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2023.01.31.08.47

やきそば

外出しない日曜日、その昼食はがつ盛り焼きそば (Gatsu-mori Yakisoba) だ。マルちゃんこと東洋水産 (Toyo Suisan Kaisha, Ltd.) 製造の商品シリーズ、ごつ盛り 焼きそば (Gotsu-mori Yakisoba) の、ローソンストア 100 (Lawson Store100, Inc.) のプライヴェート・ブランド (Private Label) 版である。序でに綴っておけば昨今、外出する日曜日なんてモノは殆どないから、毎日曜日は昼間、それを喰っている事になる。味覚は3種類あって、先日喰ったのは塩焼きそば (Shio-yaki Soba) だ。

塩焼きそば (Shio-yaki Soba) とは謂いながら、それに添付されているスパイス (Spice) は大蒜 (Garlic) と羅勒 (Basil) である。一見、ウスターソース (Worcestershire Sauce) を起用しない和風 (japoanese Style) の素振りをみせながらも、片足の半分くらいはイタリア料理 (cucina italian) の方に投げ出している。しかも焼き蕎麦 (Yakisoba) はそもそも中華料理 (Chinese Cuisine) の1品である筈だ。尤も、こんなあやふやな主張はこの商品に限った事ではない。さらによく考えれば、焼き蕎麦 (Yakisoba) と名乗りながら、その品を焼く事はない。他の即席カップ麺 (Instant Cup Noodles) 同様に、熱湯を注いで3分間待つだけなのだ。他の即席カップ麺 (Instant Cup Noodles) との差異は、誰も知っている様に、指定時間になったらその熱湯を捨てる事である。
だから、そのあやふやさをさらに堪能すべくぼくは、トッピング (Topping) としてタバスコ (Tabasco Sauce) と乾燥わけぎ (Dried Tree Onion) を使用しているのだ。

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マンガ『散歩の日々 (The Walking Days)』 [つげ義春 (Yoshiharu Tsuge)作 1984コミックバク掲載] より。

焼き蕎麦 (Yakisoba) のある光景として掲げたのが上掲である。
だけれども、そこにある光景のひとりとして、ぼくは参加した事はなかった様におもえる。
そこでの1年に1度の催し、そしてその様な催しは幼少時の頃、近隣の神社仏閣 (Shrines And Temples) 、数ヶ所で開かれてはいた。さらに夏ともなれば、家族4人で"おまち (O-machi : DownTown)" [かつての城下 (Land Near A Former Castle) から当時の国鉄駅 (Former National Station) を中心として広がる繁華街 (Downtown) をぼく達はそう呼びならわしていた] 近隣の神社 (Sengen Shrine) に出向いたモノである。子供ごころに日常外出しない時間帯に、大勢のヒトビトで賑わう参道を散策するのは楽しかった。そして、そこに居並ぶ幾つもの出見世の中に、上掲図の様な佇まいは散見されていた筈ではあったが、そこでその見世の調理を喰う様な事はなかった。
その理由は単純だ。ひとつにはひっきりなしに轟音が鳴り響き、夜空に花火 (Fireworks) が幾つも踊るからだ。そしてもうひとつには、それ以外の見世、縁日 (Fair) ならではの見世にいつも誘惑されていたからだ。そして、ぼく達兄弟の隣りにはいつも両親がいる。そしてこう謂うのだ。「どこみてんの。買わないわよ。さっき晩御飯、たべたばかりでしょう。そんなとこでふらふらしているとまた迷子になっちゃうよ」と。

そして、こと焼き蕎麦 (Yakisoba) に関しては、もうひとつの習慣がぼく達にはあった。
この調理は日中、喰するモノなのである。
それは平日、母親が兄弟2人の昼食として供する場合もあれば、休日に家族4人で鉄板 (Cast-Iron Pan) を囲んで喰う場合もあった。
ぼく達家族には慣習上、鍋料理 (Hot Pot) は夕食なのだが、鉄板料理 (Teppanyaki) は昼食なのである。それはお好み焼き (Okonomiyaki) の場合も蛸焼き (Takoyaki) の場合も同様である。ちなみにすき焼き (Sukiyaki) は前者に包含されている。鍋料理 (Hot Pot) も鉄板料理 (Teppanyaki) も、未完成の調理を一堂に解してその場で喰すると謂う点に於いては、同種なのだが、どの時間帯で喰うのか、と謂う点に於いて、厳格に峻別されていたのである。
何故なのかは解らない。解らないけれども、長じたぼくが飲酒を覚えてからは、前者は日本酒 (Japanese Sake) が妥当だが、後者は圧倒的に麦酒 (Beer) だよなぁ、と謂う感覚はある。と、謂う事は、この不文律は父親の飲酒の嗜好に起因するモノなのだろうか。

そして、ぼく達兄弟にとっては [と便宜上綴ってはいるが、拙稿執筆にあたって弟に事実確認はしていない]、もうひとつの焼きそば (Yakisoba) と謂うモノがあった。
それはぼく達ふたりともが小学校生 (Elementary School Students) となって以降の事、母親がパート (Part‐timer) として日中、勤め始めて以来の事、所謂鍵っ子 (Latchkey Kids) と呼ばれる地位をぼく達が獲得して以降の事である。
鍵っ子 (Latchkey Kids) と謂っても、平日は何ら他の児童とは同様である。下校して帰宅すればそこには母親がいて、夕餉の支度を開始している。
だけれども、土曜日 [当時は週6日、授業があってその曜日は午前中で終わる] の帰宅時には彼女は不在なのだ。だから毎週、ふたりっきりで昼食を喰う事になる。
大概は、その時に喰うモノは用意されている。さもなければ主食だけは確保されている。後者の場合は、おなじ市営団地の中にある商店街 [向かい合った団地2棟の1階部分に各種の店舗が賃貸しているのだ] で、惣菜等を買う。揚げ物 (Fried Foods) の様に既に完成した食材の場合もあれば、一手間かければ喰えるインスタント食品 (Instant Foods) の場合もある。その判断、裁量はぼく達に委ねられていた。つまり昼食のおかず用にいくばくかの金額だけが用意されていたのだ。その予算内で買えるモノで喰えば良いのだ。
ところが、数ヶ月に1度くらいの頻度で主食すら用意されていない場合がある。母親曰く、「だってその為に炊いたごはん、昨日あなた達が全部喰べちゃったじゃない」と。

そしてぼく達はその日、昼食の予算として用意されている小銭を掴んで、ある中華料理店 (Chinese lestaurant) に行くのだ。
中華料理店 (Chinese lestaurant) と謂っても実態は、その商店街の店長達の遅い昼食を賄っているだけに過ぎない様におもう。品数は10品もないだろう。そんなちっぽけな見世は1組の老夫婦が運営していた。
母親から委ねられた金員が賄えるのは、拉麺 (Ramen) か焼き蕎麦 (Yakisoba)、その2品しかなかった。しかも、決して美味しくはない。麺は護謨 (Natural Rubber) の様に固い上に味付けが濃く、しかも脂っこかった。
何故、そんな見世にと謂う問いは当時のぼく自身にもあったが、それ以上に気後れしないでそこにいける、そんなきやすさがそこにはあった。別に愛想がいいと謂うわけでもない。単純に小学校生 (Elementary School Students) の兄弟がふたり入り込んで正々堂々と食事が出来るのはその様な店しかないのだ。何故ならば、昼飯時と謂うのに、ぼく達以外の客はひとりもいなかったのだから [忙しいは他の飲食店が休憩に入る14時頃なのだろう]。

次回は「」。

附記 1. :
丁度、おなじ頃、"おまち (O-machi : DownTown)" にあるバスターミナル (Bus Terminal) を構えているビル (Building) の地下商店街に、お好み焼き (Okonomiyaki) と焼き蕎麦 (Yakisoba) の専門店が出店した。関西発 (From Kansai) のチェーン店であり、関西風 (Kansai Style) の味付けで売り出している。そして、ぼく達からみれば、ぼく達を待ち構える様な位置に出店していた。"おまち (O-machi : DownTown)" から帰宅する際のバス停留所 (Bus Stop) に向かう出口直前にその見世はあり、しかもそこはバスターミナル (Bus Terminal) の中洲に位置し、外部からの連絡口はそこにしかない。"おまち (O-machi : DownTown)" からの行き帰りには、否応もなく、その見世の前を通らざるを得ないのだ。つまり、バス (Bus) を交通手段としている以上、いきもかえりもその見世が誘惑してくる訳なのだ。
それを排除する為の両親の苦心惨憺はここでは綴らない。そうではない事を記しておこう。
関西風 (Kansai Style) とは謂いながら、ぼく達家族の知っている関西風 (Kansai Style) ではないのだ。父親の出身がそこにあり、彼の親戚の幾組かはそこに棲んでいる。だから盆暮正月には双方が往来する。ぼくも弟も父親や、こちらに棲む父方の親戚に引率されて何度かそこへと向かう。
その際の記憶をたぐっていけば、お好み焼き (Okonomiyaki) も焼き蕎麦 (Yakisoba) も、各テーブルにあらかじめ設置されている鉄板 (Cast-Iron Pan) で喰するのだ。いずれの調理にしても食材のみが提供され、それを客各自が自身の好み、味付けに従って調理していく。いまおもえば、その際の記憶、体験が自宅で日中、供される鉄板料理 (Teppanyaki) と通底しているのだろう。
と、謂う事を最前提に据えれば、その見世で供される調理は関西 (Kansai) のそれではない。既に完成された調理が各人の眼前に提供されるのだから。
だけれども、この見世ならではの味覚と謂うのは別のところにある。それはウスターソース (Worcestershire Sauce) の他にもうひといろの味覚が加算されている点にある。すなわちそれがマヨネーズ (Mayonnaise) [を主体としたソース (Source) ] だ。
お好み焼き (Okonomiyaki) もしくは焼き蕎麦 (Yakisoba) にマヨネーズ (Mayonnaise) を添加する手法を、その見世でぼくは初めて知ったのだ。

附記 2. :
もうひとつの焼き蕎麦 (Yakisoba) と謂えば、駄菓子屋 (Penny Candy Store) で喰するそれだ。老夫婦の供する焼き蕎麦 (Yakisoba) [の味覚] も、それに近いものがある。
当時、どこの駄菓子屋にも、座して喰せるテーブルは1卓あった。冬には御田 (Oden) がそこで供され、夏にはかき氷 (Kakigori) や心太 (Tokoroten) が供される。そしてそれぞれのシーズンオフには、そこは鉄板付きのテーブル (Table With Cast-Iron Pan) であり、お好み焼き (Okonomiyaki) や焼き蕎麦 (Yakisoba) が提供されるのだ。

附記 3. :
ぼく達に昼食として供される焼き蕎麦 (yakisoba) の、唯一の例外としてあるのが、日本蕎麦 (Japanese Soba) を素材としてつくる焼き蕎麦 (Yakisoba) である。これはウスターソース (Worcestershire Sauce) で味付けするのではなくて醤油 (Soy Sauce) を用い、食用油 (Coooking Oil) ではなくて、バター (Biutter) 乃至マーガリン (Margarine) を起用する。これを少し焦げ付くくらい、カリカリ気味にフライパン (Frying Pan) で焼き上げるのだ。この手法は、自宅で喰う焼き饂飩 (Yaki Udon) と全く同じ調理方法であり、それはぼく達兄弟にとっての夜食、両親ふたりにとっての肴として登場するのだ。だから正しくは、日本蕎麦でつくる焼き蕎麦 (Yakisoba) と謂うよりも、日本蕎麦 (Japanese Soba) でつくる焼き饂飩 (Yaki Udon) と呼ぶべきモノなのだろう。

附記 4. :
かた焼き蕎麦 (Kata-yakisoba) は、大学生 (University Student) の頃、同級生のひとりが棲むアパートの最寄駅 (The Closest Station) 近くに名店があるからと謂われて、そこで喰ったのが最初である。
しかしながら、拙稿冒頭に登場する塩焼き蕎麦 (Shio-yakisoba) は、即席麺 (Instant Noodles) でのそれでしか知らない。上述されている焼き蕎麦 (Yakisoba) の各種は一部の例外を除けば、それは皆、ソース焼き蕎麦 (Sauce -akisoba) である。
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