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2010.07.19.00.10

『地獄に堕ちた野郎ども (DAMNED DAMNED DAMNED)』 by ダムド (THE DAMNED)

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シングル・レコードを最も早く発表し、デヴュー・アルバムを最も早く発表し、そして最も早く解散したその上に、最も早く再結成したパンク・バンド。
ダムド (THE DAMNED) をパンク・バンドという切り口で紹介するには、最も早くて最も解りやすい口上が、上の一文である。あと、もうひとつやふたつやみっつくらいは"最も早い~パンク・バンド"という称号があてはまる様な気がしたけれども、忘れてしまった。
でも、まぁ、いいや。
1977年発表の彼らのファースト・アルバムである本作『地獄に堕ちた野郎ども (Damned Damned Damned)』を紹介するには、これで充分だろう。

所謂、五大パンク・バンドと言えば、ザ・クラッシュ (The Clash)、ダムド (THE DAMNED)、ザ・ジャム (The Jam)、セックス・ピストルズ (Sex Pistols)、ストラングラーズ (The Stranglers) [アルファベット・オーダー (Put The Alphabet In Order) で並べてみました] だし、そこから抽出して三大パンク・バンドと言えば、ザ・クラッシュ (The Clash)、ダムド (THE DAMNED)、セックス・ピストルズ (Sex Pistols) [同上] となる。
と、なるのだけれども、スキャンダラスな話題先行で、なかなか本国レコード会社が決まらなかったセックス・ピストルズ (Sex Pistols)を別にすれば、ザ・クラッシュ (The Clash)、ザ・ジャム (The Jam)、ストラングラーズ (The Stranglers) の三バンドは、彼らの活動が話題を呼んだその先にほぼリアルタイムで、ここ日本でも作品が発売された。と、いうのも、これらの三バンドは、メジャー・レコード会社からの発売だったからだ。ザ・クラッシュ (The Clash)はCBSレコード (CBS Records)、ザ・ジャム (The Jam)はポリドール・レコード (Polydor Records)、ストラングラーズ (The Stranglers) はユナイテッド・アーティスツ・レコード (United Artists Records) だった。
勿論、レコード会社とのすったもんだが解消されてヴァージン・レコード (Virgin Records) からの発売が決定したセックス・ピストルズ (Sex Pistols) も、大々的に日本でも発売される。

しかし、我がダムド (THE DAMNED) はスティッフ・レコード (Stiff Records) というインディペンデント・レーベルであり、多分、彼らがレコードを発表した時期は、まだ、日本での配給先が決まっていなかったんぢゃあないのだろうか [メジャー・レコード会社ではなくて、インディ・レーベルからの発売であるからこそ、彼らが数多くの"最も早い~パンク・バンド"の称号を手に入れられた所以なのだけれども]。
と、いうよりもそれ以前に、ぼく達の耳に、当時の英国を席巻しているパンク・ムーヴメント (Pink Movement) の情報が届き、彼らに関心を持ち始めた頃には、実は既にダムド (THE DAMNED) は解散してしまっているのであった。

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それでも当時のデイヴ・ヴァニアン (Dave Vanian) のヴァンパイア・ファッション (Vampire Fashion) ―黒髪をオールバックで決めてアイシャドウもルージュも黒そして重々しい漆黒のスリーピースを着る―は、音楽誌やファッション誌で、いくどか見かけた記憶がある。個人的には、既に定型となりつつあった安全ピン (Safety Pin) や破れたT-シャツ (Torn T-shirt) よりも、遥かに魅力的に思えたものだった [デイヴ・ヴァニアン (Dave Vanian) のファッションも後には、ゴシック・ファッション (Gothic Fashon) の定型になってしまうのだけれども]。
上記掲載画像は、本作発表時の彼ら。左から、ラット・スケイビーズ (Rat Scabies : dr)、キャプテン・センシブル (Captain Sensible : b)、ブライアン・ジェイムス (Brian James : g) そしてデイヴ・ヴァニアン (Dave Vanian : vo)。

ぼくが彼らのこの作品を入手出来たのも、パンク・ムーヴメント (Pink Movement) の次のムーヴメントの牽引者達が、スティッフ・レコード (Stiff Records) を根城に作品を発表し出してからの事である。エルヴィス・コステロ (Elvis Costello) やイアン・デューリー (Ian Dury) やニック・ロウ (Nick Lowe) [彼はダムド (THE DAMNED) の本作品のプロデューサーでもある] 等がスティッフ・ツアー (Be Stiff Tour) と銘打って英国全土でショーケース・ツアーを行い、自身の音楽とそれを支えるレーベルをアピールしていた。そして、彼らとは異なる切り口で話題となったのが、同レーベルから登場したディーヴォ (Devo) だった。
既に1978年。ダムド (THE DAMNED) が本作品を発表した年から一年が経過し、彼らは1978年の4月に最初の解散をする。この間、僅か一年の事だけれども、この一年間に、シーンは目紛しく動いてるのだ。

つまり、ぼくは話題沸騰中の新興レーベルの、その初期を飾る名盤として、本作品に触れる事になったのであった。
正直に言えば、邦題の『地獄に堕ちた野郎ども (Damned Damned Damned)』というアナクロニズム (Anachronism) に非常に抵抗があった。
当時も今も、"地獄 (Hell)"と言えば、キッス (Kiss) が相場だから、ちょいと違うんでないの? と、この邦題に決定した人物の知的水準を疑ったのだけれども、よぉく考えてみれば、ルキノ・ヴィスコンティ (Luchino Visconti di Modrone) 監督の映画『地獄に堕ちた勇者ども (La Caduta degli dei / The Damned)』のパロディであった。もっとも、ダムド (THE DAMNED) というバンド名を選んだメンバー本人達に、その意図があったかどうかは知らない。少なくとも、古典的なスラップスティック・ギャグ (Slapstick Gag) のひとつ、パイ投げ (Pieing) の果ての茫然自失を演出するこのジャケットには、ルキノ・ヴィスコンティ (Luchino Visconti di Modrone) の美学の片端すら、見出せないのだ。
ルキノ・ヴィスコンティ (Luchino Visconti di Modrone) 監督よりもむしろ、ウルフ・リラ (Wolf Rilla) 監督の『未知空間の恐怖 光る眼 (Village Of The Damned)』の方が、よかったんぢゃあないのかなぁ~、ジョン・カーペンター (John Carpenter) 監督も『光る眼 (John Carpenter's Village Of The Damned)』としてリメイクしているし...、といっても致し方ないんだけれどもね。

と、言う様な作品の周縁部に関しては、あまり気の載らないものなのだけれども、その中身は、そんな事ぁどうでもいい程に、名作だ。
螺子を巻き上げすぎてぶち切れたゼンマイ仕掛け(Mainspring System) が暴走している様な、闇雲な疾走感だけが、作品を支配している。
"言いたい事だけを言う"というストイシズム (Stoicism) とは逆の、言いたい事はたった数語なのに、それを伝える術がみつからなくて呂律が廻らない (Cannot Speak Clearly) 己自身に、いらだっている...そんな印象だ。
「好きだ」という己の感情を自ら理解出来ないが故に、幼馴染の髪の毛をひっつかんでしまう童子にも似ている。

この記事冒頭に"最も早い~パンク・バンド"という称号を列挙して、総てが彼らから始った様な印象を与えた。勿論,彼らはパンク・ムーヴメント (Pink Movement) の中心に致し、それを創った彼らがそれを望んでいた。
しかし、もし、パンク・ムーヴメント (Pink Movement) がなかったら、もしくはほんの一過性の出来事だったら、と思う時がある。
もし仮にそうだとしたら、本作品はどんな評価を得ただろうか。

ラット・スケイビーズ (Rat Scabies) のドラミングから、キース・ムーン (Keith Moon) を想起するかもしれないし、アルバム最終曲の『アイ・フィール・オールライト (I Feel Alright))』からザ・ストゥージズ (The Stooges) に至るかもしれない [この曲は彼らのカヴァーなのだ]。デヴュー・シングルのB面ナンバー『ヘルプ (Help!)』 [勿論、このオリジナルはレノン=マッカートニー (Lennon - McCartney)] のカヴァーと後の彼らのポップ・センスからブリティッシュ・ポップ(British Pop) の伝統に想いを馳せるかもしれない。

ぼく個人は、エム・シィー・ファイヴ (MC5) なのだ。
特に彼らのファースト・アルバム『キック・アウト・ザ・ジャムズ (Kick Out The Jams)』にある性急感や逼迫感に通じるものを、感じる。つまりは、ブライアン・ジェイムス (Brian James) のギター・プレイに、それを多く見出すのだ。

ぼくがこの作品を日本盤で入手した頃、ダムド (THE DAMNED) 再結成のニュースが流れる。そおして、それは『マシンガン・エチケット (Machine Gun Etiquette)』という作品で現実のものとなる。ファースト・アルバムで殆どの楽曲を手掛けたブライアン・ジェイムス (Brian James) はそこにはなく、ベースからパート・チェンジしたキャプテン・センシブル (Captain Sensible) がギタリストとしてメインを張って、彼らの快進撃は再スタートする。

その頃のぼくは、パンク・ムーヴメント (Pink Movement) の次の次のあたりのムーヴメントを追っかけるのに夢中で、彼らとはその先、すれ違ってばかりとなる。

それはまだ、『ボーン・トゥ・キル (Born To Kill)』~『スタッブ・ユア・バック (Stab Your Back)』を、『姦るしか能がない』~『後ろから姦っちまいな』と解読する術をまだ知らない、初心な時代の事であった。

ものづくし(click in the world!)94. :
『地獄に堕ちた野郎ども (DAMNED DAMNED DAMNED)』
by ダムド (THE DAMNED)


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地獄に堕ちた野郎ども (Damned Damned Damned)』 by ダムド (THE DAMNED)

Side One
1. Neat Neat Neat (B. James)
 ニート・ニート・ニート (2:41)
2. Fan Club (B. James)
 ファン・クラブ (2:55)
3. I Fall (B. James)
 アイ・フォール (2:04)
4. Born To Kill (B. James)
 ボーン・トゥ・キル (2:35)
5. Stab Your Back (R. Scabies)
 スタッブ・ユア・バック (0:58)
6. Feel The Pain (B. James)
 フィール・ザ・ペイン (3:35)

Side Two
1. New Rose (B. James)
 ニュー・ローズ (2:42)
2. Fish (B. James - Thanx Tony)
 フィッシュ (1:37)
3. See Her Tonite (B. James)
 シー・ハー・トゥナイト (2:28)
4. 1 Of The 2 (B. James)
 ワン・オブ・ザ・ツー (3:07)
5. So Messed Up (B. James)
 ソー・メスト・アップ (1:50)
6. I Feel Alright (Stooges)
 アイ・フィール・オールライト (4:26)

made to be played loud at low volume.

Dave Vanian ; vocals
Brian James ; guitar, vocals
Captain Sensible ; bass, vocals
Rat Scabies ; drums, vocals

Produced by Nick Lowe
Engineered by Bazza
Recorded in London
Front Cover by Peter Kodick
assisted by Judy Nylon and Pat Palladin
Back cover by Erica Echenberg
Design by Big Jobs Inc
Thanks to No One

THE DAMNED are Advancedale Artists
Damned Disciples Song Book
and recording details
available for £1 inc p and p from
Stiff Records
Where money makes money

ぼくが所有している日本盤LP [ビクター音楽産業 (Victor Musical Industries, Inc.)盤]は、岡田英明森脇美貴夫 (Micky Moriwaki) [19791月20日付] の解説が掲載されている。
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