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2009.12.15.18.54

かぶ

ほんのちょっと聞き齧った金融証券の話針小棒大 (To Make A Mountain Out Of A Molehill) に語ってもいいし、これから旬の食材を使ったレシピを語ってもいいし、世界最大の販売台数を誇るあのバイクを語っていいのだけれども、その前に、"かぶ"と言えばぼく達世代に於いては、彼しかいない。

アニメ『魔法使いサリー ("Mahotsukai Sally" aka "Sally The Witch")』の登場人物。
そう、あのカブ (Kabu) [演:千々松幸子 (Sachiko Chijimatsu)] である。
自称「チビでも魔法の天才」で、「あたまも優秀」で「身も軽い」上に、「こわいものなぞあるもんか」の、カブ (Kabu) [演:千々松幸子 (Sachiko Chijimatsu)] である。
とはいうものの、夢野サリー (Yumeno Sally) [演:平井道子] 曰く「ほんとかしら?」
なんだけれども、ね。
[上記文中「」内は、『魔法使いサリー ("Mahotsukai Sally" aka "Sally The Witch")』第二期エンディング・テーマ『いたずらのうた』より引用。作詞:山本清・作曲;小林亜星であります。]

カブ (Kabu) [演:千々松幸子 (Sachiko Chijimatsu)] は魔法の国の住人で、魔法の国の王女 (Princess) である夢野サリー (Yumeno Sally) [演:平井道子] がこの人間界に顕われた時についてきた。夢野サリー (Yumeno Sally) [演:平井道子] の事を「おねえちゃん おねえちゃん」と呼ぶので、つい実の姉弟かと想ってしまうが、それはあくまでも人間界で暮す際の設定。実際は、"姉"が王女 (Princess) だからその"弟"は家臣の主従関係でもあるし、もしかしたら、王女 (Princess) のお目付役 (Metsuke) を仰せつかったのかもしれない。
にも、関わらずに、彼は彼女以上に、物語の中心に居て、善くも悪くもトラブルメイカー (Troublemaker) 的な立ち回りを演じる。
特に夢野サリー (Yumeno Sally) [演:平井道子] の同級生 [彼女は人間界では小学校五年生なのだ] 花村よし子 (Hanamura Yoshiko) [演:加藤みどり]、彼女の三つ子の弟達 (The Hanamura Triplets)とは互いに覇を競う仲だから、彼らとカブ (Kabu) [演:千々松幸子 (Sachiko Chijimatsu)] が一悶着起こせば、大変な騒動になるのだ。

と、言う様な話を同世代の女性陣に話すと、時々、怪訝な顔をされる。何故ならば、彼女達にとっては、主役はあくまでも夢野サリー (Yumeno Sally) [演:平井道子] と彼女が振るう魔法のちからなのだ。彼女達からみれば、カブ (Kabu) [演:千々松幸子 (Sachiko Chijimatsu)] や花村家の三つ子 (The Hanamura Triplets) [花村トン吉 (Hanamura Tonkichi) [演:野沢雅子 (Masako Nozawa)]、花村チン平 (Hanamura Chinpei) [演:朝井ゆかり (Yukari Asai aka Yoshiko Asai)]、花村カン太 (Hanamura Kanta) [演:野沢雅子 (Masako Nozawa)] といいます] は、彼女の魅力と魔法の威力を魅せる舞台設定でしかないのだ。

何故なのだろう?と問えば、答えは簡単。
男の子目線と女の子目線の違い、ではないのか。

このアニメが初放送されたのが、1966年。その後何度も何度も再放送されて観る事になるのだけれども、丁度、ぼく達が保育園 (Nursery School) や幼稚園 (Kindergarten) へ通い、その結果、子供達だけの社会が形成され始めたときでもある。
そして、それは同時に、男の子と女の子という別々の生き物がいる事を知ったときでもあるし、あるものがなかったりないものがあったりすることにきづいてしまったときでもある。
そしてそれ以来、男の子と女の子のあいだにはある種の敵対関係、時には対立抗争が興る事になるのである。

だからそれ以降、一方がもつものみるものきょうみのあるものほしいものは、他方にとってはいらないものみたくないものつまらないものこわしてもよいものになってしまった。
そういうときにあって、『魔法使いサリー ("Mahotsukai Sally" aka "Sally The Witch")』は男の子も女の子も観る、数少ないアニメのひとつだったのだ。

なぜそうなったのかは、繰り返しになるけど。
夢野サリー (Yumeno Sally) [演:平井道子] や花村よし子 (Hanamura Yoshiko) [演:加藤みどり] や春日野すみれ (Kasugano Sumire) [演:向井真理子] 達の女の子の世界と、三つ子の弟達 (The Hanamura Triplets)カブ (Kabu) [演:千々松幸子 (Sachiko Chijimatsu)] の男の子の世界が、同時並行に展開されていたからである。

だから、夢野サリー (Yumeno Sally) [演:平井道子] の同級生のひとり、春日野すみれ (Kasugano Sumire) [演:向井真理子] を観ればよく解る。
夢野サリー (Yumeno Sally) [演:平井道子]、花村よし子 (Hanamura Yoshiko) [演:加藤みどり]、春日野すみれ (Kasugano Sumire) [演:向井真理子] とよく三人で行動していたけれども、春日野すみれ (Kasugano Sumire) [演:向井真理子] は男の子目線で観れば一番地味で目立たないしつまらない。おしとやかでおとなしくて優等生だ。むしろ花村よし子 (Hanamura Yoshiko) [演:加藤みどり] の様な子が男の子の間では受けが良い。
にも、関わらずに、女の子達がおえかきちょうに描く、大きな瞳にお星様がキラキラしていた、"おひめさま"や"わたし"は、限りなく春日野すみれ (Kasugano Sumire) [演:向井真理子] に似ていた。勿論、花村よし子 (Hanamura Yoshiko) [演:加藤みどり] を美化したり自身に投影したりして描く子はひとりもいなかったのである。

次回は「」。


いたずらのうた』が流れるエンディング・クレジットでは、一本の紐がくねくね動いてキャラクターの顔を創り上げたり、コマ送りの画像を一面に並べている。そして、その最後には線描だった夢野サリー (Yumeno Sally) [演:平井道子] の顔に色が塗られて、本人の顔が完成する。
つまり、アニメ生成の過程を総て、このエンディングで、ぼく達は知る事が出来たのである。
さらに、そこから30分前に遡って、オープニング・テーマ『魔法使いサリーのうた』 [作詞作曲は『いたずらのうた』と同じ] を想い返してみれば、そこでは、木の根っこがにょきにょきと大きな夢野邸に変身したり、ヘアブラシが鼠を追いかける。それは単純にディズニー (Disney Animation) を位相 (Phase) させただけのものかもしれない。
しかしそれは、アニメが魔法であり、魔法がアニメであること。そして、『魔法使いサリー ("Mahotsukai Sally" aka "Sally The Witch")』そのものがアニメのアナロジー (Analogy) である事に、ぼく達は気づかされてしまっているのであった。
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