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2019.09.15.08.35

『ヴィエナ (VIENNA)』 by ウルトラヴォックス (ULTRAVOX)

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バンド名こそおなじだが、初代ヴォーカリストであるジョン・フォックス (John Foxx) 在籍時 [19731979年在籍] と、彼の後任にあたるミッジ・ユーロ (Midg Eure) 在籍時 [197919872008年在籍] とでは、まったく別のモノである。

ウルトラヴォックス (Ultravox) と謂う名前が煩雑にぼく達の耳に囁かれる頃、そのバンド [ジョン・フォックス (John Foxx) 時代の] は解散していた。
囁いていたのは、ゲイリー・ニューマン (Gary Numan) [彼に関してはこちらを参照の事] である。囁いていたばかりではない、自身の音楽性に多大な影響を与えていたのが、そのバンドであると公言していたのだ。

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しかしながら、彼の発言だけによって、そのバンドをぼくが認知したのではなかった。渋谷陽一 (Yoichi Shibuya) が自身のラジオ番組『サウンドストリート (Sound Street)』 [19781987NHK Fm放送] で彼等の楽曲を紹介したのだ。偶々、ぼくはその際に彼等の楽曲『スロー・モーション (Slow Motion)』 [アルバム『システム・オブ・ロマンス (Systems Of Romance)』収録 1978年発表] を録音する事が出来た。後に名盤の誉れを一身に浴びるアルバム『システム・オブ・ロマンス (Systems Of Romance)』の冒頭、第1曲目にあたる楽曲である [で、その前に、初めて聴いた彼等の楽曲は、ただひたすら「ロック・ロック (Rockwrok)」と連呼する楽曲『ロックロック (RockWrok)』 [アルバム『ハ! ハ! ハ! (HA! HA! HA!)』収録 1977年発表] である]。
その曲を聴いたぼくは、そのバンドのそのアルバムに非常な興味を抱いたのだが、それを入手するのは、ずっと後の事になる。当時、その作品の国内盤が発売される事はなく、地方に暮らす当時のぼくには輸入盤を入手する手段がなかったからである。

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ゲイリー・ニューマン (Gary Numan) の躍進と活躍により、解散してしまっていたウルトラヴォックス (Ultravox) は俄かに熱い注目を集める事になる。
その結果、ジョン・フォックス (John Foxx) はソロ・アーティストとして活動を開始し、自身の最初のアルバム『メタマティック (Metamatic)』 [ 1980年発表] を発表する。そして、遺りのメンバーはそのバンドを再結成する事になる。
その最初の作品が本作『ヴィエナ (VIENNA)』である。

本作は、ゲイリー・ニューマン (Gary Numan) のおかげで、国内盤も発売される。
そうして、当時のぼくはこの作品を購入する事が出来た訳である。

1曲目、インストゥルメンタル・ナンバーである楽曲『アストラダイン (Astradyne)』に耳を奪われる。終始なり響く、シーケンサー (Sequencer) の刻む細かいビートがとても心地よい。その心地よさにのって、これ以上はないと謂わんばかりのドラマティックなメロディーがなり響く。
しかし、ぼくを満足させてくれるのはここまでだ。
その曲の余韻をまったく台無しにするかの様に、大雑把なギター・リフが響くのである。2曲目の楽曲『ニュー・ヨーロピアンズ (New Europeans)』なのだ。

だから、ぼくのなかでは、オリジナル・メンバーの演奏力と表現力はそのまま、かつてのウルトラヴォックス (Ultravox) を踏襲しはするものの、新たに参加したギタリストの存在とその演奏が、このバンドを良くない方向へと導いたのだな、と判断した。
つまり、総ての責任はミッジ・ユーロ (Midg Eure) にある、そう謂わんばかりの断罪がそこで成されたのである。

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所詮は、シン・リジィ (Thin Lizzy) のサポート・ギタリストだな、そんな理解だ。
ぼくがミッジ・ユーロ (Midg Eure) と謂う名を初めて聴いたのは、ゲイリー・ムーア (Gary Moore) のそのバンドを脱退を受けての彼の参加と謂うニュースだったからだ。
仮に、短命に終わったリッチ・キッズ (Rich Kids) [セックス・ピストルズ (Sex Pistols) を追われたグレン・マトロック (Glen Matlock) が結成した] のメンバーであったと知っていたら、もう少し彼の認識も異なるモノであったのかもしれない。今、想えばリッチ・キッズ (Rich Kids) が唯一のアルバム『王子の幻影 (Ghosts Of Princes In Towers)』 [1978年発表] で呈示した世界は、後に興るニューロマンティックス (New Romantics) の魁けとも呼べるモノだ。
勿論、ミッジ・ユーロ (Midg Eure) はニューロマンティックス (New Romantics) のなにものでもないバンド、ヴィサージ (Visage) のメンバーでもある。第1作『ヴィサージ (Visage)』 [1980年発表] にも参加している。だけれどもそれ故に、シン・リジィ (Thin Lizzy) とヴィサージ (Visage) との隔たりの大きさによって、ぼくは彼の音楽性のありどころが全く解らないのであった。

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ところが、ぼく個人のそんな印象とは全く異なる評価を世間が下すのだ。
その楽曲『ニュー・ヨーロピアンズ (New Europeans)』は、サントリーウイスキー角瓶 (Suntory Whiskey Kakubin) のCM曲に起用され、そのギター・リフが鳴り響く中、ヘリコプター (Helicopter) に搭乗した三宅一生 (Issey Miyake) が颯爽と登場するのである [こちらを参照]。
ウルトラヴォックス (Ultravox) が我が国での知名度を一挙に高めた瞬間である [上掲画像はこちらから]。

それだけではない。
本国も含め、再結成したウルトラヴォックス (Ultravox) は、ジョン・フォックス (John Foxx) 在籍時よりも遥かにおおきな成功を挙げるのである。
そして、なにを間違えたのか、ニューロマンティックス (New Romantics) を代表するバンドである、と謂う評価をモノにしてしまう。

仮に、無謀にもジャパン (Japan) をニューロマンティックス (New Romantics) と呼ぶのであるのならば、ウルトラヴォックス (Ultravox) もニューロマンティックス (New Romantics) なのかもしれない。でも、出自とその出自から始まる世界観を考慮とするのならば、ジャパン (Japan) はニューロマンティックス (New Romantics) ではないし、ウルトラヴォックス (Ultravox) もニューロマンティックス (New Romantics) ではない。それは、ゲイリー・ニューマン (Gary Numan) も然りだ。
例えて謂えば、それは『ベルリン3部作 (Berlin Trilogy)』 [19761979年]を発表した時の、デヴィッド・ボウイ (David Bowie) に通じるモノ、その有無に起因するのだ。

と、論陣をはりたいのだが、厳密に謂えば、上の議論が確実に当て嵌まるのは、ジョン・フォックス (John Foxx) 在籍時のウルトラヴォックス (Ultravox) なのである。
彼等の、ミッジ・ユーロ (Midg Eure) の時代に関しては途端にぐらつくところがある。

それはニューロマンティックス (New Romantics) の定義の仕方、その次第による。

ニューロマンティックス (New Romantics) とはなんなのか。それに属すると謂われているバンド名を連ね挙げてもすこしも全容を把握できない。現在の視点では、1980年代 (1980s) と謂う時代を彩ったポップ・ミュージック (Pop Music) を奏でたバンド、その集団である、と謂う認識しか構成出来ない。それほど、そこから出発した幾つかのバンドは、その枠をはみ出す様な、成功と評価をモノにしている。

だから、ぼくはそのジャンルを次の様なモノではないかと考えている。

イエロー・マジック・オーケストラ (Yellow Magic Orchestra) がその初期に於いて、勘違いしたオリエンタリズム ( Orientalism) を意図的に自家薬籠中のモノ (To Make Oneself Master Of) として呈示していたとしたら、ニューロマンティックス (New Romantics) とはその欧州版 (Europian Version) と看做す事は出来ないのだろうか。
勘違いした汎ヨーロッパ主義 (Pan-European Nationalism)、間違えて身につけてしまった個人主義 (Individualism)、それをニューロマンティックス (New Romantics) と評価出来ないだろうか、と。
それは、『ベルリン3部作 (Berlin Trilogy)』時代のデヴィッド・ボウイ (David Bowie) ではない、敢えて謂えば、ロキシー・ミュージック (Roxy Music) の初期に通じるモノなのである。

本作の表題曲である『ヴィエナ (Vienna) 』の、鬱陶しいまでのロマン主義 (Romantisme) の開花を聴きながら、ぼくはそんな事を考えているのだ。

ものづくし (click in the world!) 203. :『ヴィエナ (VIENNA)』 by ウルトラヴォックス (ULTRAVOX)


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ヴィエナ (VIENNA)』 by ウルトラヴォックス (ULTRAVOX)

ゲイリー・ニューマンに最も影響を与えたテクノ・ポップの先達! その存在を確認すべき時代が今 ........

SIDE ONE
1, アストラダイン ASTRADYNE (7'06")
2. ニュー・ヨーロピアンズ NEW EUROPEANS (4'00")
3. プライベート・ライヴズ PRIVATE LIVES (4'06")
4. パッシンング・ストレンジャーズ PASSING STRANGERS (3'48")
5. スリープ・ウォーク SLEEPWALK (3'10")

SIDE TWO
1. ミスターX MR. X (6'30")
2. ウエスターン・プロミス WESTERN PROMISE (5'23")
3. ヴィエナ VIENNA (4'54")
4. オール・ストゥッド・スティル ALL STOOD STILL (4'22")

CHRIS CROSS • Bass Synthesizers Vocal
MIDGE URE • Lead Vocals Guitars Synthesizers
WARREN CANN • Drums Electronic Percussion Vocals
BILLY CURRIE • SYNTHESIZERS Piano Violin Viola

All tracks written by B. Currie / C. Cross / W. Cann / M. Ure
Published by Island Music / Copyright Control
Produced by Ultravox and Conny Plank
Recorded at RAK [London] MIxed at Conny's Studio [near Koln]
Photography • Brian Griffin Design • Glenn Travis
Special Thanks to Will, Thelma and Suzanne
Management • Morrison - O'Donnell Limited
(P) and (C) 1980 Chrysalis Records Ltd.

ぼくが所有している日本盤LPには山田道成 (MIchinari Yamada) の解説 ['80. 7.1.付] が掲載されている。
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