2022.12.18.07.52

今はもう亡い某輸入盤専門店でみた。そこで煽っていた惹句は憶えてはいないが、初CD化だったのだろう。新発売コーナーでおおきくディスプレイされていた。
ああ、これがあの ...。
そして、それが購入の動機である。

彼等のセカンド・アルバム『スピリット・オヴ・アドヴェンチャー (Spirit Of Adventure)』 [1988年発表] は国内盤を既に購入していた。そこに封入されていた解説文に、本作発売がみおくられた理由が長々と綴られていた。
本作収録のカヴァー曲『リンゴ (Ringo)』が理由である [オリジナルは楽曲『リンゴ追分 (Ringo Oiwake)』 [作詞:小沢不二夫 (Fujio Ozawa) 作曲:米山正夫 (Masao Yoneyama) 歌唱:美空ひばり (Hibari Misora) 1952年 日本コロムビア発売] である]。
その詳細とそこから発展させて、その楽曲の幾つかのカヴァー・ナンバーについては既にここで綴ってある。だからおなじ事は繰り返さない。ここに綴ってある事以上の詳細も書けないし、それとは別の方向、おもしろおかしくも書けないからだ。
彼等が演奏するスカ (Ska) を初めて聴かせてくれたのは、ツー・トーン・レコード (2 Tone Records) 所属アーティスト達だ。
それまでは知識としてのみ、その存在を知っていた。すなわち、レゲエ (Reggae) の源流として、である。
ツー・トーン・レコード (2 Tone Records) を起点としておおきなうねりが音楽と謂う世界に興る様に、さも、当時は煽られていたが、その様な期待を満足させる様なムーヴメントにはなり得なかった。そこに所属する幾つかのバンドが失速していったからである。
しかし、それはこの音楽に限っての事ではない。毎月の様に、新しい音楽、新しい手法が登場したが、その殆どは翌月には失踪していった。その結果、音楽は細分化され、多様化し、それ故にぼく達の殆どはその折々で、それらを娯しんでいた。
失速したと謂っても、分裂してしまったスペシャルズ (The Specials) の一方、スペシャルAka (The Special Aka) は前進バンドの主張をより深化させていった様にもおもえる。彼等の代表曲のひとつ楽曲『フリー・ネルソン・マンデラ (Free Nelson Mandela)』[アルバム『イン・ザ・スタジオ (In The Studio)』収録 1984年発表] である。そしてこの楽曲での主張があるが為に、その楽曲はひろく支持されていった。
また、他バンドとはいささか異なる方向性を最初から打ち出していたマッドネス (Madness) は、その後の活動も継続し、また、その娯楽性から我が国では、小型自動車 (Small Family Car) のホンダ・シティ 1981 (Honda City 1981) [1981年 本田技研工業 (Honda Motor Co., Ltd.) 生産] のCM『イン・ザ・シティ (In The CIty)』 [マッドネス (Madness) の楽曲『シティ・イン・シティ (In The City)』 [アルバム『セブン (Seven)』 1981年発表] 収録] にも起用されていった。
それだからと謂う理由ではないが、スカ (Ska) はひとつの先鋭化された主張としてでもなく、最先端の流行の尖兵としてでもなく、ひとつの音楽的な手法として根付いていった様におもえる。
本作の主人公たるトロージャンズ (The Trojans) は、彼等とはすこし出自が違う様な気がする。
そして、その違いを明確に主張していたのがカヴァー、楽曲『リンゴ (Ringo)』である。
彼等がその楽曲を選曲した理由は、所謂ビッグ・イン・ジャパン (Big In Japan) の為と謂うよりも、スカ (Ska) の原典、スカタライツ (The Skatalites) がカヴァーしたところにあるのだろう。
[スカタライツ (The Skatalites) の存在をぼくに教えてくれたのは、ミュート・ビート (Mute Beat) であり、彼等の主要メンバーであるローランド・アルフォンソ (Roland Alphonso) との共演があるが為に、彼等の編集盤『スカ・タ・ショッツ (Ska-Ta-Shots)』 [1988年発表] が発売されたのだ。そこに彼等の演奏する楽曲『リンゴ (Ringo)』は収録されている。]

トロージャンズ (The Trojans) 自身は、スカタライツ (The Skatalites) の継承を認じているとはぼくは思うが、実際の彼等の音楽的ルーツは別のところにある様な気がしてならない。
いみじくも後年発表された彼等のアルバム『セルティック・スカ (Celtic Ska)』 [1994年発表]、その題名が主張している様に、ケルト音楽 (Celtic Music) がそれである様に思えるのだ。
少なくとも、ツー・トーン・レコード (2 Tone Records) のアーティスト達よりも、ザ・ポーグス (The Pogues) の方に近いとおもう [マッドネス (Madness) とは近所付き合いしていそうだが]。
ものづくし (click in the world!) 242. :"'ALA-SKA'" by THE TROJANS

"'ALA-SAK'" by THE TROJANS
1. GAELIC SKA ... G. Mayall
2. RIDE COWBOY RIDE ... K. Martick
3. ZULU ... D. Drummond / G. Mayall
4. WHEN THE WAR COMES ... G. Mayall
5. TROJAN WARRIROS ... G. Mayall
6. RINGO ... Yoleyama / Ozewa
7. GOOD FRIENDS ... G. Mayall
8. THIS MUSIC'S GOT SOUL ... G. Mayall / H. Lewis
9. LOVE FOREVER ... G. Mayall
10. SOUL & INSPIAR ATION ... adapt. by G. Mayall
11. AUTOGRAPHING CHEQUES ... G. Mayall
11. I DON'T LIKE IT ... G. Mayall
The Trojans are
GARY VINCENT - Vocals / Melodica / Piano
ANDREW 'big' CRAWFORD - Bass
'lucky' PETER LAMBERT - Drums / Vocals
'cris' CRISPIN GILL - Guitar
'little Paul' Besterman - Harmonica / Flagolet / Vocals
COLIN 'Kid Rollins' HUMPHRIES - Tenor Sax / Flagolet
'J.T.' RAWLINSON - Violin
RUDY 'Valentino' JONES - Tenor Sax
THE TROJANS were formed in London, Christmas 1986 & play a unique blend of Rock Steady, Ska & R&B with lyrics & sound befitting the 80's.
PRODUCER ; Gaz Mayall
ENGINNERS ; Damian Korner, Paul Gad.
Photos by Pheonix
Sleeve design by Ska-tistick / Pete Siree
(P) 1987. Recorded atAla ska Studio Ala ska St. London SE1.
A GAZ Rockin' Recording
Made in England
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