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2009.05.19.22.42

りゅうぐうのつかい

"竜宮の遣い"という神秘的な名称が、神話世界に現れる女神や魔性のモノを示す言葉なのではなくて、ある深海魚 (Deep Sea Fish) の名称であると知ったのは、実はかなり早い。
僕が、保育園児の頃である。

ほんのちょっと前までは、その魅力的な名称が、 (Turtle) や水母 (Jellyfish) の為にあるものと教えられたばかりの頃である。

母や祖母達が語り聴かせたり、買ってもらったばかりの絵本や幼年誌に登場する彼らは、孤閨に耐えられなくなった姫の為に女衒として、もしくは、重病に喘ぐ后を救う為に密偵として、海底にある王宮から己の頭上遥かにある陸地へと向かうのである。
その深海魚 (Deep Sea Fish) を知るまでは、彼らこそが"竜宮の遣い"であると、信じていたのだ。

これは余談だけれども、性の為に活躍した (Turtle) が使命を達成する[註:『浦島太郎 (The Story of Urashima Taro, The Fisher Lad) 』from 『御伽草子 (Otogizoshi)』]一方で、生の為に上陸する水母 (Jellyfish) が失敗する[註:『くらげのお使い (Jerryfish, The Messenger From The Kingdom In The Deep Sea)』by 楠山正雄 (Masao Kusuyama)]というのは、どうゆう風に解釈したらよいのだろう。
それぞれがあい対峙したターゲットの資質によるものだろうか。お人好しの漁師と小賢しい猿では、猟師よりも猿の方が、智慧がまわるのに違いない。
それとも (Turtle) よりも遥かに水母 (Jellyfish) が愚かなのか。
そもそも性と生を同じ天秤に乗せること自体が、過った行為なのか。
今では立ち所に回答出来そうな問題ではあるが、流石に保育園児には早すぎる問題である。いつも行動を共にしてきたあの子と、ある日を境に、少しづつそして次から次へと、離れ離れにされ、一緒にいけない場所がいくつもいくつも現れてくる。少なくとも、そのときが来るまでは、 (Turtle) と水母 (Jellyfish) の違いに気づく筈もない。

と、話が明後日の方へ向かいつつあるので、大急ぎで軌道修正すると、 (Turtle) でもない水母 (Jellyfish) でもない、"竜宮の遣い"を見知ったのは、そんな時季の事でした。

多分、梅雨入り前後の丁度今時分の頃だろう。幼い僕は、身体が弱く、外の遊技場で遊びまわるよりは、クレパスで得体の知れない図形を描いたり、粘土を千切って丸めてこね回す方を好んでいた。そして、毎月の様に、身体をこわして休む。数日間、熱や吐き気や下痢に教われては、保育園を休んでいた。
そんな数日間の病欠あけに久々に登園したある日、せんせいから一冊の薄い本が渡された。多分、月に一度、園児一人一人に教材として配本される絵本の様な図鑑の様な、その手の類の本だと想う。他の園児達には数日前に手渡された本を、うけとったぼくはどんな顔をしていたのだろう。そして、外の遊技場ではしゃぎ回る友達と離れて独り、教室のすみっこでこっそりとその薄い本を読んでいたぼくは、どんな気持ちだったのだろう。

images
その絵本の一頁に、真っ暗な深海を優雅に泳ぐリュウグウノツカイKing Of Herrings)の姿があったのである。
それ以来、シーヴュー号 (Seaview) を眼下に据えながら優美に水中を滑空する彼の姿や、スティングレイ (Stingray) が探査する海底洞窟の物陰に蜷局をなして眠りを貪る彼の姿、そんな夢に浸る様になったのである。
それはノーチラス号 (Nautilus) 艦内で、ネモ艦長 (Captaine Nemo) に出逢う遥かな以前の事である。

だから、数年後に公開された映画『怪獣総進撃 (Destroy All Monsters)』 [(本多猪四郎 (Ishiro Honda) 監督作品]の併映作品としてリヴァイバル公開された映画『海底軍艦 (Atragon)』 [同監督作品]に登場する、ムウ帝国 (Mu)の守護神は、マンダ (Manda) では駄目なのだ。深海にあり、海洋を統べる大帝国を護るものは、巨大な (Leviathan) であってはならない。
滑らかな銀色に輝く肢体を優雅にゆらめかせながら、その巨大魚リュウグウノツカイKing Of Herrings) が海底軍艦こと轟天号 (Gotengo aka Atragon)の前に現れるべきなのである。
そして、その巨大魚の比類のない美しさに媚惑されて、神宮司八郎大佐 (Captain Hachiro Jinguji) [演:田崎潤 (Jun Tazaki)]達は破滅してしまうのだ。

次回は「」。
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