2009.06.02.20.55
僕にとってのジェーン・マンスフィールド (Jayne Mansfield)は、『ハリウッド・バビロン (Hollywood Babylon: The Legendary Underground Classic of Hollywood's Darkest and Best Kept Secrets
)』のアイコンとしてのそれでしかない。
彼女の幾つかの出演作品やそれらを彩った彼女の豊かな、そして時に劣情を催させる肢体は、この際、関係ない。
と、断言してしまうと、それらが彼女に備わっていたからこその『ハリウッド・バビロン (Hollywood Babylon: The Legendary Underground Classic of Hollywood's Darkest and Best Kept Secrets
)』なのであるから、ちょっと語弊があるのだけれども。
溶き卵を作る為には、菜箸とボウルの準備をする前に、鶏舎へ赴いて生卵を失敬して来なければならない様に、モノゴトには順序というものがある。
先ずは『ハリウッド・バビロン (Hollywood Babylon: The Legendary Underground Classic of Hollywood's Darkest and Best Kept Secrets
)』とは何か、そこら当りから説明しておこう。
『ハリウッド・バビロン (Hollywood Babylon: The Legendary Underground Classic of Hollywood's Darkest and Best Kept Secrets
)』とは、映画『スコピオ・ライジング (Scorpio Rising)』や『ルシファー・ライジング (Lucifer Rising)』や『快楽殿の創造 (Inauguration Of The Pleasure Dome』で、独自の美意識を発露させた映像作家ケネス・アンガー (Kenneth Anger)の著作物である。
その内容は黎明期 (1910s)から1970年代 (1970s)までのハリウッド (Hollywood)の裏面史を、膨大な写真とそれに付随する悪意溢れるキャプションでもって、描写したもの。
ケネス・アンガー (Kenneth Anger)自身、己の映画人としてのキャリアをハリウッド (Hollywood)の一子役として開始しただけに、彼の筆致は、必然的に愛憎入り交じったものとなる。
そして、ハリウッド (Hollywood)の別名がティンゼル・タウン(Tinseltown)である、その証左を次から次へと暴きたて、ここに登場する映画製作に関わる総てのモノどもと、彼らを喰いものにする総てのモノどもを、断罪してゆくのである。
この書物は二分冊となっていて、その最初の分冊に我が愛しのジェーン・マンスフィールド (Jayne Mansfield)と、彼女自身の揺れてもげ落ちそうな双丘が、崩落寸前のハリウッド・サイン (Hollywood Sign)を背景に、表紙を飾っているのである。

では、この決して短くはない"ハリウッド (Hollywood)史"の中で、彼女の果たした役割は、いかに大きいのかと問えば、実は、この書物ではそんなに頁を割いてはいない。
彼女が登場するのは、いくつかの悩ましきピンナップ写真と、彼女の悲劇的な最期の写真[そこには大破したクルマと彼女だった遺体らしきものが横たわっている]。そして本文中でも悪名高きゴシップ誌での餌食の常連だった事が告げられているだけだ。
この書物のホントに面白いのは、彼女ぢゃあないのだ、実は。
それを語るには、溶き卵のレシピではなくて、別の視点から卵を解く様なものだからそれはいつか別の機会へと譲っておく。
でも、彼女以外にはこの書物の表紙に相応しい人物はいないという事だけは明らかなのである。だからこそ、今では絶版となってしまった日本語版[監修:海野弘 訳:明石三世]でも、原著と同じく、彼女と彼女の胸が表紙を飾っている。
さて、生卵が手に入った様なので、菜箸とボウルを捜して来よう。
ジェーン・マンスフィールド (Jayne Mansfield)の、その容姿と短いが華やかな生涯を追ってみると、どうしてもマリリン・モンロー (Marilyn Monroe)の相似形に想えてしまう。
プラチナ・ブロンドの髪 (Platinum Blond Hair)と豊満な肉体があってプレイメイト(Playmate)となって話題を呼び、いくつかの映画出演のチャンスをモノにする。最初はその肢体であるが故の役回りしかなかったものの、徐々に演技に開眼。次のステップがみえた矢先に、不慮の死を遂げてしまうのである。
マリリン・モンロー (Marilyn Monroe)が演技派として開眼したと言われている作品が『バス停留所
(Bus Stop)』 [1956年 ジョシュア・ローガン (Joshua Logan) 監督作品]で、ジェーン・マンスフィールド (Jayne Mansfield)がゴールデングローブ賞 (Golden Globe Awards)有望若手女優賞(New Star Of The Year - Actress)を受賞したのが『気まぐれバス (The Wayward Bus)』 [1957年 ヴィクトル・ヴィカス (Victor Vicas) 監督作品]と、何故かバス繋がりだったりするのは、単なるこじつけなのだろうか。
だから逆に『ハリウッド・バビロン (Hollywood Babylon: The Legendary Underground Classic of Hollywood's Darkest and Best Kept Secrets
)』の表紙をマリリン・モンロー (Marilyn Monroe)にすげ替えたのならば、如何だろうという邪な考えを持ってしまうのだけれども、これがしっくり来ない。
知名度も人気度もゴシップ度やスキャンダル度もジェーン・マンスフィールド (Jayne Mansfield)よりもマリリン・モンロー (Marilyn Monroe)の方が遥かに上回ている。なにせ、大統領との不倫疑惑 (Marilyn's Happy Birthday to JFK)だもの。それにも関わらず、これが何故だかしっくり来ないのだ。
ジェーン・マンスフィールド (Jayne Mansfield)とマリリン・モンロー (Marilyn Monroe)の間には、深くて広くて黒い溝があって、ふたりを分つているのだろうか。
そうなのだ。
ふたりの間にある深くて広くて深い溝、それを覗き込む行為そのものが『ハリウッド・バビロン (Hollywood Babylon: The Legendary Underground Classic of Hollywood's Darkest and Best Kept Secrets
)』を読む行為なのだ。
ちなみに、ジェーン・マンスフィールド (Jayne Mansfield)が表紙ではない方、つまり二分冊の二冊目の表紙は、肥え太ってぶよぶよの肉塊と化したリズ・テイラー (Elizabeth Taylor)。そして、そこではハリウッド (Hollywood)史上、最も不可解な事件、ブラック・ダリア (Black Dahlia)が採り上げられている。勿論、二つに引き裂かれたエリザベス・ショート (Elizabeth Short)の屍体写真もね。
というわけで、生卵はモノの見事に攪拌された様に観えるのだけれども、さて、これから、この卵、どうしようか?
次回は『ど』。
彼女の幾つかの出演作品やそれらを彩った彼女の豊かな、そして時に劣情を催させる肢体は、この際、関係ない。
と、断言してしまうと、それらが彼女に備わっていたからこその『ハリウッド・バビロン (Hollywood Babylon: The Legendary Underground Classic of Hollywood's Darkest and Best Kept Secrets
溶き卵を作る為には、菜箸とボウルの準備をする前に、鶏舎へ赴いて生卵を失敬して来なければならない様に、モノゴトには順序というものがある。
先ずは『ハリウッド・バビロン (Hollywood Babylon: The Legendary Underground Classic of Hollywood's Darkest and Best Kept Secrets
『ハリウッド・バビロン (Hollywood Babylon: The Legendary Underground Classic of Hollywood's Darkest and Best Kept Secrets
その内容は黎明期 (1910s)から1970年代 (1970s)までのハリウッド (Hollywood)の裏面史を、膨大な写真とそれに付随する悪意溢れるキャプションでもって、描写したもの。
ケネス・アンガー (Kenneth Anger)自身、己の映画人としてのキャリアをハリウッド (Hollywood)の一子役として開始しただけに、彼の筆致は、必然的に愛憎入り交じったものとなる。
そして、ハリウッド (Hollywood)の別名がティンゼル・タウン(Tinseltown)である、その証左を次から次へと暴きたて、ここに登場する映画製作に関わる総てのモノどもと、彼らを喰いものにする総てのモノどもを、断罪してゆくのである。
この書物は二分冊となっていて、その最初の分冊に我が愛しのジェーン・マンスフィールド (Jayne Mansfield)と、彼女自身の揺れてもげ落ちそうな双丘が、崩落寸前のハリウッド・サイン (Hollywood Sign)を背景に、表紙を飾っているのである。

では、この決して短くはない"ハリウッド (Hollywood)史"の中で、彼女の果たした役割は、いかに大きいのかと問えば、実は、この書物ではそんなに頁を割いてはいない。
彼女が登場するのは、いくつかの悩ましきピンナップ写真と、彼女の悲劇的な最期の写真[そこには大破したクルマと彼女だった遺体らしきものが横たわっている]。そして本文中でも悪名高きゴシップ誌での餌食の常連だった事が告げられているだけだ。
この書物のホントに面白いのは、彼女ぢゃあないのだ、実は。
それを語るには、溶き卵のレシピではなくて、別の視点から卵を解く様なものだからそれはいつか別の機会へと譲っておく。
でも、彼女以外にはこの書物の表紙に相応しい人物はいないという事だけは明らかなのである。だからこそ、今では絶版となってしまった日本語版[監修:海野弘 訳:明石三世]でも、原著と同じく、彼女と彼女の胸が表紙を飾っている。
さて、生卵が手に入った様なので、菜箸とボウルを捜して来よう。
ジェーン・マンスフィールド (Jayne Mansfield)の、その容姿と短いが華やかな生涯を追ってみると、どうしてもマリリン・モンロー (Marilyn Monroe)の相似形に想えてしまう。
プラチナ・ブロンドの髪 (Platinum Blond Hair)と豊満な肉体があってプレイメイト(Playmate)となって話題を呼び、いくつかの映画出演のチャンスをモノにする。最初はその肢体であるが故の役回りしかなかったものの、徐々に演技に開眼。次のステップがみえた矢先に、不慮の死を遂げてしまうのである。
マリリン・モンロー (Marilyn Monroe)が演技派として開眼したと言われている作品が『バス停留所
だから逆に『ハリウッド・バビロン (Hollywood Babylon: The Legendary Underground Classic of Hollywood's Darkest and Best Kept Secrets
知名度も人気度もゴシップ度やスキャンダル度もジェーン・マンスフィールド (Jayne Mansfield)よりもマリリン・モンロー (Marilyn Monroe)の方が遥かに上回ている。なにせ、大統領との不倫疑惑 (Marilyn's Happy Birthday to JFK)だもの。それにも関わらず、これが何故だかしっくり来ないのだ。
ジェーン・マンスフィールド (Jayne Mansfield)とマリリン・モンロー (Marilyn Monroe)の間には、深くて広くて黒い溝があって、ふたりを分つているのだろうか。
そうなのだ。
ふたりの間にある深くて広くて深い溝、それを覗き込む行為そのものが『ハリウッド・バビロン (Hollywood Babylon: The Legendary Underground Classic of Hollywood's Darkest and Best Kept Secrets
ちなみに、ジェーン・マンスフィールド (Jayne Mansfield)が表紙ではない方、つまり二分冊の二冊目の表紙は、肥え太ってぶよぶよの肉塊と化したリズ・テイラー (Elizabeth Taylor)。そして、そこではハリウッド (Hollywood)史上、最も不可解な事件、ブラック・ダリア (Black Dahlia)が採り上げられている。勿論、二つに引き裂かれたエリザベス・ショート (Elizabeth Short)の屍体写真もね。
というわけで、生卵はモノの見事に攪拌された様に観えるのだけれども、さて、これから、この卵、どうしようか?
次回は『ど』。
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