (J. Hendrix)
3. カム・オン 4' 07"
 Come on (E. King)
4. ジプシー・アイズ 3' 42
 Gypsy eyes (J. Hendrix)
5. 真夜中のランプ 3' 38"
 The Burning of the Midnight Lamp (J. Hendrix)

Side D: 18' 20" (1~3)
1. 雨の日に夢去りぬ
 Rainy day, Dream away (J. Hendrix)
2. 1983
 1983 (J. Hendrix)
3. 月夜の潮路
 Moon, turn the tides...gently, gently away (J. Hendrix)

Produced and directed by Jimi Hendrix
Photographs by David Montgomery.
Photographs of Mitch Mitchell and Noel Redding : Donald Silverstein
Cover by David King

以上が、ぼくが所有している日本盤LPでのクレジットである。ジョージ吾妻 (George Azuma) による解説が掲載されている。

以下、その後に入手した日本盤CDに掲載されているクレジットを補足しておく。解説は北井康仁が執筆している。
また、CDの収録順は"変更"されていて、CD盤ではA面C面D面B面の順で収録されている。

HELP FROM OUR FRIENDS AND PASSENGERS INCLUDES:

on Rainy day and Still Raining
Organ ... Mike Finnigan
Horn ... Freddie Smith
Congas ... Larry Faucette
Drums ... Buddy Miles

on 1983
Flute ... Chris Wood

on Voodoo Chile
Organ .... Stevie Winwood
Bass ... Jack Casady

on Long Hot Summer Night
Piano ... Al Kooper

We dedicate this album to acoustic and electric woman and man alike, and to the girl at or from or with the button store, and Arizona, and Bil of some English town in England, and well, EVERYBODY.

PRODUCED AND DIRECTED BY JIMI HENDRIX

All compositions written and arranged by Jimi Hendrix, with the exceptions of Little Miss Strange, by Noel Redding. All along the Watchtower, by Bob Dylan (arranged by Jimi Hendrix), and Come On (Part 1), by Earl King / All compositions published by Bella Godiva Music with the exceptions of Little Miss Strange, Joint Music; Burning of the Midnight Lamp, Yameta Co., Ltd; and All along the Watchtower, Dwarf Music / Recorded at The Record Plant. NewYork / Engineers; Gary Kellgren and Eddie Kramer / Back cover photo; Karl Ferris / Black-and white photos; Linda Eastman / Art Direction; Ed Thrasher / Liner Photography in part by David Sygall

LETTER TO THE ROOM FULL OF MIRRORS by JIMI HENDRIX
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