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2023.02.19.08.31

"TALKING BOOK" by STEVIE WONDER

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本作をひっぱりだすたびにいつも、おもってしまう。
楽曲『迷信 (Superstition)』がオープニングぢゃあないんだ、と。

勿論、本作の冒頭曲は楽曲『サンシャイン You Are The Sunshine of My Life )』である。
それに異論がある訳でもない。
だけれども、スティーヴィー・ワンダー (Stevie Wonder) の、最初に聴くべき曲と謂えば、楽曲『迷信 (Superstition)』が相応しい様につい、思ってしまう。
それは、ぼく自身の幾つかの体験が積み重なってのモノなのだ。

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僕が最初に購入したこのアーティストの作品は、アルバム『ミュージックエイリアム (Stevie Wonder Original Musiquarium I)』 [1982年発表] である。1970年代の彼の代表曲を中心にして編まれたベスト・アルバム (The Best Album) で、しかも当時のアルバム未収録曲が4曲収録されている。つまり、1982年当時の彼の、ナウ・アンド・ゼン (Now And Then) を一望の下に収めた作品である。
そして、その第1曲目が楽曲『迷信 (Superstition)』なのだ。

だからと謂って、その作品購入時にその楽曲を知ったのではない。それ以前に何度も何度も聴いていた。

ひとつは、その楽曲を巡るジェフ・ベック (Jeff Beck) との逸話である。
当初、この楽曲は当時のジェフ・ベック (Jeff Beck) の新バンド、ベック・ボガート・アンド・アピス (Beck, Bogert And Appice) [19721974年活動] に提供された楽曲だ。だけれども1969年、そのバンド始動直前に起こしたジェフ・ベック (Jeff Beck) の交通事故によってそれが、頓挫してしまう。その際の負傷、そしてそれへの治療が原因だ。彼が治癒した際には、そのバンド・メンバーたる2人、ティム・ボガート (Tim Bogert) とカーマイン・アピス (Carmine Appice) はカクタス (Cactus) [19691972年活動] として始動している。ジェフ・ベック (Jeff Beck) 自身は新たなメンバーを募って、ジェフ・ベック・グループ [第2期] (The Jeff Beck Group [The Second]) [19701972年活動] を結成する。ベック・ボガート・アンド・アピス (Beck, Bogert And Appice) が現実のモノとなるのは、それぞれのバンドが解散した1972年である。
その結果、楽曲『迷信 (Superstition)』は、ベック・ボガート・アンド・アピス (Beck, Bogert And Appice) による発表 [彼等の唯一のスタジオ・アルバム『ベック・ボガート・アンド・アピス (Beck, Bogert And Appice)』 [1973年発表] 収録] よりも先に、本作での発表となってしまう。
スティーヴィー・ワンダー (Stevie Wonder) はその非 [なのかなぁ?] を詫びて、ジェフ・ベック (Jeff Beck) にあらためて新曲2曲を提供する。後に、彼のソロ名義の最初のアルバム『ギター殺人者の凱旋 (Blow By Blow)』 [1975年発表] に収録される楽曲『哀しみの恋人達 (Cause We've Ended As Lovers)』と楽曲『セロニアス (Thelonius)』である [ちなみに前者には副題として「ロイ・ブキャナンに捧ぐそしてスティーヴィーに謝辞を (Dedicated To Roy Buchanan And Thanks To Stevie)」が添えられてある]。

多分、ぼくは、この逸話を知るのと前後して、この楽曲を知ったのだ。
そして、ふたりのアーティストによるみっつのヴァージョン [スティーヴィー・ワンダー (Stevie Wonder) 版『迷信 (Superstition)』とベック・ボガート・アンド・アピス (Beck, Bogert And Appice) のスタジオ録音版『迷信 (Superstition)』 [前掲アルバム収録] とライヴ版『迷信 (Superstition)』 [アルバム『ベック・ボガート・アンド・アピス・ライヴ・イン・ジャパン (Live In Japan)』 [1973年発表]] を交互に聴いて、一体、どのヴァージョンがベストなのだろうと悩んでばかりいた。
ちなみに、ベック・ボガート・アンド・アピス (Beck, Bogert And Appice) の2ヴァージョンはいずれもそれぞれの収録アルバム冒頭にある。

そして、この楽曲に関してはもうひとつある。
TV番組『セサミ・ストリート (Sesame Street)』[1969年より チルドレンズ・テレビジョン・ワークショップ (Children's Television Workshop) 制作]での演奏である。
その番組はエヌエイチケイ教育テレビジョン (NHK Educational TV) [当時] で放送されていて、当時のぼくが学校を病気欠席していた際の日中、熱にうかされながらも布団にくるまって、よく観ていた番組である。観ていたと謂っても、字幕もなければ吹替もない英語放送で、当時のぼくに番組内容が理解出来る訳でもない。単純に、ジングル (Jingle) として挿入される幾つかのアニメーションだけを観ていたかったのだ。アルファベットや数字の羅列が心地よく疾走する様、それだけを観ていたかったのである [その番組ならではのマペット (The Muppets) 達の寸劇すらも、ぼくにとってはつなぎでしかなかった]。
そんな風に付き合っていた番組にスティーヴィー・ワンダー (Stevie Wonder) が出演し、架空の街角セサミ・ストリート (Sesame Street) と謂う設定の常設セット、普段ならビッグ・バード (Big Bird) やオスカー (Oscar The Grouch) が活躍する場所で、楽曲『迷信 (Superstition)』を演奏したのである。
クチパク (Lip Synchronization) かとおもいきや、スタジオ・ライヴ (Live Performance At The Studio) である。しかもちからのこもった、文字通りの熱演である。
エンディング間際での、彼による番組名のコールを聴けば、彼のこの番組への評価、それは期待とも謂えるモノだろう、も感ぜられるのである。

そんな体験があったが故で、ぼくの中に楽曲『迷信 (Superstition)』に対しての場所と謂うモノが定まってしまった様におもえる。

尤も、本来の冒頭曲『サンシャイン You Are The Sunshine of My Life )』にもそれなりの逸話が、ぼくにもある。
ぼくの中高生時代、エヌエイチケイ・エフエム放送 (NHK FM Broadcast) の土曜日午後は地方局制作番組が放送されていた。ぼくの棲んでいる地域、そしてその当時は、番組『FMリクエストアワー (FM Re Quest Hour)』[19721978年放送] である。15時から18時までの3時間、漫然と視聴者からのリクエスト楽曲が放送される。DJ松下かをり (Kawori Matsushita) がそれらが綴られてある手紙を読み、それに寸評を据えて、当該楽曲が放送される。しかも洋楽曲だけである。
それをぼくは自室に寝転んで聴くともなく聴いているのである。
ちなみに、この番組は公開生放送ではある。だけれども、抽選もなにもない。放送している現場でその番組を体験したければ当日、勝手に好きな時間にやってきて、勝手に好きな時間にかえればよい。ぼくも数回、そこへ出向いた。がらんとした大きなスタジオにやってきて、あいている場所に席を構えれば良い。そして、その1角にいる松下かをり (Kawori Matsushita) が読み話すのを聴くのだ。
楽曲『サンシャイン You Are The Sunshine of My Life )』はその番組で何度か放送されたとおもう。その番組ならではの有閑な時間、土曜日の昼下がりに、この楽曲の雰囲気はよくあっていたとおもう。ほんわかとした陽だまりのなかで感ずるぬくもりの様なモノが。
「それなりの逸話」と形容したくせにそれは、その楽曲の主題たる愛情の交感とは無縁のものではある。

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本作に関してはこんなおもいでばなしだけで良いんだろうかともおもうから、この2曲の他に楽曲『バッド・ガール (You've Got It Bad Girl)』が気になるんだ。
と、ここまで書いてぼくは筆を擱くことにする。
1980年代以降の彼、楽曲『心の愛 (I Just Called To Say I Love You)』 [アルバム『ウーマン・イン・レッド (The Woman In Red)』 [1984年発表] 収録] 以降の彼に何故、関心がもてないんんだろうかとか、ポール・マッカートニー (Paul McCartney) とのデュオ曲『エボニー・アンド・アイボリー (Ebony And Ivory)』 [アルバム『タッグ・オブ・ウォー (Tug Of War)』 [1982年発表] 収録] のつまらなさに辟易すると同時に、その一方でTV番組『第10回東京音楽祭 (The 10th. Tokyo Music Festival)』 [1981年開催] のゲストとして来日・出演した際に演奏した楽曲『マスター・ブラスター (Master Blaster [Jammin'])』[アルバム『ホッター・ザン・ジュライ (Hotter Than July)』 [1980年発表] 収録] の格好良さとその後に放送されたライヴ公演の模様が強く印象に遺っている結果、ぼくはこのアーティストのごく一面だけが好きなんだろう、だからアルバム『インナーヴィジョンズ (Innervisions)』 [ [1973年発表] が一番すきなんだなぁとおもう一方で、ああやっぱりこのひとはいいひとなんだなぁと謂う印象を拭えないどころかそれをさらに増長させるのが、後に彼の訳詩集『スティービー・ワンダー詩集 (The Collection Of Stevie Wonder's Poem)』 [1987年刊行] を上梓する景山民夫 (Tamio Kageyama) の随筆集『ワン・ファイン・メス 世間はスラップスティック (One Fine Mess : This World Is Slapstick)』 [1986年刊行] に所収された、作品『ワンダフル・ワンダー (Wonderful Wonder)』に登場するスティーヴィー・ワンダー (Stevie Wonder) の最期の発言が、嘘か誠か解らない極めて信憑性の薄いその逸話の中にあっても、如何にも彼なら謂いそうな発言なのだとおもうからなのだ。
... と、こういう風に書こうと思った。
しかし、そう書くことはポール・マッカートニー (Paul McCartney) に対して少し惨酷な気がして来た。
それゆえぼくは前のところで擱筆 (Stop Writing) することにした。

ものづくし (click in the world!) 244. :"TALKING BOOK" by STEVIE WONDER


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"TALKING BOOK" by STEVIE WONDER

1. YOU ARE THE SUNSHINE OF MY LIFE
2. MAYBE YOUR BABY
3. YOU AND I
4. THESDAY HEARTBREAK
5. YOU'VE GOT IT BAD GIRL
6. SUPERSTITION
7. 0BIG BROTHER
8. BLAME IT ON THE SUN
9. LOOKIN' FOR ANOTHER PURE LOVE
10. I BELIEVE (WHEN I FALL IN LOVE IT WILL BE FOEREVER)

PRODUCED BY STEVIE WONDER
Associate Production : Margouleff - Cecil for Taurus Production Inc.
All songs published by Jobete Music Co., Inc. & Black Bull Music, Inc. (ASCAP)

Production Support : Centaur Music Production

Recordists : Joan De Cola - Austin Godsey

Recorded at : Air Studios, London / Electric Lady Studios, New York / Crystal Studios, Los Angeles / Record Plant, Los Angeles

Mastering : George Marino, The Cutting Room, New York

Photography : R. Margouleff

Stevie Wonder uses the Arp & Moog Synthesizers

Performing with Stevie Wonder on :

YOU ARE THE SUNSHINE OF MY LIFE
Bass - Scott Edwards
Congas - Daniel Ben Zebulon
Background Vocals - Gloria Barley, Lani Grovers, Jim Gilstrap

MAYBE YOUR BABY
Guitar - Ray Parker Jr.

THESDAY HEARTBREAK
Background Voicals - Shirley Brewer, Deniece Williams
Altto Solo - Dave Sanborn

YOU'VE GOT IT BAD GIRL
Congas - Daniel Ben Zebulon
Background Vocals - Lani Grovers, Jim Gilstrap

SUPERSTITION
Sax - Trevor Lawrence
Trumpet - Steve Madaio

BLAME IT ON THE SUN
Background Vocals - Lani Grovers, Jim Gilstrap

LOOKIN' FOR ANOTHER PURE LOVE
Lead Guitars - Jeff Beck, Buzzy Feiton
Backgruond Vocals - Loris Harvin, Shirley Brewer, Debra Wilson

All other tracks by Stevie Wonder

Jeff Beck appears through the courtesy of Equator Security (Overseas) Ltd. and Columbia Record Corporation

(P)(C) 1972 Motown Record Company
Manufactured and marketed by Motown Record Company
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