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2019.06.16.08.31

"TENOR MADNESS" by SONNY ROLLINS QUARTET

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ラズウェル細木 (Roswell Hosoki) のマンガ『ときめきジャズ・タイム (Tokimeki Jazz Time)』 [19861992ジャズ批評連載] にこんな台詞が登場する。
「ジャズ・ファンはまず『サキ・コロ』を聴かねばならん ホレ買ってこい」

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だとしたら、ぼくはジャズ・ファン (Jazz Aficionado) ではないのだろう。
『サキ・コロ (Sax-Colo)』、つまりソニー・ロリンズ (Sonny Rollins) のアルバム『サキソフォン・コロッサス (Saxophone Colossus)』 [1956年発表] をぼくは所有していない。ぼくの手許にある彼のリーダー作は、本作しかないのだ。

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ぢゃあ、ジョン・コルトレーン (John Coltrane) なのか。
本作の表題曲『テナー・マッドネス (Tenor Madness)』に、ジョン・コルトレーン (John Coltrane) は参加していて、この曲が、ふたりの唯一の共演曲であるからなのだ。そしてそれである事をもって、本作を紹介してそれで事足りているとされている。
でもぼくのジョン・コルトレーン (John Coltrane) は数作しかない。エリック・ドルフィー (Eric Dolphy) と連繋していた頃の事だ [上掲画像はその1作、ジョン・コルトレーン (John Coltrane) のアルバム『オーレ! コルトレーン (Ole Coltrane)』 [1961年発表]]。だから、彼のディスコグラフィー (Discography) を辿って本作に辿り着いたと自信をもって宣言するのは、躊躇われる。

この作品を購入した理由のひとつには、本作を制作したプレスティッジ・レコード (Prestige Records) の輸入盤が廉価だったと謂う事が挙げられる。名だたるジャズ・ミュージシャンの、聴き齧った名前だけを頼りに、そのレーベルの廉いCDを幾つも買っている。

例えばマイルス・デイヴィス (Miles Davis) の諸作も同様で、彼の演奏と作品は先ず、プレスティッジ・レコード (Prestige Records) の盤から聴いていった。所謂マラソン・セッション4部作 (Two Sessions On 111 May And 26 October In 1956 Resulted In Four Albums) あたりから聴き始めた筈だ。そこにジョン・コルトレーン (John Coltrane) はいる。
マイルス・デイヴィス (Miles Davis) の最初のクインテット (Miles Davis Quintet 1955 - 1958) のサックス奏者が彼なのだ。

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マイルス・デイヴィス (Miles Davis) はマラソン・セッション4部作 (Two Sessions On 111 May And 26 October In 1956 Resulted In Four Albums) を置き土産にして、コロムビア・レコード (Columbia Records) に移籍してしまうから、廉いプレスティッジ・レコード (Prestige Records) の盤で彼の演奏を聴こうとする事は、彼の経歴を遡る事になる。そこに、ソニー・ロリンズ (Sonny Rollins) はいた。マイルス・デイヴィス (Miles Davis) の初期作品、例えばアルバム『ディグ (Dig)』 [1956年発表] に彼が参加しているのだ。

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尤も、ソニー・ロリンズ (Sonny Rollins) と謂うサックス奏者の存在は既に知っていた。
初めて聴いた彼の演奏は、ザ・ローリング・ストーンズ (The Rolling Stones) の『友を待つ (Waiting On A Friend』 [アルバム『刺青の男 (Tattoo You)』収録 1981年発表] なのかもしれないし、その名はジョー・ジャクソン (Joe Jackson) のアルバム『ボディ・アンド・ソウル (Body And Soul)』 [1984年発表] で印象付けられたのかもしれない。そのアルバムはソニー・ロリンズ (Sonny Rollins) のアルバム『ソニー・ロリンズ Vol.2 (Sonny Rollins Vol II)』[1957年発表] のヴィジュアル・イメージを踏襲しているのである。
いずれも「ジャズ・ファンはまず『サキ・コロ』を聴かねばならん ホレ買ってこい」と謂われるよりも以前の事だ。

マイルス・デイヴィス (Miles Davis) が、恒久的なメンバーによる自身のクインテットを結成しようとした際の、最初の候補書がソニー・ロリンズ (Sonny Rollins) だったと謂う。しかし、それは当時、叶わなかった。彼の代わりに起用されたのが、ジョン・コルトレーン (John Coltrane) なのだ。席次 (The Class Order) に例えると、ソニー・ロリンズ (Sonny Rollins) が首席 (The Top Seat) でジョン・コルトレーン (John Coltrane) は次席 (The Second Seat) だ。首席 (The Top Seat) の不在で次席 (The Second Seat) が繰り上がって採用された。そおゆう事なのである。

だから、ふたりの唯一の共演曲『テナー・マッドネス (Tenor Madness)』は、マイルス・デイヴィス (Miles Davis) と謂う名伯楽 (Great Producer) のお眼鏡に叶った (Win His Confidence) 、優秀なふたりの文字通りの競演曲である、と謂う事が出来る。
しかも、本作での遺りのメンバーは、レッド・ガーランド (Red Garland)、ポール・チェンバース (Paul Chambers)、そしてフィリー・ジョー・ジョーンズ (Philly Joe Jones) である。つまり、マイルス・デイヴィス・クインテット (Miles Davis Quintet 1955 - 1958) のリズム陣がそこに控えている。用意周到な舞台なのである。
ジョン・コルトレーン (John Coltrane) の視点からみれば、マイルス・デイヴィス (Miles Davis) を馘首して、ソニー・ロリンズ (Sonny Rollins) を迎え入れた、そんな形容も可能なのかもしれない。いや、そんな恐れ多い表現は出来ないだろう。せいぜいが鬼の居ぬ間の洗濯 (When The Cat's Away, The Mice Will Play)、そんなところだ。

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だけれども、そんなこちらの期待を受け止める様な火花散る演奏はここには皆無なのであった。安閑で茫洋としたセッションが繰り広げられているのである。『テナー・マッドネス (Tenor Madness)』と謂う曲名すらこちらの期待には答えてくれない。
初めてこの曲を聴いた際、妙な既聴感があった。この曲を聴くといまでもチャーリー・パーカー (Charlie Parker) の『 (Now's The Time)』 [1945年発表 アルバム『ナウズ・ザ・タイム (Now's The Time)』 1957年発表等に収録] を憶い出す [いや、実際は全然違う曲なんだけど]。

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マイルス・デイヴィス (Miles Davis) に参加を断られたハービー・ハンコック (Herbie Hancock) が、自身が参加していた当時のマイルス・デイヴィス・クインテット (Miles Davis) Quintet 1964 - 1968) の他のメンバーを誘って結成したヴイ・エス・オー・ピー・ザ・クインテット (Very Special Onetime Performance The Quintet) の様なモノを期待してはいけないのである [上掲画像はその結成のきっかけとなったハービー・ハンコック (Herbie Hancock) のアルバム『ニューポートの追憶 (V.S.O.P.)』 [1977年発表]]。
猶、マイルス・デイヴィス (Miles Davis) の代理、つまり首席 (The Top Seat) に代わって起用された次席 (The Second Seat) はフレディ・ハバード (Freddie Hubbard) である。

と、謂うか、その様なモノを本作に期待してはきっといけないのだ、実は。
ジョン・コルトレーン (John Coltrane) が〜とか、マイルス・デイヴィス (Miles Davis) の〜とか、謂う文脈から離れるべきなのだろう、きっと。
しかも、もしかすると主役である筈のソニー・ロリンズ (Sonny Rollins) からも離れた方が良いのかもしれない。

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比較すべきは、レッド・ガーランド (Red Garland)、ポール・チェンバース (Paul Chambers)、そしてフィリー・ジョー・ジョーンズ (Philly Joe Jones) の3人が結集した、マイルス・デイヴィス (Miles Davis) 以外の作品ではないだろうか。
例えば、アート・ペッパー (Art Pepper) のアルバム『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション (Art Pepper Meets The Rhythm Section)>』 [1957年発表] 等なのだろう。残念ながらぼくが知っているこの3人の参加作品は他におもいあたらないのでこの作品を挙げてみた。ジャズ・ファン (Jazz Aficionado) ならばきっともっと比較するにたる、相応しい作品を教えてくれるだろう。

ものづくし (click in the world!) 200. : "TENOR MADNESS" by SONNY ROLLINS QUARTET


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"TENOR MADNESS" by SONNY ROLLINS QUARTET

1. TENOR MADNESS 12:15
 (Sonny Rollins) Prestige Music - BMI
2. WHEN YOUR LOVER HAS GONE 6:12
 (E. A. Swan) Warner Bros. Music - ASCAP
3. PAUL'S PAL 5:11
 (Rollins) Prestige -BMI
4. MY REVERIE 6: 08
 (Larry Clinton) EMI Robbins Catalog, Inc. - ASCAP
5. THE MOST BEAUTIFUL GIRL IN THE WORLD 5:36
 (Rodgers - Hart) Polygram Int'l - ASCAP

SONNY ROLLINS - tenor saxophone
JOHN COLTRANE - tenor saxophone (#1 only)
RED GARLAND - piano
PAUL CHAMBERS - bass
PHILLY JOE JONES - drums

Supervision by BOB WEINSTOCK

recorded in Hackensack, NJ ; May 24, 1956.
recording engineer - Rudy Van Gelder

original liner-notes by IRA GITLER
liner-notes by Mark Gardner (April 1969 written for Prestige 7657, a reissue of Prestige 7047)
cover - Weinstock / Hannan
booklet photo - Bob Parent

Digital remastering, 1987 - Kirk Felton (Fantasy Studios, Berkeley)

TOTAL TIME 36:00
Total time has been rounded off the nearest minute.

Prestige Records (C) 1987, 1992, Fantasy, Inc.
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