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2022.11.20.07.56

"SHAME HUMILITY REVENGE" by skin

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マイケル・ジラ (Michael Gira) とジャーボウ (Jarboe) 、ふたりのプロジェクト作品は都合、3作あって、本作はその第2作である。
そして、当時、ふたりはスワンズ (Swans) のメンバーであった [念の為に綴っておくと前者はこのバンドの中心人物、殆どバンドと等号で結合される人物である] 。
だから、スワンズ (Swans) の歴史、その活動、そしてその成果である作品群とは離れたところで、彼等、そしてその作品群を語る事は難しい。

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第1作『ブラッド・ウィメン・ローゼス (Blood, Women, Roses)』 [1987年発表] は、スワンズ (Swans) の、通称お金2部作 (Money Two-part Works) の第2作『ホーリー・マネー (Holy Money)』 [1986年発表 彼等の第4作である] が発表された翌年に発表された。ジャーボウ (Jarboe) はその前作、すなわちお金2部作 (Money Two-part Works) の第1作『グリード (Greed)』 [1986年発表 彼等の第3作である] にバックヴォーカリストとして参加しており、その次作『ホーリー・マネー (Holy Money)』では楽曲『ユー・ニード・ミィ (You Need Me)』に於いてメイン・ヴォーカルを担当している。
つまり、スキン (Skin) はスワンズ (Swans) のふたりのヴォーカリストのプロジェクトとして始動した。しかも、その第1作では、彼女のヴォーカルを主軸とした作品で、楽器編制も弦楽四重奏 (String Quartet) を主体とするアコースティックなモノであった [とは謂うモノの、それらが生成する音響はどこかスワンズ (Swans) のそれと通底してはいる]。

だから当時、ぼく達はスワンズ (Swans) とは全く異なるモノとしてこのプロジェクトを眺めていたのである。マイケル・ジラ (Michael Gira) の視点からみれば、スワンズ (Swans) に於けるお金2部作 (Money Two-part Works) の成果を以って、自身の新しい創作活動を模索しているとも看做せるだろう。

と、同時に男女2人のユニットと謂う観点から、どうしても下世話な事も妄想させる。その実際はどうなのか知らない。

スキン (Skin) の第1作の発表の後に発表されたスワンズ (Swans) の第5作『チルドレン・オブ・ゴッド (Children Of God)』 [1987年発表] はアナログ2枚組の大作で、その内容もその収録時間に呼応する様に壮麗なモノであった [ジャーボウ (Jarboe) は歌唱者であるのみならず演奏者でもある]。彼等の全貌、これまで行ってきた事、これからめざしたいモノ、その総てがそこにある。と、同時に、その作品に向かうぼく達は混迷するばかりなのだ。まるで、巨大な伽藍、広大な迷宮で遭難している様に思えてしまうのだ。

だからその作品から翻って、スキン (Skin) の第1作に向かうと途端に、安堵を得る [作品自体が呈示するモノをおもえば、こんな表現で良いのかとはおもうが]。彼等のやりたい事がよく解るといえば大層な発言になってしまうが、極めて個人的な表現、主張が垣間みえるのだ。
先に記した「下世話な事」の妄想とは、この様な事からも端を発しているのだ。
つまり、いつのまにやら巨大な存在となってしまったスワンズ (Swans) から離れたモノとして。

だけれどもスワンズ (Swans) の大作から1年後に発表された本作を聴いて、ぼくは戸惑ってしまう。何故ならば、この作品での主たる歌唱者はマイケル・ジラ (Michael Gira) だったのだから。つまり、ぼくはスキン (Skin) と謂うプロジェクトを、ジャーボウ (Jarboe) をメイン・ヴォーカリストに据えたプロジェクトと認識していたのだった。そして、こんな事もおもってしまう。彼等、と謂うよりも、マイケル・ジラ (Michael Gira) にとってスワンズ (Swans) とスキン (Skin) の差異は一体どこにあるのだろうか、と。
否。それぞれの演奏形態は異なっているのだ。
異なってはいるがそれらが奏でる音響に共鳴する主張は、スワンズ (Swans) でのそれとの差異が殆どない。そう思える。

さて、ここでスキン (Skin) の2作品、そのクレジットを眺めてみよう。発売元はどちらもプロダクト・インク (Product Inc.) [19861990年 活動]、これはミュート・レコード (Mute Records Ltd.) [1978年設立] の傘下にある。そして、レコーデイング時期を比べてみるといずれも1986年の10~12月である。しかも、収録参加メンバー [ミュージシャンもスタッフ] も共通である。つまり、この2作は同時に制作され、1年間と謂う期間を空けて前後、2作品にわけて発表されたのだ。
だから、ふたつの作品での差異は、ふたりの主要男女を個別にフィーチャーした結果なのかもしれない。つまり、第1作はジャーボウ (Jarboe) 主導、続く第2作はマイケル・ジラ (Michael Gira) 主導、と謂う訳なのである。

2作品に於ける差異は、ふたりの差異にあるのだろう。とは謂っても、この差異は極めて微妙なモノにみえる場合もあるし、凄まじい落差の表出にもみえる。何故、そうなってしまうのかは恐らく、スワンズ (Swans) と謂う本体の認識のずれ、このバンドをどうみるのと謂う点に起因しているのだろう。

と、謂うのはスワンズ (Swans) のシングル『ラヴ・ウィル・テア・アス・アパート (Love Will Tear Us Apart)』[1988年発表:謂わずとしれたジョイ・ディヴィジョン (Joy Division) の楽曲『ラヴ・ウィル・テア・アス・アパート (Love Will Tear Us Apart)』 [1980年発表] のカヴァー曲] の発表とその成功を得て、彼等のメジャー・デヴュー作である第6作『ザ・バーニング・ワールド (The Burning World)』 [1989年発表] の世界が、極めて本作と共通している様に思えるからだ。
まるで、第6作の予言として本作が制作、発表されている様にもおもえる。しかも楽曲によっては、本作の収録曲の方が、かつてのスワンズ (Swans) を彷彿ともさせる。第6作に失望してしまったぼくの様なモノにとっては、本作こそがスワンズ (Swans) の最新作であっても良かったのかもしれない。

つまり、その様な過程を経て、ぼくはスワンズ (Swans) から離れたのだ [こちらを参照の事]。

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スキン (Skin) は、ザ・ワールド・オブ・スキン (The World Of Skin) と名を変えて通算第3作にあたるアルバム『テン・ソングス・フォー・アナザー・ワールド (Ten Songs For Another World)』 [1990年発表] を発表している。スワンズ (Swans) をみかぎってしまったぼくは、この作品に一縷の希望をかけて? 購入してはみたが、そこに活路は遂にみいだせなかった。
その理由は、楽曲が云々と謂うよりも、その為の音響が、と謂った方が良いのかもしれない。前作、前々作と異なり、ヤング・ゴッド (Young God) [1990年設立 マイケル・ジラ (Michael Gira) 主宰のスワンズ (Swans) の為の自主レーベル] から発表された第3作は、当時のスワンズ (Swans) 作品とおなじ音響だったのだ。

ものづくし (click in the world!) 241. :"SHAME HUMILITY REVENGE" by skin


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"SHAME HUMILITY REVENGE" by skin

1. nothing without you
2. everything at once
3 . breathing water
4. the center of your heart
5. cold bed
6. 24 hours
7. one small sacrifice
8. turned to stone
9. i want to be your dog

skin : m.gira - vocals, piano, keyboard, sounds, acoustic guitar, etc. jarboe - all female backing vocals, piano, keyboard. recorded in llondon oct -dec '86. direct metal mastered
(P) 1988 product inc. (C) 1988 product inc.

(P) 1988 product inc. 1, 3, 4, 6 & 8 ; words : gira . music gira / jarboe. 2 & one small sacrifice ; words & music : gira. 5 ; music gira. 9 ; music : stooges. all songs published by dying art except 9 by warner bros music.. unauthorised duplication is violation of the appliciable laws.

nothing without youeverything at oncebreathing waterthe center of your heartcold bed24 hoursone small sacrificeturned to stonei want to be your dog ・ recorded at world wide studios. engineer : paul kendall. chocolate factory. engineer : roop caulson. backing, engineer : jjohn fryer. konk studios, engineer : dave powell. mastered at the townhouse by ian cooper with rico conning. the the indian oboe on tracks 2 & 4 was played by a. kadir dorvesh. string arranged on track 3 by bill mcgee. 1st violin : chris tombling. 2nd violin : ginnie ball. viola : chris pitzaladi. cello : martin mccarrick. double bass : bill mcgee. additional assistance with programs, sounds and thanks to paul kendall. thanks : rob collins, john fryer & daniel miller. gira cover design : me co / skin. artwork : me co. photography : monica curtin. made in england.
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