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2010.07.13.18.38

しおまねきんぐ

今回は、潮招 (Fiddler Crab) について語れと言う主催者からの依頼であるからして、これからそれについて語る事になるのである。

動物の身体は左右対称的 (Bilateria) であるという原則を裏切る例外は、 (Olive Flounder) に (Righteye Flounder)、巻貝(Conch) とそれの屍殻を住処にしている宿借 (Hermit Crab) という様に、例外というには烏滸がましい位に数多くの種がいるのだけれども、それにしても、この潮招 (Fiddler Crab) の非対照性は凄まじい。先に挙げた幾つかの例証の殆どが捩れや回転に起因するにも拘らず、彼だけは別なのである。
捩れや回転に着目すれば、我が身体であるところの小腸 (Small Intestine) ・大腸 (Large Intestine) も捩れておるからである。我が身体は、きちんと左右対称性 (Bilateria) をその外面に於いては保持しておるけれども、その内部に於いては、必ずしもそれは保証されておらん。諸君、人体には盲腸 (Cecum) はひとつしかなく、吾人 (We) においては術作によってそれを既に喪っておる方もおられよう。
さて、本題の潮招 (Fiddler Crab) に主題を差し戻せばすなはち、彼の非対称性は捩れや回転によるものではござらん。盲腸 (Cecum) の有無でも勿論、ない。
一度、潮招 (Fiddler Crab) の身体を吾人 (We) のその眼で直に観たまえ。単純に己の全身体の半分が片腕なのだから、恐れ入る物なのである。
勿論、己の全長の大半を身体の一部が占めるというものは、他に例がない訳ではない。エレキング (Eleking) の様に、尾がその全長の半分以上を占めるという例は、空想生物だけの特権ではない。 (Elephant) は鼻が長いというのは国語文法の一大問題だからここでは例示しないでその代わりにこう言おう、麒麟 (Giraffe) だって頸は長い、と。
しかしながら、彼らの殆どが身体の左右対称性 (Bilateria) を顕示しているのは言うまでもない。ただ独り、潮招 (Fiddler Crab) だけが、孤塁を護っているのである。

と、まるで明治期 (The Meiji Period) の文芸批評 (Literary Criticism) の講演の様な文体で書き綴ってみたけれども、明治期 (The Meiji Period) の文芸批評 (Literary Criticism) の講演なんぞ立ち会った事もないし、それ以前に、時代考証的に、ぼくが明治期 (The Meiji Period) に存在すること自体、土台無理なのである。

なぁに、種を明かせばなんの事はない。かの夏目漱石 (Natsume Souseki) の処女小説『吾輩は猫である (I Am A Cat)』の主要なる登場人物の一人、迷亭 (Meitei aka Waverhouse) 君を想定して、彼になりきって書いたまでである。
その迷亭 (Meitei aka Waverhouse) 君が実際に斯様なる演説を、 (Neco aka A Cat) の主人である珍野苦沙弥 (Chinno Kushami aka Mr. Sneaze) 先生に披露したかどうかは知らん。第一、迷亭 (Meitei aka Waverhouse) 君は、生物学者 (Biologist) ではなくて美学者 (Aesthetician) であるのだから。
強いて言えば、「蛙の目玉の電動作用に対する紫外線の研究」とかゆう厄介な研究に係っている水島寒月 (Mizushima Kangetsu aka Avalon Coldmoon) 君の範疇にあるべきものかもしれないが、彼にはその厄介な研究をせねばならない理由が、別にあるからであった。
なぁに、彼は恋に陥っているのだ。

と、本題からどんどんと離れて『吾輩は猫である (I Am A Cat)』論に埋没しかねないのだが、これには訳がある。

アンドレア・デル・サルト (Andrea del Sarto) を多いに語る大人ふたり [ここの"大人"は、おとなと読まずにタイジンと読むべきものであろう] が、そのアンドレア・デル・サルト (Andrea del Sarto) の出典である『吾輩は猫である (I Am A Cat)』を完読した事がないというのである。これには憤慨した。しかも憤慨させた序でに、彼らが語るに寄せて、ある思想家の発言を引用しながら、己の不行為・不作為を正当化させようとしている。そこに大きな問題があると看て取れる。

あんなに面白い小説なのに。
ちなみに、初めてあの小説を読むモノは、最初から一言一句一文字二文字を漏らさず、余すところなく読み極めようとしない方が良い。
何故ならば、各章の冒頭にある、主人公である (Neco aka A Cat) の独白は、現代の読者にとっては冗長だからだ。彼が独白をやめて、語り手に徹し出した辺りから読み始めるのが良かろう。捜すのには雑作はない。鉤括弧が多用された辺りを捜すが良い。そこから物語の登場人物達が、雄弁に語り出している筈だから。

ついでに書いておくと、各章冒頭の (Neco aka A Cat) の独白は、この作品が発表された当時の読者への、エクスキューズである。
つまり、これからある種の人物達が片っ端から無惨にも、登場人物達に思うがままにやり玉に上げられるのだ。もし仮にやり玉に上げられた当の本人やその種の人物達だったら、面白くはないだろう。だから、ここで (Neco aka A Cat) の独白が作用するのである。ここに書かれている事は、物語という虚構の登場人物達が語りに語るものであり、あまつさえ、その内容の記録者=話者は (Neco aka A Cat)。この小説は畜生 (Tiryagyoni aka Animals) の視点で観たものであるのだ、と。
作者,夏目漱石 (Natsume Souseki) は二重三重に色眼鏡をかけさせて、作者である己への攻撃の矛先をかわそうと画策していたのであった。

以上で、『吾輩は猫である (I Am A Cat)』論の鳥羽口矢庭に向きを変えて、本題に還る事にする。

そう、潮招 (Fiddler Crab) であり、表題に掲げたシオマネキング (Shiomaneking) である。

潮招 (Fiddler Crab) の独特の肢体は、奇異と言えば奇異だし、かわいいと言えばかわいい。
特に、その大きい方の前肢を掲げて、あたかも潮を招いているかの様に観える求愛行動 (Fiddler Crab's Waving) は、その独特のフォルムとあいまって、希代のコメディエンヌの所作の様な印象を抱かせる。

しかし、そんな独特の形態と独自の生態を有している潮招 (Fiddler Crab) であるにも関わらずに、それをデフォルメしてショッカーの怪人化させたシオマネキング (Shiomaneking) は、如何なものだろうか、というのが、ぼく個人の印象なのである。

シオマネキング (Shiomaneking) は『仮面ライダー (Kamen Rider aka Masked Rider)』の所謂ダブル・ライダー編の『第73話 ダブルライダー 倒せ!!シオマネキング (Kamen Rider #73 - Double Riders' Defeat! Shiomaneking)』に登場した。沢りつおが声をあてている。
当時のショッカーの大幹部は、潮健児演じる地獄大使 (Ambassador Hell) であった。
潮招 (Fiddler Crab) を怪人化させた前者と、恐らく (Scorpion) を怪人化させた後者、ふたりの節足動物 (Arthropoda) 型怪人の強力タッグなのである。
この強力タッグが、ダブル・ライダー、すなわち仮面ライダー一号 本郷猛 (Takeshi Hongo, Kamen Rider 1) [演:藤岡弘 (HIroshi Fujioka)] と仮面ライダー二号 一文字隼人 (Hayato Ichimonji, Kamen Rider 2) [演:佐々木剛 (Takeshi Sasaki)] を苦しめるのである。

images
しかしながら、シオマネキング (Shiomaneking) は左腕が鋏状の形態を模しながらも、潮招 (Fiddler Crab) の様な巨大な威圧感を持つ事もなく、また、彼のカラフルな色彩は、あまり潮招 (Fiddler Crab) が属する甲殻類 (Crustacean) の装いを想像させない。むしろ、頭頂部から上半身への青い色彩は、海星 (Starfish) か海鼠 (Sea Cucumber) の様な軟体動物 (Mollusca) 的ななにかを想像させる。しかも、頸部から胸部にかけての赤い彩色は、何故か、だらしなく開いたままになっている口腔を思わせて、彼本来の強さを実感させてくれないのだ。

と、言う様な残念な印象を持っていたぼくは、プロディジー (The Prodigy) の1997年のアルバム『ザ・ファット・オブ・ザ・ランド (The Fat Of The Land)』を観て、吃驚する事になる。
ジャケットに大きくフィーチャーされた潮招 (Fiddler Crab) の、カラフルな彩色は配色さえ違えど、あのシオマネキング (Shiomaneking) のそれを彷彿とさせるものだったからである。

次回は「」。
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