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2010.03.21.21.47

"HOT RATS" by FRANK ZAPPA

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フランク・ザッパ (Frank Zappa) のアルバム・ジャケットは大別すると、カル・シュンケル (Cal Schenkel) による悪趣味極まりないヴィジュアルか、それとも、フランク・ザッパ (Frank Zappa) ご本尊の大アップのどちらか、もしくはその両方だったりするのだけれども、本作品は幾分、ニュアンスが違う。
廃墟を想わせる石造りのオブジェ [もしかすると地下納骨堂 (Columbarium) の入口かもしれない] に潜むカーリー・ヘア (Curly Hair) の女性がその頭部と両掌だけをのぞかせている。
そのミステリアスな雰囲気と変調させられた色彩は、なんとなくブラック・サバス (Black Sabbath) のファースト・アルバム『黒い安息日 (Black Sabbath)』や映画『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド (Night Of The Living Dead)』 [ジョージ・A・ロメロ (George A. Romero) 監督作品] のヒロイン(?) カレン (Karen Cooper) [演:カイラ・ション (Kyra Schon)] を連想させたりもする。
しかし、一見、シンメトリー (Symmetry) に観えるそのヴィジュアルは、微妙に傾いでいて、微妙に歪んでいる。
そして、勿論、これまで観て観ないふりをしてきたけれども、そのヴィジュアルを挟む格好で、『FRANK ZAPPA』『HOT RATS』と大書きされているのだった。
しかも、だめ押しで指摘すると、このアート・ワークもカル・シュンケル (Cal Schenkel) の手によるのである。

恐ろしく遠回りな地点から、この作品を紹介する文章を書き出してみたのだけれども、では、一体、どこから斬り込んで行けばいいのだろうかと問えば、立ち所に失語症 (Aphasia) になってしまうし、さもなければ、饒舌なとりとめもない言葉が溢れ返って、悶絶してしまうのが、オチなのだ。

ちなみに、以下の、こういうアプローチを試みてみる。

本作品は1969年発表の、フランク・ザッパ (Frank Zappa) 名義では二枚目の作品。彼のバンド、マザーズ・オブ・インヴェンション (The Mothers Of Invention) も含めると7作目となる。

もうこの時点で、ソロ・ワークとバンド活動のふたつの視点が産まれてしまうし、こんなのは序の口 (Jonokuchi : Only The Beginning) なのだ。
楽曲単位、アルバム単位で、彼と彼の作品を語ろうとしても、例えば、マザーズ・オブ・インヴェンション (The Mothers Of Invention) のデヴュー・アルバム『フリーク・アウト! (Freak Out!)』 [1966年発表] からして、LP二枚組。当時の音楽ソフトの枠に収拾しかねる情報量なのである。

だからといって畏れる事はない。
彼の音楽の多義性を逆に楽しめばいいのである。音楽ジャンルで言えば、ジャズ (Jazz) もあれば現代音楽 (Contemporary Classical Music) もあれば、ドゥーワップ (Doo-wop) もある。それはザ・ビートルズ (The Beatles) の通称ホワイト・アルバム (The White Album) 『ザ・ビートルズ (The Beatles)』の日本盤のキャッチが「サーフィンからアバンギャルドまで全30曲」というのと、同じ事なのだ。
彼に関わったミュージシャンで言えば、ジョン・レノン (John Lennon) もいれば、リンゴ・スター (Ringo Starr) もいれば、スティーヴ・ヴァイ (Steve Vai) もいれば、テリー・ボジオ (Terry Bozzio) もいれば、ピエール・ブーレーズ (Pierre Boulez) もいれば、アンサンブル・モデルン (Ensemble Modern) もいる。調子に乗って書けば、ディープ・パープル (Deep Purple) もモンキーズ (The Monkees) もいるのだ。あえて言えば中山康樹が「人員的に、マイルスさえ揃えればだいたい全部のジャズ・ミュージシャンが付いてくる」というのと同じだ。彼の顰に倣って"イモヅルの法則 [(C) ザッパ] "と呼んでもいいかもしれない。
彼の作品をどれでもいいから一枚入手して、その中から、自身の嗜好にあった瞬間やその供給源を捜してみればいいのだ。
なんかの手違いで『フランチェスコ・ザッパ (Francesco Zappa)』 [1984年発表] が最初の一枚だって構いやしない。その楽曲に魅力を感じたのならば、バロック音楽 (Baroque Music) を散策すればいいのだろうし、シンクラヴィア (Synclavier) による自働演奏という手法に眼が向けば、音楽のプログラミングをベンキョウすればいいだろう。きっとコンロン・ナンカロウ (Conlon Nancarrow) に出逢えるだろうから。
えっつ!? その作品が気にいらなかったら、どうしたらよいかって? そんなときは、黙って別のフランク・ザッパ (Frank Zappa) の作品を聴いてみればいい。いつか、己の趣味嗜好にあったフランク・ザッパ (Frank Zappa) に出逢えるだろう。

例えば本作品に限ってみてみれば。
ウィリー・ザ・ピンプ (Willie the Pimp)』でどす黒いヴォーカルをきかせるキャプテン・ビーフハート (Captain Beefheart ) がいる。彼の作品を聴けば、米のアンダーグラウンド・ミュージックの大きな潮流とそこから派生した幾つもの支流が観えて来るだろう。もちろん、彼の吠えんばかりのヴォーカリゼーションに着目すれば、彼の原点のひとつ、ハウリン・ウルフ (Howlin' Wolf) らのブルース (Blues) にも辿り着ける。
それは同様に、本作品に参加した他のミュージシャン、ドン・"シュガーケイン"・ハリス (Sugarcane Harris) にもジャン・リュック・ポンティ (Jean Luc Ponty) にもシュギー・オーティス (Shuggy Otis) にも言える事なのだ。まかり間違って、ジャケットを飾るクリステーィーン嬢 (Miss Christine) のバンド、GTOズ (The G.T.O.'s) の唯一のアルバム『パーマネント・ダメージ (Permanent Damage)』を入手してしまっても、そこではジェフ・ベック (Jeff Beck) とニッキー・ホプキンス (Nicky Hopkins) が待ち構えていてくれる。安心したまえ。

そして、音楽的に本作品を大雑把に捉えてみれば、ヴァイオリンをフィーチャーしたジャズ・ロック (Jazz Rock) ということになるだろうか? この潮流の作品は、『ワカ/ジャワカ (Waka/Jawaka)』 [1972年発表] や『グランド・ワズー (The Grand Wazoo)』 [1972年発表] へと続いて行く。
[今の言葉でいえばラウンジ・ミュージック (Lounge Music) とでもよべる『リトル・アンブレラズ (Little Umbrellas)』のある種の倦怠感も特筆すべきかもしれない。]
それはフランク・ザッパ (Frank Zappa) が本作品を未完の映画のサウンド・トラックとして制作した事にもよるし、参加ミュージシャンの技量にもよるだろう。中でも、フランク・ザッパ (Frank Zappa) 以上に重要な役割を演じたイアン・アンダーウッド (Ian Underwood) のせいかもしれない。
例えばオープニングを飾る『ピーチズ・エン・レガリア (Peaches en Regalia)』は、『フィルモア・ライヴ '71 (Fillmore East: June 1971)』 [1971年発表] では、フロ & エディ (Flo & Eddie) の絶妙なコーラス・ラインをフィーチャーしたかと想えば、『ティンゼルタウンの暴動 (Tinseltown Rebellion)』 [1981年発表] では尊師フランク・ザッパ (Frank Zappa) によるアル・ディ・メオラ (Al Di Meola) やアルヴィン・リー (Alvin Lee) を模したギター・プレイを堪能出来るのだ。

さらに書き加えれば、本作品がフランク・ザッパ (Frank Zappa) にとっては勿論、世界で初めて公にされた16トラック・レコーディング (16 Tracks Recording) 作品なのだ。ザ・ビートルズ (The Beatles) が8トラック・レコーディング (8 Tracks recording) に限界を感じながらも、『アビイ・ロード (Abbey Road)』を制作していた頃の事だ。
このレコーディング技術の向上が、さらなるフランク・ザッパ (Frank Zappa) の音楽世界を拡げる事になるのだけれども、それはいずれ書ける時が来るかもしれない。

今はただ、ぼくの持っている本作CDが、オリジナルLP音源に、アルバム制作時のオリジナル・マテリアルをさらに加えたものである事を申し添えておこう [ライコ (Rykodisc) 盤です。すいません]。

ものづくし(click in the world!)90. :
"HOT RATS" by FRANK ZAPPA


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"HOT RATS" by FRANK ZAPPA

Remixed from the original multi-track masters with added material from the original sessions

1. PEACHES EN REGALIA 3:37
2. WILLIE THE PIMP 9:16
3. SON OF MR. GREEN GENES 8: 29
4. LITTLE UMBRELLAS 3:03
5. THE GUMBO VARIATIONS 16:57
6. IT MUST BE A CAMEL 5:16

FRANK ZAPPA: guitar, octave bass, percussion
IAN UNDERWOOD: piano, organus maximus, all clarinets all saxes.

MUSICAIANS:
CAPTAIN BEEFHEART - vocal on "Willie The Pimp" (courtesy Straight Records)
SUGAR CANE HARRIS - violin on "Willie The Pimp" & "The Gumbo Variations"
JEAN LUC PONTY - violin on "It Must Be A Camel" (courtesy World Pacific Records)
JOHN GUERIN - drums on "Willie The Pimp", "Little Umbrellas" & "It Must Be A Camel"
PAUL HUMPHREY - drums on "Son Of Mr. Green Genes" & "The Gumbo Variations"
RON SELICO - drums on "Peaches En Regalia"
MAX BENNETT - bass on "Willie The Pimp", "Son Of Mr. Green Genes", "Little Umbrellas", "The Gumbo Variations" & "It Must Be A Camel"
SHUGGY OTIS - bass on "Peaches En Regalia"

ENGINEERS:
DICK KUNC - Whitney Studios
JACK HUNT - T.T.G.
CLIFF GOLDSTEIN - T.T.G.
BRIAN INGOLDSBY - Sunset Sound

Recorded a track August through September 1969
Digitally Remixed 1987

Cover design: Cal Schenkel
CD Package design: J. E. TULLY

All compositions composed and arranged by Frank Zappa and controlled worldwide by Frank Zappa Music, BMI

dedicated to DWEEZIL, BUB & GIL

Produced by FRANK ZAPPA
Digital Remixes engineered by Bob Stone
at the Utility Muffin Research Kitchen

(C) 1970 Frank Zappa Music, BMI
(C) (P) 1987 Barking Pumpkin Records

manufactured and marketed by RYKODISC under exclusive license.
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