2022.08.21.07.57
"Japan" by Bob Marley & The Wailers

このライヴは当時、TVでみている。NHK:日本放送協会 (NHK : The Japan Broadcasting Corporation) 『ヤング・ミュージック・ショー (Young Music Show)』 [1971〜1986年放映] で放映されたのだ。
1978年3月11日の事である。
記憶にあるのは、こんな印象だ。
スポットライトを浴びた彼がひとり、闇に浮かぶ。ちょうど、本作のカヴァー写真の様に。そして、1本のマイクに向けて、声をはなつ。その趣きは、唄うと謂うよりも祈っていると謂う方が適切かもしれない。当然、バックの演奏は聴こえている筈だが、ぼくにはそこでの熱気は少しも伝わらない。それを裏付ける様に、腰から下の彼の動きはまるで、地団駄を踏んでいる様だ。歯痒いのだろうか。自身のおもい、自身のことばが虚空にきえていくとでも、おもっているのだろうか。
実際の映像は決してこの様なモノではないだろう。本作を聴いた印象は、ぼくの記憶を決して補完する様なモノではないのだから。[本作購入は、この印象の確認の為が第一義であろう。]
ところで、ぼくが所有してい彼と彼等の音楽作品は、スタジオ録音作は、彼等のデヴュー作『キャッチ・ア・ファイア (Catch A Fire)』 [1973年発表] だけである。
その代わりにライブ盤は、本作を含め、4作もある。
アルバム『ライヴ! (Live!)』[1975年発表 1975 ライシアムシアター ( Lyceum Theatre) 公演録音] とアルバム『バビロン・バイ・バス (Babylon By Bus)』[1978年発表 1978年 カヤ・ツアー (Kaya Tour) 時録音] とアルバム『アポロ・シアター~ニューヨーク ’76 (Apollo Theater NewYork '76)』[1997年発表 1976年 アポロ・シアター (Apollo Theater) 録音]、そして本作だ。



何故、こうなったかと謂うと、こんな理由と経緯だ。
デヴュー作を購入したのは、オリジナル・デザインをCDサイズで復刻したモノだからだ [上掲画像中央がそれ。その左が再発版である]。ジッポーライター (Zippo Lighter) を模したそのデザインは、そのライターの様にパッケージを開ける特殊ジャケットである。単純にそれに釣られてしまった、そう謂って良い。
だから、同じく変形デザインであるアルバム『バビロン・バイ・バス (Babylon By Bus)』もこの時、購入したのだ。
猶、ふたつのライヴ・アルバムはそれ以前に購入済みである。

ぼくが彼と彼が率いるバンドの存在を知った時季は、1977年頃。当時の彼等の最新作は、アルバム『エクソダス (Exodus)』[1977年発表] である。
当時、彼等の日本盤を発売していたレコード会東芝EMI ( Toshiba-EMI Limited.) が配布していた、洋楽カタログに他のアーティストと並び、彼等が紹介されていた。
音楽に関する説明としては、レゲエ (Reggae) とジャマイカ (Jamaica)、そして、彼等の代表曲『アイ・ショット・ザ・シェリフ (I Shot The Sheriff)』 [アルバム『バーニン (Burnin')』収録 1973年発表] をエリック・クラプトン (Eric Clapton) がカヴァーした楽曲『アイ・ショット・ザ・シェリフ (I Shot The Sheriff)』 [アルバム『461 オーシャン・ブールヴァード (461 Ocean Boulevard)』収録 1974年発表] が全世界的にヒットした、と謂う程度のモノだった。もしかしたら、その構文は現在でも未だ変わらないのかもしれない。
寧ろ、眼を引くのは、音楽以外の彼の影響力である。そこで綴られてある言説をみていると、後年のボノ・ヴォックス (Bono) である様な印象だ。音楽家と謂うよりも政治家、もしくは活動家である。と、謂うと謂い過ぎか。音楽家としてあるよりも、そこでの活動の成果を基に、自身の発言の訴求力を高めている様にもみえる [それが良いとか悪いとか謂う話ではない。良い悪いはその内容をもって判断されるべきだ]。
だけれども、それでぼくが彼等の音楽に興味をもったかと、そうではない。何故ならば、当時の最新作『エクソダス (Exodus)』に謳われているその曲名に、疑義があったからだ。
「逃げる」
ラスタファリズム (Rastafari) も、その言葉の原典である『出エジプト記 (Liber Exodus)』 [『旧約聖書 (Vetus Testamentum)』記載] も理解出来ていない当時のぼくには、そのことばのなかにある真意を解らなかったのだ。まるで、TVアニメ番組『新世紀エヴァンゲリオン (Neon Genesis Evangelion)』 [庵野秀明 (Hideaki Anno)、摩砂雪 (Masayuki) 監督作品 1996〜1997年 テレビ東京系列放映] での碇シンジ (Shinji Ikari) の様だった。「逃げちゃダメだ (Can't Escape)」と。いまならばこそ、『勝手に逃げろ / 人生 (Sauve qui peut (la vie))』 [ジャン=リュック・ゴダール (Jean-Luc Godard) 監督作品 1980年制作] と謂ってとんずらこくばかりなんだが。

彼が、と謂うよりも、彼が属するジャンルとしてのレゲエ (Reggae) がぼくに近づいて来たのは、パンク・ムーヴメント (Punk Movement) 勃発以降である。
そのムーブメントに参するバンドやアーティストの幾つもが、レゲエ (Reggae) に賛同していた [一例を挙げれば、ザ・クラッシュ (The Clash) がカヴァーした楽曲『ポリスとコソ泥 (Police And Thieves)』 [原曲『ポリスとコソ泥 (Police And Thieves)』[ジュニア・マーヴィン (Junior Murvin)、リー・ペリー (Lee "Scratch" Perry) 作 1976年発表] や彼等のオリジナル楽曲である『ハマースミス宮殿の白人 ([White Man} In Hammersmith Palais)』 [ジョー・ストラマー (Joe Strummer) の作 1978年発表] だ。彼等の第1作『白い暴動 (The Clash)』 [ 1977年発表] 等に収録されている]。
それに唆される様に、遅まきながらレゲエ (Reggae) と彼等に興味を持った。
当時は、アルバム『バビロン・バイ・バス (Babylon By Bus)』[1978年発表 1978年 カヤ・ツアー (Kaya Tour) 時録音] が発表された時だ。FM番組等で、その収録楽曲を聴く事が出来た。だけれども、なんとなく違和感がある。と、謂うのは、同時期に聴いたアルバム『ライヴ! (Live!)』[1975年発表 1975 ライシアムシアター ( Lyceum Theatre) 公演録音] 収録楽曲の演奏と、その作品とに差異を感じたからだった。今の演奏よりも前の演奏の方が遥かに良い [なんとなく旧宗主国であるグレートブリテン及び北アイルランド連合王国 (United Kingdom Of Great Britain And Northern Ireland) への凱旋だから、とおもえてもしまうが]。
だから、どうしても最新作を購入する気は起きなかったのである。寧ろ、彼等からの後発バンド、後発アーティストの方を熱心に聴いていた様な気がする。
最新作での演奏は、人気こそ絶大なモノとなったが、それが功を反して、大御所になってしまったのかな、そんな印象がとても強いのだ。

猶、遺るもう1枚のライヴ・アルバム『アポロ・シアター~ニューヨーク ’76 (Apollo Theater NewYork '76)』にはこんな印象がある。
昂揚感、それだ。
単純にここで演奏出来るのが嬉しい。伝わるのは、それである [黒人音楽 (Black Music) の殿堂、アポロ・シアター (Apollo Theater) だからか]。
そしてぼくは、彼と彼等の作品の中で、この作品が最もすきなのだ。
ものづくし (click in the world!) 238. :"Japan" by Bob Marley & The Wailers

"Japan" by Bob Marley & The Wailers
「ボブ・マーレー歴史上最大の問題作!! 伝説が今現実となった。あの幻と言われている'79年東京公演の封印が遂に解かれた。
収録/1979年4月10日 中野サンプラザホール
初回限定特典 スペシャルパッケージ仕様
スペシャルCD [Message from Rita Marley + 「Who Can Be Against Us」(新譜CD「Adventuer of Three Birds」収録)]
予約先着ショップにて "ボブ・マーレーB2" ポスター・プレゼント!!」
Disc 1
1. Rastaman Vibration
2. Concrete Jungle
3. I Shot The Sheriff
4. No Woman No Cry
5. Lively Up Yourself
6. War ~ No More Trouble
7. Running Away ~ Crazy Baldhead
8. The Heathen
Disc 2
1. Jamming
2. Is This Love
3. Get Up Stand Up
4. Exodus
5. Bob Marley Interview
収録/11979年4月10日 中野サンプラザホール
歴史的ライブ録音のため多少音質が悪いことを御了承下さい。
又、詩は、オリジナルをもとに掲載してあります。ライブCDの為ボーカルと多少異なっています。
Directed by Haruki Okada for Sound Terminal Ltd.
Kaz Hoshino 3/4inc.
Mastering at JVC by Osamu Shimoju
A & R by Kikuo Saito (TDK), Katsuyoshi Sakamoto (TDK)
Sales Promoted by HIroki Watanabe (TDK)
Art Directed by Makoto Chinen
Design by Media Art Co., Ltd.
(Enari, Ohata, Kabaya)
(P) & (C) 1996 TDK CORE DO. LTD..
ぼくが所有している国内盤CDには、上掲にある様に3インチCD "This Is Rita Marley" [1. Message From Rita Marley 2. Who Can Be Against Us [from "Adventures Of Three Birds" ] ] がと、歌詞ならびに無署名の対訳と解説等 が掲載されているブックレットが封入されている。
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