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2022.03.22.11.49

じばくそうち

特撮TV番組『仮面ライダー (Kamen Rider)』 [石森章太郎 (Shotaro Ishimori) 原作 19711973NET系列放映] に登場する、悪の組織ショッカー (Shocker) が放つ怪人 (Kaijin) が装着していると謂う。
彼等の腰にある、ショッカー (Shocker) の紋章 (Emblem) が施された尾錠 (Buckle) の中だ。
その存在は、彼等が属する組織とそこから彼等へと発せられる指令の、機密保持 (Confidentiality) の為だと謂う。
だから、仮面ライダー (Kamen Rider) の放つ必殺技 (Special Move) を受ける彼等が絶命する際に、彼等は爆発するのだ。

だが、彼等が爆死 (Death By Explosion) するのは、その第9話『恐怖コブラ男 (The Terrifying Cobra Man)』[1971年放映] に登場したコブラ男 (Cobra Man) 以降である。
彼の前に登場した計8体の怪人 (Kaijin) 達は爆死 (Death By Explosion) しない。融解 (Melting) してその肉体が消失する。つまり、彼等の存在、彼等の担う作戦、そしてその背後にある組織の存在を証明するモノが一切、抹殺しされてしまうのである。機密保持 (Confidentiality) と謂う観点からみれば、体内の自爆装置 (Self Destruct System) の発動よりも明らかに完璧である [爆発音はその周囲に響き渡るし、無関係な第3者をも巻き込む可能性もあるだろう?]。
にも関わらずに、幾つかの例外を除いて、コブラ男 (Cobra Man) 以降の怪人 (Kaijin) 達は毎週、爆死 (Death By Explosion) していくのである。

その理由はその番組で語られる物語の外にある。
当初、設けられていた怪奇色に富む作品観 [最初期に登場するのは蜘蛛男 (Spider Man) に蝙蝠男 (Bat Man) にそれに蠍男 (Scorpion Man) に蟷螂男 (Mantis Man) さらには避役男 (Chameleon Man) に蜂女 (Bee Woman) だ、それに相対決する仮面ライダー (Kamen Rider) 自身が、ショッカー (Shocker) の改造手術によって誕生する筈の飛蝗男 (Grasshopper Man) であったのだから] から、明快な活劇へと移行したからである。それは単純に謂えば、視聴率を慮っての事であると同時に、当時の風潮を受けての事にある。
だからこそ、第14話『魔人サボテグロンの襲来 (The Devil Saboteguron Attacks!)』 [1971年放映] 以降、物語の主人公も、仮面ライダー1号 (Kamen Rider 1) こと本郷猛 (Takeshi Hongo) [演:藤岡弘 (Hiroshi Fujioka)] から仮面ライダー2号 (Kamen Rider 2) こと一文字隼人 (Hayato Ichimonji) [演:佐々木剛 (Tsuyoshi Sasaki)] へと転換する。その交代の内実は、撮影現場に於ける藤岡弘 (Hiroshi Fujioka) の負傷を受けてのモノではあったが、遅かれ早かれ、主人公の設定には何らかの転換が為されたのに違いない。と、謂うのは、本郷猛 (Takeshi Hongo) は、ショッカー (Shocker) の謀略によって、緑川ルリ子 (Ruriko Midorikawa) [演:森川千恵子 (Chieko Morikawa)] から、彼の恩師でもあるその父緑川弘博士 (Dr. Hiroshi Midorikawa) [演:野々村潔 (Kiyoshi Nonomura)] 殺害の冤罪 (Bad Rap) を被っていたからだ。この設定は、物語にあたかも米TVドラマ『逃亡者 (The Fugitive)』 [19631967ABC系列放映] の様な緊張感をもたらすが、その一方で、その番組の主要な視聴者である少年少女達には、難解なモノにもなりかねない。
その様な、番組の物語設定に起因する難点を解消する手段、そのひとつとして、怪人 (Kaijin) の融解死 (Death By Melting) から爆死 (Death By Explosion) へと変更させられたのだ。

だがその一方で、毎回毎回、怪人 (Kaijin) 達の爆死 (Death By Explosion) をみせられていると、疑問におもえる点が幾つも発生する。

機密保持 (Confidentiality) がその装置の設置理由だとしたら、何故、仮面ライダー (Kamen Rider) は爆死 (Death By Explosion) しないのか、と。
上に綴った様に、仮面ライダー (Kamen Rider) もまた、ショッカー (Shocker) の改造人間 (Cyborg) なのである。彼が彼等の走狗とならずに正義の味方として誕生出来たのは、本郷猛 (Takeshi Hongo) の脳手術 (Brain Surgery) 直前に、緑川弘博士 (Dr. Hiroshi Midorikawa) によって手術現場から逃亡を成し得たからである。
機密保持 (Confidentiality) がその装置の最大の理由であるとしたら、改造手術 (Cyborg Surgery) の端緒は、その装置の内臓にあるのではないだろうか。
尤も、この疑問は、怪人 (Kaijin) の爆死 (Death By Explosion) 云々とは少し離れたところにある。彼等が爆死 (Death By Explosion) 以外の手法、すなわち、第8話以前の様に、融解死 (Death By Melting) したとしても、成立する疑問だ。つまり、何故、仮面ライダー (Kamen Rider) はショッカー (Shocker) によって融解 (Melting) させられないのか、と。[そもそもが、こんな地点で拘泥してしまうと、いつまで経っても番組を堪能する事は出来ない。例えば、ショッカー (Shocker) の最初期の改造人間 (Cyborg) でありながら何故、彼よりも後に登場する、彼よりも遥かに優秀である筈の改造人間 (Cyborg) が彼に敗北してしまうのか、とか。そしてその難問を解決する根拠として、彼こそが人類 (Mankind) と正義 (Justice) を愛するが故なのだから、と多分に情緒的な弁明のみを呈示されて結果、ぼく達は辟易させられるのだ。]

疑問はまだある。

怪人 (Kaijin) 達は、仮面ライダー (Kamen Rider) の放つ必殺技 (Special Move) を受けて爆死 (Death By Explosion) する。その様はあたかも、その必殺技 (Special Move) が引火装置 (Ignition Device) の様な役割を果たし、結果的に内臓されている自爆装置 (Self Destruct System) の誤作動 (Mulfunction) を起動させている様にもみえるのだ。そしてそれが故に、その装置の設定事由が危うくされている様にもみえる。

何故ならば、自身の体内にある自爆装置 (Self Destruct System) を積極的に活用した戦闘、もしくは作戦をみる事が出来ないからである。
端的に謂えば、自爆装置 (Self Destruct System) を活用しての暗殺である。
否、そこまで徹底した作戦でなくとも、自身の担う作戦遂行が不可能となった時点、つまりその作戦が失敗が自明となった時点で、その怪人 (Kaijin) は仮面ライダー (Kamen Rider) を羽交締め (Nelson Hold) にし、自身共々、彼を爆死 (Death By Explosion) させる、そんな発想こそがあり得べきと思えるのだ [しかし、毎回毎回、そんなクライマックスでは、番組としての存続は危うくなってしまう]。

否、そんな物語は皆無ではない。
少なくとも、ぼくが認知しているのは、仮面ライダー2号 (Kamen Rider 2) 初登場話でもある第14話『魔人サボテグロンの襲来 (The Devil Saboteguron Attacks!)』登場のサボテグロン (Saboteguron) だ。彼はメキシコ (Mexico) 支部から派遣された幹部 (Cadre) と謂う触れ込みである [後に、ゾル大佐 (Colonel_Zol) [演:宮口二郎 (Jiro Miyaguchi)] を筆頭として登場する大幹部 (Executive) の魁だ]。彼は自身の作戦の失敗を受けて、仮面ライダー2号 (Kamen Rider 2) を火薬庫内に誘導して、自死を引き換えにそこでの爆死 (Death By Explosion) を謀るのだ。

でも、とぼくは思う。その物語展開では、サボテグロン (Saboteguron) は、自身の体内に設置されていた自爆装置 (Self Destruct System) の存在を看過しているのではないだろうか、と。彼が爆死 (Death By Explosion) を試みるのは、彼の兵器である爆破装置、メキシコの花 (Mexican Flowers) があるからなのだ。
それともメキシコの花 (Mexican Flowers) の爆発とそれに誘導される自爆装置 (Self Destruct System) の爆破によって、自身の企みをより確実なかたちで完遂させようとしたのだろうか。
いずれにしろ、ぼくが妄想する体内の自爆装置 (Self Destruct System) を活用による、仮面ライダー (Kamen Rider) の謀殺と謂う物語の要求に応えるには、充分ではない。ある意味でサボテグロン (Saboteguron) の策略は、窮鼠猫を噛む (Even A Worm W ill Turn)、そんな様相を呈しているからだ。

とは謂え、サボテグロン (Saboteguron) の破滅よりも、評価すべき物語がない訳ではない。
それはその特撮TV番組の後継作、特撮TV番組『仮面ライダーV3 (Kamen Rider V3)』 [石森章太郎 (Shotaro Ishimori) 原作 19731974NET系列放映] にある。
第2話『ダブルライダーの遺言状 (Last Testament OIf The Double Riders)』 [1973年放映] に登場するカメバズーカ (Kame Bazooka) である。彼の体内には原子爆弾 (Atomic Bomb) が装着されており、その爆破によって東京 (Tokyo) の壊滅を謀るのだ。

images
「『ゆるさんぞ、カメバズーカ。デストロンには、この東京をこわさせん』
ライダー1号が、さけんだ。
カメバズーカは、せせら わらった。
『おれさまの からだのなかには、原爆が、はいっている。もう、ばくはつじかんも、わずかだ。たおせるもの なら たおしてみろ』
ライダーは、東京を すくう ため全力を あげて たたかうのだ。」
[仮面ライダーV3スナック (Kamen Rider V3 Snacks) [1973年 発売:カルビー製菓] 封入カード (Kamen Rider V3 Trade Cards) 第28番『カメバズーカのからだには! (In The Body Of Kame Bazooka)』より。上掲画像がその表面であり引用文はその裏面 [ムック『仮面ライダー 仮面ライダーV3カード 完全図解 (Kamen Rider Trading Cards And Kamen Rider V3 Trading Cards The Perfect Praphic Explanation) 』 [木下正信(Masanobu Kinoshita) 構成 1997竹書房刊行] 掲載より引用、尚、漢字並びに片仮名には総てルビが振られている]に掲載されている。]

しかし、彼と彼を操作する悪の組織デストロン (Destron) の目論見は、ふたりの仮面ライダー (Kamen Rider)、すなわち仮面ライダー1号 (Kamen Rider 1) こと本郷猛 (Takeshi Hongo) と仮面ライダー2号 (Kamen Rider 2) こと一文字隼人 (Hayato Ichimonji) によって阻まれてしまう。ふたりはカメバズーカ (Kame Bazooka) を拉致し、共に太平洋上 (Over The Pacific Ocean) で爆死 (Death By Explosion) する事により、その危難を回避するのだ。
デストロン (Destron) 並びにカメバズーカ (Kame Bazooka) の当初の企てこそ防げたが、その為にふたりを喪失してしまうのである。

次回は「」。

附記:
第2話『ダブルライダーの遺言状 (Last Testament OIf The Double Riders)』を物語の外から眺めると、次の様な理解が得られるとおもう。
ふたりの仮面ライダー (Kamen Rider) の喪失、そんな物語がそこに描かれたのは、特撮TV番組『仮面ライダーV3 (Kamen Rider V3)』が、その前作である特撮TV番組『仮面ライダー (Kamen Rider)』の初期設定を踏襲しようとする意図があるからだ。原点回帰 (Going Back To The Roots) と謂っても良い。仮面ライダーV3 (Kamen Rider V3)こと風見志郎 (Shiro Kazami) [演:宮内洋 (Hiroshi Miyauchi)] は第1話『ライダー3号 その名はV3! (Rider No. 3 : His Name is V3!)』 [1973年放映]に於いて、デストロン (Destron) の放つ刺客ハサミジャガー (Hasami Jaguar) によって両親と妹 [風見達治 (Tatsuji Kazami) [演:加賀邦男 (Kunio Kaga)]、風見綾 (Ryo Kazami) [演:真咲美岐 (Miki Masaki)] そして風見雪子 (Yukiko Kazami) [演:関口英利子 (Eriko Sekiguchgi)]] を喪ってもいる。彼は本郷猛 (Takeshi Hongo) や一文字隼人 (Hayato Ichimonji) 同様、天涯孤独となってしまったのだ。彼の境遇 [彼が仮面ライダーV3 (Kamen Rider V3) と謂う改造人間 (Cyborg) である事実] を理解しているのは、立花藤兵衛 (Tobei Tachibana) [演:小林昭二 (Akiji Kobayashi)] 等、ごく僅かな人物達だけなのである。
もしかしたら、この特撮TV番組は、仮面ライダーV3 (Kamen Rider V3)を含む3人の仮面ライダー (Kamen Rider) を筆頭とする集団とデストロン (Destron) との組織対組織の物語として、語り始める事が出来たのかもしれない。
が、番組制作者はその手法を嫌った。
以降、仮面ライダー・シリーズ (Kamen Rider Series) の物語が新たに語り始める度に、新たな仮面ライダー (Kamen Rider) は誕生する。そして彼等は誰もが孤独なのである [と、断言したいんだけど、現在もその設定は踏襲されているんだろうか]。
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