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2020.04.21.08.48

あかかくろか

灯をおとせばまっくらだ。先生の顔がようやくみえるだけだ。ぼくたちはくるまざになって、彼をとりかこんでいる。普段とは様相の違う学校の一角でぼくたちは、これから彼が語ろうとする物語を待っている。

現在もそうなのかは知らない。
そして、他校がそうなのかも知らない。

ぼくが当時通っていた小学校は、4年生は夏休みのある2日を利用して、1泊2日の体験学習をする事になっている。宿泊先は学校、自身が日頃つかっている校舎である。

この行事は、翌5年生には2泊3日のキャンプ合宿が控えている事、その予行演習としての意味合いが強い。そこでは5〜6人の班編成となってそれぞれが、テント (Tent) を貼りそこで飯盒炊爨 (Act Of Boiling Rice With A Messtin In The Field) をするのだ [勿論、2年後に控えている修学旅行 (School Excursion) を睨んでもいるのだろう]。

それだけではない。ここで憶えた体験や知識が今度は、秋の遠足 (Excursion In Autumn) で発揮される事が期待されている。
秋の遠足 (Excursion In Autumn) の目的地はほぼ決まっている。市街地近郊を流れる河川の、上流へと向かう。そしてその日の行動は、いわゆる縦割り (Vertical Class) のクラス単位の編成で行われる。同じクラス名に所属する1年生から6年生で、ひとつの班を編成して行動する。目的地への行き帰りも、目的地でのリクレーションも、普段交流のない他学年の生徒達と共にするのである。そして、昼食は飯盒炊爨 (Act Of Boiling Rice With A Messtin In The Field) でできたモノを喰う。メニューも実作業の役割分担も、各学年の生徒達自身が自身の所属する班のなかで考える。そして、それつくって喰べる訳だ。と、なると、高学年には自ずと指導者指揮者としての役割が要求され、と同時に、実作業の中心は彼等の責となる [多分に、4年生の理科 (Outline Of Natural Science For Fourth Grade In Elementary School) でアルコールランプ (Alcohol Burner) の使用を習得する事とも、翌5年生から家庭科 (Family Studies) の授業が始まるの事とも、連動しているのだと思う]。
遠足のその日、これまで、上の学年に任せていた事柄の幾つかが出来る様に、その為の4年生の行事がこれなのである。

[ちなみに、この縦割り (Vertical Class) のクラス単位の編成は、秋のもうひとつの行事である運動会 (Sports Day) に於いても起用される。紅白対抗戦ではなく、クラス対抗戦である。当時、1学年につき6クラスあったからむっつのチームで競う。さらに余談として綴れば、各生徒達が体育 (Physical Education) の授業の際に着用する体育着 (Uniform Gym Wear) には、前後にゼッケンを表示する白布を縫い付ける事となっている。そこには、生徒名と出席番号 (Student Number In A Class) そしてクラス毎に振り分けられた色棒を所定の位置にかく。また、体操帽 (Red And White Reversible Cap) の色は所属学年毎に異なり、その帽子をみればその生徒の学年が識別出来る。]

そして、記事の冒頭に戻る。
計2日間の行事の初日の夜、キャンプ・ファイヤー (Campfire) が終了した後の行事が、いまから始まるのだ。

ぼく達の当時の学校は、鉄筋建の校舎はひとつしかなく、そこは5年生と6年生の教室、そして音楽室 (The Music Room) も含め幾つかの専門教室が入っている。他は総て木造校舎で2階建が4棟ある。職員室もその一角にある。そして、その4棟の別棟としてトイレが設けられてある。男女の別は設けられてあるが、そのどれもが木造モルタル造 (Mortared Frame House) でしかも汲み取り式 (Pit Latrine) である。
ついでに綴っておくと、体育館 (Gymnasium) が出来るのは、ぼく達が5年生になってからの事なのである。

そして、ぼく達は班単位で、木造校舎2棟 [その2棟は1年生2年生の教室がわりあてられてある。この小学校の生徒として、かつて2年間を過ごした空間である]、を巡回する事になっている。消灯したままの状態、ぼく達にはあかりを用意する事も許されていないなかで、だ。
すなわち、肝試し (Test Of Courage) がこれから行われるのである。

そこで待ち構えているのは、今回の合宿に帯同した教師達である事はいわないでも誰にも解っている。ぼく達はただ、まっくらな廊下をきゃーきゃー叫びながら、走り抜けてしまえばよい [そして、実際にそうしたんだ、ぼく達は]。

表題に掲げたのは、その前説として、教師がぼく達に語った怪談 (Ghost Story) の題名である。
ある小学校の夏休みもまじかの頃、失踪したある女生徒の顛末を、その捜索にあたった教師の視点で語ったものだ。
その物語を、なかば恐ろしげに、嬉々として語る教師の名前すら憶えていないのに、その時の怖さと謂うモノは、いまだに体感として記憶に遺っている。

その後の、廊下に張り巡らされた蒟蒻 (Konjac) の、生暖かい感触からは、運良く逃れられたと謂うのに。

images
"Forensic Look-Bloody Body"2016 by Thelma Van Rensburg

次回は「」。

附記:
その怪談 (Ghost Story) をこそ、ここで綴るべきなのかもしれないのだが、流石に、その細部までは記憶に遺っていないのだった。勿論、朧げな記憶を頼りに再現する事は可能なのかもしれない。だが、その当時の体感までも含めて文章化できる自身もなければ能力もない。よしんば、文章化出来たとしても、まったく異なった物語へと変幻してしまう可能性の方が高い。
なにかの定型に則った様な、どこにでもありそうな怪談 (Ghost Story) の様な気がしないでもないが、ざっくりと検索してみたところ、それらしき存在は発見出来ない。
敢えて謂えば『赤い紙、青い紙 (Red Paper Or Blue Paper)』と同系列ないしその類型の様である、と綴ってここはお茶を濁させて (Doing In A Halfhearted Way) もらいたい。
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