2010.04.20.21.20
正式名称はBug Eyed Monster、複眼 (Compound Eye) を持った怪物。つまりはパルプ・マガジン (Pulp Magazine) や1950~1960年代のSF映画 (SF Movies) に登場した、怪物 (Monster) や宇宙人 (Extraterrestrials In Fiction) 達の事である。
ぼく達の世代にとっては、大伴昌司 (Otomo Shoji) の企画・構成による『週刊少年マガジン (Weekly Shonen Magazine)』のグラビア等で展開された、懐かしくも麗しい世界である。特に、SF映画 (SF Movies) や、野田宏一郎 (Noda Masahiro aka Noda Kouichirou) のパルプ・マガジン (Pulp Magazine) ・コレクションから抜け出た彼らの艶やかで禍々しい姿は、光輝いて観えたものだった。
と同時に、『宇宙家族ロビンソン
しかし、本来ならば最後尾である筈の『スター・ウォーズ
嘘だと思えば、ルーク・スカイウォーカー (Luke Skywalker) [演:マーク・ハミル (Mark Hamill)] 一行とハン・ソロ (Han Solo) [演:ハリソン・フォード / Harrison Ford] の出逢いの場となった、惑星タトゥイーン (Tatooine) の都市モス・アイズリー (Mos Eisley) にあったチャルマンの酒場 (Chalmun's Cantina) を想い返してみるが良い。あそこで酒をあおり、くだをまいていたのが彼ら、ベム (Bug Eyed Monster) 達なのである。
そのおかげでぼく達はかつての『週刊少年マガジン (Weekly Shonen Magazine)』のグラビアで出逢った数多くのベム (Bug Eyed Monster) 達ー金星蟹 (It) [映画『金星人地球を征服 (It Conquered The World)』:ロジャー・コーマン (Roger Corman) 監督作品より] や大頭人 (The Saucer Men) [映画『暗闇の悪魔 (Invation Of The Saucer Men)』:エドワード・L・カーン (Edward L. Cahn) 監督作品より] やメタルナ・ミュータント (Metaluna Mutant) [映画『宇宙水爆戦 (This Island Earth)』:ジョセフ・ニューマン (Joseph M. Newman) 監督作品] 等に再会出来たのである。それは、深夜のTVで放送された場合もあったし、『スターログ (Starlog)』といったSF専門誌の場合もあった。
さて、何故、『スター・ウォーズ
簡単に言ってしまうと、スペース・オペラ (Space Opera) の興亡と、ベム (Bug Eyed Monster) 達の命運は対をなしているからなのだった。
勧善懲悪で、正義と悪の対立図式が明確に区引されたスペース・オペラ (Space Opera) の世界観の中にあっては、善であり正義であるシンボリズムは美であり賢となるその一方で、悪のシンボリズムは醜となり愚となる。
その後者をヴィジュアル化したのが、ベム (Bug Eyed Monster) 。つまり、複眼 (Compound Eye) を持った怪物なのである [逆に言えば、『スター・ウォーズ
それは必ずしも空想上の生物のみならず、巨大蟻 (Them) を描いた映画『放射能X
人類の英知の埒外にあるモノは、巨大化しその複眼 (Compound Eye) で我々を睨みつけるのである。
何故、彼らが複眼 (Compound Eye) でシンボライズされる様なヴィジュアルを得たのか、それはゆっくりと考えてみたい。
ピエール・ブール (Pierre Boulle) に『猿の惑星

上記掲載画像は、エド・カウチャーことエド・カーティア (Edd Cartier) 描く"水星人" (Alien on "The Interstellar Zoo")。
このイラストレーションが『週刊少年マガジン (Weekly Shonen Magazine)』 [だと思ったんだけれども、ちょっと自信はない] で発表された当時、ぼくは彼を模した鉛筆キャップを所有していた。ソフビ (Polyvinyl Chloride) 製で、白く濁った光を放っていたそれの頭部には、孔が空いていて、そこが鉛筆の先を収容する場所だった。
どうやって入手したのかは解らない。当時、10円だか20円だかで出てきたガチャポン (Gashapon) で偶然手に入れたのだろうか。
そして、彼がその後いずこに消失してしまったのかも解らない。
当時、数多くある怪獣グッズの中でも、ぼくにとってはかなりのお気に入りで、丁寧に抽出の中の鍵つきの宝箱に収納されていた筈なのである [もしかしたら、実家に帰省して捜索すれば再出現するかもしれない]。
何故、お気に入りだったのか、改めて解説する必要があるだろうか?
街にも雑誌にもTVにも映画館にも怪物 (Monster) や宇宙人 (Extraterrestrials In Fiction) が溢れ帰っていた時代、駄菓子屋 (Japanese Kiosk) に行けばパチモンの怪獣グッズ (Pachi-mon) がトコロ狭しと売られた時代である。
にも関わらずに...というのではない。それ故に貴重なのである。
だって、エド・カウチャーことエド・カーティア (Edd Cartier) の"水星人" (Alien on "The Interstellar Zoo") なんて、マニアックである上に、本家本元、保守本流の、紛う事なきベム (Bug Eyed Monster) なのだから。
次回は「む」。
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