2021.03.09.08.59
その悪魔 (Damon) は、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』 [コラン・ド・プランシー (J. Collin de Plancy) 著 床鍋剛彦 (Takehiko Tokonabe)、吉田八岑 (Tatsuo Yoshida) 訳 1818年刊行 1990年日本語版刊行] ではユコバック (Ukobach) の表記の基で、次の様に記述されている。
「下級の魔神。つねに灼熱した体で現われる。揚げ物と花火の発明者とされ、ベルゼビュートから地獄の釜に油を注ぐ役を任されている。」
そしてそのすぐ脇に、「地獄の釜たきユコバック」と謂うキャプションと共に、ルイ・ル・ブルトン (Louis Le Breton) によるユコバック (Ukobach) の肖像が掲載されている。痩身の身に貧弱な尾を与えられ、印象深い表情をしたその両腕には、煮えたぎった油を掬った巨大な匙 (Spoon) が握られている。
そして、その悪魔 (Damon) は、『悪魔の事典 (Dictionary Of Demons A Guide To Demons And Demonologists In Occult Lore)』 [フレッド・ゲティングズ (Fred Gettings)著 大瀧啓裕 (Keisuke Otaki) 訳 1988年刊行 1992年日本語版刊行] では、ウコバク (Ukobach) の表記の基で、次の様に記述されているのだ。
「ウコバクは炎に包まれてあらわれるという。ベルゼブブから地獄の釜に油を入れる仕事をまかされている。」
この部分は、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』をそのまま継承したものだ。もしくは、引用と呼ぶべきモノなのかもしれない。と、謂うのは、それぞれの原題をみれば明らかな様に『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』は仏語 (Francais) での記述であるのに対し、『悪魔の事典 (Dictionary Of Demons A Guide To Demons And Demonologists In Occult Lore)』は英語 (English) での記述であるからなのだ。そして、その異なる言語での記述が、異なる翻訳家の手によって、邦訳されて、ぼくの手許にあるのだから。
それはともかくとして、『悪魔の事典 (Dictionary Of Demons A Guide To Demons And Demonologists In Occult Lore)』には上の引用の前段に次の様な記述がある。
「コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』一八六三年版に使用された興味深い絵が、デーモン学を扱う通俗書に広く利用されたことで、悪名を高めている。」

また、本文とは別に『悪魔の事典 (Dictionary Of Demons A Guide To Demons And Demonologists In Occult Lore)』のカラー口絵に、ウコバク (Ukobach) の画像が掲載されている。それは、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』の手彩色版 (Hand-tinted Edition) からの引用である [掲載画像はこちらから]。
そのキャプションには、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』に基づいたその悪魔 (Damon) に関する記述のその後に、次の様な記述があるのだ。
「コラン・ド・プランシーのデーモンにまつわる著書を飾る挿絵は、俗受けするものではあれ、19世紀につくりだされた粗雑な想像の産物である。」
つまり、『悪魔の事典 (Dictionary Of Demons A Guide To Demons And Demonologists In Occult Lore)』にある指摘を整理すれば、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) は、コラン・ド・プランシー (J. Collin de Plancy) の創作であり、そのイメージの生成と現在にまで至る流通及び伝播に関しては、その書籍で挿画を担当したルイ・ル・ブルトン (Louis Le Breton) に負っている、となるのであろうか。
例えて謂えば、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) で画像検索して登場するのは、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』で掲載されたその画像もしくは、そこからの模写ないしは翻案ばかりなのである。
そうでない、まるっきり異なる解釈のユコバック像乃至ウコバク像 (Ukobach Images) は、極めて少ない。そんな例外的な画像は、マンガ『遊戯王 ( Yu-Gi-Oh! Cards)』 [原作:高橋和希 (Kazuki Takahashi) 1996~2004年 週刊少年ジャンプ連載] から派生したカードゲーム『遊戯王カード (Yu-Gi-Oh!)』の1枚『堕天使ユコバック (Darklord Ukoback)』やアニメ番組『青の祓魔師 (Ao no Futsumashi : Blue Exorcist)』 [原作:加藤和恵 (Kaue Kato) 2011、2017年 MBS、TBS系列放映] に登場するウコバク (Ukobach) が存するだけ、と謂っても良いだろう [否、捜し出そうとすればいくらでもでてくるかかもしれないが、とりあえずのぼくの捜索作業に於いてと謂う意味では、だ] 。
[そのカードゲーム (Trading Cards) に置けるその1枚の詳細に関しては全くの無知なので論ずる事は出来ないが] 尤も、そのアニメ番組に登場するウコバク (Ukobach) は、ベルゼブブ乃至ベルゼビュート (Beelzebub) ならぬメフィスト (Mephisto) の使い魔 (Familiar Spirit) でしかなく、彼の厨房 (Kitchen) を掌るだけの存在なのである。すなわち、矮小化されていると謂う訳だ。
ところで、視点を変えてみると、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) には面白い現象がひとつある。
その単語は、ウィキペディア日本語版 (Japanese Wikipedia) には単独項目はあるモノの、英語版ウィキペディア (English Wikipedia) にも、[彼の創造主であるコラン・ド・プランシー (J. Collin de Plancy) の母語による] フランス語版ウィキペディア (Wikipédia en francais) にも、単独項目がないのである。一括して『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』の1項目であるかの様な扱いなのである。
そして、何故、そんな摩訶不思議な事態が出来したのか。
その理由のひとつとしてカードゲーム『遊戯王カード (Yu-Gi-Oh!)』やアニメ番組『青の祓魔師 (Ao no Futsumashi : Blue Exorcist)』 の存在を挙げる事は出来るかもしれない。また、それと同時に、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) がキャラクターのひとつとして機能しているゲーム・シリーズ『女神転生 (Megami Tensei)』 [第1作『デジタル・デビル物語 女神転生 (Digital Devil Story : Megami Tensei)』は1987年発売 開発・発売:アトラス (Atlus)] の存在を挙げる事を付け加える事も出来るかもしれない [そこに登場するウコバク (Ukobach) は、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』での表象をそのまま継承している]。
そんなかたちで、その悪魔 (Damon) は、ぼく達に馴染みある存在として常日頃、主張しているのだろう。
だが、ぼくはもう少し遡る事が出来る。
それはムック『世界妖怪図鑑 (The Picture Book Of Yokai In The World)』 [佐藤有文 (Arifumi Sato) 著 1973年 ジャガーバックス刊行] の存在である。この書籍で、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) を含め、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』に登場する様々な悪魔 (Damon) 達の図象に出逢ったのである。
だから、端的な表現をすれば、そのムックが出版された事をもって、そこで育まれた土壌からの果実のひとつとして、ウィキペディア日本語版 (Japanese Wikipedia) にその単語の為の、単一項目をつくらしめたのである。
次回は「く」。
附記 1. :
ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) をグーグル (Google) で英文検索しても、登場するのは、アニメ番組『青の祓魔師 (Ao no Futsumashi : Blue Exorcist)』 に登場するそれ、もしくはゲーム・シリーズ『女神転生 (Megami Tensei)』に登場するそれ、ばかりである [検索条件の設定によるモノなのかもしれないが]。
附記 2. :
地獄の釜 (The Cauldron Of Hell) 云々では、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) と並び立つかたちで、グザファン (Xaphan) と謂う悪魔 (Damon) がある。『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』 でのルイ・ル・ブルトン (Louis Le Breton) の挿画に基けば、両腕をもって鞴 (Bellows) を保持し中腰に構えてふくれ面をしてその口から湯気を吹き立てている無尾の怪物である。その書物では、その鞴 (Bellows) をもって、「かまどの燠を吹く仕事に携わっている」とあるのだ。
その記述を念頭に置くと、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) と対の存在である様にも思えるし、また、いずれか一方がもうひとつの記述に登場して紹介されていても不思議ではないのにも関わらず、そんな記載をみた記憶もない。
何故だろうかと思っても、その理由となるべき事はその書物にある次の様な記述ぐらいしか想いあたらないのだ。
「サタンとその天使達が神に反乱を起こしたとき、グザファン (Xaphan) は反乱軍に加担し、その創意の才ゆえに大いに歓迎された」
つまり、出自とそれを裏付ける勲功の有無が2匹の悪魔 (Damon) の差異であり、それをもって対の存在たり得ないのであろう。
猶、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』では、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) がその地位を上述してある様に「下級の魔神」とされてあるのに対し、グザファン (Xaphan) は「第二階級の魔神」とされている。従って、同じ記述のなかにこの2匹の悪魔 (Damon) が登場する場合は、恐らく、前者の上に君臨する後者、もしくは、後者の配下である前者、となるのであろう。
附記 3. :
ぢゃあ、何故、ムック『世界妖怪図鑑 (The Picture Book Of Yokai In The World)』と謂う書籍が当時、児童向けに出版されそしてそれが受容されていったのか、と謂う問題はあるにはあるが、それを一言でもって語るのは難しい。当時のぼく達にとって、幾つもあるそのシリーズの中から、その書籍を選ぶのは、なかば必然めいたモノであったと思う [同級生でその書籍を所有しているモノは何人もいたし、また、ぼくの所有するモノは又貸しに続く又貸しの果てに未回収、行方不明となってしまった]。
そんな必然性を要求するモノの正体、そのキーワードや鍵を握る人物達は幾つもあって、逆にありすぎるから、どうしても凡庸な事しか語れない [から、ここでは擱筆するのだ]。
「下級の魔神。つねに灼熱した体で現われる。揚げ物と花火の発明者とされ、ベルゼビュートから地獄の釜に油を注ぐ役を任されている。」
そしてそのすぐ脇に、「地獄の釜たきユコバック」と謂うキャプションと共に、ルイ・ル・ブルトン (Louis Le Breton) によるユコバック (Ukobach) の肖像が掲載されている。痩身の身に貧弱な尾を与えられ、印象深い表情をしたその両腕には、煮えたぎった油を掬った巨大な匙 (Spoon) が握られている。
そして、その悪魔 (Damon) は、『悪魔の事典 (Dictionary Of Demons A Guide To Demons And Demonologists In Occult Lore)』 [フレッド・ゲティングズ (Fred Gettings)著 大瀧啓裕 (Keisuke Otaki) 訳 1988年刊行 1992年日本語版刊行] では、ウコバク (Ukobach) の表記の基で、次の様に記述されているのだ。
「ウコバクは炎に包まれてあらわれるという。ベルゼブブから地獄の釜に油を入れる仕事をまかされている。」
この部分は、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』をそのまま継承したものだ。もしくは、引用と呼ぶべきモノなのかもしれない。と、謂うのは、それぞれの原題をみれば明らかな様に『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』は仏語 (Francais) での記述であるのに対し、『悪魔の事典 (Dictionary Of Demons A Guide To Demons And Demonologists In Occult Lore)』は英語 (English) での記述であるからなのだ。そして、その異なる言語での記述が、異なる翻訳家の手によって、邦訳されて、ぼくの手許にあるのだから。
それはともかくとして、『悪魔の事典 (Dictionary Of Demons A Guide To Demons And Demonologists In Occult Lore)』には上の引用の前段に次の様な記述がある。
「コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』一八六三年版に使用された興味深い絵が、デーモン学を扱う通俗書に広く利用されたことで、悪名を高めている。」

また、本文とは別に『悪魔の事典 (Dictionary Of Demons A Guide To Demons And Demonologists In Occult Lore)』のカラー口絵に、ウコバク (Ukobach) の画像が掲載されている。それは、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』の手彩色版 (Hand-tinted Edition) からの引用である [掲載画像はこちらから]。
そのキャプションには、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』に基づいたその悪魔 (Damon) に関する記述のその後に、次の様な記述があるのだ。
「コラン・ド・プランシーのデーモンにまつわる著書を飾る挿絵は、俗受けするものではあれ、19世紀につくりだされた粗雑な想像の産物である。」
つまり、『悪魔の事典 (Dictionary Of Demons A Guide To Demons And Demonologists In Occult Lore)』にある指摘を整理すれば、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) は、コラン・ド・プランシー (J. Collin de Plancy) の創作であり、そのイメージの生成と現在にまで至る流通及び伝播に関しては、その書籍で挿画を担当したルイ・ル・ブルトン (Louis Le Breton) に負っている、となるのであろうか。
例えて謂えば、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) で画像検索して登場するのは、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』で掲載されたその画像もしくは、そこからの模写ないしは翻案ばかりなのである。
そうでない、まるっきり異なる解釈のユコバック像乃至ウコバク像 (Ukobach Images) は、極めて少ない。そんな例外的な画像は、マンガ『遊戯王 ( Yu-Gi-Oh! Cards)』 [原作:高橋和希 (Kazuki Takahashi) 1996~2004年 週刊少年ジャンプ連載] から派生したカードゲーム『遊戯王カード (Yu-Gi-Oh!)』の1枚『堕天使ユコバック (Darklord Ukoback)』やアニメ番組『青の祓魔師 (Ao no Futsumashi : Blue Exorcist)』 [原作:加藤和恵 (Kaue Kato) 2011、2017年 MBS、TBS系列放映] に登場するウコバク (Ukobach) が存するだけ、と謂っても良いだろう [否、捜し出そうとすればいくらでもでてくるかかもしれないが、とりあえずのぼくの捜索作業に於いてと謂う意味では、だ] 。
[そのカードゲーム (Trading Cards) に置けるその1枚の詳細に関しては全くの無知なので論ずる事は出来ないが] 尤も、そのアニメ番組に登場するウコバク (Ukobach) は、ベルゼブブ乃至ベルゼビュート (Beelzebub) ならぬメフィスト (Mephisto) の使い魔 (Familiar Spirit) でしかなく、彼の厨房 (Kitchen) を掌るだけの存在なのである。すなわち、矮小化されていると謂う訳だ。
ところで、視点を変えてみると、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) には面白い現象がひとつある。
その単語は、ウィキペディア日本語版 (Japanese Wikipedia) には単独項目はあるモノの、英語版ウィキペディア (English Wikipedia) にも、[彼の創造主であるコラン・ド・プランシー (J. Collin de Plancy) の母語による] フランス語版ウィキペディア (Wikipédia en francais) にも、単独項目がないのである。一括して『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』の1項目であるかの様な扱いなのである。
そして、何故、そんな摩訶不思議な事態が出来したのか。
その理由のひとつとしてカードゲーム『遊戯王カード (Yu-Gi-Oh!)』やアニメ番組『青の祓魔師 (Ao no Futsumashi : Blue Exorcist)』 の存在を挙げる事は出来るかもしれない。また、それと同時に、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) がキャラクターのひとつとして機能しているゲーム・シリーズ『女神転生 (Megami Tensei)』 [第1作『デジタル・デビル物語 女神転生 (Digital Devil Story : Megami Tensei)』は1987年発売 開発・発売:アトラス (Atlus)] の存在を挙げる事を付け加える事も出来るかもしれない [そこに登場するウコバク (Ukobach) は、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』での表象をそのまま継承している]。
そんなかたちで、その悪魔 (Damon) は、ぼく達に馴染みある存在として常日頃、主張しているのだろう。
だが、ぼくはもう少し遡る事が出来る。
それはムック『世界妖怪図鑑 (The Picture Book Of Yokai In The World)』 [佐藤有文 (Arifumi Sato) 著 1973年 ジャガーバックス刊行] の存在である。この書籍で、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) を含め、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』に登場する様々な悪魔 (Damon) 達の図象に出逢ったのである。
だから、端的な表現をすれば、そのムックが出版された事をもって、そこで育まれた土壌からの果実のひとつとして、ウィキペディア日本語版 (Japanese Wikipedia) にその単語の為の、単一項目をつくらしめたのである。
次回は「く」。
附記 1. :
ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) をグーグル (Google) で英文検索しても、登場するのは、アニメ番組『青の祓魔師 (Ao no Futsumashi : Blue Exorcist)』 に登場するそれ、もしくはゲーム・シリーズ『女神転生 (Megami Tensei)』に登場するそれ、ばかりである [検索条件の設定によるモノなのかもしれないが]。
附記 2. :
地獄の釜 (The Cauldron Of Hell) 云々では、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) と並び立つかたちで、グザファン (Xaphan) と謂う悪魔 (Damon) がある。『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』 でのルイ・ル・ブルトン (Louis Le Breton) の挿画に基けば、両腕をもって鞴 (Bellows) を保持し中腰に構えてふくれ面をしてその口から湯気を吹き立てている無尾の怪物である。その書物では、その鞴 (Bellows) をもって、「かまどの燠を吹く仕事に携わっている」とあるのだ。
その記述を念頭に置くと、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) と対の存在である様にも思えるし、また、いずれか一方がもうひとつの記述に登場して紹介されていても不思議ではないのにも関わらず、そんな記載をみた記憶もない。
何故だろうかと思っても、その理由となるべき事はその書物にある次の様な記述ぐらいしか想いあたらないのだ。
「サタンとその天使達が神に反乱を起こしたとき、グザファン (Xaphan) は反乱軍に加担し、その創意の才ゆえに大いに歓迎された」
つまり、出自とそれを裏付ける勲功の有無が2匹の悪魔 (Damon) の差異であり、それをもって対の存在たり得ないのであろう。
猶、『地獄の辞典 (Dictionnaire infernal)』では、ユコバック乃至ウコバク (Ukobach) がその地位を上述してある様に「下級の魔神」とされてあるのに対し、グザファン (Xaphan) は「第二階級の魔神」とされている。従って、同じ記述のなかにこの2匹の悪魔 (Damon) が登場する場合は、恐らく、前者の上に君臨する後者、もしくは、後者の配下である前者、となるのであろう。
附記 3. :
ぢゃあ、何故、ムック『世界妖怪図鑑 (The Picture Book Of Yokai In The World)』と謂う書籍が当時、児童向けに出版されそしてそれが受容されていったのか、と謂う問題はあるにはあるが、それを一言でもって語るのは難しい。当時のぼく達にとって、幾つもあるそのシリーズの中から、その書籍を選ぶのは、なかば必然めいたモノであったと思う [同級生でその書籍を所有しているモノは何人もいたし、また、ぼくの所有するモノは又貸しに続く又貸しの果てに未回収、行方不明となってしまった]。
そんな必然性を要求するモノの正体、そのキーワードや鍵を握る人物達は幾つもあって、逆にありすぎるから、どうしても凡庸な事しか語れない [から、ここでは擱筆するのだ]。
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