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2008.11.18.20.23

だだそのいち

ダダ (Dada) というのは取りも直さず、『ウルトラマン (Ultraman)』第28話「人間標本5・6」に登場する宇宙人の事である。別称"三面怪獣"という。
そして、この作品も、子供心に妙な恐怖感を与えたものなのである。

第28話のあらましはこうである。
バス事故が頻発する奥多摩に向かった科学特捜隊 (Science Special Search Party)ムラマツ・トシオ [演:小林昭二]・キャップとイデ・ミツヒロ [演:二瓶正也] 隊員は、現地で事故に遭う。骨折したイデ・ミツヒロ [演:二瓶正也] 隊員は病院に収容される。そこへ、事故現場山頂にある宇宙線研究所所員が、助けを求めてやってくる。研究所が宇宙生物ダダ( Dada)に占拠されたというのだ。一同がその話に驚く中、所員は姿が消え研究所へと移動されてしまう。ダダ (Dada) は人間標本採取の為に、地球に派遣されたのだ。既に4体の検体を採取したダダ (Dada) は残り2体を採取するのみであった。....。

さて、脚本を山田正弘、本編監督を野長瀬三摩地、特殊技術を高野宏一が担当したこの作品。描かれている宇宙人=侵略者の設定が、これまでの『ウルトラマン (Ultraman)』に登場したものと、随分と異なる。
先ず始めに、宇宙線研究所実効支配 (Effective Control) しているダダ (Dada) [正式名称はダダ271号] に対して外部[恐らく母星か大気圏外にある宇宙船] から通信装置を介して指令を与えるものの存在がある事だ。つまり、ダダ271号という個体以外にも、ダダ (Dada) という生体は存在し、しかも、軍隊や官僚機構の様な組織的な集団を成しているという事である。
次に、ダダ271号の主目的が"人間標本"の採取にあるという事。つまり、この番組を観ていた僕たちは、彼らにとって対等な存在ではないという事を意味している。つまり、僕たちが休日になる度に、近所の野や山や海を駆け回り、駆り集めてきた、昆虫や魚介類や蟲の類と、彼らダダ (Dada) にとって何ら変わりない存在でしかないという事実なのである。
成長した僕らの眼から観れば、オーソドックスな侵略ものの一ヴァージョンにしか観えないのだけれども、冷静にみれば、己=人類という存在を相対的に矮小化させて認知させる、[コドモにとっては] 恐ろしい作品なのである。

さらに、それ以上に怖さを感じさせるのが、ダダ (Dada) そのものの存在である。作品内ではダダ271号の主目的が"人間標本"採取である事は描かれているものの、彼が所属する組織の、真の目的は語られずに、事件はウルトラマン (Ultraman) の登場によって解決し、物語は終わる。
そして、何よりも怖いのは、彼が"三面怪獣"と尊称される所以なのである。
彼は、己の登場するシーンが変わる度に、その顔を変えるのだ。その変える理由に関しては、作品内で一切語られてはいないと思う[後の出版物や研究書では、"ダダ (Dada) が複数体いる様に偽装した"とはされているのだけれども]。
人格が複数ある訳でもない。
我々の思いもよらぬ場所から登場したかと思えば、また新たなる予想外の場所で異なる顔で現れる [後に夫々の顔面はダダA、ダダB、ダダCと分類される]。
しかも、妙に艶かしいのだ。女性性を予感させる所作は具体的にはないのだけれども、そのがっちりとした体型に似合わず、子供心に淫美な性を感じてしまったのだ。

成田亨デザイン、高山良策造形によるダダ (Dada) は、当初の予定では、ひとつの顔に三面が同居し、それが時宜に応じて、その姿を現すという設定だった様だ。しかし、操演が上手くいかずに、現在、観られる様な演出方法となったという。
もしも、当初の設定どおり、事が上手く運んでいたら、この作品はどの様なものと、なっていただろうか?
僕は、現行作品に観られる様な、不思議な恐怖感は描写出来なかったのではないか?と思う。

images
ところで、ここに掲載するのはブリジット・ライリー (Bridget Riley) の作品『炎 I (Blaze 1, 1962)』。
この眼も眩む様なオプ・アート (Op Art) のボディにプリミティヴ・アート (Primitive Art) や縄文土偶 (Clay Figurines From The Jomon Period) を思わせるプリミティヴな相貌をもった頭部。
そして、その相貌も観る度に異なる表情をたたえるというキュビスム (Cubisme) 的な発想で、みっつの顔面を持つものとして制作されていた [そう言えば、パブロ・ピカソ (Pablo Picasso) の『アヴィニョンの娘たち (Les Demoiselles d'Avignon)』の画面右端に佇む女性の顔にも観えてくる]。
そんな身体をもった宇宙人=侵略者の名前がダダ (Dadaisme)。
すこし、出来すぎた逸話かもしれない。

次回は「」。
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