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2020.08.04.08.50

とすか

と、謂ってもジャコモ・プッチーニ (Giacomo Puccini) のオペラ (Opera) ではなくて、佐々木倫子 (Noriko Sassaki) のマンガ (Cartoon) の方である。
つまり、マンガ (Cartoon) 『動物のお医者さん (Doubutsu No Oisha-san)』 [19881993花とゆめ連載] の第101話 (Episode 101)、そこで繰り広げられる騒動の顛末を、拙稿では取り上げる。

その漫画の主人公、ハムテル (Hamuteru) こと西根公輝 (Masaki Nishine) が通うH大 [謂うまでもなくその実は北海道大学 (Hokkaido University) である] がある札幌 (CIty Of Sapporo)オペラ (Opera)『トスカ (Tosca)』 [作:ジャコモ・プッチーニ (Giacomo Puccini) 1900コスタンツィ劇場 (Teatro Costanzi) 初演] の公演が開催される事となり、彼の母親であるソプラノ歌手 (Soprano)、西根絹代 (Kinuyo Nihsine) がそのオペラ (Opera) の主役、フローリア・トスカ (Floria Tosca) を演じる事となる。そして何故か、その他大勢の役として、ハムテル (Hamuteru) を含むH大生 (Students Of H University) が出演する事となっている [H大学院生 (Student Of H Postgraduate School) 菱沼聖子 (Seiko Hishinuma) 曰く「貧乏のせい (Because Of Poverty)」である]。
そして、そんなキャスティングの結果? 思いもよらぬ事態が出来するのだ。

本編を体験するまでもなく、上に綴った粗筋を読むだけで、おおきな疑問符 (Question Mark) が浮かぶ。果たして、この逸話はマンガ (Cartoon) 『動物のお医者さん (Doubutsu No Oisha-san)』 に相応しいモノなのだろうか? と。
確かに、そのマンガ (Cartoon) 作品独自の笑いを起こさせる装置として、そのマンガ (Cartoon) 作品の登場人物達は起用されている。だが、本作は、彼等を起用せずとも、1篇のギャグ・マンガ (Gag Cartoon) としての要素と物語は充分に備えているのだ [その結果、もしかして佐々木倫子 (Noriko Sassaki) 作品の本質を発見出来るのかもしれない]。
だが、逆に彼等の存在がなければ、公演初日のドタバタを主題とした物語はいくらでもその辺に転がっている [と謂って、ここで例証を挙げられないのが情けないのだが] のだから、それらとの差別化は難しいのかもしれない。つまり、その為にこその、彼等の起用なのかもしれない。

そして、冷静に考えれば、実態はさらにこういう事なのかもしれない。

物語の設定上、ハムテル (Hamuteru) は彼の祖母、西根タカ (Taka Nishime) と2人暮らしである [正確に謂えば、物語冒頭では、この人間2人に加えて三毛猫 (Calico Cat) のミケ (Mike) と雄鶏 (Cock) のヒヨちゃん (Hiyo-chan) とが、共に暮らしている]。
連載が進むに連れて、このマンガ (Cartoon) の読者のある種のヒトビトは疑問に持つ。何故、男子大学生と祖母との2人暮らしなのだろう、と。彼の両親はどこでどうしているのか? 幼い頃に死別したのであろうか、と。
このマンガ (Cartoon) の連載をほぼリアル・タイムで体験していたぼくだが、そんなある種のヒトビトではないので、そんな疑問は一切に抱かない。ハムテル (Hamuteru) と西根タカ (Taka Nishime) と、性別・世代・年齢・思考・行動様式そしてその他諸々が正反対の2人の対立 [とはいかないまでもすれ違いや擦れ] が発端となって、物語が展開していくのだから、2人暮らしの方が、それをより明確に抱けるのだろう、と思っていた。つまり、佐々木倫子 (Noriko Sassaki) 作品に於いては物語の舞台としては、磯野家 (The Isonos)  [マンガ『サザエさん (Sazae-san)』 [作:長谷川町子 (Machiko Hasegawa) 1946夕刊フクニチ等連載] の主要登場人物達] の様な大家族は必ずしも必要とされていないのだ。
だが、ある種のヒトビトの疑問に応える様にして、ハムテル (Hamuteru) の両親、西根タカ (Taka Nishime) にとっては愛娘とその女婿である、西根絹代 (Kinuyo Nihsine) と西根祥平 (Shohei Nishine) は、登場するのである。彼等は音楽家 [ソプラノ歌手 (Soprano) とピアニスト (Pianist)] であり、海外に在住しているのだ。
そして、彼等が音楽家であると謂う設定を活かして描かれたのが、そのマンガ (Cartoon) の第101話 (Episode 101) なのだろう。

だから、第101話 (Episode 101) での物語の中心を成すのは、西根絹代 (Kinuyo Nihsine) の行動や思考の行方であり、それがそのまま、この逸話を動かしてゆく。

そこで、何故、西根絹代 (Kinuyo Nihsine) が大活躍大奮闘する舞台をオペラ (Opera)『トスカ (Tosca)』 としたのだろう? と謂う疑問が湧くのだが、それにはぼくは答えられないのであった。
彼女がソプラノ歌手 (Soprano) であり、そのオペラ (Opera) の主役、フローリア・トスカ (Floria Tosca) がソプラノ歌手 (Soprano) である、と謂うところになんらかの意味合いを発見したいところではあるのだが、彼女でなくとも、そのオペラ (Opera) の主役はソプラノ歌手 (Soprano) が演じる事になっているのである。この疑問は単純に、ジャコモ・プッチーニ (Giacomo Puccini) は何故、その自作の主人公の設定をソプラノ歌手 (Soprano) としたのだろうか、と謂う疑問の呈示に等しい。
そして、それに明快な解答を与えられる程に、ぼくはその作家もその作品も、否、オペラ (Opera) と謂うメディア (Media) 自体にも、通底していないのであった。

考えられる可能性は少なくとも、ひとつある。

それは、そのマンガ (Cartoon) に端役として登場する無名の女性2人の会話である。開演直前の光景として、彼女達がオペラ (Opera) 観賞は初体験であると謂う設定が自身の台詞として語られ、その終演後、彼女達は次の様なコメントを発するのだ。
「にぎやかなオペラだったね (How Lively The Opera It Was!)」

つまり、オペラ (Opera)『トスカ (Tosca)』 の認知度こそが、このマンガ (Cartoon) の物語として語られる為の、選択基準なのであろう、と。
誰でもがよく知るであろう著名な作品であれば、その舞台でみられた光景を異様にも無様にも思う。
その一方で、あまりにも無名な作品であれば、オペラ (Opera) 初心者はそこには足を向けないであろう。
演出上の不手際や演者自身の無理解が展開される舞台の光景をあるがままに受け止めて、堪能して帰宅する、そんな観客がいる、そしてそこから発する可笑しみをもって、この逸話は幕がひかれる。その為にこそ、マンガ (Cartoon) にとっての舞台となるオペラ (Opera) の知名度・浸透度は、多分に重要な要素なのだ。オペラ (Opera) 『トスカ (Tosca)』はその点で及第なのだろう。
よくよくこのマンガ (Cartoon) を読めば、西根絹代 (Kinuyo Nihsine) 演じるフローリア・トスカ (Floria Tosca) のドタバタと舞台裏での混乱を除けば、丁寧にこのオペラ (Opera) の粗筋が語られているのである。それを持ってしても、すくなくとも作者が考えるそのオペラ (Opera) の位置付けと謂うモノが理解出来るのだ。

さらに謂えば、そのマンガ (Cartoon) の舞台となるオペラ (Opera) 作品には、オペラ (Opera) 特有の愛 (Eros) と死 (Thanatos) の物語があるに相応しいのだろう。と、謂うのは、その愛 (Eros) と死 (Thanatos) を一転、笑い (Komodia) へと昇華 (Sublimation) ? [それとも凝華 (Deposition) なのか?] させたいからなのだ。

その点を鑑みて、第101話 (Episode 101) の舞台としてオペラ (Opera) 『トスカ (Tosca)』 が選ばれたのではないだろうか?

images
上掲画像は、第101話 (Episode 101) のなかで唯一、笑いのない、すなわち、オペラ (Opera) 作品に最もじゅんじた光景。物語のクライマックス・シーンである。
尤も、ここでの感動とその余韻は長くは続かず、「貧乏のせい (Because Of Poverty)」で起用されたハムテル (Hamuteru) 達による大失態が展開されて幕となる。つまり、愛 (Eros) をもって殉ずるフローリア・トスカ (Floria Tosca) の死 (Thanatos) が笑い(Komodia) となる直前が、上掲画像なのである。

次回は「」。
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