fc2ブログ

2021.09.19.08.09

"ABSOLUTELY FREE" by THE MOTHERS OF INVENTION

images
本作のジャケットを眺めているとふと疑問におもうのはその作品の名義、つまりその作品制作の主体たるバンド、ザ・マザーズ・オブ・インヴェンション (The Mothers Of Invention) とは一体なんなのだろうと謂う事なのである。

images
フランク・ザッパ (Frank Zappa) を除く他のメンバーの顔が、あたかも馬鈴薯 (Potato) の如くに画面下にごろごろと転がっている一方で、バンド・リーダーである彼の顔はその上部 [寧ろ中央部と看做すべきだろう] におおきく場所を占めている。まぁ、それは良い。バンド内の力関係もしくは創作上の役割に応分しての事なのだろうから。
前作であると同時にその名義による第1作、そしてそこのバンド・リーダーであるフランク・ザッパ (Frank Zappa) にとっても第1作であるアルバム『フリーク・アウト! (Freak Out!)』 [1966年発表] に於いては、他のバンド・メンバーと対等の位置を占めていた。彼が他の人物達の中央に存しているのは、彼がリーダーであるからなのだ。第2作である本作では、単純にそれぞれの比重が移動したと看做せば良いだけなのである。
それよりも不思議なのは、本作の制作自体には全く関与していない女性、ゲイル・ザッパ (Gail Zappa) の表情、その一端がそこにのぞめる事なのだ。
謂うまでもなく彼女はバンド・リーダーの妻なのである [ちなみに入籍は本作発表の1967年、新婚ほやほやだ]。後に彼女は、彼の作品群の初期に於いて彼が創造した女性、スージー・クリームチーズ (Suzy Creamcheese) を演じたモノの、彼と彼が率いる一群の演奏には殆ど関与していない様なのだ。少なくとも本作制作には、繰り返しにはなるが、一切、関与していない。
彼女の存在がおおきくなるのは、フランク・ザッパ (Frank Zappa) が既存のレコード会社に所属するアーティストたる事をやめ、インディペンデント (Independent) な存在となって以来である。彼が彼の作品を発表する場、彼のレーベル [名称が何度となく変更されるからややこしい] の運営と経営に、彼女は関与するのである。
それを前提にすれば、彼女の存在が彼にとってとてもおおきな存在であろうと推量されるし、アルバムのヴィジュアルに於いてもおおきく扱われるのは、すこしも不思議ではない。
とは謂うモノの。

images
ザ・ビートルズ (The Beatles) の楽曲に『ジョンとヨーコのバラード (The Ballad Of John And Yoko)』 [アルバム『ザ・ビートルズ1967年〜1970年 (1967–1970)』収録 1969年発表] がある。そのシングル盤ジャケットには、メンバー4人と同等にジョン・レノン (John Lennon) の妻、小野洋子 (Yoko Ono) が占めている。冷静に考えれば、とても奇妙な構図である。彼女はバンドのメンバーでもなければ、その楽曲のバンドの演奏にも関与していない。敢えて謂えば、楽曲名にある様にその主題ではある。しかし、その点をもって彼女がそこに存在する事を是とするのならば、ジョン・レノン (John Lennon) と彼女のふたりだけがいれば良い筈なのだ [そして楽曲制作に実際に関与したのはその楽曲の作者であるジョン・レノン (John Lennon) とポール・マッカートニー (Paul McCartney) だけなのだ。他の2人はスタジオにすらいない]。
にも関わらずに。

フランク・ザッパ (Frank Zappa) の作品とその名義を並べてみると、個人名であったりバンド名であったりする。より厳密に分類していこうとすると多少の混乱は引き起こしかねない。
だから、混乱を避けると謂う意味で大雑把に認識し、一括してしまおうとしても、フランク・ザッパ (Frank Zappa) と謂う個人とザ・マザーズ・オブ・インヴェンション (The Mothers Of Invention) と謂うバンド、その分類は多少とも必要であろう。

images
彼自身のなかで、どの様な判断基準が設けられていたのかは良く解らない。
だけれども、少なくとも最初期には、ソロ名義とバンド名義とは峻別していたと思えなくもない。
と、謂うのは彼の個人名義での第1作 [通算第4作]『ランピー・グレイヴィ (Lumpy Gravy)』 [1968年発表] は当初、異なるレコード会社からの発売を前提としていたのだから。個人名義とバンド名義は、契約上、別物である。そんな認識だろう。そしてそれを前提にして、異なる作風、異なるメンバー、異なる主張も出来るのだ、と。
しかし、実際はバンド名義での契約先からクレームが来てしまう。その作品もバンドの所属レコード会社からの発売を余儀なくされる。
もしかしたら、この事件が契機となって、彼自身、個々の名義には拘泥しない様になったのではないだろうか。
ただ、だとしても、バンドと個人、その存在の軽重は本人の意識のなかでなし崩し的に崩壊していった様にも思える。その証左が例えば、本作のヴィジュアルなのである。謂い忘れたが、本作のヴィジュアル面はフランク・ザッパ (Frank Zappa) 自身が担当しているのだ [そこにレコード会社の意向と謂うモノがどう影響しどう反映させたかは解らないモノの]。


imagesimages
ぼくがフランク・ザッパ (Frank Zappa) を聴き始めたのは、CDと謂う新しいメディアの登場によって、彼の旧作もかつての名盤と謂う呼称の許で、再発売されてからだ。それ以前は、ジョン・レノン (John Lennon) の2枚組アルバム『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ (Sometime In New York City)』 [1972年発表]、その作品の1/4を成すライヴ演奏 [その際の音源はアルバム『プレイグラウンド・サイコティクス (Playground Psychotics)』 [1992年発表] でも聴ける] での共演者と謂う認識だ。
つまり、名前は知っていた。彼の評価と名声はよく聴く。新作も随時、国内盤が発売されもする。だけれども、一体どこから掌をつけて良いのかも解らない。何故ならば、彼の最新作の登場はあたかも月刊でもあるかの様に、毎月報じられていたからだ。
ぼくの眼と掌が先ず、評価の安定している旧作へと向けられたのはそんな理由だ。

images
そして、恐る恐る聴く。聴いて混乱する。だけれども、その混乱は決して不快なモノでもない。その証拠に忘れた頃に彼の旧作を購入してしまっている。その理由は、世評だったり、参加メンバーだったり、アルバム・ジャケットだったり、常に違う。
そんな有閑とした購入と聴取が一転したのは、連作『ユーキャントどうだザットこの凄さ! (You Can't Do That On Stage Anymore』 [各CD2枚組全6作 19881992年発売] の第1作『ユーキャントどうだザットこの凄さ! / オン・ステージ Vol.1 (You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 1)』 [1988年発表] が発売された頃である [上掲画像はその際にLPのみの形式で発売されたアルバム『ユーキャントどうだザットこの凄さ! / サンプラー (You Can't Do That On Stage Anymore [Sampler]』 [1988年発表] である]。かつての未発表だった名演奏が、フランク・ザッパ (Frank Zappa) 自身の肝煎りで新作として発表され始めたのである。ぼくは新作群であるその連作を購入すると同時に、同時季に再発された旧作をも購入しだすのだ。

imagesimages
その結果、最新作のなかに収録された名曲の名演奏を聴くのと同時に、その楽曲の初出作を聴く事になるのだ。それは、おなじ楽曲の最新ヴァージョンとオリジナル音源を聴き比べるのに等しい。
そして、本作も、僕にとってはそれと同様の接し方となる。
それ故に、いつまで経っても、本作単体の評価が出来ていない。
ぼくのなかにある本作とは、楽曲『コール・エニィ・ヴェジタブル (Call Any Vegetable)』や『ビッグ・レッグ・エマ (Big Leg Emma)』が収録されてある作品であって、と同時に、冒頭に綴った様に、フランク・ザッパ (Frank Zappa) とザ・マザーズ・オブ・インヴェンション (The Mothers Of Invention) の関係性の考慮を誘発する作品なのである。
それは本作に、ザ・マザーズ・オブ・インヴェンション (The Mothers Of Invention) 名義の作品群のなかにあって、ザ・ビートルズ (The Beatles) の第8作『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド (Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band)』 [1967年発表] のパロディ・ジャッケットである第3作『マザーズ・オブ・インヴェンションのおかしな世界 (We're Only In It For The Money)』 [1968年発表] や、ルーベン・アンド・ザ・ジェッツ (Ruben And The Jets) と名称を偽って、ドゥーワップ (Doo-wop) 形式の楽曲ばかりを収録した第5作『クルージング・ウィズ・ルーベン・アンド・ザ・ジェッツ (Cruising With Ruben And The Jets)』 [1968年発表] の様な、明確な指標が明示されていないからでもある。

だから、本作を聴いて想うのは次の様な裏付けが一切ない様な心象ばかりなのである。
楽曲の殆どは短く、しかも幾つかは寸劇まがいの楽曲であって、それらが組曲形式で繋がれて演奏されていく。そこからあたかもヒット曲をメドレー形式で演奏した様にも聴こえるし、ミュージカル映画のクライマックスでもあるかの様にも聴こえる。それをさらに印象づけるのが最終楽曲『アメリカ・ドリンクス・アンド・ゴーズ・ホーム (America Drinks And Goes Home) 』である。
そして、そんな印象を集約させるのが長尺曲のひとつ『ブラウン・シューズ・ドント・メイク・イット (Brown Shoes Don't Make It)』で、その曲は演劇まがいの構成がなされている。極端な表現をすれば、この曲の構想を1枚のアルバムへと展開させたのが本作なのである。
その一方の、もうひとつの長尺曲『 インヴォケイション・アンド・リチュアル・ダンス・オブ・ザ・ヤング・パンプキン (Invocation And Ritual Dance Of The Young Pumpkin) 』は、彼等の演奏力を魅せるモノである。
そんな構成を一歩ひいて眺めると、フランク・ザッパ (Frank Zappa) の幾つもある指向をぎゅっと濃縮してあるかの様な印象を抱くのだ。
そしてぼくは嗚呼、この時点で彼の総てがここにある、そうつぶやいてしまうのだ。

そしてさらにもうひとつ脳裏に浮かぶ事がある。
フランク・ザッパ (Frank Zappa) はアメリカ人 (American) なのである。決して彼はコスモポリタン (Cosmopolitan) ではない。ひとりのアメリカ人 (American) であると謂う位置にあって、そこから森羅万象、すなわち、世界を眺めているのだ。
そこで抱いた疑念が、彼の創造の原点にあるのだ、とおもう [と、おもうのだが、それを裏付けるモノをいまのぼくは提出出来ないのだ]。

imagesimages
ただ、少なくともザ・マザーズ・オブ・インヴェンション (The Mothers Of Invention) と謂うバンドに関しては次の様な事を謂っても良いと想う。
フランク・ザッパ (Frank Zappa) 自身は彼等 [と敢えて綴るが] に関して満足していない。
隔靴掻痒でもあろう。必ずしも彼の思い通りにはなってはいない。
だからと謂って、常に最新のメンバーによる演奏が、彼の意を充分に汲み切っているとは思ない。
晩年のシンクラヴィア (Synclavier) での演奏 [アルバム『ジャズ・フロム・ヘル (Jazz From Hell)』 [1988年発表] ] も、アンサンブル・モデルン (Ensemble Modern) との共演 [アルバム『イエロー・シャーク (The Yellow Shark)』 [1993年発表]] も、時季を経れば、彼は不満を抱いただろう。

だからこそ、逆に愛おしい、慈しいのである。
そして、それにこそぼくも同調している様にもおもえる。

ものづくし (click in the world!) 227. :
"ABSOLUTELY FREE" by THE MOTHERS OF INVENTION


images
"ABSOLUTELY FREE" by THE MOTHERS OF INVENTION

ABSOLUTELY FREE THE COMPLETE LIBRETTO

1. PLASTIC PEOPLE 3:42
2. THE DUKE OF PRUNES 2:13
3. AMNESIA VIVACE 1:01
4. THE DUKE REGAINS HIS CHOPS 1:50
5. CALL ANY VEGETABLE 2:20
6. INVOCATION AND RITUAL DANCE OF THE YOUNG PUMPKIN 7:00
7. SOFT-SELL CONCLUSION 1:40
8. BIG LEG EMMA 2:32
9. WHY DON'TCHA DO ME RIGHT? 2:37
10. AMERICA DRINKS 1:53
11. STATUS BACK BABY 2:54
12. UNCLE BERNIE'S FARM 2:11
13. SON OF SUZY CREAMCHEESE 1:34
14. BROWN SHOES DON'T MAKE IT 7:30
15. AMERICA DRINKS & GOES HOME 2:46

THE MOTHERS OF INVENTION PLAY ALL THIER OWN MUSICAL BACKGROUNDS. THE ONLY EXCEPTION ON THE DISC IS BROWN SHOES DON'T MAKE IT WHERE THEY HAVE ADDED 2 VIOLINS, 1 VIOLA, 1CELLO, 1 TRUMPET AND 1 CONTRA-BASS CLARINET.

"THE PRESENT DAY COMPOSER REFUSES TO DIE!." EDGAR VARASE, JULY 1921

ALL SELECTIONS COMPOSED, ARRANGED & CONDUCTED BY FRANK ZAPPA
PRODUCED BY TOM WILSON
FRONT COVER PHOTO : ALICE OCHS
COVER ART, LAYOUT, NOTES, COLLAGES, ETC. : ZAPPA

Imprime par KAIZER

ZAPPA HOTLINE 818 PUMPKIN

LYRICS (C) FRANK ZAPPA MUSIC, BMI
ALL SELECTIONS PUBLISHED WORLDWIDE BY FRANK ZAPPA MUSIC, BMI
(C) (P) 1967, 1988 BARKING PUMPKIN RECORDS
ZAPPA TM ALL RIGHTS RESERVED.

ぼくが所有しているCDでのクレジットは以上の通りだが、これだけでは不足している情報が多々あるので、こちらを参照して掲載する(でもそれでも、何かが足りない様な気がする)。

Engineer [Director Of Engineering] – Val Valentin
Engineer [Remix] – David Greene
Engineer, Recorded By – Ami Hadani
Musician – Billy Mundi, Bunk Gardner, Don Preston, Jim Black, Jim Sherwood, Ray Collins, Roy Estrada
Photography By [except on the front cover] – Jerry Deiter, Marshal Harmon
関連記事

theme : おすすめ音楽♪ - genre : 音楽

adventures of t. g. chaung | comments : 0 | trackbacks : 0 | pagetop

<<previous entry | <home> | next entry>>

comments for this entry

only can see the webmaster :

tackbacks for this entry

trackback url

https://tai4oyo.blog.fc2.com/tb.php/3368-b0b758f3

for fc2 blog users

trackback url for fc2 blog users is here