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2007.07.31.23.34

きしゃ

僕が幼かった頃、今よりももっともっと幼かった頃のことです。小学生はおろか、それよりももっと前、保育園児にすらなっていなかった頃の事です。
その頃の僕の日課のひとつが、母もしくは祖母に連れられて「きしゃ」を観に行く事だったそうです。

自宅から表通りにひょいと出て、先ずは繁華街のある方面に進みます。
しばらくすると、右手にお堀端に出ます。お堀ではたまに釣り糸を垂れるヒトがいたり、もう少し長じた僕も、同じクラスの子達と連れ立って、ザリガニなんかを捕りに行く訳ですが、それはもう1~2年の後の未来のエピソードです。
お堀の中は、ちょっとした公園になっていて、中には、児童公園や公会堂や花壇や噴水や児童博物館があります。
しかし、今日はそちらには向わない事にして、その反対側の左へと、僕と僕を連れ立っている母もしくは祖母は向います。こちらも広い通りです。
その広い通りをしばらく直進すると、「でんしゃ」の駅とその「でんしゃ」が行き交う踏切に辿り着きます。

ここで、「でんしゃ」と「きしゃ」の違いを説明しましょう。僕と僕を連れ立っている母もしくは祖母が観ている「でんしゃ」は、僕の住んでいる街から隣の街へと結ぶ私鉄の事です。一方の「きしゃ」とは、今で言うJR、当事は国鉄と呼ばれたT本線の事です。

その「でんしゃ」の踏切を通り過ぎて、しばらく広い通り沿いに歩くと、今度はさらに広い大通りが目の前を横切っています。国道*号線です。そのむこうに僕と僕を連れ立っている母もしくは祖母が目指す場所があります。

そこは、「きしゃ」の踏切です。僕の住んでいるS市からのぼり方面に出発した「きしゃ」が最初に通過する踏切です。そしてそこには、その踏切の意思を否定するかの様に、大きく黒ずんでいる、歩行者用の陸橋が線路を跨ぎ越していました。
だから、その陸橋に登り、その中央からくだり方面を望めば、S市がみえます。
足元を走っている4本のレールが、途中でどんどんと増殖して行って、にあるいくつものホームへと枝別れしていく様がみえます。
向って右手から三番目のホームに止まっている「きしゃ」がそこをゆっくりと離れ、どんどんと加速して、あの枝道からだんだんと幹に向って走り、遂には、己の足元をすごいスピードで走り抜ける様がみえます。

天気の良い日は、いつも、せがんで、連れて行ってもらったそうです。当事の足で、片道30分くらいでしょうか? その半分くらいの行程は、多分、乳母車に乗っていたのでしょう。

しかし、その日課は長く続かず、保育園にあがる頃になれば、新しく出来た人脈とともに、お堀端を左に曲らないで、その逆の右に向います。その上、小学校にあがる頃に、僕達家族は、その「きしゃ」の走っていた踏切を通り越して、さらに南に引っ越してしまいます。
踏切と陸橋自体も、その後の鉄道高架事業で、撤去されてしまいました。


ps : 掲載Youtube画像はザ・ビートルズThe Beatles)の主演映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!(A Hard Days Night)』より「恋する二人I should have known better)」のシーン。「きしゃ」内での演奏シーンであると同時に、上の文章のリアル・タイムでのヒット曲と言う意味で掲載しました。

次回は「」。
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