this night wounds time, べむ
fc2ブログ

2010.04.20.21.20

べむ

はやく人間になりたいっ!」で有名な『妖怪人間ベム (Humanoid Monster Bem)』の方ではなくて、ここで採り上げるのは、その語源になったベム
正式名称はBug Eyed Monster複眼 (Compound Eye) を持った怪物。つまりはパルプ・マガジン (Pulp Magazine) や19501960年代SF映画 (SF Movies) に登場した、怪物 (Monster) や宇宙人 (Extraterrestrials In Fiction) 達の事である。

ぼく達の世代にとっては、大伴昌司 (Otomo Shoji) の企画・構成による『週刊少年マガジン (Weekly Shonen Magazine)』のグラビア等で展開された、懐かしくも麗しい世界である。特に、SF映画 (SF Movies) や、野田宏一郎 (Noda Masahiro aka Noda Kouichirou) のパルプ・マガジン (Pulp Magazine) ・コレクションから抜け出た彼らの艶やかで禍々しい姿は、光輝いて観えたものだった。
と同時に、『宇宙家族ロビンソン (Lost In Space)』 [日本初放送:19661968年] 等のアーウィン・アレン (Irwin Allen) による一連のSFテレビ番組や『ミステリーゾーン (The Twilight Zone)』 [日本初放送:19611967年] や『アウター・リミッツ (The Outer Limits)』 [日本初放送:1964年] なんかがあって、ちょっと時代を下ると『宇宙大作戦 (Star Trek)』 [日本初放送:19691970] があって、その最後尾に『スター・ウォーズ (Star Wars)』 [ジョージ・ルーカス (George Lucas) 監督作品] が位置する、そんな作品の系譜に彼らは何度も登場して来た [上に挙げた番組の時系列がバラバラなのは、必ずしも初放送時にリアル・タイムで観ていないからです]。
しかし、本来ならば最後尾である筈の『スター・ウォーズ (Star Wars)』 [ジョージ・ルーカス (George Lucas) 監督作品] は、かつてのSF黄金時代 (The Golden Age Of Science Fiction) のルネサンス (Renaissance) となって、映画公開時は絶滅危惧種 (Endangered Species) かと思われたベム (Bug Eyed Monster) 達を、ものの見事に、文字通りの再生を果たしてしまったのである。
嘘だと思えば、ルーク・スカイウォーカー (Luke Skywalker) [演:マーク・ハミル (Mark Hamill)] 一行とハン・ソロ (Han Solo) [演:ハリソン・フォード / Harrison Ford] の出逢いの場となった、惑星タトゥイーン (Tatooine) の都市モス・アイズリー (Mos Eisley) にあったチャルマンの酒場 (Chalmun's Cantina) を想い返してみるが良い。あそこで酒をあおり、くだをまいていたのが彼ら、ベム (Bug Eyed Monster) 達なのである。

そのおかげでぼく達はかつての『週刊少年マガジン (Weekly Shonen Magazine)』のグラビアで出逢った数多くのベム (Bug Eyed Monster) 達ー金星蟹 (It) [映画『金星人地球を征服 (It Conquered The World)』:ロジャー・コーマン (Roger Corman) 監督作品より] や大頭人 (The Saucer Men) [映画『暗闇の悪魔 (Invation Of The Saucer Men)』:エドワード・L・カーン (Edward L. Cahn) 監督作品より] やメタルナ・ミュータント (Metaluna Mutant) [映画『宇宙水爆戦 (This Island Earth)』:ジョセフ・ニューマン (Joseph M. Newman) 監督作品] 等に再会出来たのである。それは、深夜のTVで放送された場合もあったし、『スターログ (Starlog)』といったSF専門誌の場合もあった。

さて、何故、『スター・ウォーズ (Star Wars)』 [ジョージ・ルーカス (George Lucas) 監督作品] がSF黄金時代 (The Golden Age Of Science Fiction) のルネサンス (Renaissance) となったのか、そしてその前提として何故、かつてあれほどの趨勢を誇っていたベム (Bug Eyed Monster) 達が絶滅危惧種 (Endangered Species) と化してしまったのか。それは、SF史 (History Of Sci-Fi) とそれと表裏一体となって進歩してきた地球文明を観ないと、その全体像は観えて来ない。やけに大風呂敷を拡げている様な気がするのだけれども。
簡単に言ってしまうと、スペース・オペラ (Space Opera) の興亡と、ベム (Bug Eyed Monster) 達の命運は対をなしているからなのだった。

勧善懲悪で、正義と悪の対立図式が明確に区引されたスペース・オペラ (Space Opera) の世界観の中にあっては、善であり正義であるシンボリズムは美であり賢となるその一方で、悪のシンボリズムは醜となり愚となる。
その後者をヴィジュアル化したのが、ベム (Bug Eyed Monster) 。つまり、複眼 (Compound Eye) を持った怪物なのである [逆に言えば、『スター・ウォーズ (Star Wars)』 [ジョージ・ルーカス (George Lucas) 監督作品] 以降、ベム (Bug Eyed Monster) は、正義の側にも悪の側にも混交して登場している]。

それは必ずしも空想上の生物のみならず、巨大蟻 (Them) を描いた映画『放射能X (Them!)』 [ゴードン・ダグラス (Gordon Douglas) 監督作品] や巨大蝗 (The Giant Grasshoppers) を描いた映画『世界終末の序曲 (Beginning Of The End)』 [バート・I・ゴードン (Bert I. Gordon) 監督作品] や巨大蜘蛛 (Tarantula) を描いた映画『世紀の怪物 タランチュラの襲撃 (Tarantula)』 [ジャック・アーノルド (Jack Arnold) 監督作品] でも同じ事 [尤も蜘蛛 (Spider) は複眼 (Compound Eye) ぢゃあなくて単眼 (Simple Eye) なのだけれども]。
人類の英知の埒外にあるモノは、巨大化しその複眼 (Compound Eye) で我々を睨みつけるのである。

何故、彼らが複眼 (Compound Eye) でシンボライズされる様なヴィジュアルを得たのか、それはゆっくりと考えてみたい。
ピエール・ブール (Pierre Boulle) に『猿の惑星 (La planete des singes)』を執筆させたのは、太平洋戦争 (Pacific War) 時における旧日本軍 (Imperial Japanese Army) の捕虜 (Prisoner Of War) としての実体験であった。複眼 (Compound Eye) を持った怪物がパルプ・マガジン (Pulp Magazine) やSF映画 (SF Movies) に登場するのも、そんな遠因があったのかもしれない。

images
上記掲載画像は、エド・カウチャーことエド・カーティア (Edd Cartier) 描く"水星人" (Alien on "The Interstellar Zoo")。
このイラストレーションが『週刊少年マガジン (Weekly Shonen Magazine)』 [だと思ったんだけれども、ちょっと自信はない] で発表された当時、ぼくは彼を模した鉛筆キャップを所有していた。ソフビ (Polyvinyl Chloride) 製で、白く濁った光を放っていたそれの頭部には、孔が空いていて、そこが鉛筆の先を収容する場所だった。
どうやって入手したのかは解らない。当時、10円だか20円だかで出てきたガチャポン (Gashapon) で偶然手に入れたのだろうか。
そして、彼がその後いずこに消失してしまったのかも解らない。
当時、数多くある怪獣グッズの中でも、ぼくにとってはかなりのお気に入りで、丁寧に抽出の中の鍵つきの宝箱に収納されていた筈なのである [もしかしたら、実家に帰省して捜索すれば再出現するかもしれない]。

何故、お気に入りだったのか、改めて解説する必要があるだろうか?
街にも雑誌にもTVにも映画館にも怪物 (Monster) や宇宙人 (Extraterrestrials In Fiction) が溢れ帰っていた時代、駄菓子屋 (Japanese Kiosk) に行けばパチモンの怪獣グッズ (Pachi-mon) がトコロ狭しと売られた時代である。
にも関わらずに...というのではない。それ故に貴重なのである。
だって、エド・カウチャーことエド・カーティア (Edd Cartier) の"水星人" (Alien on "The Interstellar Zoo") なんて、マニアックである上に、本家本元、保守本流の、紛う事なきベム (Bug Eyed Monster) なのだから。

次回は「」。
関連記事

theme : ふと感じること - genre :

i know it and take it | comments : 2 | trackbacks : 0 | pagetop

<<previous entry | <home> | next entry>>

comments for this entry

Re: これは!

コメントありがとうございます。
そして、貴重な体験をご報告して頂き、ありがとうございます。

エースさんが購入されたモノと、恐らく同じモノだと思います。
ただ、わたくしの場合はおもちゃ箱(うぅ、これもとっても懐かしい表現です)の中にいつのまにか紛れていたので、どうやって入手したのか、記憶が判別しないのです。

> 水星人だけでなく、他の宇宙人も有りました。
> 5~6種類は有りました。
そうでしたか、コレ以外にもシリーズ化されて複数の"エド・カウチャー"があったんですねぇ。

2012.03.25.12.24. |from たいとしはる feat. =OyO=| URL

これは!

おぉぉ、懐かしい!
カウチャー・デザインの宇宙人の鉛筆キャップなのか、指人形なのか判然としませんが、
自分も所有しておりました。
そして全て失ってしまいました。
白っぽく、うっすら透けたような素材で、夜光だったきがします。
水星人だけでなく、他の宇宙人も有りました。
5~6種類は有りました。
駄菓子屋で、ビニール袋にごそっと入れられたまま売られていたのを全種類買いました。
海外モンスター等のオモチャはレアだったので大喜びでした。
今までこの駄玩具について誰かと話す機会には恵まれませんでした。

懐かしさの余りつい書き込んでしまいました┏(I : )

2012.03.25.07.09. |from エース| URL [edit]

only can see the webmaster :

tackbacks for this entry

trackback url

https://tai4oyo.blog.fc2.com/tb.php/491-abf3b106

for fc2 blog users

trackback url for fc2 blog users is here