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2010.02.21.21.16

"THE COMPLETE LESTER YOUNG" by LESTER YOUNG

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レスター・ヤング (Lester Young) は、ぼくにとっては謎だらけの人物である。
そもそも彼を知るきっかけとなったのが、ジェフ・ベック (Jeff Beck) とジョニ・ミッチェル (Joni Mitchell) とモノクローム・セット (The Monochrome Set) なのだから、そのみっつの焦点を紡いでみたとしても、茫洋とした人物像が、姿を現す訳ではない。

とりあえず順番に観て行こう。

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ジェフ・ベック (Jeff Beck) は1976年発表の『ワイアード (Wired)』で、ジョニ・ミッチェル (Joni Mitchell) は1979年発表の『ミンガス (Mingus)』で、チャーリー・ミンガス (Charles Mingus) の『グッドバイ・ポーク・パイ・ハット (Goodbye Pork Pie Hat)』を採り上げている。
前者で言えば、ジェフ・ベック (Jeff Beck) ならではのスリリングでトリッキーな楽曲が二曲続いた後の、クール・ダウンさせるポジションにその曲は位置し、後者で言えば、アルバムのクロージング・ナンバーとなっている。
後者の作品コンセプトがチャーリー・ミンガス (Charles Mingus) 追悼であるから、言わずもがななのだけれども [この経緯をきちんと書くのはいつか別の場所で]、この楽曲の表題に掲げられた"ポーク・パイ・ハット (Pork Pie Hat)"こそ、本稿の主人公レスター・ヤング (Lester Young) に他ならない。
[上に掲載するのは、そのポーク・パイ・ハット (Pork Pie Hat) を被って演奏するレスター・ヤング (Lester Young)]
1959年発表のチャーリー・ミンガス (Charles Mingus) の『ミンガス Ah Um (Mingus Ah Um)』に収められて発表されたこの曲は、チャーリー・ミンガス (Charles Mingus) 自身によって1963年発表の『5(ファイヴ)・ミンガス (Mingus Mingus Mingus Mingus Mingus)』で『レスター・ヤングのテーマ (Theme For Lester Young)』として再演されている。
ゆったりとしたこのブルース・ナンバーは、沈痛にも哀惜にも叙情にも演奏可能であり、聴くモノにその解釈を自由にさせる。

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彼らがこの楽曲を採り上げた当時は、実はビリー・ホリデイ (Billie Holiday) の自伝『奇妙な果実:ビリー・ホリデイ自伝 (Lady Sings The Blues)』もチャーリー・ミンガス (Charles Mingus) の自伝『ミンガス自伝・敗け犬の下で (Beneath The Underdog)』も読んでいる筈なのだ。そして、そのどちらにも、ポーク・パイ・ハット (Pork Pie Hat) の男は重要な役回りを演じている筈なのだが。
ちなみに、ダイアナ・ロス (Diana Ross) 主演で制作されたビリー・ホリデイ (Billie Holiday) の伝記映画『ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実 (Lady Sings The Blues)』 [シドニー・J・フューリー (Sidney J. Furie) 監督作品 1972年公開] は未体験なので、レスター・ヤング (Lester Young) を彷彿とさせる人は登場したのか否か、そして彼がどういう役回りを果たしたのかは解らない。
[上に掲載した画像は、『ザ・サウンド・オブ・ジャズ (Sound Of Jazz)』での『ファイン・アンド・メロウ (Fine And Mellow)』の演奏シーン。手前がビリー・ホリデイ (Billie Holiday)。左からレスター・ヤング (Lester Young)、コールマン・ホーキンス (Coleman Hawkins)、そしてジェリー・マリガン (Gerry Mulligan)。]

しばらくすると、モノクローム・セット (The Monochrome Set) が『レスター・リープス・イン (Lester Leaps In)』という楽曲を発表する。『ミンガス (Mingus)』発表と同じ年、1979年の事だ。
バンドのギタリスト、レスター・スクウェア (Lester Square) の軽快な演奏をフィーチャーしたこのインストルメンタル・ナンバー。まさにタイトルどうり、レスター・スクウェア (Lester Square) が飛び込んで来る (Leaps In) その様をタイトルに持って来たのかというと、さにあらず。
カウント・ベイシー (Count Basie) 初期の代表曲『レスター・リープス・イン (Lester Leaps In)』から、その題名を拝借した様なのだ [1939年録音のアルバム『レスター・リープス・イン (Lester Leaps In)』他で聴ける]。
この『レスター・リープス・イン (Lester Leaps In)』が、レスター・ヤング (Lester Young) をフィーチャーした楽曲である事は、言うまでもない。

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そんな具合で、徐々にレスター・ヤング (Lester Young) という人物の幻影が観え始めた頃に、彼のバイオグラフィーを知れば知る程、彼がよく解らなくなって来る。
例えば、何故、彼は小首を傾げて演奏しているのだろうか、という事だ。それが彼独特の演奏スタイルで、そのポージングでなければ演奏出来ないのかと言えば、端正に正面を見据えたポートレイトも散見している。
兵役に出て、そこでの屈辱的な体験から、精神的に傷つき、演奏スタイルも変貌を遂げたとあるから、それが影響しているのだろうか?
その追証を行う事はぼくの能力では手にあまる事だけれども、『ブルー・レスター (Blue Lester)』 [1944, 1949年録音] でも御馴染みのポーズ [上に掲載] は、どこから来たものなのかだけでも、いつかは知りたいものだ。単純にカメラのアングルによって、いつものポーズがこんなにアクロヴァティックに観えるのか、それとも、高々とサックスのベルを掲げて自慢のフレーズを繰り出しているのか、一体、どちらなのだろう。

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ところで、ぼくが彼自身と彼の音楽に興味を持ったきっかけは、実は、数点の写真なのだ。それが上に掲載したもの。
1956年の、モダン・ジャズ・カルテット (Modern Jazz Quartet) やマイルス・デイヴィス (Miles Davis) 等とのヨーロッパ・ツアーでのもの。撮影はエド・ファン・デア・エルスケン (Ed van der Elsken)。こちらこちらのサイトで紹介されているこれらの写真の幾つかが写真集『エルスケン|ジャズ 1955–1959・61 (Ed Van Der Elsken: Jazz)』として纏められている。
マイルス・デイヴィス (Miles Davis) がソロをとっている際のレスター・ヤング (Lester Young) の威風堂々ぶり、逆に、レスター・ヤング (Lester Young) のソロの時に眼を輝かせ零れるマイルス・デイヴィス (Miles Davis) の会心の笑み。
マイルス・デイヴィス (Miles Davis) 史観でみれば、オリジナル・クインテットによる例の"マラソン・セッション=Ing四部作"のレコーディングも終了した頃、レスター・ヤング (Lester Young) 史観で観れば、絶頂期をとうに過ぎてしまった頃。
「初めてレスターを聴く人は、これで判断してはならない。この背景には、話せば長いレスター涙の物語があるのだ」 [from 『新・マイルスを聴け!!』 by 中山康樹]
にも関わらずに、このふたりの表情なのである。
その表情を思い浮かべながら、彼の絶頂期と言われる作品群をぼくは聴くのである。

ものづくし(click in the world!)89. :
"THE COMPLETE LESTER YOUNG" by LESTER YOUNG


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ザ・コンプリート・レスター・ヤング・オン・キーノート (The Complete Lester Young)

THE ESSENTIAL KEYNOTE COLLECTION 1
the complete LESTER YOUNG
QUARTET KANSAS CITY SEVEN featuring COUNT BASIE

01. JUST YOU, JUST ME (HL 1 - 1) 3:04
  (Jesse Greer / Raymond Klages)
02. JUST YOU, JUST ME (HL 1 - 2) 3:09
03. I NEVER KNEW (HL 2 - 2 ) 3:05
  (Ted Fio Rito / Gus Kahn)
04. I NEVER KNEW (HL 2 - 2) 3:08
05. AFTERNOON OF A BASIE - ITE (HL 3 - 1) 3:07
  (Lester Young)
06. AFTERNOON OF A BASIE - ITE (HL 3 - 2) 3:08
07. SOMETIMES I'M HAPPY (HL 4 - 1)* 3:41
  (Vincent Youmans / Irving Caesar)
08. SOMETIMES I'M HAPPY (HL 4 - 2) 3:05
09. AFTER THEATRE JUMP (HL 21 - 1)* 4:47
  (Dickie Wells)
10. AFTER THEATRE JUMP (HL 22 - 2) 4:42
11. SIX CATS AND A PRINCE (HL 22 - 1)* 5:15
  (Buck Clayton)
12. SIX CATS AND A PRINCE (HL 22 - 2) 4:08
13. SIX CATS AND A PRINCE (HL 22 - 3) 4:08
14. LESTER LEAPES AGAIN (HL 23 - 1) 4:24
  (Buck Clayton)
15. DESTINATION K.C. (HL 24 - 1) 3:51
  (Buck Clayton)
16. DESTINATION K.C. (HL 24 - 2) 3:51

* Previously Unissued Master / Alternate Take

01.~08. LESTER YOUNG QUARTET :
Lester Young (ts)
Johnny Guarnieri (p)
Slam Stewart (b)
Sid Catlett (ds)
New York, December 28, 1943

09.~16. KANSAS CITY SEVEN :
Buck Clayton (tp)
Dicky Wells (tb)
Lester Young (ts)
Count Basie (p)
Freddie Green (g)
Rodney Richardson (b)
Jo Jones (ds)
14. omit tp & tb
New York, March 22, 1944

"THE ESSENTIAL KEYNOTE COLLECTION"
A Joint Project of Nippon Phonogram Co., Ltd. Japan and PolyGram Records, Inc. U.S.A.

Original Recordings Produced by HARRY LIM
Reissue Conceived and Produced by KIYOSHI KOYAMA

Associate Producer : RICHARD SEIDEL
Research Assisted by BOB PORTER and DAN MORGENSTERN
Special Thanks to : DENNIS M. DRAKE (PolyGram Tape Facility)
DONALD ELFMAN, FRANK ABBEY and KIYOSHI TOKIWA

Notes by DAN MORGENSTERN
Director, Institute of Jazz Studies, Rutgers University
Cover Photo : Coutecy of Rutgers Institute of Jazz Studies, Newark, N.J., U.S.A.

THIS CPMPILATION (P)(C) 1987 POLYGRAM RECORDS,INC.
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