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2019.11.26.09.04

ろっくんろーるみゅーじっく

「永遠に燃えつづけるビートルズ・パワー! このダブルアルバムには / ザ・ビートルズの源流をなす / 炎のロックン・ロール28曲 [1963年〜1970年] / が選曲されている。カッコいいシャウト、 / 凄まじいまでのエネルギー、/ 圧倒的なワイルドネス、 / これぞロックだ、 / これこそザ・ビートルズそのものなのだ!!」

上の引用文は、ザ・ビートルズ ( The Beatles) の編集アルバム『ロックン・ロール・ミュージック (Rock 'n' Roll Music)』 [1976年発売] の国内盤に封入されているブックレトの、その冒頭に記載してある文章、その全文である。
引用文に続いては、内田裕也 (Yuya Uchida)、亀淵昭信 (Akinobu Kamebuchi)、渋谷陽一 (Yoichi Shibuya)、立川直樹 (Naoki Tachikawa) による解説文があり、石坂敬一 (Keiichi Ishizaka) による各収録楽曲の解説と、歌詞とその対訳 [山本安見 (Yasumi Yamamoto) による] が掲載されており、「1963年版ビートルズ身上調査」とそれに続いて当時日本国内で発売されていたザ・ビートルズ ( The Beatles) の全28作の紹介がある。このブックレト、LPサイズで全28頁なのだ。
そして掉尾を飾るのが、安海勲 (Isao Yasuumi) [東芝EMI洋楽部エグゼクティヴ・プロデューサー] と石坂敬一 (Keiichi Ishizaka) [同ディレクター] の連名による謝辞である。

「このビートルズのロックン・ロール集の企画は、1976年1月初旬、東芝EMI・A&Rセクションによって草案が練られました。選曲にあたっては、ビートルズの原点たる普遍的な生命力のパワフル・ロックを吟味を重ねた上で抽出しました。 / そして、英国EMI社を通じて、ジョン、ポール、ジョージ & リンゴの承認を得ることができ、米国、英国と並んで日本でもここに発売するに至ったのです。 / この日本からの企画にご協力をいただいた国内、国外の関係者の方々、そしてビートルズに深い敬意を表します。」

その謝辞を読めば、こんなにもちからのこもったブックレットを制作した理由も自ずと知れる。
当時のザ・ビートルズ ( The Beatles) 作品の発売元である東芝EMI (Toshiba EMI) 主導で始まった企画であり、その企画実現の為には、バンドの元メンバー、4人の了解と協力が必要だったのだから。

と、納得するのは正しい理解ではあるが、それだけでは不充分だ [と、謂っても編集盤発売当時を知らなければ気づきにくい事なのかもしれないのだが]。

当時のぼくは中学生であって、その最初の2年間はザ・ビートルズ ( The Beatles) の作品ばかりを聴いていた。僅かばかりの小遣いを駆使して、1枚1枚、彼等の作品を購入しては聴き込んでいた。
そんな徒労に勤しんでいるのはぼくだけに限った事ではない。中高生の少なからぬモノ達は、多かれ少なかれ、それに費やしていた。
何故ならば、春・夏・冬、長期休暇にあわせて、地元の大手レコード店ザ・ビートルズ ( The Beatles) に関するフェアを開催していたのである。
そのレコード店の、少なくとも洋楽作品の一押し商品は、常にザ・ビートルズ ( The Beatles) だったのである。

確か、松村雄策 (Yusaku Matsumura) だったと思う。
雑誌『ロッキング・オン (Rockin' On)』での筈だ。彼はこんな趣旨の文章を書いていた。
ザ・ビートルズ世代 (The Beatles Generation) と謂うのは、ぼく達 [とここで謂うのは松村雄策 (Yusaku Matsumura) 含め、彼等の活動期を身をもって体験した世代だ] ではない、今の [とここで謂うのは松村雄策 (Yusaku Matsumura) がその様な指摘をした当時の] 中高生達である、と。

そして、この編集盤はそんな "今の中高生"であるぼく達に向けて発売された商品なのである。
そんな認識を裏付けるモノとして、上のブックレットに掲載されている全28作のリストをみれば解る。
上で「当時日本国内で発売されていた」と綴ったが、正しくはこう綴るべきなのである。"編集盤発売に合わせて新装発売された"、と。

一部の商品を除き、値上げされている。
また、松村雄策 (Yusaku Matsumura) 謂うところのザ・ビートルズ世代 (The Beatles Generation) にとっては、アルバム購入時に混乱をきたすだけの存在である、英国オリジナル盤 (Original British Parlophone Releases) と米キャピトル盤 (The Beatles' North American Releases) と日本編集盤 (Japanese Albums) とが、整理されてレコード帯その他に明確に表示されている。
作品名もジャケット・デザインも曲順も日本独自仕様だった、最初の2作品、すなわち第1作『プリーズ・プリーズ・ミー (Please Please Me)』 [1963年発表] と第2作『ウィズ・ザ・ビートルズ (With The Beatles)』 [1963年発表] が、英国オリジナル盤 (Original British Parlophone Releases) のそれへと改善された [それ以前のモノは、ビートルズ来日公演 (Live At Budokan) 記念として発売された『ステレオ! これがビートルズ Vol.1 (Please Please Me)』 [1966年発売] と『ステレオ! これがビートルズVol.2 (With The Beatles)』 [1966年発売] だった] 。
そして、歌詞・対訳・解説等が充実された。作品によってばらつきはあるが、それまでは基本的に、歌詞のみであったと思う。全曲の歌詞が裏ジャケットに記載されている第8作『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド (Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band)』 [1967年発表] はそれすらなかった。

こんなところだと思う。

つまり、全28作を体系化させて、それに乗じて値上げした。
その動機のひとつとして、新作としての編集盤を発売した、と謂う事になるかと思う。

次回は「」。

images
附記 1.:
ジャケット・デザインについて。
イラスト化された4人の肖像は、米キャピトル盤 (The Beatles' North American Releases) での第2作『ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム (The Beatles' Second Album』  [1964年発売] のジャケットに掲載されているモノの1点である。
それが鏡面に印刷された様な光沢のある背景におかれ、しかもその左右に無愛想な親指が2本描き足されている。やりたい事は解る。ノスタルジーとしての意匠だ。4人の肖像がミラー印刷 (Printed MIrror) された鏡をファンのひとりがもって眺めていると謂う趣旨なのだろう。
確かにそこに収録されている楽曲の殆どが50年代60年代のモノで、しかもそれらを演奏した彼等も1970年には解散している。過去のモノなのである。
だが、本作の趣旨としては、けっしてそうではない、と謂う主張が根本にはあると思うのだが?
尤も、作品に彼等の肖像写真ではなく、敢えてイラスト化したモノを起用したのは、表のデザインではなくて、裏のデザインでの要請なのだろう。裏ジャケットはその写真の4人の後ろ姿があるのだから [上掲画像はこちらから]。

附記 2.:
収録楽曲について。
変な選曲なのである。全28曲のうち、オリジナル楽曲は半分しかない。遺る半分がカヴァー曲なのである。
日本盤ブックレット記載の渋谷陽一 (Yoichi Shibuya) の謂いを引用すれば「『ヘルプ』『アイム・ダウン』『ハード・デイズ・ナイト』といった曲が浮かんだ。なるほどビートルズならハード・ロックだけでアルバム一枚作ってもいいものが出来る<後略>」と謂うのが一般的な認識だ [尤もその後段に於いて「<前略>ヒット曲を除いてもこれだけのものができてしまうという余裕<後略>」と彼は綴っているが]。これならば、全曲カヴァーの方が潔いとも謂える。当時のぼく達の認識は、捨て曲ばかりを集めた、と謂うモノである。しかし、この"捨て曲"と謂う認識は、編集盤からのシングル・カットされた『ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ (Got To Get You Into My Life) / ヘルター・スケルター(Helter Skelter)』 [1976年発売] で見事に覆される。当時、ぼくの棲んでいた、地元のラヂオ局での洋楽ヒット・チャートでは10位代を何週にもわたってランクインしていたのだから。「余裕」と謂うよりは底力と呼んでみたい。
それに第一ぼくは、編集盤を聴いているうちに、思わぬ楽曲の思いもかけぬ魅力に気付かされたのも事実なのである。
ある曲がある作品に占める位置や順番が違えば、それだけで、その曲はまったく異なるモノにもなるのである。
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