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2020.08.16.08.17

『ジョージ・ハリスン帝国 (EXTRA TEXURE (Read All About It))』 by ジョージ・ハリスン (George Harrison)

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意識的に音楽を聴き始めたのは、ザ・ビートルズ (The Beatles) からであって、彼等の作品を幾つか買い漁り、そして聴き込んでいくうちに、そのバンドを構成する個々のメンバーへと関心が移っていく。
何故ならば、どんなに人気があり、そして、どんなにその作品が優れたモノであっても、彼等はかつて存在した、過去のバンドなのだ。そして、そのバンドから巣立っていった4人はそれぞれ、現役のミュージシャンとして活動を続けている。ぼくの興味がかつての彼等から今の彼等へと移るのも、自明なモノとして認めてくれるだろう。しかも、その当時、4人はそれぞれに自身名義の作品を発表しているさなかである。
1974年から1976年の事、ぼくは地方在住の中学生で、パンク (Punk) はまだ始まってもいない。

当時、最も勢いがあったのはウィングス (Wings) の一員としての [と認識しているのは恐らく本人だけだろうが] ポール・マッカートニー (Paul McCartney) だった。だから、彼の名盤はどれかとか、彼への入門にはどの作品を聴けば良いのか等と、悩む必要はなかった。
当時の最新作であるアルバム『ヴィーナス・アンド・マース (Venus And Mars)』 [1975年発表] は、発売されてまもなく購入した記憶がある。

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拙稿の主人公であるジョージ・ハリスン (George Harrison) に関しては、悩むべき事は幾つもある。彼の代表作として挙げられているのはいつでもどこでも、アルバム『オール・シングス・マスト・パス (All Things Must Pass)』 [1970年発表] なのである。しかしながら、その作品はLP3枚組の大作で、豪華な化粧函に封入されて発売されている。値段も相当なモノなのは無論の事だ。だから、ずっと躊躇していた。

[ジョン・レノン (John Lennon) もジョージ・ハリスン (George Harrison) の場合と通じていて、当時の最新作は全曲カヴァーのアルバム『ロックン・ロール (Rock 'N' Roll)』 [1975年発表] だった。だから、彼の作品を購入するのは、彼が音楽活動を停止し主夫 (House Husband) となった後に発売されたベスト盤『シェイヴド・フィッシュ〜ジョン・レノンの軌跡 (Shaved Fish)』 [1975年発表] なのだ。しかしながらその結果、彼のソロ時代の全貌の、その一端を知る事が出来たのかもしれない。]

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そして、ジョージ・ハリスン (George Harrison) 作品に手を拱いていた最中に、ラジオから流れてきたのが、本作からのシングルカット曲『二人はアイ・ラヴ・ユー (You)』  [1975年発表] だった。
その時のぼくには、メリハリの効いたとてもポップな楽曲に想え、そんな楽曲が幾つも聴けるのならばと想って購入したのが本作なのである。

だけれども、楽曲『二人はアイ・ラヴ・ユー (You)』の様な曲調をもつモノは、この曲しかない。LPA面を聴き終えたぼくが盤をひっくり返すと飛び込んで来る勢いは、楽曲『二人はアイ・ラヴ・ユー (You)』の再演だ。しかも、1分にもみたない。邦題である『君を抱きしめて (A Bit Of You)』に眩まされた眼を擦りながら原題に眼をこらせば、そこにあるのは「『二人はアイ・ラヴ・ユー (You)』をほんの少し (A Bit Of)」と読める。
「ア・ビット・オヴ (A Bit Of)」は先だって授業で習ったばかりの熟語である [作品原題名を読みながら、これをどうやったら邦題名になるのか頸を捻ったのも当時の想い出のひとつである]。

そんな肩透かしめいたモノが本作には多々、散見される。

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冒頭に収録された第1弾シングルカット曲『二人はアイ・ラヴ・ユー (You)』の次の次は、楽曲『ギターは泣いている (This Guitar [Can't Keep From Crying])』である。ギタリストである彼が自身の想いをその楽曲に託した佳曲である。その後、第2弾シングル・カット曲として、同1975年に発売されるのも納得出来る。でも、そこで、ザ・ビートルズ (The Beatles) 時代の楽曲『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス (While My Guitar Gently Weeps)』 [アルバム『ザ・ビートルズ (The Beatles)』 [1968年発表] 収録] を想い出してしまうと、その曲の印象が薄れてしまう。なにせ、ザ・ビートルズ (The Beatles) 時代のその曲ではエリック・クラプトン (Eric Clapton) が参加しているのだ。どう考えても分が悪い。そして、ついこうおもってしまう。
なんだよ、焼き直しかよ、と。

いや、そうぢゃあないんだよ、と断定したくとも、それ以外の楽曲の印象が弱いのだ。
なんだか、いつもどこかでふわふわと浮いて漂っている様に思える。その感覚を愉しめれる程に、当時のぼくが大人だったら、もうすこし異なる事も綴れるのだろうが、ぼくの求めているのは楽曲『二人はアイ・ラヴ・ユー (You)』のそれなのだ。

ふわふわふわと行く宛ても決しかねているまま、これらの楽曲と共に漂っているといつのまにやら、ヒトを喰った様な最終楽曲『主人公レッグス (His Name Is Legs [Ladies And Gentlemen])』に漂着する。
個人的にはこの楽曲にあるユーモアをもう少しだけ堪能したいなぁと思いながら、このアルバムをレコード棚に戻す。当時のぼくはいつも、そうだった。

敢えて謂えば、ぼくがジョージ・ハリスン (George Harrison) と謂うアーティストに接するのが早すぎたのかもしれない。
これまでは、ザ・ビートルズ (The Beatles) と謂う大皿の中にある、ジョン・レノン (John Lennon) と謂う辛口とポール・マッカートニー (Paul McCartney) の甘口のせめぎ合いのなかでようやく、ジョージ・ハリスン (George Harrison) と謂う味覚の独特を見出し、愉しめていたのだろう。彼単独での味を愉しむ嗜好は少なくとも、当時のぼくにはなかったのだ。

では、それから半世紀近く時間が経過した今、本作がどの様に響くのかと謂うと、実はあまり変わらない。

敢えて謂えば当時、他の楽曲と絶縁した様に聴こえた楽曲『二人はアイ・ラヴ・ユー (You)』も、本質的には他の楽曲と然程、変わらないんだなぁと謂う印象を抱いただけである。一聴、ポップに響くアレンジを排除し、その骨格だけを聴いてみれば、恐らくこの楽曲もふわふわふわと聴こえるのに違いない。
第一にこの楽曲を構成する歌詞の殆どは、「きみ (You)」と「ぼく (I)」と「愛している (Love)」なのだ。ザ・ビートルズ (The Beatles) 時代の楽曲『アイ・ミー・マイン (I Me Mine)』 [アルバム『レット・イット・ビー (Let It Be)』収録 [1970年発表] 収録] のその歌詞主要部分が、一人称単数 (First Person Singular) の格変化 (Personal Pronouns) だけで構成されているのと大差はない [否、そちらよりも酷いのかもしれない]。

本作に関しては、単純に、本作独特の浮遊感を愉しめるのか愉しめないか、その違いだけがあるのだ。この長い時間の隔たりのなかでぼくが獲得出来たモノと謂えば。

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本作は、鮮やかなオレンジ色を背景に、これまた鮮やかな青色でもって、アーティスト名と彼自身が運営するレーベル、ダークホース (Dark Horse Records) のロゴが記されているなか、中央におおきく作品名が切り抜かれている。そして、切り抜かれた向こうに、アーティストの肖像が覗くかたちとなっている。
正式には、アーティスト名と同色の配色のモノトーンの肖像があるべきだろうが [左上]、時折、その裏面であるカラーの肖像 [左下] が覗くかたちでも紹介されたりする [右上]。
どちらが正しいのかと謂うと、当然に前者なのである。切り抜かれた作品名の向こうに、こちらに注ぐ視線があるのだから。
そして、その視線の印象に引き摺られたままに、中ジャケットを取り出すと、そこにあるのはさっきまでの印象を軽く裏切る悪戯っぽいまなざしなのである。
そして、ご丁寧にもその下におおきな白文字でもって「なんてこったいまたこいつかよ (Ohnothimagain)」と綴られてあるのだ [右下]。

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一応、中ジャケット写真も片面だけだけど、描いてはみたんだよね。

附記:
拙稿では4人のザ・ビートルズ (The Beatles) のうち、リンゴ・スター (Ringo Starr) に一切言及がないが、それに関しては深い理由はない。彼のファンと彼自身には、ご了承を願うばかりである。

ものづくし (click in the world!) 214. :『ジョージ・ハリスン帝国 (EXTRA TEXURE (Read All About It))』 by ジョージ・ハリスン (George Harrison)


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ジョージ・ハリスン帝国 (EXTRA TEXURE (Read All About It))』 by ジョージ・ハリスン (George Harrison)
SIDE - 1
1. 二人はアイ・ラヴ・ユー
YOU (3' 44")
Drums Jim Gordon / JIm Keltner・Bass Carl Radle・Piano Leon Russell・Electric Piano Gary Wright・Organ & Arp Strings David Foster・Sax Jim Horn・Guitar & Vocals George Harrison

2. 答は最後に
THE ANSWER'S AT THE END (5' 33")
Drums JIm Keltner・Bass Paul Stallworth・Piano David Foster・Organ Gary Wright・Guitar & Vocals George Harrison・Percussion Norm Kinney・String Arrangement David Foster

3. ギターは泣いている
THIS GUITAR (Can't Keep From Crying) (4' 13")
Drums JIm Keltner・Piano David Foster・Guitar Jesse Ed Davis・Arp Strings Gary Wright・Acoustic & Electric Guitars / Arp Bass / Vocal George Harrison・String Arrangement David Foster

4. ウー・ベイビー、わかるかい
OHH BABY (You Know That I Love You) (4' 00")
Drums JIm Keltner・Piano Klaus Voormann・Electric Piano Gary Wright・Guitar Jesse Ed Davis・Horns Tom Scott / Chuck Findley・Guitar & Vocal George Harrison

5. 悲しみの世界
WORLD OF STONE (4' 47")
Drums JIm Keltner・Bass Klaus Voormann・Piano / Arp Strings David Foster・Organ Gary Wright・Guitar Jesse Ed Davis・Guitar & Vocal George Harrison

SIDE - 2
1. 君を抱きしめて
A BIT OF YOU (0' 45")
2. つのる想いCAN'T STOP THINKING ABOUT YOU (4' 30")
Drums JIm Keltner・Bass Klaus Voormann・Piano Nicky Hopkins・Electric Piano David Foster・Arp Strings Gary Wright・Guitar Jesse Ed Davis・Guitar & Vocal George Harrison・Backing Vocals Paul Stallworth・String Arrangement David Foster

3. 哀しみのミッドナイト・ブルー
TIRED OF MIDNIGHT BLUE (4' 54")
Drums & Percussion JIm Keltner・Bass Paul Stallworth・Piano Leon Russell・Guitars & Vocals George Harrison

4. 暗い偽り
GREY CLUDY LIES (3' 42")
Drums JIm Keltner・Piano David Foster・Guitars Jesse Ed Davis / George Harrison・Arp / Bass Moog & Vocal George Harrison

5. 主人公レッグス
HIS NAME IS LEGS (Ladies & Gentlemen) (5'50")
Drums Andy Newmark・Bass Willie Weeks・Electric Piano Billy Preston・Tack Piano David Foster・Horns Tom Scott / Chuck Findley・Acoustic Piano / Guitar & Vocal George Harrison・Guest Vocals Legs Larry "Smith"

[歌・ギター・制作] ジョージ・ハリスン

参加ミュージシャン:レオン・ラッセルビリー・プレストンゲーリー・ライトニッキー・ホプキンスジム・ケルトナージェシー・エド・デイヴィスクラウス・ヴァマントム・スコット

Gary Wright appears courtesy of Warner Brothers Records
Leon Russell appears courtesy of Shelter Records
David Foster / JIm Keltner & Paul Stallworth appear courtesy of Dark Horse Records
Billy Preston by courtesy of A&M Records
Tom Scott appears courtesy of Ode Records
Legs Larry "Smith" appears courtesy of the Oxfordshire County Council
Danny Kootch doesn't appear on this record.
Also not appearing on this record : Derek Taylor, Peter Sellers , Chuck Trammell, Dino Airali, Eric Idle, Dennis Killeen, Emil Richards
"OHH BABY (You Know That I Love You)" is dedicated to Smokey Robinson

All songs written by George Harrison and published by Ganga Publishing b.v. / BMI

Recorded and Remixed at A&M Studios - Los Angeles
Engineer - Norman Kinney
Machine Operator - Steve Katz
"HIS NAME IS LEGS" & "YOU" - Basic tracks recorded by Phil McDonald
[Mastered by Bernie Grundman at A&M ]

Photographs by Henry Grossman
Art Direction ; Roy Kohara
(P) 1975 EMI Records

ぼくが所有している国内盤LPには、山本安見 [19759・7] の対訳が添付されている。
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