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2023.10.15.07.29

『ジャックスの世界 (VACANT WORLD)』 by ジャックス (JACKS)

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本作を選んだ時点で悩む。
おれはなにをここに綴ればいいんだろう、と。
すきなのか、きらいなのか、みとめるのか、こばむのか。
いや、そういうことではない。
いま、聴く意味があるんだろうか。

最後の疑問は、謂い換えてもいい。
いまだに、とか、いまでも、とか、いまさら、そんな副詞 (Adverb) を掲示するのだ。その方が、問題点は明らかになるだろう。

と、謂うのは、街中に流れる様々な音楽に耳を傾けると、時折、殴り倒してやりたくなる様な語句に遭遇するからだ。
もちろん、そこでなにをうたおうが自由さ。
そして、それが受用されているんだろう。経済として成立してるんだろう。ここでぼくの耳に入ってくると謂う事は。
いや、そんな御託を並べ立ててもどうしようもない。ある意味でそれを聴いてしまった時点で、ぼくの負けなのだから。
ぼくが粗暴になる理由はたったのひとつだ。
ある語句がそこに並べ立てられている。それを聴いたぼくは、きっとあいつらならこう謂うだろうな、そう想う。そして想ったとおりの語句がそのままうその曲にのせて語られる。
ただの散文である。そのまま捲し立てりゃあいいぢゃねいか。音楽なんていらねぇやい。
ばかにしやがって。

かつて、雑誌『ロッキング・オン (Rockin'On)』 [1972株式会社ロッキング・オン (Rockin'on Inc) 創刊] に掲載されていた松村雄策 (Yusaku Matsumura) の文章にこんなくだりがあった。
彼がまだ音楽家として活動していた時の事だろう。
彼が演奏した、楽曲『堕天使のロック (Rock For Fallin' Angel)』 [つげ春乱 (Shunran Tsuge ) アルバム『ジャックスの奇蹟 (Jaks Super Session)』 [1969年発表] 収録] の演奏に苦言が呈されたと謂う。
いまさら「見つめる前に 跳んでみようじゃないか (Let's Leap Before You Look)」もないでしょう、と。その語句はその楽曲の冒頭にある。
執筆者が、それを受けて彼がその文章内でなにを提示したのかは憶えていない。そして、彼が敢えてその楽曲とその楽曲のオリジネイターを否定する発言をそこに綴った意図も解らない。もう随分の昔の文章だ。
猶、その楽曲冒頭にある語句は、短編集『見るまえに跳べ (Leap Before You Look)』 [大江健三郎 (Kenzaburo Oe) 作 1958年発表] の表題をそのまま想起させる。それを前提にすれば、なにを今更と謂う苦言が登場する事自体を否定する事は出来ない。

ジャックス (Jacks) と謂うバンドを知ったのは、彼等の代表曲 『からっぽの世界 Vacant Wold』[早川義夫 (Yoshio Hayakawa) 作詞作曲] だ。
10代の頃、何度か耳にした。それもラジオ (Radio) と謂う媒体を通して、だ。まだその頃は放送禁止曲 (Songs Broadcast Prohibited) に指定はされていなかった。いや、それ以前にそんな指定がされる原因となったであろう語句も普通に流通していたし、TVドラマ等でも普通に起用されていた、と思う。
ふわふわとした曲だな、とおもった。現状を肯定するわけでも否定するわけでもなく、たんたんと現状をのべている。それをだれにむかって発しているのだろう。ささやくのではなくて、つぶやいているだけなのだ。
と、同時にそこにほのかな幸福感をかんずる事ができる。独語するその歌の主人公に対して、なんだか、うらやましささえ感ずる楽曲なのだ。

もう少し自覚的に彼等を認知したのは、遠藤ミチロウ (Michiro Endo) もしくはザ・スターリン (The Stalin) が彼等の楽曲を演奏したからだ [前者は楽曲『われた鏡の中から (In The Broken Mirror)』 [早川義夫 (Yoshio Hayakawa) 作詞作曲 遠藤ミチロウ (Michiro Endo) のカセットブック (Book With Cassette Tape) 『ベトナム伝説 (Vietnam-Legend)』[1984年発表] にて演奏] を、後者は楽曲『マリアンヌ (Marianne)』[相沢靖子 (Yasuko Aizawa) 作詞 早川義夫 (Yoshio Hayakawa) 作曲 ザ・スターリン (The Stalin) のアルバム『フォー・ネヴァー (For Never)』[1985年発表] にて演奏] をそれぞれ自身の解釈によって演奏している。念の為に綴っておけば、リンクしたその先にあるのはオリジナル楽曲である]。
そして、それをうけてはじめて当時、彼等の代表曲『からっぽの世界 Vacant Wold』が放送禁止曲 (Songs Broadcast Prohibited) である事に気付かされたのである。
遠藤ミチロウ (Michiro Endo) もしくはザ・スターリン (The Stalin) はそれを糾弾するが為に、彼等の楽曲をカヴァーした訳ではないだろう。
単純に、それらの楽曲を演奏する事が自身の音楽性の表意に合致している、ただそれだけの筈だ。
少なくとも楽曲『われた鏡の中から (In The Broken Mirror)』の演奏を収録したカセットブック (Book With Cassette Tape) 『ベトナム伝説 (Vietnam-Legend)』には、その楽曲以外にも幾つかのカヴァー楽曲が収録されている。

彼等に楽曲『ロール・オーヴァー・ゆらの助 (Roll Over Yuranosuke)』[相沢靖子 (Yasuko Aizawa) 作詞 早川義夫 (Yoshio Hayakawa) 作曲 アルバム『ジャックスの奇蹟 (Jaks Super Session)』 [1969年発表] 収録] がある。当時の流行作曲家、浜口庫之助 (Kuranosuke Hamaguchi) を揶揄した楽曲だ。
その楽曲にあるあからさまな嫌悪、唾棄はどこから発するのか。
もしかしたら、自身は売れていない、彼は売れている、そんな経済上の問題だけがその楽曲の動機なのだろうか。そうおもえもする、明快なる否定、非難である。
彼の創作した楽曲のリストを眺めるだけで、そこにある音楽や歌詞が脳裏に浮かぶ。ぼくは彼の幾つもの楽曲を聴いて育ってきたのだろう、そんな感慨が浮かぶ。
ぼくの中には、彼と彼等はふたつの異なる領野にあっておそらくなんの違和も齟齬もなく存在している。
そして、彼にあって彼等にないもの、彼になくて彼等にあるもの、それは一体なんだろうと考える。
[その解答がぼくにはないわけではないが、ここでは明示しない。]

彼等の作品を聴くにはいつもためらいがある。単純にいやだなあ、ともおもう。
時代がかった音質と時代がかった演奏で、しかもそれにのせて歌をうたうことばはねっとりとぼくにからみつくからだ。
そのむこうにいかなければ、彼等を堪能する事はできないのだ。

本作を聴いていつもおもうのは、ある時代特有の雰囲気をひきずった楽曲『どこへ (Where?)』」 [相沢靖子 (Yasuko Aizawa) 作詞 木田高介 (Takasuke Kida) 作曲] がいつも新鮮に響くと謂う事だ。
ああ、かっこいいなぁ、そう単純におもう。なんだかここまで綴ってきた事と相反するみたいだ。

[尤も、彼等らしからぬ楽曲『時計をとめて (Stop The Clock)』 [水橋春夫 (Haruo Mizuhashi) 作詞作曲] は、こんな楽曲もあるんだと驚くと同時に作者クレジットをみて納得する。]

そして未だに冒頭曲『マリアンヌ (Marianne)』にある謎が解明できていない [こちらを参照の事]。
たぶん、彼等の楽曲の中でこの曲が最もすきなんだろう。

ものづくし (click in the world!) 252. :『ジャックスの世界 (VACANT WORLD)』 by ジャックス (JACKS)


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ジャックスの世界 (VACANT WORLD)』 by ジャックス (JACKS)

Side 1
1. マリアンヌ Marianne 5'15"
 作詞/相沢靖子 作曲/早川義夫
2. 時計をとめて Stop The Clock
4'12"
 作詞・作曲/水橋春夫
3. からっぽの世界 Vacant Wold 4'56"
 作詞・作曲/早川義夫
4. われた鏡の中から In The Broken Mirror 3'21"
 作詞・作曲/早川義夫
5. 裏切りの季節 Gloomy Flower 3'18"
 作詞・作曲/早川義夫
Side 2
1. ラヴ・ジェネレーション Love Generation 3'34"
 作詞・作曲/早川義夫
2. 薔薇卍 Bara-Manji 2'25"
 作詞・作曲/谷野ひろし
3. どこへ Where? 3'08"
 作詞/相沢靖子 作曲/木田高介
4. 遠い海へ旅に出た私の恋人 Love 4'20"
 作詞/相沢靖子 作曲/早川義夫
5. つめたい空から500マイル 500 Miles From The Sky 2'57"
 作詞/早川義夫 作曲/水橋春夫

ジャックス・メンバー
早川義夫 昭和22年112月15日 リード・ヴォーカル、サイド・ギター
水橋春夫 昭和242月2日 リード・ギター、サイド・ヴォーカル
谷野ひろし 昭和2210月10日 ベース
木田高介 昭和241月8日 ドラムス、フルート

JACKSのLPのための原稿』 by 早川義夫 1968. 6, 27.

収録解説 無署名

東芝音楽工業株式会社 MADE IN JAPN (H) ¥1,800

(P) 1989 Reproduced MAMORU KO+ Assisted MASATO TAKAHASHI + Design HHIROKO GOTSUBO

猶、上記クレジットはぼくが所有している『ジャックスCD BOX (Jacks CD Box)』 [1989年 ソリッドレコード (Solid Records) / SFC音楽出版株式会社 (SFC Music Publishing) 発売] から書き出したモノである。
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