2007.08.11.14.51
炎暑が続き本当の秋が待ち遠しい毎日ですが、お元気でいらっしゃいますか。
残暑と言えば、この曲ですね?
先ずは、とりあえず。
今では俳優 / タレントとして活躍しているうじきつよしが、かつて率いていた子供バンドによる演奏をお楽しみ下さい(画像の荒れや音量の不安定な点等は、ご了承願います)。
『サマータイム・ブルース(Summertime Blues)』。オリジナルはエディ・コクラン(Eddie Cochran)で1958年のヒット曲です。
メインのギター・リフをボトムで支えるサイド・ギターのコード・カッティングが、サーフィン / ホットロッド(Surfin' & Hot Rod)の常道で、逆にそれが新鮮に響いて来ます。
と、いうのは、この曲の存在を知ったのは、ザ・フー(The Who)の『ライヴ・アット・ザ・リーズ
難しい表現をすると「夏の享楽や恋愛から疎外された青春の鬱積」をテーマにしたこの曲、ぶっちゃけた身も蓋もない言い方をすれば「夏だから"恋いしたい / ヤりたい / 遊びたい / カネが欲しい"」を謳ったこの曲の、破壊衝動にも似たモチーフを、忠実にかつダイレクトな形で表現しています。
彼らのこの演奏によって、この『サマータイム・ブルース(Summertime Blues)』という楽曲は、重要なロック・アンセムのひとつとしての地位を築きます。
だから、定番化していく事によって、このT-レックス(T.Rex)の演奏の様に、アフター・アワーズ・セッション的に、シンプルにしてかつリラックスした表現というのも可能です。映像の出自は不明ですが、TV番組のクロージング・ナンバーとしての演奏の模様です。そして、ドラムスを欠いた変則的な編成という点を観れば、ミュージシャンも制作者サイドも本編終了後のアンコール・ナンバーとして「誰にでもお馴染みのあの曲を」という意味合いなのでしょう。
その一方で、楽曲の持つ破壊衝動を徹底的に追求したのが、このブルー・チアー(Blue Cheer)による演奏。楽曲の持つメロディをより鬱積した表現にして、先のザ・フー(The Who)・ヴァージョンの荒々しさをさらに荒々しく、極悪非道なサウンドを鳴り響かさせています。彼らのアプローチが、HR / HM(ハードロック / ヘヴィー・メタル)やグランジ(Grunge)と呼ばれた音楽のオリジンとなります。
そのブルー・チアー(Blue Cheer)の末裔かもしれないヴァン・ヘイレン(Van Halen)には、その様なネガティブなパワーは微塵とも存在しません。どちらかと言うとザ・フー(The Who)のアレンジの発展系とも言える演奏で、エディ・ヴァン・ヘイレン(Eddie Van Halen)のギター・ソロの導入部は、まんま、ザ・フー(The Who)・ヴァージョン、つまりピート・タウンゼンド(Pete Townsend)のものと一緒です。勿論、これは彼らが馴れ親しんで聴いて来たヴァージョンがザ・フー(The Who)・ヴァージョンであるという意味もあるけれども、それよりも彼らのアレンジでの多用される演奏のブレイクを利用して、ヴァン・ヘイレン(Van Halen)各々のメンバーの演奏テクニックのお披露目に利用しているという感が強い様です。
しかし、ヴァン・ヘイレン(Van Halen)と同時期にデヴューしたストレイ・キャッツ(Stray Cats)は、そのオリジネイターであるエディ・コクラン(Eddie Cochran)へと先祖帰りをしてみせます。尤も、彼ら自身の音楽性やバンド・コンセプトそのものが、1950年代のオールディーズ(Oldies)だから扱く当然と言えば、当然なんですけれどもね。
で、ここで序でに明記しておけば、最初に紹介した子供バンド・ヴァージョンも同時期の発表です。


ところで、本来ならば、この『サマータイム・ブルース(Summertime Blues)』を最もラジカルに表現してみせたふたつの楽曲を紹介すべきなのですが、現時点で試聴出来る画像やサイトを発見出来ずにいます。
ひとつは、段ボール箱を始めとする非楽器をフィーチャリングした、フライング・リザーズ(The Flying Lizards)のデヴューシングルとして発表された「サマータイム・ブルース(Summertime Blues)」(『ミュージック・ファクトリー
もうひとつは、原子力発電所問題をテーマに据えたと思しき、RCサクセションによる「サマータイム・ブルース(Summertime Blues)」(『カバーズ
前者は演奏面で、後者は歌詞の面で、このロック・クラシックの可能性を引き出しているのだけれども。興味のある方は、自力で捜してみて下さいね。
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