2008.12.09.19.24
今年の冬は雪はまだだ。だけれども、今朝は恐らく初霜だろう。いつもならば、軒先から顔を覗かせる筈の朝陽も、まだ、観えない。暗い雲に覆われているのだろう。天気予報はちっとも当たりはしない。自転車が走っては止まり、止まっては走り出す音が、いくつも聴こえる。あのオイル切れの軋んだ音は、新聞配達だろう。きっと角のうちの子だ。学校前に配らなければならない。向かえの子は朝練が学校であるとか言っていた。もうすぐ玄関から飛び出す。元気な子だ。うちの子は、まだ寝ている。こんなのでいいのだろうか。ガチャガチャと瓶の鳴り響いているのは、牛乳配達。毎朝、子供達二人分を頼んでいるけど、必ず、一本は残る。朝寝坊したとか、お腹が痛いだとか、勝手な理由をつけてはどちらかが手をつけない。今月で止めようか。それとも、一本だけにしようか。でも、それでは喧嘩になる。起きがけにセットした炊飯器もそろそろ炊ける頃だろう。いつまでも、寝間着でぼぉっとしているわけにもいかない。頭痛がする。寒い朝はこれだから嫌だ。でも、春先はもっと酷いんだっけ。もう少し我慢しよう。薬は癖になるから。着替える前に、水を一杯にした薬缶をガスレンジに載せて、火にかける。漬物に、焼き海苔をつけて、後は納豆。それにシャケの切身を焼こう。味噌汁は晩ご飯の残りで足りる筈だ。なぜ、あの子達は若布を嫌うのだろう。溶き玉子を入れれば、遺さずに食べてしまうのに。髪をざっと束ねて、手を洗う。冷たい。いい加減に、うちにも湯沸かし器を入れたいんだけど。温かい湯。捻ると出てくるお湯があれば、もう少し朝寝坊出来る。それに、いまどきこんな荒れた掌では、恥ずかしい。老いた母の掌だ。もう若くない。でも、その前に買わなければならないものばかりだ。あのヒトのボーナスはまだだっけ。それが入らなければ、年越しの目処もつかない。もうすぐお湯が沸く。お茶を煎れたら、あのヒトを起こす時間だ。
the movie "Good Morning
" directed by Yasujiro Ozu
次回は「け」。
the movie "Good Morning
次回は「け」。
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