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2009.07.19.16.26

"NEW YORK" by LOU REED

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随分と待たされたアルバム。以前、どこかで書いた様な気がするけれども、クルト・ワイル (Kurt Weill) のトリビュート・アルバム『星空に迷い込んだ男/クルト・ワイルの世界 (Lost in the Stars: The Music of Kurt Weill)』 [プロデュース:ハル・ウィルナー (Hal Willner)] で聴く事が出来た『セプテンバー・ソング (September Song)』が最高だったのだ。
素材である原曲によりかかりもせず、かといって、己の音楽性を殊更に際立たせない、そのアプローチがかっこ良かった。
原曲の持つ、甘美なメロディーは一切姿を現さない筈なのに、その曲が描く叙情は総て兼ね備えている。
ロックンロール (Rock & Roll)
一言で言えば、それ以外のナニモノでもないその曲は、クルト・ワイル (Kurt Weill) のロックンロール (Rock & Roll) でもあると同時に、ルー・リード (Lou Reed) のロックンロール (Rock & Roll) そのものでもあったのだ。

その『星空に迷い込んだ男/クルト・ワイルの世界 (Lost in the Stars: The Music of Kurt Weill)』が発表されたのが、1987年。そして本作品『ニューヨーク (New York)』が1989年。その二年間が永いのか短いのかは極めて個人的な事のなので、その辺は割愛します。

但し、タイトルが彼の産まれ育った地を冠し、そして、ジャッケットがあれだから、相当な自信作か相当な失敗作のどちらかしかない、そんな意味不明な確信を持って、この作品を入手した憶えはある。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド (The Velvet Underground) はいつ聴いても最高だ。

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でも、ルー・リード (Lou Reed) の場合は、必ずしもそうはならない。彼の向いている方向と己自身の関心が一致すればいいのだけれども、それがいくらかズレていると、たまらなくトゥー・マッチだ。
無限大の幻覚 (Metal Machine Music)』の音響も、『ベルリン (Berlin)』の儚美も、『テイク・ノー・プリズナーズ (Live: Take No Prisoners)』の饒舌も、聴くべき時に聴かなければならない。己自身の中にそれを受容し享受する覚悟と意思がなければ、必ず負ける。

では、この作品は?

この作品を聴く時は、彼を信じていればいい。
彼を盲信しろとか、溺愛しろという謂いではない。彼がこの作品の中で語り奏でる事が、真実であるという事、もしくは真理が含まれているかもしれない事を、知っていればよいのである。

CDブックレットのバック・カヴァーに記載されているレコーディング・クレジットは、ルー・リード (Lou Reed) 自身の言葉で記されている。
「俺のギターは左から聴こえる。もう一人のギタリスト、マイク・ラスケの演奏は右だ... (I'M IN THE LEFT & THE OTHER GUITARIST, MIKE RATHKE IS ON THE RIGHT. ...)」
僕は、この書き方に、自身の創作物に対する誠実さと自信の現れを読むのだけれども。
そしてそれはそのまま、この作品で試みられた方法論をそのまま援用しているのだろう、と。

つまり、それは作詞に於ける、ジャーナリスティックな視点 (Journalism) の導入である。ジャーナリスティックな視点 (Journalism) という表現が、政治的な主張や社会的な視座の導入という印象を与えるのならば、次の様に言い換えてもいい。
客観的に描写する事。例え、それが自己の主観的な思索であろうとも、激しい感情の表出であろうとも。

ニューヨーク (New York City) で起こった出来事、ニューヨーク (New York City) で暮す己に起こった出来事、ニューヨーク (New York City) ならばあり得る出来事、ニューヨーク (New York City) の様な大都市ならば起きる筈の出来事、そういった事象やそこから発生する様々な悲喜交々が、本作品に描かれているのだ。

例えば。
ニューヨーク (New York City) で開催される数々の催し物の中でも、一際華やかなハロウィン (Halloween In NYC) の夜。そのパレードの中で、逝ってしまった数々の友人達 [そして若くして亡くなった彼らの死因はAIDS (HIV Positive) だ] と逢う。
"See You Next Year - At Halloween Parade" [from "Halloween Parade"]

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そして、残念な事にここで描写された喪失感が現実のものとなり、『マジック・アンド・ロス (Magic And Loss)』『ソングス・フォー・ドレラ (Songs For Drella)』といった、ルー・リード (Lou Reed) の後の作品に色濃く反映されて行く事になる。

「[14曲収録]58分の間、小説か映画の様に座って、この作品を聴け(LISTENED TO IN ONE 58 MINUTE (14 SONGS!) SITTING AS THROUGH IT WERE A BOOK OR A MOVIE.)」
これがクレジット冒頭での宣言[命令かな?] である。

そして、このアティチュードは、本作品と同一の曲順で収録されたライヴ映像作品『ニューヨーク・アルバム -ライブ (The New York Album)』の発売と、この作品を伴ってのライヴ・ツアーへの結実となる。そのツアーでの演奏曲目は、本作品をその収録順でそのまま演奏するというもので、15年ぶりの再来日公演でも、それはそのまま実行された。
「今日は『ニューヨーク (New York)』収録の曲を、アルバム収録順に演奏する」ー確か開演冒頭にそうルー・リード (Lou Reed) が宣言して始ったのぢゃあないかな? そして、そこでも「座って、この作品を聴」く事になるのだ。

それではきみもそこに座って聴きたまえ。

ものづくし (click in the world!) 82.:
"NEW YORK" by LOU REED


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"NEW YORK" by LOU REED

1. ROMEO HAD JULIETTE (3:09)
2. HALLOWEEN PARADE (3:33)
  [AIDS]
3. DIRTY BLVD. (3:29)
4. ENDLESS CYCLE (4:01)
5. THERE IS NO TIME (3:45)
6. LAST GREAT AMERICAN WHALE (3:42)
7. BEGINNING OF A GREAT ADVENTURE* (4:57)
   [LOU REED - MIKE RATHKE]
8. BUSLOAD OF FAITH (4:50)
9. SICK OF YOU (3:25)
10. HOLD ON (3:24)
11. GOOD EVENING MR.WALDHEIM (4:35)
12. XMAS IN FEBRUARY (2:55)
13. STRAWMAN (5:54)
14. DIME STORE MYSTERY (5:01)
   [To Andy - honey]

THIS ALBUM WAS RECORDED AND MIXED AT MEDIA SOUND, STUDIO B, N.Y.C., IN ESSENTIALLY THE ORDER YOU HAVE HERE. IT'S MEANT TO BE LISTENED TO IN ONE 58 MINUTE (14 SONGS!) SITTING AS THROUGH IT WERE A BOOK OR A MOVIE.

I'M IN THE LEFT & THE OTHER GUITARIST, MIKE RATHKE IS ON THE RIGHT. I DID ALL THE SOLOS EXCEPT FOR THE TWO CLEAN ONES ON "ENDLESS CYCLE" & "SICK OF YOU." ROB WASSERMAN PLAYED THE CLEVINGER ELECTRIC UPRIGHT SIX STRING BASS ON EVERYTHING BUT "ROMEO HAD JULIETTE" AND "BUSLOAD OF FAITH" WHERE MY CO PRODUCER FRED MAHER PLAYED A FENDER. FRED DID ALL THE DRUMS WITH THE EXCEPTION OF "LAST GREAT AMERICAN WHALE" & "DIME STORE MYSTERY" WHERE THE PERCUSSIONIST WAS MAUREEN "MOE" TUCKER. THE RECORD AND MIXDOWN ENGINEER WAS JEFFREY LESSER EXCEPT ON "ROMEO HAD JULIETTE" WHERE FRED MANNED THE BOADS. THE ALBUM WAS MIXED BY FRED, MIKE, JEFFREY & MYSELF. THE ASSISTANT ENGINEER WAS VICTOR DEYGLIO. BOB LUDWIG OF MASTER DISK, NYC DID THE MASTERING. EQUIPMENT WAS HANDLED BY FRANK NEWBERRY WHILE THE PRODUCTION WAS COORDINATED BY SHIRLEY DIVERS AND JENNIFER GROSS. ALL THE BACKGROUND VOCALS ARE BY ME & JEFFREY LESSER AND ON "DIRTY BLVD." DION DI MUCCI. I WANT TO THANK EVERYONE WHO HELPED ME. WITH THE GUITARS, THE PICK UPS, THE SPEAKERS,THE CABINETS AND THE AMPLIFIERS THAT POWER IT ALL.YOU CAN'T BEAT 2 GUITARS, BASS, DRUM.

Lyrics reprinted with permission All Rights Reserved
(C) 1989 Metal Machine Music Inc. BMI

ALL SONGS WRITTEN BY LOU REED EXCEPT *

DESIGN CONCEPT CREATIVE DIRECTION : SYLVIA REED
ART DIRECTOR : SPENCER DRATE
PHOTOGRAPH : WARING ABBOTT

DION DI MUCCI APPEARS COURTESY OF ARISTA RECORDS
FRED MAHER APPEARS COURTESY OF WARNER BROS. RECORDS INC
MAUREEN TUCKER APPEARS COURTESY OF 50,000,000,000,000,000,000,000 WATTS RECORDS
ROB WASSERMAN APPEARS COURTESY OF MCA RECORDS

PRODUCED BY LOU REED AND FRED MAHER
(C) 1989 Sire Records Company

GRAPHICS
NEW YORK IS ONE OF THE FIRST CDS ABLE (WITH USE OF THE NEW CD+ GRAPHICS PLAYERS) TO DISPLAY GRAPHICS ON TV SETS THE CD AUDIO REMAINS PERFECT ON EVERY CD+ G IN THIS CASE. THE BONUS IS YOUR ABILITY ALSO TO WATCH LOU REED'S WORDS DISPLAYED ON FIVE CHANNELS
1. ENGLISH 2. SPANISH 3. FRENCH 4. GERMAN 5. ITALIAN
CD+ GRAPHICS EQUIPMENTS CAN BE PURCHASED STATING JULY, 1989.
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>=OyO=さん

コメントありがとうございます。
あなたのコメントと、この本稿との関連性が見出せませんが、書かれている内容が面白そうな事に言及している様なので、公開させて頂きました。

2010.11.22.16.05. |from たいとしはる feat. =OyO=| URL


『「嫌いなことを努力してるやつ」と「好きなことを好きだからやってるやつ」の間にはかけられるエネルギーに莫大な差があるため凡そ出てくる成果にすごい差があるわけだけど、「好きでやってるだけのことに強い意義を見いだせるやつ」はさらにその上を行くような気がする。』というついったーのコピペから、たぶん自分が強い意義を持って釣女ギア的なああいったプロジェクトに参加できる機会を見つけたら幸せなんだろうなと思うなどした。
 このようにして、数時間とか費やして文書を書くんだけれどこれを評価してくれる人ってそうは居ないんだろうし、そういった環境を見つけるのはそう容易いことでもない。でも確かに存在するそういった環境へどうやって行くのかというのは、また別なマーケティングプロセスみたいなのが必要だという自覚を持っている。
http://www.uggsbestboots.com/

2010.11.22.10.35. |from =OyO=| URL [edit]

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