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2021.04.18.08.27

『スパイ大作戦 ファイル1 オリジナル・サウンドトラック (THE BEST OF MISSION : IMPOSSIBLE)』 by ラロ・シフリン (LALO SCHIFRIN) ・アンド・ジョン・E・デイヴィス (JOHN E. DAVIS)

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擦った燐寸 (Match) で着火させる。その炎はどこまでも延びている導火線 (Fuse) をつたい、その時になって初めて威力を発揮する。
番組冒頭のタイトルバックに流れる映像 [それはこの後に放映される本編の物語から抜粋したシーン、その断片である] と共に演奏されるのが、その番組『スパイ大作戦 (Mission : Impossible)』 [19661973CBS放映 1967フジテレビ系列放映] のテーマ曲である。

その番組の放映時からそのシーンは既にぼくにはお馴染みのモノで、番組冒頭を飾るあの言葉、それは大平透 (Toru Ohira) によって「おはようフェルプス君 (Good Morning, Mr. Phelps)」と語り始められ「猶、このテープは自動的に消滅する (This tape Will Self-destruct In Five Seconds)」で幕を閉じる、は当時の流行語でもあった。その台詞とそれに続く「実行不可能な指令 (Mission : Impossible)」がジム・フェルプス (Jim Phelps) [演:ピーター・グレイブス (Peter Graves)] に発令される様は、いろいろなところで再演され、いろいろなところでパロディとされた。

だけれども当時のぼくが、その後に展開される本編を観る事はついぞなかった様に想う。と、謂うのは、幼いぼくにとってその番組の放映時間は就寝の時間だったからだ。かろうじて番組冒頭のそのタイトルバックと「おはようフェルプス君 (Good Morning, Mr. Phelps)〜猶、このテープは自動的に消滅する (This tape Will Self-destruct In Five Seconds)」を観る事は出来た。つまり、その音楽と台詞が就寝の合図であったのだ。
[尤も、それはこの番組に限っての事ではない。当時その時間帯に放映されていたTV番組のどれもがぼくにとっては同じ位置づけにあったのだ。物語を知る事なくただその冒頭飾る主題歌や主題曲ばかりが当時の記憶となって遺っている。]

だから、この番組を堪能出来たのは、再放送時の事である。
ぼくの棲んでいる地域のTV局は、平日の帯番組として毎夕16時台に、海外ドラマを放映していた。海外ドラマと謂ってもジャンルは少し偏っている。SFやアクションだ。つまり、視聴者層をすこし低めに設定していたのであろう。その一貫としてぼくはその番組をようやくに観る事が出来たのである。

出来たと謂っても、その時の放送話総てを鑑賞した訳では決してない。いや、それ以前にその番組の総てのエピソードを放映した訳でもないだろう。ただ謂える事は、小学生 (Elementary School Students) だったぼくに、平日の毎16時にブラウン管の前につく事は至難の技だったと謂う事である。小学生 (Elementary School Students) は忙しいのだ。
でも、それは番組を観る事の妨げにはならなかった。他のTV番組の様にその番組は連続モノではない。1話完結でしかも、その完結した物語が後の放送話へと影響する事はなかった筈だ。
つまり、観たい時、観れる時にそれを観れば良かったのである。

と、ここまでずっとその番組に関するぼくの体験と記憶ばかりが綴られている。肝心の音楽作品としてはまだ一言も語られていない。
しかも、その体験と記憶に関する記述はまだ続くのである。

物語は「おはようフェルプス君 (Good Morning, Mr. Phelps)〜猶、このテープは自動的に消滅する (This tape Will Self-destruct In Five Seconds)」の後に続く指令、その実行である。だからと謂って、その指令を受けたジム・フェルプス (Jim Phelps)、彼ひとりが超人的な能力を用いて活躍する訳ではない。彼が結集した技能者達が個々の能力を発揮して、難題そのものであるその指令を着実に実行していくのだ。
その様な物語設定は、そのTV番組の映画化作品『ミッション:インポッシブル (Mission : Impossible)』 [ブライアン・デ・パルマ (Brian De Palma) 監督作品 1996年制作] とは少し違うのだ。

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本アルバムジャケットに掲載されているのがその一員である [掲載画像はこちらから]。
右下の白髪男性がジム・フェルプス (Jim Phelps) [演:ピーター・グレイブス (Peter Graves)]、そこから時計回りにシナモン・カーター (Cinnamon Carter) [演:バーバラ・ベイン (Barbara Bain)]、ローラン・ハンド (Rollin Hand) [演:マーティン・ランドー (Martin Landau)]、バーニー・コリアー (Barney Collier) [演:グレッグ・モリス (Greg Morris)] そしてウィリー・アーミテージ (Willy Armitage) [演:ピーター・ルーパス (Peter Lupus)] である。このTV番組は長期に渡る放映作であるが故に、主要メンバーは幾度となく異動したが [第1シーズン (19661967年放映] はジム・フェルプス (Jim Phelps) ではなくダン・ブリックス (Dan Briggs) [演:スティーヴン・ヒル (Steven Hill)] が指揮官である]、ここに掲げられたのは第2、第3シーズン [19671968年、19681969年] のメンバーである。
そして、本アルバム制作者の視点に立てば、この時季がTV番組の全盛期であり、黄金期を彩った5名なのである。
余談ながら、精密機器ないし諜報機器の開発及び製作を主任務とするバーニー・コリアー (Barney Collier) を黒人男性俳優であるグレッグ・モリス (Greg Morris) が演じた事は意義深い事ではなかろうか。時代が時代ならば、その知性的な役は白人男性が演じるべきモノで黒人男性俳優ならば、異なる配役となったのに違いない。

彼等5名によるその殆どが頭脳プレイであって、さらに謂えば、一直線に物語は進行しない。
もしかしたら銃口1発をもって如実な成果を挙げる事も可能な指令でさえも、彼等自らが銃口をその対象に向ける事もない。搦手、隠密理にしかも確実に執行されるのである。

このTV番組に関し、ムック『新映画宝庫 vol.9 メカフリークス メカフェチ映画大図鑑 ( Mecha-freak - The Picture Book For Fetish Of Mecha)』 [2004大洋図書 (Taiyoh Tosho Co., Ltd.) 刊行] に次の様な記述がある。

「物語を、完璧なプロ集団のチームワークで見せるという点も独特だった」
「作戦は、基本的に非暴力が貫かれ、心理戦が多様されているのも特徴である」
「最後に敵は殺される事という結末も多いが、それはあくまでも自滅という形をとっていた」

それをそのまま信頼すれば、この番組で語られる物語は、狙撃手 (Sniper) の物語、例えばマンガ『ゴルゴ13 (Golgo 13)』 [さいとう・たかを (Takao Saito) 作 1968年から ビッグコミック連載] とも隔絶したモノなのである。

番組冒頭、タイトルバック最初の映像である、導火線 (Fuse) 着火のシーンは、それを的確に描写したモノである。
だが、本編を彩る物語は、導火線 (Fuse) 着火を描いたモノではない。その前段階、着火地点から発火地点、すなわち爆破目標へと只管、導火線 (Fuse) を敷き続ける物語なのである。そして実際に爆発するのはその放送話が語られ終わる時なのだ。
それを前提に据えれば、その映像を飾る音楽は、タイトルバック曲『スパイ大作戦のテーマ [メイン・テーマ] (Mission : Impossible Tm Main Title)』ではなくて楽曲『ザ・プロット [策略] (The Plot)』、その主旋律であろう。本アルバムを聴くと、それが如実に解る。物語としての『スパイ大作戦 (Mission : Impossible)』の主題は寧ろ、この楽曲にある。

ラロ・シフリン (Lalo Schifrin) と謂う音楽家の名前をぼくが知ったのは、クロスオーヴァー (Crossover Music) なるジャンルが提唱された当時の事である。白人音楽 (White Music) と黒人音楽 (Black Music) の融合、その旗手のひとりとして彼の名前があった [そのジャンルの意味と意義はその後、フュージョン (Fusion Music) と謂う曖昧なモノだがそれ故に人気のあるモノへと拡散されていく]。
そして、実際に彼の作品として知ったのは、映画『燃えよドラゴン (Enter the Dragon)』 [ロバート・クローズ (Robert Clouse) 監督作品 1973年制作] での音楽だった。
そこから遡って、TV番組『スパイ大作戦 (Mission : Impossible)』 での音楽を担った作曲家として認知したのである。

猶、本アルバムの最終曲として、作曲家自身の指揮によるイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 (The Israel Philharmonic Orchestra) の演奏が収録されている。そこで堪能出来るダイナミズムをもって、TV番組『スパイ大作戦 (Mission : Impossible)』 と謂う作品の為にある音楽の新たな魅力を知る事が出来る。

本アルバムに名を連ねているもうひとりの音楽家ジョン・E・デイヴィス (John E. DavisJOHN) に関しては、申し訳ないが、ぼくに語る術はない。彼はTV番組『スパイ大作戦 (Mission : Impossible)』 のリメイク作であるTV番組『新スパイ大作戦 (Mission : Impossible)} [19881990CBS放映 1991日本テレビ系列放映] の音楽を担当し、本アルバムに収録されているのがそこでの音楽である。

ものづくし (click in the world!) 222. :
『スパイ大作戦 ファイル1 オリジナル・サウンドトラック (THE BEST OF MISSION : IMPOSSIBLE)』 by ラロ・シフリン (LALO SCHIFRIN) ・アンド・ジョン・E・デイヴィス (JOHN E. DAVIS)


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スパイ大作戦 ファイル1 オリジナル・サウンドトラック (THE BEST OF MISSION : IMPOSSIBLE)』 by ラロ・シフリン (LALO SCHIFRIN) ・アンド・ジョン・E・デイヴィス (LALO SCHIFRIN AND JOHN E. DAVIS)

「これぞ『スパイ大作戦』究極のオリジナル・サウンドトラック。」

1. スパイ大作戦のテーマ [メイン・テーマ] [0:49]
 MISSION : IMPOSSIBLE TM MAIN TITLE

『奇跡のカムバック・前編』より
Suit From "THE CONTENDER" Pt. 1
2. ザ・プロット [策略] [0:51]
 THE PLOT
3. 準備 [3:12]
 READY
4. ローリン [0:44]
 ROLLIN
5. タイム [0:46]
 TIME
6. フェルプスの眠り [1:11]
 SLEEPING PHELPS

『海の底で口を割れ!』より
Suit From "SUBMARINE"
7. もうひとつの策略 [2:39]
 MORE PLOT
8. スパイ大作戦のテーマ [1:10]
  MISSION : IMPOSSIBLE TM THEME

『殺し屋』より
Suit From "THE KILLER"
9. ボウアー・ホテル [1:55]
  BOWER HOTEL
10. チェック・アウト・タイム [2:45]
 CHECK OUT TIME
11. 罠 [2:16]
 THE TRICK

『市長室乗っ取り』より
Suit From "TAKEOVER"
12. シグナル・ライト [0:42]
 SIGNAL LIGHT
13. ケイト・トーマス [1:26]
 KATE THOMAS

『脱出請負業』より
Suit From "UNDERGROUND"
14. テープ・マシン [3:17]
 TAPE MACHINE
15. グッド・ジョブ [0:47]
 GOOD JOB
16. スパイ大作戦のテーマ [エンド・テーマ] [0:29]
 MISSION : IMPOSSIBLE TM END CREDIT

17. 新スパイ大作戦のテーマ [1:03]
 MISSION IMPOSSIBLE '88 TM MAIN TITLE

『バイオ・ウォーズ』より
Suit From "THE PLAGUE"
18. トリッキー・イヤーズ [0:38]
 TRICKY YEARS
19. 追跡 [2:40]
 THIS IS THE CHASE

『呪われた美女売買』より
Suit From "THE BAYOU"
20. クロック・ベイト [1:46]
 CROC BAIT
21. むだ骨折り [3:38]
 NOT WORTH IT

『アボリジニの呪い』より
Suit From "THE CATTLE KING"
22. ナイス・ボート [0:59]
  NICE BOAT
23. 誘惑 [1:48]
 BAIT THE HOOK
24. ホット・タイム [0:44]
 HOT TIME
25. 推測 [1:17]
 I GUESS IT IS
26. 幻覚 [1:34]
 FREAK TIME
27. 華麗 [1:;42]
 WHACKO TIME

『ブラック・シーズ』より
Suit From "THE DEADLY HARVEST"
28. メルト・ダウン [2:00]
 MELT DOWN
29. フレームド [2:05]
 FRAMED

『麻薬戦争の果てに』より
Suit From "CHURCH BELLS IN BOGOTA"
30. コーヒー [1:16]
 COFFEE
31. 指輪 [1:17]
 RING A ROUND THE FINGER
32. 新スパイ大作戦のテーマ [エンド・テーマ] [0:35]
 MISSION IMPOSSIBLE '88 TM END CREDITS

33. ピーター・グレイブス・インタヴュー [14: 55]
 AN INTERVIEW WITH PETER GRAVES

34. スパイ大作戦のテーマ [オーケストラ版] [6:07]
 MISION : IMPOSSIBLE TM THEME

1. - 17. Music Composed by Lalo Schifrin
Published by Bruin Music Co. - BMI
18. - 31. Music Composed by John E. Davis
Published by Addax Music Co., Inc. - ASCAP
(22. 23. : Contains Theme From Main Title)
(24. 25. Contains Theme From The Plot)
Composed by Lalo Schifrin / Bruin Music Co. - BMI

32. 34. : Music Composed by Lalo Schifrin
Published by Bruin Music Co. -BMI
(34. Performed by The Israel Philharmonic Orchestra Conducted by Lalo Schifrin)
33. : Conducted by Neil Norman

Liner Notes : Lalo Schifrin, John E. Davis & Patrick White
Liner Notes (Japanese Version) : Hiroshi Tomiya
Sequenced by Neil Norman & Mark Banning
Digitally Mastered by Bob Fisher
Peter Graves Interview Recorded at 4th Street Recording, Santa Monica, CA
Engineer : Michael James
Advance Research : Carol Sue Baker
Graphic Production : Mark Banning
Television Soundtrack Music recorded at Glen Glenn Sound & at Paramount Scoring Stage.
The Israel Philharmonic Orchestra Recorded In Tel Aviv
Orchestra conducted by Lalo Schifrin

Produced for Release (Japan Issue) by Yoichi Nakano
Art Direction : Hiroko Nakamori
Translation : ILCC Co., Ltd / Special Thanks to Miki Fujishima (NTV)
Licensed by GNP Crescendo Records Co.,Inc.

Special Thanks to :
Bob Krueger, Patrick White, Kirk Buchanan, The Gang at Avenue L & 8th St, Dick Delson, Claudia and Kelly Graves, Jeff Sillifant and Still Things, Robert Cain and Media Star Productions, Charlie Stern, Avi Shoshani, Michael Zubin and the Israel Philharmonic Orchestra and all the members of the Impossible Missions Force for their cooperation and support.

Dedicated to the Memory of Bruce Geller

TM & (C) 1968, 1970, 1971, 1972, 1988, 1990, 1992 Paramount Pictures. Allright Reserved.
(P) 1993 Paramount Pictures
Tracks 33. & 34. (P) 11992 GNP Crescendo Records Co.,Inc.
MISSION IMPOSSIBLE is a Trademark of Paramount Pictures
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