2009.08.16.15.30
"Scarecrow
directed by
Jerry Schatzberg
こんな夢を観た。
僕はバスを待っていた。
先程から、このバス停には何本ものバスが停発車しているけれども、それはどれも僕が待っている路線ではない。今日は休日だから、学校に向かうバスの本数が少ないのは知っている。
だけれども、それ以上に、その他の郊外へ向かうバスの本数の多さには呆れてしまう。**公園行き。○○○峠行き。□□駅行き。僕の目の前に停まるバスの総ての行き先が、明後日の方向を目指していて、僕のお目当ての停車地へと向かうバスはない。
八月も後半に入った暑い午後。太陽は高く、陽射しは厳しい。僕一人が停車場に立っているお陰で、ここを通る総てのバスは停車せざるを得ない。昇降口が開く度に、頸を振ったり、手を横に振る。
その度に、乗客の何人かの視線や、舌打ちを浴びる。「こっちは先を急いでいるんだ」そう言いたげだ。いっそのこと面と向かって言ってくれた方がいい。暑さでいらいらしているそのお陰で、拮抗している険悪な雰囲気が、一挙に噴出してしまえばいい。そうすれば、ここから先へと向かえない言い訳になるだろう。
だが、残念ながら、視線や舌打ちを乗せたまま、バスは発車してしまう。遺された僕には、その嫌な体感だけが行き場を喪っている。
しばらくすると、バスはやっと来た。
わずか数十分の時間だけれども、それ以上の時間感覚が僕にはある。金を払い、最前列の席に座る。一日中、浴び続けていただろう陽射しの予熱で、座席が暑い。
バスは路線を右往左往しながら、終点の学校にようやく着く。
学園祭...という訳ではないのだけれども、今日は学内が一般にも開放されている特別な日だ。各サークルの模擬店も立ち並ぶし、近隣の住民も見学に来る。いつもは閑散とした校門も、白いアーチといくつもの風船で飾られて、華やかな様相を呈している。
バスから降りると、後ろから声をかけられた。Yくんだった。聴けば、来春に再受験するつもりなので、こうやって都内の大学を見学しているのだと言う。受験のしんどさはもうこりごりな僕から観れば、信じられない様な話だけれども、それを実行しようとする本人は、実にうきうきとしている。
「ぢゃあ、参りましょうか」行きがかり状、この学校の案内役になってしまう。
(夢から覚醒した時点で、Yくんが既に故人であり、しかも、小学校時代に物故していると気づく。しかし、その夢の中では、そんなこともお構いなしに夢は続く。)
校門を入って正面の並木道を行って学内の中央を目指すよりも、遥かに近い近道がある。特に、陽射しの強いこの季節は、木陰の中を縦走するので、心理的にも余計に近い気がする。しかも学生達ならば誰でも知っていることなので、誰もが使用する。ケモノミチならぬ学生路が出来ているのだ。
だから、Yくんを連れ立ってそこを通ることにする。
数日続いた雨のお陰で、その路は予想以上にぬかるんでいる。靴には赤茶けた土が着くし、ふとした弾みで脚も取られる。さらには、薮蚊も多い。
「失敗したなぁ」という想いが遮る中、携帯がなる。勤め先の同僚からの電話で、出てみると、不味い失態があったらしい。それで、その原因の張本人かもしれない僕に、怒りの矛先を差し向けて来た様なのだ。詰るし、吠えるし、ついでに埒があかない。
もし仮に、僕が張本人だったとしても、どうしようもないし、原因追及するよりも先に、原状回復するしかないでしょう、それにそれをしたくても休日の今日では何も出来ません、今からそちらに向かっても数時間もかかるし、出向いたところで何も出来ません、明日出社次第、行動しますから...と言おうとしたら、いきなり、切られる。
明日のうんざりを抱えながら、Yくんも"いなくなった"そのぬかるんだ路を登って行く。
"Night On The Galactic Railroad
directed by
Gisaburo Sugii
written by
Hiroshi Masumura / Kenji Miyazawa
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