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2021.06.15.08.26

ししてしかばねひろうものなし

TV時代劇番組『大江戸捜査網 (Oedo Sosamo : Oedo Dragnet)』 [19701984テレビ東京系列放映] はリアルタイムでは未体験である。
ぼくの記憶が正しければ、ぼくが棲んでいた地方での放送は深夜帯 [と謂っても当時のぼくにとってであって現在のぼくにとっては宵の口ですらない] だったから当然、その時間帯のぼくは眠っているのに違いないのだった。

その後、平日の16時台に帯番組 (Across-the-board Program) として再放送されていたから、その時になって何度か体験する事になる。その時間帯、そのTV局では、時代劇ドラマ (Jidaigeki Drama) を放映していたのだ。だけれども積極的にそして主体的になって、観ていた訳ではない。
第1に、その時間帯はまだ小学生 (Primary School Student) だったぼくにとっては、とても忙しい時間帯であった。だからと謂って学習塾 (Juku : Cram School) に通っていた訳でも、その日の宿題 (Homework) をやっつけていた訳でもない。なにに勤しんでいたかは、読者各位の、その年齢当時の体験に照らし合わせて推測して欲しい。
そして、第2に、と謂うかこちらの方が重要だ、その時間帯のもうひとつの民放TV局では、海外ドラマ (TV Drama In USA) の再放送を帯番組 (Across-the-board Program) として放映していたのである。仮に、その局から放送されている番組がSFドラマ (Sf Fictions On TV) であったとしたら、途端に、裏番組 (Competitive Program) として拮抗すべき、そちらの時代劇ドラマ (Jidaigeki Drama) 枠の立場は弱くなる。少なくとも、その時間帯の我が家の主導権を握っている筈の母親は夕餉の支度に追われ、TV観劇どころではないのだ。畢竟、チャンネル権 (Monopoly Of The TV Channels) はぼくが握っているのである。

と、番組の内容とは別のところ、全く無関係でありそうな状況をつらつらと書き綴ったのは実は訳がある。

その時代劇ドラマ (Jidaigeki Drama) は、番組名こそ「大江戸 (Oedo : Edo, The Metropolice)」と冠してはいるモノの、必ずしも時代劇ドラマ (Jidaigeki Drama)、その正統を汲むモノではないのだからだ。
寧ろ、当時の海外ドラマ (TV Drama In USA) の発想や番組骨子を換骨奪胎 (Alter) するところから、その企画はたちあがっている様なのである。

番組の主役は、隠密廻り同心 (Onmitsu-Mawari-Doshin : Secret Agent Men On Edo Era In Japan) 達である。彼等による捜査とその結果としての事件の解決が物語の主軸となっている。
隠密廻り同心 (Onmitsu-Mawari-Doshin : Secret Agent Men On Edo Era In Japan) 達は、士分 (Samurai) である己の身を隠し、日頃から町人 (Chonin) 達と交わって生活する事によって、事件を知り、その核心へと到達を試みる。その手法、微行 (Incognito)は、遊び人の金さんこと遠山金四郎景元 (Toyama Kagemoto aka KIn-san, The Gay Dog) や越後の縮緬問屋の御隠居こと徳川光圀 (Tokugawa Mitsukuni aka The Retired Crepe Merchant From Echigo) となんら変わりがない。だけれども、そんな時代劇ドラマ (Jidaigeki Drama) の常套手段に則りながらも、番組制作の視点にあるのは、旧来的な意味での捕物帖 (The Memoirs Casebook In JIdaigeki) と謂うよりも現代的な手法である、潜入捜査 (Undercover Operation) や囮捜査 (Sting Operation) と謂う意識づけがある様に思えるのだ。

その表徴としてあるのは、ひとつには番組名がある。

その時代劇ドラマ (Jidaigeki Drama) は当初、サブタイトルとして「アンタッチャブル (The Untouchables)」と謂う語句が記されてあったと思う。当時のぼくは「捜査網 (Dragnet)」と謂う熟語が判読出来ないおかげで、その片仮名文字の羅列はその熟語の振り仮名と理解していた。つまり、幼いぼくにとってはそのTV時代劇番組は、『大江戸アンタッチャブル (Oedo Untouchables)』として存在していたのだ。
[と、謂う事はこの際、実はどうでも良い事であって] ぼく達はそのサブタイトル名から海外TVドラマ『アンタッチャブル (The Untouchables)』 [19591963ABC系列放映] を想起すれば良いのだ。連邦捜査局員 (FBI : Federal Bureau Of Investigation) エリオット・ネス (Eliot Ness) [演:ロバート・スタック (Robert Stack)] 達の活躍を描いた番組である。
と、同時に、その時代劇ドラマ (Jidaigeki Drama) の英語名に着目すれば、同じく海外TVドラマ『ドラグネット (Dragnet)』 [19511959NBC系列放映] を想起出来るのである。
その点を挙げるだけで、その時代劇ドラマ (Jidaigeki Drama) の意識、そのありどころを認めれば良いのだ。

さらに謂えば、拙稿件名として掲げたその1文に着目すれば良い。
その1文は正確に綴れば「死して屍拾う者無し (On Your Dying, No One Will Takes Care Of)」であり、番組内で毎回語られる惹句、『隠密同心 心得之条 (Onmitsu-Doshin Kokoroe-no-jo : The Texts For The Knowledge Of Secret Agent Men)』の1節、その最末尾にある1文である。
この1文、そこにある真意は、海外TVドラマ『スパイ大作戦 (Mission : Impossible)』 [19661973CBS系列放映] で毎回登場する惹句と通じている様に、ぼくには思えるのだ。

images
その番組では、毎回決行、そして完遂すべき指令がその実行者ジム・フェルプス (Jim Phelps) [演:ピーター・グレイブス (Peter Graves)] に発せられ終えた直後に、こう彼に告げるのである。
例によって、君、もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。 (As Always, Should You Or Any Of Your IM Force Be Caught Or Killed, The Secretary Will Disavow Any Knowledge Of Your Actions.)」[上掲画像はこちらから]。

次回も「」。
拙稿の続篇である様な、そうでない様な、そんな論考の筈である。

附記 1. :
こちらによれば、惹句である『隠密同心 心得之条 (Onmitsu-Doshin Kokoroe-no-jo : The Texts For The Knowledge Of Secret Agent Men)』が登場するのは第3シリーズ [19731970年放映] を待っての事だと謂う。

附記 2. :
「実は訳がある」と綴っておきながら、ここまででは、その訳には一切、言及していない。
ふたつの民放TV局の平日16時台の帯番組 (Across-the-board Program) が、一方が時代劇ドラマ (Jidaigeki Drama) であり、他方は海外ドラマ (TV Drama In USA) である事は既に述べた。それは恐らく、放送局個々の戦略ないし視聴者層の展望によるのだろうし、個々の放送局のキー局の保有している、様々な番組の特性にもよるのだろう。しかし、時代劇ドラマ (Jidaigeki Drama) と海外ドラマ (TV Drama In USA) が真っ向から対立するジャンルでもないらしい、それを伺い知る事が出来るのがTV時代劇番組『大江戸捜査網 (Oedo Sosamo : Oedo Dragnet)』なのである。本来ならば、時代劇ドラマ (Jidaigeki Drama) 的な思考や指向をもった海外ドラマ (TV Drama In USA) があれば、もう少し面白い展開に拙稿もなるのだろうが、残念ながら今のぼくに憶いもつかない。
但し、その時代劇ドラマ (Jidaigeki Drama) が放映された時間帯に、海外TVドラマ『スパイ大作戦 (Mission : Impossible)』の、もうひとつの民放TV局での放映があった事だけは明記して置いても良さそうだ [だからと謂ってその両者が裏番組 (Competitive Program) として、同時期に放映されていたとは限らない]。
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