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2020.11.13.08.44

Wading In The Velvet Sea

そうさなぁ。
それはおまえのいうとおりかもしれないよなぁ。

だが、おれにはけっして無理というようなものだな。
そして、それはおまえにもいえるのかもしれない。

たしかにここちよいだろうさ。
優雅、時間とかしめきりにおわれることもない。そして、責任とやらからも解放されるんだ。
理想的であるのかもしれないよな。

だが、そのためには放棄しなきゃならないものばかりだろう。
いまのおまえ、いまのおれがしなきゃならない第一のことといえば。

そうしてから、なんだぜ。そこからはじめてそこへといたる最初のとびらがひらかれるんだ。
しかも、なんの保障もない。いまのところは。
いさんで、いわれるがままに一切合切をすてさったとしても、かならずそこへいけるとはかぎらないんだ。
へたすりゃへたするのがおちってもんだ。

しかもよ、うんよくそこへ到着したとしても、だ。
そこでうるものはなんにもないんだ。
ゆめやきぼうもない。

おどろいたってだめさ。
ゆめやきぼうをねがうようなやからはそんな場所はおことわりに、きまっているだろう。
ていのいい久米仙人になるばかりさ。
そこでくらすやつらにとって、ゆめやきぼう、そんなものはおんなのあしにしかすぎない。いや、それすら、それ以下のものだろう。

だから、未来永劫、そこにいるんだ。
我欲も我執すらもうしなって、さ。

[the text inspired from the song "Wading In The Velvet Sea" from the album "The Story Of The Ghost" by Phish]


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