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2019.08.18.08.22

"them FEATURING VAN MORRISON" by them

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このバンドをあしがかりにして登場したヴォーカリスト、ヴァン・モリソン (Van Morrison) の作品をぼくは所有していない。
彼のパフォーマンスは映画『ラスト・ワルツ (The Last Waltz)』 [マーティン・スコセッシ (Martin Scorsese) 監督作品 1978年制作] でしるだけである [こちらを参照の事]。
だから、60年代に輩出したバンドのひとつ、所謂ブリティッシュ・インヴェイジョン (British Invasion) のひとつとして、彼等の作品に接しているのだ。

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彼等の全貌を知るには、2枚組CD作品『ストーリー・オブ・ゼム フィーチャリング・ヴァン・モリソン (The Story Of Them Featuring Van Morrison)』 [1997年発売] があれば良い。ぼくの手許にもある。ただその作品が発売される以前、彼等の音楽を知った最初の作品が本作であったのである。

ゼム (Them) は、北アイルランド (Northern Ireland) はベルファスト (Belfast) 出身のバンドだ。でも、それを意識させられる事は本作を通じてはない。
もしかしたら、バンド解散後のヴァン・モリソン (Van Morrison) の作品を追っていけば、そこからの照射で彼等の出自を実感させられるのかもしれない。
だとしても、彼等の後に続く同郷出身のバンド、スティッフ・リトル・フィンガーズ (Stiff Little Fingers) とは、やはり違うだろう。

バンドのありかた、否、みえかたから謂えば、アニマルズ (The Animals) とエリック・バードン (Eric Burdon) とを比較対照すれば良いのだろうか [このバンドに関してはこちらに書いた] 。音楽性にも共通項はありそうでもある。
しかし、中途半端なぼくの知識だけでは、エリック・バードン (Eric Burdon) [とアニマルズ (The Animals)] の軌跡と、ヴァン・モリソン (Van Morrison) [とゼム (Them)] の軌跡には、同一性も相違性もみいだせないのであった。
これは課題として、ぼくのなかにおいておこう。

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ゼム (Them) の代表曲のひとつである『グロリア (Gloria)』 [アルバム『ゼム・ファースト~アングリー・ヤング・ゼム (The Angry Young Them)』 収録 1964年発表] は、彼等自身の演奏よりも先に、パティ・スミス (Patti Smith) のそれ [アルバム『牝馬 (Horses)』 収録 1975年発表] で知ったと思う。
その曲を歌唱するヴォーカリストとしての力量を、そのバンドのヴォーカリストであるヴァン・モリソン (Van Morrison) とパティ・スミス (Patti Smith) を比較する事はナンセンスである。聴くべきは、彼が呈示したその曲から、彼女がなにを抽出しなにを取捨しどう結晶化させたかと謂う点である。一言をもってすれば、ふたつの演奏は別の曲である、と謂う事も可能なのだから。
おんなの名前がまるで呪文であるかの様に不気味に響く。何故ならばそれ程にそのおんなに耽溺し呪縛されているからだ。彼の唄うその歌をそう解釈出来るのならば、彼女の唄うその歌は、願望であり、そして祈祷へと転化していないだろうか。

本作を聴いていつも思うのは、いい選曲だなぁと謂う事だ。良い曲ばかりを選んでいる。しかも、その曲の良さが素直に引き出されているように思える。
逆に謂えば、凡庸で退屈な選曲であり編曲である。それを危ういところで救出しているのが、ヴォーカリストの歌唱なのかもしれない。

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と、断罪できれば簡単な話なのだが、1曲だけはそんな理解を妨げる。
ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー (Baby Please Don't Go)』 [アルバム『ゼム・ファースト~アングリー・ヤング・ゼム (The Angry Young Them)』 収録 1964年発表:オリジナルはビッグ・ジョー・ウィリアムス (BiIg Joe Williams) 1935年発表 彼の演奏はこちらから] である。
この曲の切迫感と緊張感だけは、バンド独自のモノなのだ。後に、エーシー・ディーシー (AC/DC) [アルバム『ハイ・ヴォルテージ (High Voltage)』収録 1975年発表 こちらから] もエアロスミス (Aerosmith) [アルバム『ホンキン・オン・ボーボゥ (Honkin' On Bobo)』収録 2004年発表 こちらから] もカヴァーしているが、そのいずれもゼム (Them) の編曲を下敷きにしたモノなのだ。

個人的には、この楽曲の方が『グロリア (Gloria)』よりも重要なのである。

ものづくし (click in the world!) 202. :""them FEATURING VAN MORRISON" by them


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"them FEATURING VAN MORRISON" by them

1. GLORIA* (Morrison)
2. THE STORY OF THEM‡ (Morrison)
3. STORMY MONDAY** (Walker)
4. MYSTIC EYES* (Morrison)
5. HEY GIRL‡ (Morrison)
6. BABY PLEASE DON'T GO‡ (Williams)
7. HERE COMES THE NIGHT* (Berns)
8. MY LONELY SAD EYES‡ (Morrison)
9. RICHARD CORY‡ (Simon)
10. (IT WON'T HURT) HALF AS MUCH‡ (Berns)
11. TURN ON YOUR LOVE LIGHT‡ (Malone, Scott)
12. I PUT A SPELL ON YOU‡ (Hawkins)
13. DON'T LOOK BACK* (Hooker)

1, 2, 4, 5, 8, 10 Carlin Music Corp.
3 Burlington Music Co., Ltd.
6 MCA Music Ltd.
7 EMI Music Pub. Ltd.
9 Pattern Music Ltd.
11 Westminster Music Ltd.
12 SBK United Partnership
13 Tristan Music Ltd.

1, 6 (P) 1964 THE DECCA RECORD CO. LTD., LONDON, ENGLAND
2 (P) 1967 THE DECCA RECORD CO. LTD., LONDON, ENGLAND
3 (P) 1976 THE DECCA RECORD CO. LTD., LONDON, ENGLAND
4, 7, 10, 13 (P) 1965 THE DECCA RECORD CO. LTD., ENGLAND
5, 8, 9, 11, 12 (P) 1966 THE DECCA RECORD CO. LTD., ENGLAND

(C) 1987 THE DECCA RECORD CO. LTD., ENGLAND

PRODUCERS :
1 Dick Rowe / Musical Director : Arthur Greenslade
2, 5, 8, 9, 11, 12, 13 : Tommy Scott
3 : Unknown
4 : Tommy Scott, Phillip Solomon
6 : Dick Rowe
7, 10 : Bert Berns

‡ MONO
* STEREO
** RE-PROCESSED STEREO

AAD

RESEARCH & CO-ORDINATION :
JOHN TRACY FOR DECCA INTERNATIONAL

DESIGN : SHOOT THAT TIGER!
LINER NOTES : JOHN TRACY London, 1987


THE DECCA RECORD COMPANY LIMITED, London, England
CD is manufactured in West Germany
Printed in West Germany / Imprime en Allemagne Made in West Germany
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