this night wounds time, ぐすたふくりむと
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2009.01.27.20.20

ぐすたふくりむと

中学生(Secondary Education)時代の事である。
放課後の体育館(Gym)で、帰るとも帰らないとも、いつまでもその意思決定を先延ばしにしたまま、僕達は蹲って、熱心に汗を流している、生徒達の動きだけを眺めていた。

その狭い体育館(Gym)の中央にはバドミントン(Badminton)のコート(Badminton Court)。そのコート(Badminton Court)を挟んで反対側には、いくつもの卓球台(Table Tennis Table)が処狭しとして並べられている。そして、眼を転じて僕達が蹲っている隣には平均台(Balance Beam)が一脚あって、狭い空間をさらに狭めていた。
ほんの数週間前までは、僕達と平均台(Balance Beam)の間には、(Tatami)が敷き詰められていた筈だが、それも今はない。柔道(Judo)部は、部員不足で廃部になったのだ。

なにをどうこうするというあてもない僕達は、ずっと蹲って、真面目に練習している彼らを観ていた。
既に準備運動の時間は過ぎて、それぞれが基礎練習を始めている。卓球(Table Tennis)部は、緑色の卓球台(Table Tennis Table)に向かって、観えない白球(Table Tennis Ball)を追って腕を只管振っている
バドミントン(Badminton)部はもう、観えないシャトルコック(Shuttlecock)を追うのも飽きたのか、既に、ホンモノを使い始めている
僕達はにやにやしたりへらへらしたりしながら、その中にいる見知ったクラスメート達に視線を送っている。向こうも邪魔者の僕達の存在には気づいているのだけれども、それ以上に、観えない白球(Table Tennis Ball)や実際に飛んでくるシャトルコック(Shuttlecock)の方が重要だ。
例え、僕達の視線の向かっている視線が、気になったとしても。

ブルマ(Bloomers)は単なるブルマ(Bloomers)だけれども、その上にスコート(Skirt)を纏ったら、ブルマ(Bloomers)はそれ以上の意味合いを持ってしまう事は、彼女達も僕達もよく知っている。[つまり、体操着がそのまんま部活の練習着になっている卓球(Table Tennis)部は、僕達にとっては、問題外ということなんだけれども]。

だから、平均台(Balance Beam)の上にたつ彼女達は、僕達にとっても、ちょっと特別視する存在となってしまう。中でも、同級の彼女に関しては。
細い肢体をさらに強調する様に、薄い胸と冷ややかな臀を持った彼女。とはいうものの特別に美しい存在でもなく、教室の中にあっては遥かに地味な存在である。しかも、平均台(Balance Beam)の上で試みる演技の途中で、何度も何度も、下のマットにおちてしまう。つまり、上手くはない。僕達から観ても、彼女は下手なのだ。
ただ、僕達が魅入ってしまうのは、人間の躯、わけても女性の躯(女性といっても性差の表出は極僅かだけれども)が、どうやったらあんな風に動けるのだろうかという単純な驚きがそこにあったからなのである。

images
グスタフ・クリムト(Gustav Klimt)が描く女性を観る度に想い出すのは、いつも、その様な事である。惜しげもなく貼られた金箔(Metal Leaf)の、その前に現れたり、背後に隠されたりしている女性達の姿態の事だ。彼女達の身体がどの様な構造となっていて、どの様な動きを試みれば、あの様な艶かしい悩ましい描線を観せるのか。
デッサン(Dessin)が狂っているとか構図(Composition)が怪しいという意味ではない。こちらから観えない部位も、きちんとあるべき場所にあって、あるべき動きをみせている。そういう意味では、動かしようがない。彼が選んだ、神話世界や聖書世界という題材以上に、その身体そのものは、古典的でもあり、堅牢なものでもあるのだ。
にも、関わらず、彼女達が魅せる誘惑の表情や媚態の表出を観るにつけ、その謎めいた動きに翻弄されてしまうのである。

p.s. : ここに掲載するのはグスタフ・クリムト(Gustav Klimt)の作品『ユーディット II(Judith II)』である。

次回は「」。
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