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2020.03.15.08.43

"STANDING ON A BEACH • THE SINGLES" by THE CURE

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このバンドはここまでだ。そんな評価はある。
そして、このバンドはここからはじまるのだ。そんな評価もあるのだ。

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本作を聴いていくと、アナログB面第5曲『インビトゥイーン・デイズ (In Between Days)』 [アルバム『ザ・ヘッド・オン・ザ・ドア (The Head On The Door)』収録 1985年発表] で、なにかが変わった様に思える。楽器編成も違えば、音質も違う。そればかりか楽曲の根底にある音楽性はおろか、さらにその根幹にあたる世界観も変わってしまった様に思える。
そんな感慨は、本作を聴く誰しもが思う事だ。
だが、そこからが違う。
そう、それでいいのだ、と肯定するモノもあれば、聴き手である自分自身の存在を忘れ去られた様に感ずるモノもある。

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既発表のシングルA面曲を、その発表順に収録された本作の、第一の目的はきっとそれだ。
アルバム・タイトルもそれを教えてくれる。
きみはいま、ここにいる。さて、どうする? そんな面持ちが窺われるのだ。
しかもこの題名は、彼等のデビュー曲であるアナログA面第1曲『キリング・アン・アラブ (Killing An Arab)』 [米編集盤『ボーイズ・ドント・クライ (Boys Don't Cry)』収録 1979年発表] の歌詞の1節でもある。そう、問われた聴き手の解釈は、それを踏まえて、さらに口籠る事になる。
旧い、最初の彼等の楽曲をあらためて、解釈しなおす義務がここに生じるからだ。

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ところで、ぼくが彼等を知ったのは、第4作『ポルノグラフィ (Pornography)』 [1982年発表] に於いて、である。その作品の日本盤が発売されたからなのである。
そして、この作品は、これまでの彼等の音楽性の継承にも聴こえなかったし、だからと謂って、それ以降の彼等の行方を指し示すモノでもない。
どこにも行き場のない作品なのである。きっと、この作品での音楽性や世界観を進化 / 深化させれば、いまのぼく達が任じているザ・キュアー (The Cure) とは全く異なるザ・キュアー (The Cure) になった様に思える。
だから、その作品から発表された唯一のシングル曲であるアナログ盤第7曲『ハンギング・ガーデン (The Hanging Garden)』 [1982年発表] は、アナログB面第5曲『インビトゥイーン・デイズ (In Between Days)』同様に、なにかが変わった様に思える曲なのである。
しかし、バンドはその可能性をあっさりと放棄してしまう。
バンドの音楽性の中には皆無だったことば、ポップである事を当時の彼等なりに試みたシングル・ナンバー3連発、後に編集盤『日本人の囁き (Japanese Whispers)』  [1983年発表] に収録される3作品 [アナログ盤B面第1曲『レッツ・ゴー・トゥ・ベッド (Let's Go To Bed)』 [1982年発表] から同第3曲『ラヴキャッツ (The Love Cats)』 [1983年発表]] が、それである。しかも、その路線をも継承される事もない。

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そんな事に気付いてしまうと、他のどの曲にも同種のモノがみえてしまう。
極端な表現をすれば、どれひとつとっても、過去の楽曲での試みや志向が投擲されてしまった様に思えるのだ。しかも、無造作に。

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だからと謂って、全くもって異なるバンドへと変身してしまった、と断言も出来ない。
極めて細い道筋はそこにはあるのだ。
例えば、本作にしか収録されていないアナログA面第6曲『シャルロット・サムタイムズ (Charlotte Sometimes)』 [1981年発表] を、現在の彼等の編成と音楽性で再構築しても、然程、違和感もない様にも思える。
もしかしたら、彼等は決して変わらないのだ、そんな解釈も聴き手によっては罷り通りそうな気がしないでもない。

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少なくとも、第4作から本作品が編まれるまでは、新作ないし新曲が発表される度に、ぼくは混乱してしまったモノなのだ。
あるべきモノがそこにはなく、ないはずのモノがここにある。ならば、まったく異なるモノになるに違いないところが、決してそうではない。どこをどう聴いても、これはザ・キュアー (The Cure) の作品であり楽曲以外のナニモノでもないのだ。

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ぼくが彼等を知った当時、すなわち第4作発表当時からしばらくは、雑誌に掲載される彼等のインタビュー記事に、ある共通の話題が登場していた様な気がする。

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それは、ジョイ・ディヴィジョン (Joy Division) に関して、さもなければ、そのバンドのヴォーカリストであるイアン・カーティス (Ian Curtis)、そして彼の自死 [1980年] に関するモノだ。

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取材者側がそれらに関する質問をしているのならば、質問者は、彼の死をもって解散してしまったそのバンドとの音楽性の相似、さもなければ相違を聴き出したかったのだ。何故ならば、彼の死後に遺されたメンバー達によって結成されたバンド、ニュー・オーダー (New Order) は彼等が先に所属していたバンドとは異なる音楽の沃野を目指していたからである。そして、そのバンドの継承者としてザ・キュアー (The Cure) を捉えていたのに違いない。
それならば、まだ傷は浅い。質問者の想いだけがそこにあるだけなのだから。

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そうではなくて、彼等、と謂うよりもその実質的なリーダーであるロバート・スミス (Robert Smith) の方から彼について語り出していたのならば、いくらでも考えなければならない事が噴出する。
そうでなくとも、ロバート・スミス (Robert Smith) は、イアン・カーティス (Ian Curtis) にならない為にのみ、音楽活動をしているのではないか、そんな事をぼくは思っているからである。

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イアン・カーティス (Ian Curtis) からの逃亡、さもなければ、イアン・カーティス (Ian Curtis) からの脱却、もしくは、イアン・カーティス (Ian Curtis) の呪縛、そんなモノがみえてしまうのである。
だから、彼等は常に音楽性を変化させる。
イアン・カーティス (Ian Curtis) の二の舞だけは回避する為に、ロバート・スミス (Robert Smith) は無様にぶくぶくと太り、髪は伸び放題に薄汚れていく。
自死を迎えるのではなくて、生き延びる為にこそ、それが必要だったのだ。

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果たしてそんな認識で良いのだろうか。
第8作『ディスインテグレーション (Disintegration)』 [1989年発表] 以降の彼等をぼくは聴いてはいないのだが。

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便宜上、本記事ではザ・キュアー (The Cure) を彼等と謂う代名詞に変換してみたが、本作品は、彼等が彼、即ちロバート・スミス (Robert Smith) へと統一されていく過程である。
逆に謂えば、永きに渡り、実質上そのバンドの1/2であるローレンス・トルハースト (Lol Tolhurst) の存在場所が喪われていく経過でもある。
では、ローレンス・トルハースト (Lol Tolhurst) 以上に長い在籍となるサイモン・ギャラップ (Simon Gallup() とはなんなのだろう? それは本作だけでは解らないのだ。

附記:
本作収録の楽曲の、シングル・ジャケットをその発表順にならべてみたが、そこにある種の法則や規則性を見出せる訳でもないのだった。
第4作発表当時、この居並びで謂えばアナログA面第7曲『ハンギング・ガーデン (The Hanging Garden)』発表当時に、バンドの肖像を掲載したくはなかったと語っていたのだが、次作であるアナログB面第1曲『レッツ・ゴー・トゥ・ベッド (Let's Go To Bed)』ではより鮮明に自身のポートレートをフィーチャーしているのだった。

ものづくし (click in the world!) 209. :"STANDING ON A BEACH • THE SINGLES" by THE CURE


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"STANDING ON A BEACH • THE SINGLES" by THE CURE

FIXH 12

ASIDE

KILLING AN ARAB (SMITH / TOLHURST / DEMPSEY)
VOICE / GTR - SMITH • BASS - DEMPSEY • DRUMS - TOLHURST
FICS 1 FEB 79
PRODUCED BY PARRY

BOYS DON'T CRY (SMITH / TOLHURST / DEMPSEY)
VOICE / GTR - SMITH • BASS - DEMPSEY • DRUMS - TOLHURST
FICS 2 JUNE 79
PRODUCED BY PARRY

JUMPING SOMEONE ELSE'S TRAIN (SMITH / TOLHURST / DEMPSEY)
VOICE / GTR - SMITH • BASS - DEMPSEY • DRUMS - TOLHURST
FICS 5 OCTOBER 79
PRODUCED BY PARRY

A FORESET (SMITH / TOLHURST / GALLUP / HARTLEY)
VOICE / GTR - SMITH• BASS - GALLUP • KBDS - HARTLEY • DRUMS - TOLHURST
FICS 10 OCTOBER 80
PRODUCED BY SMITH / HEDGES

PRIMARY (SMITH / TOLHURST / GALLUP)
VOICE / GTR - SMITH • BASS - GALLUP • DRUMS - TOLHURST
FICS 12 MARCH 81
PRODUCED BY SMITH / HEDGES

CHARLOTTE SOMETIMES (SMITH / TOLHURST / GALLUP)
VOICE / GTR - SMITH • BASS - GALLUP • DRUMS - TOLHURST
FICS 14 OCTOBER 81
PRODUCED BY SMITH / HEDGES

THE HANGING GARDEN (SMITH / TOLHURST / GALLUP)
VOICE / GTR - SMITH • BASS - GALLUP • DRUMS - TOLHURST
FICS 15 JULY 82
PRODUCED BY THE CURE / THORNALLEY

B SIDE

LET'S GO TO BED (SMITH / TOLHURST)
VOICE / GTR / KBDS - SMITH • KBDS - TOLHURST • DRUMS - GOULDING
FICS 17 NOVEMBER 82
PRODUCED BY PARRY

THE WALK (SMITH / TOLHURST)
VOICE / GTR / KBDS - SMITH • KBDS / DRUM MACHINE - TOLHURST
FICS 18 JUNE 83
PPRODUCED BY NYE

THE LOVECATS (SMITH)
VOICE / GTR / KBDS - SMITH • BASS - THORNALLEY• KBDS - TOLHURST • DRUMS - ANDERSON
FICS 19 OCTOBER 83
PRODUCED BY SMITH / THORNALLEY / PARRY

THE CATERPILLAR (SMITH / TOLHURST)
VOICE / GTR / BASS / VIOLIN - SMITH • KBDS - TOLHURST • DRUMS - ANDERSON
FICS 20 MARCH 84
PRODUCED BY SMITH / ALLEN / PARRY

IN BETWEEN DAYS (SMITH)
VOICE / GTR - SMITH • KBDS - TOLHURST • KBDS - THOMPSON • BASS - GALLUP • DRUMS - WILLIAMS
FICS 22 JULY 85
PRODUCED BY SMITH / ALLEN

CLOSE TO ME (SMITH)
VOICE - SMITH • KBDS - TOLHURST • KBDS - THOMPSON • BASS - GALLUP • DRUMS - WILLIAMS
FICS 23 SEPTEMBER 85
PRODUCED BY SMITH / ALLEN

STARING AT THE SEA • THE IMAGES • THE CURE VIDEOS • AVAILABLE

(P) 1986 FICTION RECORDS
(C) 1986 FICTION RECORDS

ORIGINAL SOUND RECORDING MADE BY FICTION RECORDS
ALL TRACKS PERFORMED BY THE CURE
ALL TRACKS PUBLISHED BY APB MUSIC CO., LTD.
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