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2019.09.10.12.10

たらちゃんのけいご

なんでかなぁとふと思い立って検索すると勿論、諸説が入り乱れている。
でも、ぼくが納得するモノは残念ながらそこにはないのだ。

と、謂うのはその殆どの考察が、その物語のなかでなされているからだ。
ぼくがしりたいのは、物語のそとでのそれである。

「物語のなか」とか「物語のそと」とぼくが勝手にそう呼んでいるモノだから、ここで少し説明する。
ある物語に、登場人物Xがいる。そのXの生年月日やら家族構成やらから派生するモノを、ぼくは「物語のなか」の設定と看做している。その一方で、登場人物Xの生年月日やら家族構成やらを決定づけるモノを「物語のそと」の設定と呼んでいる。

アニメ番組『サザエさん (Sazae-san)』 [原作:長谷川町子 (Machiko Hasegawa) 1969年より フジテレビ系列放映] の登場人物のひとりであるフグ田マスオ (Masuo Fuguta) の勤務先やら収入やら交友関係やらは、「物語のなか」の設定であり、ぼくが求め得る「物語のそと」とは、作品制作当時のその年齢の男性の平均像が如何なるモノだったのか、と謂う様なモノなのである。仮に、フグ田マスオ (Masuo Fuguta) のそれが当時の成人男性の平均像とまったく同一のモノだとしたら、その作品世界に於けるフグ田マスオ (Masuo Fuguta) の存在意義が如何なるモノかが自ずと類推されるのだ [勿論、それと著しく異なる場合もあるだろうし、それでは何故、その様な彼がその物語に登場するのかを考えれば良いのだ]。

勿論、「物語のそと」と「物語のなか」は必ずしも絶対的なモノではない。
ある物語の登場人物の設定、例えば思想信条的なモノが、ある世代特有のモノだとしたら、それは「そと」のモノなのか「なか」のモノなのか、と謂う様な事である。
例えば、物語の主人公を3. 11. (11th. March) に誕生した少年だと決定し、それが作品内で明確なかたちで言及されていたとしたら、それは「物語のなか」のモノである。しかしながら、彼の誕生日を漠然としたかたちで物語の前提として語る事が出来るとしたら、もしくは彼が属する世代に特有のある特徴を決定づける因子として語る事が出来るとしたら、それは「物語のそと」の設定になり得るのかもしれない。

そんな事を茫洋とぼくは考えていて、これから綴るのは、そのあやふやな概念に操られるがままに、フグ田タラオ (Tarao Fuguta) の駆使する敬語について考えてみようと謂う事なのである。

最初にぼくが考えた事は、フグ田タラオ (Tarao Fuguta) の設定年齢である、3歳男児の、デフォルトな言語感覚と謂うモノを誰も想定出来ない、のではなかろうか、と謂う事である。それがそのまま、彼にその年齢には相応しからぬ敬語を駆使させる要因となってはいないだろうか。
言葉遣いがそのまま、その登場人物の思考や行動を説明するモノだとしたら、そのアニメ番組に於ける彼の存在をどの様なモノと定義すれば良いのか、それがもしかしたら不確かで、それに一切が起因しているのかもしれない。

仮に、フグ田タラオ (Tarao Fuguta) を腕白な3歳男児としたら、どうなのだろう。それは単純に、ちいさな磯野カツオ (Katsuo Isono) を生じさせるだけだ。勿論、磯野カツオ (Katsuo Isono) の縮小版の様な3歳男児がその物語のなかにいても不思議ではない。不思議ではないが、そこで語られ得る物語のバリエーションは著しく衰退する事になる。そして、その物語に於いて、フグ田タラオ (Tarao Fuguta) はちいさな磯野カツオ (Katsuo Isono) ではない。
磯野カツオ (Katsuo Isono) とフグ田タラオ (Tarao Fuguta) の血縁関係は叔父と甥であり、このヴァリアントとしてこの物語には、波野ノリスケ (Norisuke Namino) と磯野カツオ (Katsuo Isono) が相当する。彼等も叔父と甥なのである。つまり、この物語には、少なくともふたつの叔父と甥の物語が誕生し得るのだ。それを前提としたら、ふたつの叔父と甥には、際立った差異があった方が、物語のバリエーションと謂う視点では、好ましいのではないだろうか。

フグ田タラオ (Tarao Fuguta) はちいさな磯野カツオ (Katsuo Isono) であってはならない、さもなければ、ではない、のだとしても、フグ田タラオ (Tarao Fuguta) がちいさなフグ田マスオ (Masuo Fuguta) である可能性は充分にある。フグ田タラオ (Tarao Fuguta) とその幼馴染である野沢リカ (Rika Nozawa) との関係は時に、[フグ田タラオ (Tarao Fuguta) の父である] フグ田マスオ (Masuo Fuguta) とその伴侶であるフグ田サザエ (Sazae Fuguta) との関係を彷彿とさせるモノがある。俗に謂うかかあ天下 (Petticoat Government) とか蚤の夫婦 (A Small Man With A Big Wife) とかを思わせるそれである。
物語のヴァリエーションと謂う視点からして、先と同様、これは如何なものかと考えるべきなのだろうか。
ぼくはそれとは全然異なる視点にあるのだ。

フグ田タラオ (Tarao Fuguta) がちいさなフグ田マスオ (Masuo Fuguta) である事によって、笑いが生じるからだ。つまり、風刺としてのそれである。
3歳男児の彼がおとなそっくりの思考や行動をなすこと、それはある意味でアニメ番組『サザエさん (Sazae-san)』にはあるべきモノのひとつであるかもしれないのだ。
そのアニメ番組が対象としている視聴者像は、おそらく、日本国民全体と謂えるだろう。おいもわかきもおとこもおんなも、総ての層がその対象なのだ。

となると、こどもの視線に耐え得る笑いが必要であると同時に、おとなの視線に耐え得る笑いも必要なのだ。逆に謂えば、その作品内で描かれる光景はたったひとつのモノではあるが、そこから派生し得る笑いは多層、複数のモノを生成せしめる必要があるのだ。
フグ田タラオ (Tarao Fuguta) の敬語 [正しい意味では丁寧語と謂うべきか] はその為の装置のひとつである可能性はないだろうか。
こどもの視線でそれを眺めればそれはおとなとおとなの社会への風刺となり得るだろうし、おとなの視線でそれを眺めればこどもの精一杯の努力なのだ [その努力が無意味だったり無用だったりすればそこに笑いが伴う筈であり、それが失敗すれば、それこそがおとなが求めているこどもらしさの顕現なのである]。

長谷川町子 (Machiko Hasegawa) 原作のマンガ『サザエさん (Sazae-san)』 [19461974夕刊フクニチ等連載] は本来、主人公である磯野サザエ (Sazae Isono) 〜フグ田サザエ (Sazae Fuguta) の、娘から妻そして母へと至る物語である。
江利チエミ (Chiemi Eri) を主演とするその映画版 [第1作『サザエさん (Sazae-san)』 [青柳信雄 (Nobuo Aoyagi) 監督作品 1956年制作] を皮切りに第10作『福の神 サザエさん一家 (Fuku No Kami : Sazae-San ikka)』 [青柳信雄 (Nobuo Aoyagi) 監督作品 1961年制作] まで全10作品ある] は丹念に、主人公の成長の過程をたどる物語である [と、偉そうに綴ってはみたが作品自体は未見だ]。
と、なると、彼女の長子であるフグ田タラオ (Tarao Fuguta) はその物語に於いて如何なる機能を与えられているのか、それを考える事は決して無駄な行動ではない、と思う。そして彼がその物語に於いて任じられた役割を果たす装置のひとつとして、彼の駆使する敬語があると、思うのだ。
例えば、彼女の長子が娘であったとしたら、彼女の誕生後に語られる物語の挿話の幾つかが、継嗣の誕生を巡る物語、つまり、長男の妊娠出産にさかれる可能性がなかったとは謂えないのである。

images
上掲画像は、TVドラマ版『サザエさん (Sazae-san)』 [19651967TBS系列放映] のひとこま。主人公を江利チエミ (Chiemi Eri) が演じ、上に綴った映画作品群のTV化作品と謂ってよい。
ぼくが幼い時は、『サザエさん (Sazae-san)』 ]と謂えば、この作品であるが、フグ田タラオ (Tarao Fuguta) はこの作品には登場しない。何故いないのであろうか。もしかしたら、このドラマを観る事によって、フグ田タラオ (Tarao Fuguta) [と彼の敬語] の存在意義はみえてくるのかもしれない。

フグ田タラオ (Tarao Fuguta) の言動とそれを象徴する言葉遣いが最近、批判の矢面に当てられている様なのだが、それはおそらく、彼の言動とそれを裏付ける作品世界にたったひとつのモノしかみていないからだろう。
さもなければ、批判する彼等は、たかが3歳男児とおなじ土俵にあがって勝負しようとしている様なモノなのである。そしてその光景はあらたな笑いを産んでいるのかもしれない。

次回は「」。
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