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2020.08.18.07.51

せかいのまんなか

と、いう場所があるとはおもってもみなかったから、その語句で検索した時はちょっと吃驚した。
勿論、拙稿の表題として掲げてあるのはその場所の名称に関してではない。

その語句に出逢ったのは、半世紀以上も前、ぼくが保育園生 (Nursery School Pupil) だったときの事である。

きょうは、ほいくえんでなぞなぞをしてあそびました。
しんむらせんせいがなぞなぞをいってぼくたちがこたえるのです。こたえがわかったひとはてをあげてこたえをいいます。あたるとしんむらせんせいにほめてもらえます。まちがえるとみんなからばかにされます。だから、みんないっしょうけんめいです。
いちばんむずかしいなぞなぞは、せかいのまんなかにいるむしです。しんむらせんせいがいいます。
「せかいのまんなかにいるむし、なぁに」
だれもわかりません。てをあげるひとはいないのです。
「むずかしいのかなぁ」
みんなはひんとひんとといってしんむらせんせいにせがみます。ひんとがでるとこたえがわかるばあいもあるからです。
せんせいはこくばんにおおきく「せかい」とかきます。
「せんせいわかった」
すぎやまくんがてをあげます。
「はい。せいかいです。すぎやまくんよくできました」
ぼくはやっぱりすぎやまくんはあたまがいいなぁとおもいました。
そして、すこしくやしかったです。

と、謂う情景はいまでもありありとおもいだせてしまう。
保育園生 (Nursery School Pupil) のぼくは、よっぽど悔しかったのに違いない。

でも、すぎやまくん (The Boy Sugiyama) に悔しがっているからだけの理由で未だにそのなぞなぞ (Quize) を憶えている訳でもない。
その理由は、おそらくこんなところにある。

それまで、ぼくたちが出題されたり出題しあったりしていたなぞなぞ (Quize) は、次の様なモノばかりだ。
- めがひとつ、あしがいっぽん、なぁに (What Is It With One Eye And One Leg?) -
- うえがおおみず、したがおおかじ、なぁに (What Is It Flood Above And Big Fire Below?) -
どれもこれもその解答とされている事物や現象をつぶさに観察し、その観察で得た印象を比喩的な言語に置換して叙述しているのだ。だから、自身の生活範囲のなかにあるありとあらゆるモノをつぶさに観察していけば、いつかはその解答である正体がみえてくる。
それは一読、極めて難解に思える次の様なモノも同様である。
- てがいっぽん、あしがろっぽん、くちがふたつにめがみっつ、なぁに (What Is It With One Arm, Six Legs, Two Mouths and Three Eyes?) -
そしてその観察と比喩の連携のその果てにはつぎの様なモノも登場してくる。
-てがいちまんぼん、あしがいちまんごせんぼん、くちがひゃくさんじゅうはちあってめがろっぴゃくろくじゅうに、なぁに (What Is It With 10,000 Arms, 15,000 Legs, 138 Mouths and 662 Eyes?)-
勿論、必死に考え、一生懸命周囲を見回しても、絶対に解答は顕れる気遣いはない。観察と謂う行為を無効にせんがために誕生したのが、うえのなぞなぞ (Quize) であるからだ。

ところが、「せかいのまんなかにいるむし、なぁに (What Is The Insect At The Center Of The World?)」は、それらとは異なる地平に立脚している様に、ぼくには思える。
ぼくたちの視界に映じる事物の観察だけでは、決して産まれ得ないモノである様なのだから。
一言をもってしてみれば、それは違う次元にある。
3次元生物 (The Creatures In Three-dimensional Space) であるぼく達は2次元 (Two-dimensional Space) での現象をつぶさに観測する事は出来る。だが、3次元 (Three-dimensional Space) での現象をつぶさに観察する為には、それまで得てきた智識とはべつの要素を介在させる必要があるかもしれない。
「せかいのまんなかにいるむし、なぁに (What Is The Insect At The Center Of The World?)」とは、喩えて謂えば、そんなべつの要素を要求するなぞなぞ (Quize) なのである。そのなぞなぞ (Quize) には、観察と比喩との連携の他に、テキスト (Texts) と謂う次元が介在しているのだ。

images
月岡芳年 / Yoshitoshi 画『風俗三十二相 / 32 Aspects Of Women』より『かゆさう / Kayuso : Looking Itchy』 [1888年発表]

次回は「」。

附記 1.:
「せかいのまんなかにいるむし、なぁに (What Is The Insect At The Center Of The World?)」は朧げな記憶を辿っていけば、後にクイズ集『ぼくらの入門百科 クイズ教室 (Quiz School - Encyclopedia For Our Isagoge)』 [木乃美光 (Hikaru Konomi) 著 1967年 秋田書店刊行] に掲載されていたなぞなぞの1篇として、ぼくは再会した筈である。勿論、しんむらせんせい (Teacher Shinmura) がそのクイズ集を読んだや否やも不明であるし、そのクイズ集に掲載されたのが「せかいのまんなかにいるむし、なぁに (What Is The Insect At The Center Of The World?)」の初出や否やも不明である。
ただ、そこでの再会を通じてぼくの中には、世の中と謂うモノはその様なかたちで出来ているのだなぁと謂う認識が形成された事は否定できない。つまり、原典 (Original) と複製 (Copy) と謂う関係性について、である。

附記 2.:
後にマンガ化もされ映画化もされTVドラマ化もされた小説『世界の中心で、愛をさけぶ (Socrates in Love [Crying Out Love, In The Center Of The World])』 [片山恭一 (Kyoichi Katayama) 作 2001年刊行] の題名は、TVアニメ番組『新世紀エヴァンゲリオン (Neon Genesis Evangelion)』 [庵野秀明 (Hideaki Anno) 監督作品 19951996テレビ東京系列放映] の最終話 (Final Episode) 『世界の中心でアイを叫んだけもの (Take Care Of Yourself)』に負っていて、そのTVアニメ番組の最終話の題名は、SF小説『世界の中心で愛を叫んだけもの (The Beast That Shouted Love At The Heart Of The World)』 [ハーラン・エリスン (Harlan Ellison) 作 1969年刊行] に負ってはいるのだが、それら一連の題名と「せかいのまんなかにいるむし、なぁに (What Is The Insect At The Center Of The World?)」は、なんらかの関係性が発生しているのであろうか? 少なくとも、時系列的にはその題名が端緒となって、あのなぞなぞ (Quize) が誕生する事は、ありえないのだけれども。

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