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2009.07.07.20.31

どてらいやつら

"どてらいやつら"は正式には"どてらい男又"と書く。
ネット上で上手く表記されているのかわからないけれども"男又"は、ワン・ワードであって、要は主に男性を差し示す三人称単数を意味する人称代名詞"やつ"という言葉に、なんで"女又"という女偏の文字を宛てねばならないのか、"おとこ"やったら"男又"でええやろ、という案配なのである。
つまり、例の"ネ申"と書いて"かみ"と読ませて英語に訳せば"God"とか"Master"の意を持たせるのと同じ手法なのだが、こちらの方が二十年早い。何故ならば1986年にJICC出版局[当時]から発行されたカセット・ブックのタイトルなのである。
タイトル表記から、そんなややこしい物言いをつけたアーティストは町田町蔵FROM至福団。
後に芥川賞受賞作家となる町田康の、町田町蔵名義で制作された音楽作品のひとつである。

先ずカセット・ブックという今や存在していないメディアに就いて紹介しなければならないかもしれないけれども、ここではカセット・テープ (Cassette Tape)と書籍を同一梱包にして、その結果、アーティスト・サイドでは書籍部分でヴォジュアル面での表現の多様化を可能にしたと同時に、ビジネス・サイドではレコード店舗での流通だけでなく書店流通も可能に出来たのだ。と流しておこう。
カセット・ブックの発行が端緒となって、雑誌『宝島』[JICC出版局発行]は、インディーズ・ブーム[第二次]バンド・ブームを演出し、自らもキャプテン・レコードというレーベルを運営する事になるのだ。と、ここも流してしまおう。

images
今回採り上げるこの作品『どてらい男又』は、前述した様に、町田町蔵FROM至福団名義の唯一の作品で、メンバーは町田町蔵北田昌宏山崎春美の三人。

オリジナル・フォーマットのカセット・ブック版は勿論、1991年に発売されたCD版も既に廃盤となって入手困難となっている模様なので、youtubeあたりで個々の楽曲を聴いてもらうしか方法がない。「小座敷ドッグ」「機械が どんどん 廻る 廻る」「ちゃんぽん部屋」が、現時点では視聴可能な模様。

さて、聴いて頂いた方は、どの様な感想をお持ちになっただろうか。
まるでが外れた自働機械 (Automatism) が暴走している様な狂躁状態となったエレクトロニクスのビートと、時にはその演奏に立ち向かい時にはその逆で身勝手な方向へと暴走する町田町蔵のヴォーカリゼーションを聴いてしまった、その感想は?

個人的には、この作品とその一年後に発売されたミニ・アルバム『ほな、どないせぇゆうね』が、町田町蔵にとってのある種のピーク。つまり、本人の望む望まないに関わらずに、凄まじいエネルギーが只管暴発する瞬間なのである。
これ以降の作品群は、誤解を恐れずに言えば町田町蔵レイド・バック (Laid Back) [否、勿論、凡百のヴォーカリストとは比較にならない強度なのだけれども、彼という逸材を過大評価すれば、いい意味で、自然体でリラックスした作品群として聴ける]。
それは、彼が歳を取った結果なのか、俳優や文学者として他の自己表出の場を与えられた結果なのか、それとも、彼という個性に膨大なエネルギーを与えた北田昌宏山崎春美他の異能達によるものなのか、それともそれとも。

ところで、タイトルに冠されている"どてらい"という形容詞について、簡単にお浚いしておく。
もともとは関西弁でいうところの"とても凄い"という意。英語で言えば"very much"とか"exclusive"とかになるだろうし、名古屋弁で言えば"どえりゃあ"になるだろうし...[以下略]。ちなみに、『どてらい男又』では、"Wild And Crazy"とあてている。
そしてこの形容詞全国区に押し上げたのが花登筐原作の小説でありそのTVドラマ化作品『どてらい男』 [1973年~1977放映]。
主人公山下猛造を、元祖御三家としてアイドル的な人気の絶頂にあった西郷輝彦が演じ、その後の彼の俳優業転身へのきっかけとなった作品。
主人公山下猛造は次から次へと押し寄せる前途多難な難問題に真っ向から体当たりし次々と解決してゆく、そんなエネルギッシュな物語でした。
主人公山下猛造丁稚奉公から始まり、太平洋戦争から戦後の混乱期を経て自身の店を持ち経営してゆく永い物語を、3年半に渡るヒットシリーズとして描ききる。
にも関わらずに、VTRは既に喪われてしまっているとの事。西郷輝彦自身が歌唱した主題歌『どてらい男』のみは今でも聴く事は出来るのだけれども。

次回は「」。
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