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2022.01.11.08.00

ぐりこ

と謂えば、おもちゃ (Toys) だ。所謂おまけ (Extra) である。尤も、発売元である江崎グリコ (Ezaki Glico Company, Ltd.) はおまけ (Extra) なる呼称は認めてはいない。認めてはいないが、商品そのものの本体は食品であるキャラメル (Caramel) であって、愛玩物であるおもちゃ (Toys) ではない、ぼく達の認識はそれで一致している [と謂う様な些事はこれから先、問う事はない]。そのおまけ (Extra) であるおもちゃ (Toys) が拙稿の題材である。

そのおもちゃ (Toys) は、実際に購入して蓋を開けてみないと解らない事になっている。現在であるのならば、ネットで検索すれば、入手可能なおもちゃ (Toys) の一覧を拝めるのかも知れないが、ぢゃあ、そのどれがと謂えば、やはり解らない。まるでシュレディンガーの猫 (Schrodinger's Cat) の様な状態に、購入後にそれを愛玩するであろう子供達は置かれている事となる。
とは謂え、それらにはシュレディンガーの猫 (Schrodinger's Cat) とは大きな違いがひとつある。それは、たったひとつだけ、その中身に関する情報が明示されている事、すなわち、おもちゃ (Toys) は2系統に分類されている事だ。つまり、おとこのこのおもちゃ (Toy For Boys) とおんなのこのおもちゃ (Toy For Girls) 、この2種だ。
購入者は、それを賞味する子供達の性別を考慮して、その商品を入手する必要がある [もしくは入手が可能となっている]。

以上を前提とすると、果たしてその商品が今後もその様なかたちで販売され得るのであろうか、と考え込んでしまう。
と、謂うのは、性差もしくは性別のあり方、あるべき姿について、ぼくが混乱しているからである。
でも、だからと謂って、ぼくがぼく自身のそれについて問題を抱え込んでいる訳ではない。要するに、それに対してどう対処したら良いのだろう、と謂う、ぼんやりとした疑問がここにある。そして、それに関する思考実験のひとつ、その素材としてグリコ ( Glico Caramel) のおもちゃ (Toys) が、ぼくのまえにその存在を主張しているのだ。
拙稿の目的は、その思考実験で思案している問題点の幾つかを整理してみようと謂う試みである [だから、ここで結論めいたモノは呈示出来ないと思う]。

性には、幾つもの局面がある。局面と謂う語句が相応しくないのならば、それを判断する際の基準、と換言しても良い。

先ず、肉体上で判別出来る差異である。この後の議論を容易にする為に、ここではそこに於ける差異、性別を、雄性 (Male) と雌性 (Female) と呼ぶ事にしよう。
かつて、と謂うか、ぼく達がこれまでに築いてきた歴史を鑑みれば、総てはこれだけで済ます事が出来た。世の中には雄性 (Male) を備えた人間と雌性 (Female) を備えた人間がいる。そして、それぞれの身体的条件によって優劣が判断され、そこに差別と謂うモノが生成されてきた [差別云々と謂う視点を包含させてしまうと考慮せねばならない点が多岐に及んでしまうので、ここから先それは考えない]。

ところが、性とは雄性 (Male) と雌性 (Female) だけをもって判断し得るものではないと謂う点が明らかとなった。
一例を挙げれば、性同一性障害 (Gender Dysphoria) である。
それを前提とすれば、肉体上に於ける認識とは別のもうひとつの認識があるに事なる。単純に謂えば、自身の内面、その精神上でのみ判別出来る差異がそこにあるのだ。雄性 (Male) と雌性 (Female) に倣って、ここでは男性 (Man) と女性 (Woman) と呼ぶ事にしよう。

肉体上に顕在する表徴と精神に内在する認識が一致していれば、恐らくなんの問題もない。だが、それが不一致の場合はどうなるのか、どうすべきなのか。
冷静に考えれば、このふたつのモノが不一致であると謂う点のみを問題視するのならば、純粋に医学上の問題であるだけではなかろうか。つまり治療の必要性、もしくは治療法の開発そして実施、そしてそれを前提とした医療保険 (Health Insurance) や医療福祉 (Medical Welfare) に関するモノである [それを肉体に対して行うべきなのか、それとも精神に対して行うべきなのか、と考慮すべき問題がいくらでも頻出してくるだろう、だからこの点に関しても、ここでは素通りだ]。

ぼくが思うのには、この問題を複雑かつ怪奇にしているのは、雄性 (Male) と雌性 (Female)、男性 (Man) と女性 (Woman)、このふたつの判断基準とは異なる、もうひとつの性に関する局面、もしくは判断基準があるからだと思う。
それは、社会的な視点にたったモノだ。勿論、その社会的なるモノはこれまでの歴史によって培ってきた結果であるのだから、歴史的なモノと呼んでも差し支えない。
例えばそれは、男勝り (Spirited Woman) とか女だてら (Despite Being A Woman)、女々しい (Soy Boy) とか女の腐った様な (Feminine Boy)、と謂う成句が登場する局面でもあるし、服装倒錯者 (Transvestism) とか性別歪曲者 (Gender Bender) とかの用語が闊歩し出す局面でもある。
この様な判断基準を必要とする性を、先のふたつの分類に倣って、殿方 (Gentleman) と婦人 (Lady) と呼ぶ事にしよう。

そして、先の繰り返しにはなるが、殿方 (Gentleman) と婦人 (Lady) と謂う基準が、多くの問題点を孕んでいるのではないか、と思う。
つまり、次の様な事である。
雄性 (Male) であるモノは男性 (Man) である、もしくは、男性 (Man) であらねばならぬ、否、より男性 (Man) である事を発揮せねばならぬ。
勿論、一方がそうであるのならば、他方も同様だ。
雌性 (Female) であるモノは女性 (Woman) である、もしくは、女性 (Woman) であらねばならぬ、否、より女性 (Woman) である事を発揮せねばならぬ。
そして、その様な要請が顕現するのは、もしくは必要とされるのは、殿方 (Gentleman) と婦人 (Lady) と謂う基準が生成されているからではないだろうか。

と、謂う点を前提とすればそこで、グリコ ( Glico Caramel) のおもちゃ (Toys) はどの様な役割をここで果たしてしまうのか。
殿方 (Gentleman) と婦人 (Lady) の、幼少時での名称をそれぞれ、少年 (Boy) と少女 (Girl) と呼ぶ事が出来るのだとしたら、おとこのこのおもちゃ (Toys For Boys) とおんなのこのおもちゃ (Toys For Girls) は、その分離を積極的に司る役割を任んじている事となる。

だけれども、それをもってグリコ ( Glico Caramel) のおもちゃ (Toys) の現在のあり方に疑義を呈すべきなのだろうか。況や、それをもってその廃止を主張すべきをや。

と、謂うのは、問題の本質は、殿方 (Gentleman) と婦人 (Lady) の存在そのものにあるとは思えないからだ。
仮に、それを真っ向から否定してしまう事は、のっぺりとした均一とした社会を求める事にしかならない。
所謂言葉狩り (Political Correctness) にも匹敵する様な作業をひたすら追求していく事だ [そしてそれは過去の事象、事例を完全に亡かったモノとして葬りさる事でもある。これから後、必要とされるであろう歴史の検証もしくは反省を蔑ろにする行為だ]。
極端な事を謂って仕舞えば、誰も彼もに同じ嗜好、誰も彼もに同じ服装を要求しようと謂うモノである。
趣味、価値観、その分岐点のひとつとして、殿方 (Gentleman) と婦人 (Lady) がある事自体を否定する事は不要だと思う。

と、謂うのは、ぼくが考えている問題の本質とは、雄性 (Male) と男性 (Man) と殿方 (Gentleman) とが完全に合一のモノであると謂う前提 [もしくはかくあるべきと謂う姿勢]、雌性 (Female) と女性 (Woman) と婦人 (Lady) が完全に合一のモノであると謂う前提 [もしくはかくあるべきと謂う姿勢] なのである。
それが存するが故に、幾多の問題、幾多の不条理 (Absurde) が生成されているのではないだろうか。

それらが完全に分離したモノ、各々が独立した価値基準であると謂う認識が存するのであるのならば、だれがどれを、おとこのこのおもちゃ (Toys For Boys) を選択しようとおんなのこのおもちゃ (Toys For Girls) を選択しようと自由である筈なのである。
そして、そうであるのならば、グリコ ( Glico Caramel) のおもちゃ (Toys) は、単純にひとつの選択肢を呈示していると謂う存在にしかすぎなくなる。そして、それが最も好ましい状況である様に、ぼくには思える。

ぢゃあ、具体的には今後、どうしたら良いのか。
ぼくの中では、ここで停滞しているのだ。

次回は「」。

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"Butterfly Tableau Part II" from the photo book "Inside Out / Portraits From Transgender Children 2003-2021. " by Sarah Julia Wong
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